うつ病でも保険に加入できる?精神疾患で準備しておく保険について解説!

投稿日:2022/04/08 最終更新日:2023/04/14
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うつ病の方でも保険に加入できるのでしょうか?今回は、うつ病の方の保険の選び方について解説します。
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うつ病だと加入できる保険は限られる?

ほとんどの保険で、加入者に現在の健康状態や既往歴の告知義務を設けています。保険会社は、加入者から告知された情報をもとに保険契約の可否や契約内容を設定しているため、加入者が事実と異なる告知をすると告知義務違反とみなされ契約途中であっても強制解除となる可能性があります。

強制解除されると支払った保険料も返されず、いざという時の保障を受けられません。うつ病を患っていることを知られたくないと思うかもしれませんが、告知義務違反に該当するような行為は、加入者にとってデメリットしかありません。

「どうせバレないだろう」「これぐらいなら言わなくてもよいだろう」と自分で判断せず、保険に加入する際には、いつどのような診断を受けたのか、どのような薬を処方されたのかをはっきりと伝えられるようにしましょう。

【あわせて読みたい】生命保険加入後に1回でも心療内科・精神科に通院するとバレる?

うつ病で保険に加入しにくくなる理由は2つ

前述した通り、うつ病の罹患歴は多くの保険で加入時の告知義務項目に含まれています。うつ病の罹患歴のある人が一般的な保険に加入することは、はっきり言ってかなり難しいといわざるを得ません。

うつ病を患っている人が保険に加入しにくい理由は主に2つです。

・逆選択
・モラルハザード

「逆選択」とは、持病を抱える入院リスクの高い人と健康な人を同等の条件で保険に加入させることで起こる、加入者の間の不平等です。一般的に保険金は保険加入者全員の掛け金から支払われています。それゆえ加入者の掛け金に対して支払う保険金が多くなりすぎると、加入者全体から集める掛け金を増加させなければなりません。

一般的にうつ病患者は、健康な人と比較して入院や死亡のリスクが高いとされています。さらに、うつ病では入院期間が長くなります。厚生労働省の調査によると平均的な入院期間は29.3日ですが、うつ病を含む気分(感情)障害による入院は 113.9日という結果がでています。このように病院への通院期間が長くなると、保険加入者の掛け金の負担も大きくなります。

そのため、うつ病を患っている人が健康な人と同じ条件で保険に加入してしまうと、保険加入者の間で不平等が生じるため、うつ病と診断された人は保険への加入が難しくなってしまいます。

また、「モラルハザード」とは、保険がうつ病を患っている人の自殺を助長しかねないという考え方です。うつ病を患っている人が生命保険など死亡保障のある保険に加入することで、
「自分に生きる価値はない」
→「自分が死ねば相続人はお金を受け取れる」
→「せめて相続人にお金を残したい」
という思考から自殺を助長しかねないという、倫理的な問題もあります。

これらの理由からうつ病の治療中や完治して日が浅い場合は、保険への加入が難しくなります。

うつ病の診断を受けると保険に入るのが難しくなる。
うつ病の診断を受けると保険に入るのが難しくなる。

うつ病を治療した後ならどうなるの?

ほとんどの場合、保険加入時の告知義務項目では5年以内に医師の診断や治療、投薬などを受けたかどうかを問われます。うつ病が完治してから5年以上経っており、さらにその間、医師の診断を受けていなければ、告知をする義務はありません。

また、完治から5年以内であっても、医師に現在は健康であるとの診断書を書いてもらうことで、保険への加入が受理されることもあります。さらに、経過観察中であっても保険加入ができる保険会社もあります。その場合、多くは下記のような条件がつけられます。

・保険料の割増
・特定の疾病を対象外とする

うつ病を患っている人であれば、うつ病に関連した補償は行われないという条件をつけたうえで加入できることがあります。
こうした条件付きの加入であっても、うつ病に関わらないケガや病気の保障は受けられるため、検討する価値は十分にあるでしょう。

もちろん一般的な傾向はありますが、基本的に保険加入における審査基準は、保険会社・商品によって異なります。ある保険会社の保険に加入できなかったとしても、同じ状況で別の保険会社の保険に加入できたというケースもあります。1社の保険会社から保険の加入を断られたとしても、あきらめずに別の保険会社にぜひ問い合わせをしてみてください。

ただ、繰り返しになりますが、現状を正しく伝えて、決して告知義務違反にならないように気をつけましょう。審査基準は保険会社ごとに異なります。詳細な状況を伝えた上で加入できる保険を探してみてください。何か分からないことがあれば、早めに直接保険会社へ相談するのがおすすめです。

保険加入後にうつ病になった場合は?

