育児休業給付金はいくら貰える?計算方法について解説

投稿日:2023/01/05 最終更新日:2024/08/22
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少子高齢化や女性の社会進出が進んでいる時代において、出生率の低下は日本の課題になっています。それに伴い、出産にかかわる経済的な負担を軽減するための様々な制度が用意されています。

育児休業給付金は休業期間中の収入がなくなってしまう状態を給付金を支給することによって支援し、育児休業を取得しやすくするための制度です。

育児休暇前の給与が20万円であれば、育児休業開始から6カ月間はおよそ13万円、6カ月目以降は10万円が支給されます。あなたが育児休業をとる場合、育児休業給付金がどれくらい支給されるのか把握しておくために、育児休業給付金の概要と計算方法を理解しておきましょう。  

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育児休業給付金は、育休期間中(原則1歳未満の子どもを養育する期間、条件によっては延長可能)に給付金を支給することによって、休業期間中の収入を保証する制度です。育児休業給付金の有無や具体的な額によって、 育休期間の家計に大きな影響を与えることになります。そのため、自身が育児休業給付金の支給対象かどうか、もらえるのだとしたらどのくらいの金額になるのか、等の情報を事前に確認しておく必要があります。

今回は、育児休業給付金の受領額の計算式について紹介します。今回の記事を参考に自分がどのくらいもらえるのかを理解しましょう。

また、その他の受給できる条件や、受け取ることができる期間、時期、必要な申請方法などについて紹介している記事もありますので、そちらも合わせて参考にしてください。

育児休業給付金は、育児の負担を軽減し、働く親たちが仕事と家庭を両立させるための一助となるものです。この制度を十分に理解し、活用することで、経済的な不安を少なくし、子育てにより専念することができるでしょう。また、休業期間の終了後の職場復帰もスムーズに進めることが期待されます。

各自治体や労働組合などでも、この給付金に関するセミナーや相談窓口が設けられていることが多いので、不明点や疑問点がある場合は積極的に利用することをおすすめします。

さらに、職場の人事や上司とのコミュニケーションも大切です。休業前の準備や復職後のフォローアップを円滑に進めるために、早めの打ち合わせや相談を心掛けることが重要です。

育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金を取得する際、期間によって給付金の支給額が変わります。具体的には育児休業開始から180日までは休業開始前の額面給与の約2/3が支給されます。

約2/3と表記しましたが、育児休業給付は非課税であり、また育児休業期間中は社会保険料が免除されることを考えると、実際は休業前の手取り賃金と比べて概ね8割程度が支給されることになります。


180日目を終了した以降の支給金額は約1/2になります。例えば育児休業開始前の給与が20万円だった場合は180日までの支給金額は約13万円、180日目以降の支給金額は約10万円になります。180日目以降は支給金額が小さくなるので、「あれ、支給額が少ない?」と焦ることがないように事前に給付額を確認しておきましょう。

元になる「休業開始時賃金」を厳密に計算するのは手間がかかるのでおよその金額を把握するのにとどめたほうがよいでしょう。その場合、無料で公開されている育児休業給付金の計算ツールがたくさんありますので、利用してみて下さい。

【関連記事】育児休業給付金とは?受給条件や申請方法、受給期間を徹底解説!

育児休業給付金の計算式

育児休業給付金(育休手当)の支給額は、「休業開始時賃金日額」「育児休業開始からの日数」「育児休業期間に事業主から支払われた賃金」の3つで決まります。特に、育児休業期間中でも一定以上の賃金をもらうと育休手当の支給金額が変わってくる場合があります(育児休業期間中に働いた場合の計算方法は後述)。

支給額の基本的な計算方法

育児休業期間中に働いていない場合は雇用保険から育児休業開始前の賃金の2/3(67%)を支給されます。育児休業開始6カ月目からは給付率が1/2(50%)に変わる点に注意してください。

 育児休業期間  給付率   支給額
 育児休業開始~180日目まで  67%  支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%
 育児休業181日目~育児休業終了まで   50%  支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×50% 
 

【関連記事】育児休業給付の支給率80%への引き上げはいつから?2022年の改正内容は?

