持病や既往症があっても保険って入れるの?
持病や既往症があっても、入りやすい医療保険は存在します。持病があると入りづらい理由は、他の健康な人たちと比べて給付金の支払いリスクが高いためです。健康な人と持病のある人が同じ条件では公平性が損なわれるため、なるべく公平になるように給付金の支払いリスクの高さに応じた保険商品が用意されています。そのため、持病や既往症がある方でも入れる保険商品があります。まずは加入条件が保険商品ごとに異なるため、自分にあった商品を探してみましょう。また、持病や既往症があっても通常の保険に特別条件付きで加入できる場合があります。最初から入れないと諦めず、申し込みをしてみましょう。
通常の医療保険の告知書ではどんなことを聞かれるの?
医療保険に加入する際に持病や既往症、診察歴について告知書の記入が求められます。自分の治療歴がどの程度あてはまるのかによって、審査の難易度は異なります。
告知書に病歴を書いたからといって、必ず審査に落ちるわけではありません。告知書は正しく記入しましょう。また、聞かれていること以外は答えないように気を付けてください。3年以内の病歴を聞かれているのに、5年前の病歴を記入する必要はありません。
告知項目は生命保険会社によって異なりますが、代表的な質問事項について紹介します。
現在の健康状態
3か月以内に医師の診察や検査、治療や投薬を受けたかを聞かれます。病気だけでなくけがについても漏れなく記入しましょう。
過去のけがや病気
過去3~5年程の、けがや病気を聞かれます。対象になる病気のリストが記載されているため、医師の診察や検査、治療や投薬の有無について詳しく記入しましょう。また、入院や手術の有無についても記入します。
人間ドッグ・がん検診・健康診断の結果
過去数年の間に受けた人間ドッグ・がん検診・健康診断の結果を聞かれます。そのなかに、要経過観察・要再検査・要精密検査・要治療の項目がある場合は記入が必要です。
障害の有無
身体の障害の有無について聞かれます。聴力・視力・言語・そしゃく機能といった具体的な障害の有無や、手足・指などに欠損がないかといったことを具体的に記入します。
妊娠の有無
女性のみ、現在妊娠しているかを聞かれます。妊娠しているのであれば、妊娠週数の記入が必要です。
職業・業種など
職業や業種などを聞かれます。病気になりやすい業種、危険度の高くけがのリスクが高い業種などがチェックされます。
持病や既往症がある人でも保険に入れる可能性はある
持病や既往症がある人でも加入できる保険はあります。持病の種類によっては通常の保険に問題なく加入できる場合や、特別な条件を付けて加入できる場合もあります。
通常の保険に加入できなかった際は、告知項目が少なくて加入しやすい「引受基準緩和型保険」を検討しましょう。引受基準緩和型保険では、通常より保険料が高くなりますが、告知事項が少なく、病気の種類次第では加入できる可能性が高くなります。ほかにも「無選択型保険」「無告知型保険」と呼ばれる、告知がない商品を選ぶこともできます。
保険に入りやすい持病、入ることのできる保険が限られやすい持病
持病とは、慢性的に症状が続く病気や、長期の治療が必要な病気です。持病があっても通常の保険に加入できないわけではありません。ただし、それぞれの審査基準が異なるため、告知書の審査結果で判断してください。
保険に入りやすい持病
・高血圧
・高脂血症
・喘息
・胃潰瘍
加入することのできる保険が限られやすい持病
・がん
・心臓病
・脳卒中
・糖尿病(合併症有り)
・そううつ病
・腎不全
保険会社によって加入できる可能性が異なるため、いくつか選んで申し込みすることをおすすめします。
持病があっても入りやすい保険選びのポイント
持病や既往症があっても、まずは通常の医療保険にいくつか申し込みをしましょう。告知内容も審査基準もそれぞれ異なるため、どこかに加入できる可能性があります。通常の保険を特別条件付きで加入することを提案されることもあるでしょう。いくつか申し込んでも審査が通らないときや、提案された条件に納得できないときは、持病があっても入りやすい保険を検討しましょう。ただし、加入条件が緩くなるほど月々の支払金額は高くなる傾向があります。最初から通常の保険を除外せず、支払金額の低い順からいくつか申し込みをすることが大切です。
保険を検討する順番
・通常の保険
・引受基準緩和型保険
・無選択型保険、無告知型保険
持病や既往症がある人でも入れる保険にはどんな種類があるの?