うつ病を患っている人の中にはすでに更新型の保険へ加入している人もいるでしょう。
「更新型の保険はうつ病を患っていると更新できないかもしれない」と不安に思われる人もいますが、更新型の保険であっても同じ条件で更新するのであれば、更新時に告知義務や保険会社の審査を受けることはありません。現在、うつ病を患っていたとしても問題なく保険を更新することができるはずです。

ただ、同じ保険会社であっても、別の保険へ新規で追加加入する場合や現在の保険契約を一度解約して再度加入しなおす場合には、告知義務が発生するため加入が難しくなります。
すでに保険に加入している場合は、現在の契約を維持し続けることが最適です。

うつ病でも加入しやすい保険とは?

うつ病を患っていると、保険へは一切加入できないわけではありません。例えば、世帯主がうつ病を患った場合、就業不能で場合によっては所得が断ち切られるため適切に支援することが必要です。保険内容によっては、うつ病を患っていても加入できる保険もあります。

・がん保険
・引受基準緩和型の医療保険
・無告知型(無選択型)の保険

上記3つの保険はうつ病を患っていても比較的加入しやすい保険です。

がん保険は加入しやすい?

がん保険は保障対象をがんの治療に限定しているため、告知項目もがんに関する項目のみです。うつ病を患っている人でも、加入しやすい保険といえるでしょう。

日本は平均寿命が男性で81.64歳、女性で87.74歳を超える世界一の長寿国です。 しかし、 長寿であるがゆえに、がんの罹患率は高く、日本人の2人に1人が生涯のうちにがんに罹患するとされています。
がん保険はうつ病に罹患していても問題なく加入できるため、ぜひ検討してみましょう。

引受基準緩和型の保険ならどう?

引受基準緩和型の医療保険は、うつ病に関する告知項目がなく、うつ病を患っている人にも入りやすい医療保険です。

①最近3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査・先進医療を勧められたか
②過去2年以内に入院をしたことがあるか
③過去5年以内にがん・肝硬変・慢性肝炎で医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか

国民生活センターによると、引受基準緩和型医療保険の告知項目は、上記3点となっています。
これらの項目がすべて「NO」であれば問題なく加入できると考えてよいでしょう。しかし、引受基準緩和型の医療保険では、告知項目が少ないかわりに、一般的な保険と比較して掛け金が高く設定されています。さらに加入から1年以内の入院では、給付金額が50%に減額される保険契約もあります。

引受基準緩和型の医療保険は完治5年以上経過し、一般の医療保険へ加入できるようになるまでの一時的な措置として検討しましょう。

引合基準緩和型保険について
引合基準緩和型保険について

無告知型(無選択型)の保険の場合は?

無告知型(無選択型)の保険は、告知項目や医師の審査項目が設定されていない保険です。

引受基準緩和型の医療保険よりも、さらに加入しやすい場合もありますが、加入できる年齢が限られている・保険料が高い・保険金の支払いに制限がつく可能性があるといったデメリットがあります。無告知型(無差別型)の保険も引受基準緩和型の医療保険と同様、完治から5年以上が経過し、一般の保険に加入できるようになるまでのつなぎとして検討しましょう。

無告知型終身保険について
無告知型終身保険について

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うつ病のリスクに備える保険ってどんなものがある?

武田薬品工業の調査によると、うつ病と診断された人の約6割が休職しています。そして、休職期間が3ヶ月以上に及んだ人が全体の6割近くいることも分かっています。
うつ病で入院に至るケースでは、平均入院日数が長く、1年以上休職したという人も全体の2割以上にのぼる疾患です。
また、うつ病と診断された人の1/3以上がその後退職しています。うつ病を罹患することは、長期の治療にかかる医療費や働けないことによる収入の激減から経済的な不安が大きくなってしまいます。

うつ病には、適応される公的支援制度もあります。うつ病の医療費に対する支援制度として

・自立支援医療
・重度心身障害者医療費助成制度

があります。
「自力支援制度」は外来で通院や投薬の治療を受ける場合、医療費の自己負担額の一部を公的負担とする制度です。健康保険の自己負担のお金の一部を公的に支援するのがこの制度です。また、「重度心身障害者医療費助成制度」の詳細な内容は地方自治体ごとに異なりますが、こちらも治療にかかる医療費の自己負担額を支援する制度です。