実際のシミュレーション

実際に受給できる育児休業給付金がどれくらいなのか、いくつかの例でシミュレーションして確認してみましょう。

※以下の計算は1支給単位期間(1カ月)で計算しています。

  • 例1)休業開始時賃金日額:7,000円 育児休業開始タイミング 休業期間中の賃金なし
    • 7,000円 × 30日 × 0.67(67%) = 140,700円
  • 例2)休業開始時賃金日額:7000円 育児休業開始181日目以降 休業期間中の賃金なし
    • 7,000円 × 30日 × 0.50(50%) = 105,000円

育児休業開始前の月額給与によって支給される育児休業給付金の概算は以下のようになります。

 休業開始時賃金(月額)  育児休業給付金支給額シミュレーション
 育児休業開始6カ月(180日)まで   育児休業6か月(180日)経過後 
月額給与10万円 月額約6.7万円 月額約5万円
月額給与20万円 月額約13.4万円 月額約10万円
月額給与30万円 月額約20.1万円 月額約15万円

※上記の金額は休業期間中に賃金が支払われていない場合なので、賃金が発生している場合は支給金額が異なります。

いくら貰えるか知りたいときはツールを活用

具体的な計算方法は上で説明したとおりで、難しい計算ではありませんが、実際に計算するときはインターネットで公開されているツールを利用するのが便利です。

「育児休業給付金 計算ツール」などキーワードで検索すれば多くのサイトが結果に出てくるので、使いやすいサイトを選んで確認してみて下さい。

育児休業期間中に働いた場合の計算方法は?

育児休業期間中に賃金が発生していると、その割合によっても支給金額が変わります。育児休業開始時の賃金の80%以上の場合は育児休業給付金は支給されません。育児休業期間中に働いていない(賃金が発生していない)場合は気にしなくても大丈夫です。

支払われた賃金 支給額の計算式
休業開始時賃金月額の13%以下
 ※育児休業開始から181日目以降の場合は30%以下 
休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数× 67%(50%)
休業開始時賃金月額の13%超~80%未満
※育児休業開始から181日目以降の場合は30%超~
 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数 × 80%ー 賃金額 
休業開始時賃金月額の80%以上 支給されません

具体的なケースで計算すると以下のようになります。

例)休業開始時賃金日額:7000円 育児休業開始181日目以降 休業期間中の賃金:10万円

※支払われた賃金(10万円)が休業開始時賃金日額×休業期間の日数の30%~80%の場合

7,000円 × 30日 × 0.8(80%)ー 100,000 = 105,000円  = 63,000円

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2人目を妊娠した場合、育児休業給付金は?

第1子の育休中に2人目のお子さんを妊娠した場合、第2子出産の産前休業をとるかどうかで1人目のお子さんの育児休業給付金の扱いが状況によって少し変わってきます。

第1子の育児休業給付金は、第2子の産前休業開始日の前日で終了します。ただし、産前休業を取得しない場合は出産日まで第1子の育児休業給付金が支給されます。

以降は産後休業期間が終了したら第2子の育児休業給付金が支給されるので、第1子と第2子の育児休業給付金が重複して支給されることはありません。

  • パターン1:出産日まで第1子の育児休業給付金を受け取るパターン
  • パターン2:第2子の産前休業を取得するパターン

この2パターンでは以下の出産に関する給付金を受け取ることができます。

期間  パターン1:出産日まで第1子の育児給付金を受け取る   パターン2:第2子の産前休業を取得する 
第2子産前休業前 第1子育児休業給付金 第1子育児休業給付金
第2子産前休業中 第1子育児休業給付金
出産手当金
 出産手当金
出産日 出産育児一時金
出産手当金
出産育児一時金
出産手当金
第2子産後休業中 出産手当金 出産手当金
 第2子育休期間開始後  第2子育児休業給付金 第2子育児休業給付金

大きな違いは第2子産前休業中の第1子育児休業給付金の支給有無です。より多く給付金の支給を受けるにはパターン1ですが、どちらのパターンも対応できるのかはお勤めの会社に相談するのがよいでしょう。

育児休業給付金の計算の注意点

育児休業給付金の支給額を計算するときには支給要件や注意点があるので認識しておきましょう。

まず、支給要件として就業日数の条件(過去2年間の就業日が11日以上の月が12か月以上ある)があります。

また、支給額の元になる「休業開始時賃金」は手取りではなく、残業手当は住宅手当などを含む「給与額面」です。ただし、最終的に計算した金額がかならず支給されるわけではなく、支給上限(下限)があることも認識しておきましょう。

就業日数(11日以上)が12か月以上必要

育児休業給付金を受けるには「育児休業開始日前の2年間で、賃金支払基礎日数が11日以上または就業した時間数が80時間以上ある完全月が12か月以上あること」という要件を満たす必要があります。

ただし、上の条件をみたせなくても、疾病や負傷などのやむを得ない理由があれば、2年間の加算が認められるため、合計で最長4年間で判定することができます。

支給条件はこちらの記事で解説していますので気になる人は確認することをおすすめします。

【関連記事】育児休業給付金の支給条件と注意点について分かりやすく解説

計算には手当も含まれる

休業開始時賃金は育児休業開始前6カ月(※)に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。この支払われた賃金は残業手当、通勤手当、住宅手当などを含む給与額面で求めます。

この賃金は「臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く」ので、賞与などは含まれないことになります。

※当該休業を開始した日前の2年間に完全な賃金月が6か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である賃金月6か月間に支払われた賃金で計算します。

育児休業給付金には上限と下限がある

育児休業給付金には支給の上限と下限があります。そのため、育児休業前に多くの給与をもらっていたとしても育児休業給付金は一定金額までしかもらえません。

また、育児休業開始から180日で給付率がかわりますが、給付率の変更とともに育児休業給付金の上限と下限も変わります。

■支給上限額(令和5年7月31日(※)までの額)

休業開始時賃金日額の上限額は15,190円、下限額は2,657円となります。

※支給限度の上限・下限は、勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、毎年8月1日に見直されます。

   支給上限  支給下限
 育児休業180日目まで 
(給付率67%)
 305,319円   53,405円
 育児休業181日目以降 
(給付率50%)
 227,850円  39,855円 

ただし、育児休業期間中に働いた(賃金が発生した)場合は、支給下限を下回る可能性があることには注意してください。

【関連記事】育児休業給付金の初回振込が遅すぎる理由とは?給付金の注意点や事前の準備

まとめ

この記事で解説した育児休業給付金を計算するポイントを以下にまとめました。

【計算式】

支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%(50%)

※育児休業開始180日で給付率が67%から50%に変わります。

【育児休業期間中に働いた場合】

  • 期間中の賃金が休業開始時賃金の13%以下:上の計算式と同じ
  • 13%~80%の場合:休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数 × 80%ー 賃金額
  • 80%以上の場合:支給されません

※休業期間中の賃金によっては支給下限を下回る可能性があります

育児休業給付金は雇用保険の被保険者であれば利用でき、金銭面での負担を大きくへらしてくれるのでぜひ利用したい制度です。ただし、育児休業給付金には支給要件があり、支給額の元になる休業開始時賃金は残業手当や住宅手当なども含む給与額面(ただし賞与は含まれません)であるなどの注意点もあるので、概要をしっかり理解しておきましょう。

受給できる額や必要な申請事項、確認すべきことなどその人その人によって多岐に渡りますので、詳細はお勤め先に会社に確認しておくことが良いでしょう。

加えて、育児休業給付金の申請期間や手続き方法も確認が必要です。期間を過ぎてしまうと給付を受けることができなくなる場合もありますので、タイムリーに手続きを行うことが重要です。

また、制度の更新や変更が行われることもあるため、定期的に情報をチェックし、最新の制度内容を確認することも大切です。専門家や相談窓口を利用して、不明点や疑問点を解消することで、より安心して育児休業を取得することができるでしょう。

継続的なキャリア形成を考える上で、このような制度を適切に活用することは、働く親たちにとって非常に有益です。

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よくある質問

Q

養子・特別養子縁組も育児休業給付金の対象になりますか?

A

養子、特別養子縁組も対象となります。また、養子縁組によって養親となることを希望している場合も同様に対象になります。詳細はお近くのハローワークへ確認してみて下さい。

【関連記事】育児休業給付金の支給条件と注意点について分かりやすく解説

Q

育児休業給付金を受給している間に退職した場合、返金義務は発生しますか?

A

育児休業期間中に退職した場合、それまで受給した育児休業給付を返金する必要はありません。ただし、その支給単位期間以降は支給対象となりませんので注意してください。

Q

育児休業給付金は課税対象になりますか?

A

課税の対象とはなりません。

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