また、うつ病など、こころの病気に限定されているわけではありませんが、

・疾病手当金
・障害年金
・生活保護
・特別障害者手当

など、生活に関する支援制度もあります。例えば、うつ病を患っている人も一定の条件を満たせば障害年金の対象となります。また、傷病手当金も条件を満たせばうつ病の人も支援の対象となります。

しかし、働けない期間も金銭的な不安なくゆとりをもった生活をするには公的支援だけでは心もとないのが現実です。
そこで、備えておきたいのが民間保障です。
各保険会社が出している保険のラインナップの中には、うつ病に備える保険もあります。

・医療保険
就業不能保険

上記の保険はうつ病を患った時にも保険金が支給される保険です。

うつ病を患っていると、一般的な保険に加入することは難しくなります。しかし、躁うつ病を含め、100人に約6人がうつ病など気分障害と患っているとされる時代です。うつ病になるリスクに備える保険も検討するとよいでしょう。

参考;武田薬品工業株式会社『武田薬品工業とルンドベック・ジャパン、「雇用形態別うつ病患者さん調査」の結果を発表

医療保険で保険金が支給される?

医療保険は一般的に、受けた医療の内容に応じて給付金が支給される仕組みの保険です。

・通院給付金
入院給付金
・手術給付金

多くの保険会社で、上記のような給付金を受け取れる保険が展開されています。近年では、うつ病など、こころの病気による通院・入院でも給付金を支払う保険会社もあります。

就業不能保険は受給対象になる?

就業不能保険とは、保険会社によりサービスの内容に多少の差はありますが、入院中だけでなく退院後も医師の指示で在宅療養をしている期間中は受給の対象となる保険です。さらに、障害者等級2級以上と認定された場合も支給の対象となります。
ただ、怪我や疾病で休業し始めてすぐには給付金を受給できず、一般的に休業し始めて60日以降から受給対象となる点は注意が必要です。

一般的に、前述した医療保険は一度の入院で支払われる入院給付金の限度日数は60日です。医療保険で治療費の負担へ備え、治療後、療養中働けない期間の収入保障には就業不能保険で備えましょう。ただし、就業不能保険でうつ病など心の病気が保障の対象になっているかどうかは各保険会社のサービスによって異なるため注意しましょう。医療保険とは異なり、長期間の受給が予想されるうつ病などの心の病気も対象となっている就業不能保険は限られています。就業不能保険を選ぶ際には、うつ病などこころの病気も十分な保障を得られる保険を選ぶことで、うつ病で療養することになった際にも安心して治療に専念することができます。

うつ病は、一度発症すると完治まで長期の療養が余儀なくされることも珍しくない病気です。
万一の時に安心して療養できるよう、十分に備えましょう。

まとめ

一般的に、うつ病を患っている間や完治から5年以内に新規で保険に加入することはなかなかできません。しかし、一度うつ病に罹患したからといって永久に保険に加入できないというわけではありません。うつ病を患っていても加入できる保険もあります。さらに、うつ病を患う以前から加入している保険は継続して契約し続けることができます。

うつ病を患って仕事を休むと金銭面で不安が残るかもしれません。しかし、うつ病で休職している間に給付金を受け取ることができる保険もあります。将来、万一の際に安心して治療に専念できるよう、十分に備えておきましょう。

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よくある質問

Q

どうしてうつ病だと保険に入りにくいのですか?

A

保険金は、加入者の支払う保険料から賄われています。そのため、もし健康な人と同等の条件で加入ができてしまうと公平性の観点で問題が発生するため、うつ病の方は保険に入りにくくなります。

詳しくは「うつ病だと加入できる保険は限られる?」を参照。

Q

うつ病の既往歴を保険会社に告知しないとどうなりますか?

A

うつ病の既往歴を告知しないのは、告知義務違反となります。告知義務違反と認定されると、保険金を請求しても受け取られず、契約の解除や取り消しになる恐れもあります。保険に加入する人は、告知義務があるので、漏れなく保険会社に連絡するようにしましょう。

【関連記事】告知義務違反するとなぜバレる?もしバレた時はどうなる?判例・事例を含めてご紹介!

Q

うつ病でも加入しやすい保険はありますか?

A

引受基準緩和型保険や無告知型(無選択型)の保険はうつ病の方でも加入しやすいです。ただし、保険料が通常のものに比べて割高なので、本当に加入する必要があるかしっかり吟味しましょう。

詳しくは「うつ病でも加入しやすい保険とは?」を参照。

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