保険 | 加入条件や保険料 | メリット デメリット |
特別条件付き医療保険 (特定疾病・特定部位不担保法) |
持病や既往症に関係する疾病や体の部位に関する保障が一定期間不担保となる | <メリット> ・持病関係以外は通常と同じ保障がある ・保険料が健康な人と同じ ・豊富な種類から選べる <デメリット> ・不担保疾病・不担保部位の病気への保障が一定期間ない |
特別条件付き医療保険 (特別保険料徴収法) |
持病や既往症の状況により割増料金を支払えば加入できる | <メリット> ・持病も保障される ・豊富な種類から選べる <デメリット> ・病気によって割増料金が変わる |
引受基準緩和型保険 | 保険料は高いが、告知事項は少なく持病があっても比較的入りやすい | <メリット> ・告知事項が少ない ・持病も保障される <デメリット> ・保険料が高い ・給付金減額期間が付く可能性がある |
無選択型・無告知型保険 | 保険料は最も高いが、告知なしで、持病があっても入りやすい | <メリット> ・告知がなく加入しやすい <デメリット> ・保険料が高い ・給付金なしの期間がある ・さまざまな条件がある |
持病や既往症がある人でも加入できる保険はいくつかあります。加入の条件や保険料といった、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
特別条件付きの医療保険
持病や既往症がある人でも、保険会社が認めれば特別条件を付けて通常の医療保険に加入できます。条件の代表的な条件は、「特定疾病・特定部位不担保法」と「特別保険料徴収法」です。条件に納得できれば、特別条件の承諾書に署名や捺印をして加入の手続きをしましょう。
特定疾病・特定部位不担保法
特定疾病・特定部位不担保法の特徴は、持病や既往症に関係ある疾病や体の部位を、一定期間だけ保障対象外とします。不担保となる期間は1~5年程度です。例えば、帝王切開の経験がある人の子宮や卵巣の部位不担保期間は3~5年です。不担保期間が終われば、対象の疾病や部位に関する保障を受けることができます。保障の一部が不担保ですが、保険料は変わりません。不担保となる期間や自分自身の健康状態によって、内容を検討しましょう。
疾病や傷病の例 | 不担保となる事例 |
帝王切開 | 帝王切開での出産・子宮や卵巣 |
乳腺のう胞 | 乳房 |
前立腺肥大症 | 前立腺 |
胃炎・胃潰瘍 | 胃・十二指腸 |
緑内障・白内障 | 眼球・眼球付属器 |
アレルギー性鼻炎・ぜんそく | 気管・気管支 |
※上記は一例です。保険内容によって異なります。
特定疾病・特定部位不担保法は、数年間持病の保障がなくても通常の保険に加入したい方にとっては検討の余地がある条件です。問題なく一定期間を過ぎれば、持病も保障されるため将来的には安心できます。
特別保険料徴収法
特別保険料徴収法とは、持病や既往症のある人が割増料金を支払うことで通常の保険に加入する方法です。加入者の公平性を保つため、リスク分を割増して支払います。例えば、通常の加入者が月々6,000円支払うとすると、持病のある人は7,000円というように差があります。割増される金額は、持病の種類や治療歴で判断されるでしょう。毎月の支払額にプラスされるため、支払金額は多くなります。保障内容と比べて適切かを判断しましょう。解約返戻金付き商品の場合、割増金額分は返戻金に含まれない可能性もあるため注意してください。
特別保険料徴収法は、持病もすぐに保障してくれる保険に加入したい方にとって検討の余地がある条件です。出費がかさんでも、持病が悪化したときへの備えができます。
メリット・デメリット
特定疾病・特定部位不担保法のメリットは、健康な人と同じ保険料で持病に関係する疾病や体の部位以外の病気に対応できる点です。デメリットは不担保となる持病関係の病気が悪化した場合に保障を受けることができないところでしょう。
特別保険料徴収法のメリットは、持病を含めて保障される点です。デメリットは、持病によって保険料が変わるため適正価格か判断が難しいところでしょう。特別条件付きの医療保険は加入条件が厳しいため、持病によっては加入できない可能性があります。それでも通常の保険商品から検討できるため、豊富な種類から選ぶことができます。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は、告知事項が通常よりも少ない保険です。例えば、保険会社は、持病や既往症がある方でも入りやすいライフステージに合わせた医療保険や終身タイプの死亡保険等を提供しています。3~5項目の簡単な告知項目で加入できるため、持病や既往症があっても入りやすいでしょう。持病の症状が悪化しても給付金を受け取ることができます。ただし、通常より保険料が高くなります。受け取れる給付金を一定期間減額される保険商品もあるため契約内容をよく確認しましょう。
引受基準緩和型保険の告知事項の例 |
・3か月以内に検査・入院・手術をすすめられたことがあるか ・過去1年以内に、入院・手術をしたことがあるか ・過去5年以内に、がん・肝硬変・総合失調症で、診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか |
メリット・デメリット
引受基準緩和型保険のメリットは、告知事項が少なく通常の医療保険に入れない人でも加入できる可能性がある点です。また、持病が悪化しても保障されます。デメリットは、保険料が割高になることや給付金の減額の可能性があることです。
無選択型・無告知型保険
無選択型・無告知型保険は、告知が必要ありません。ただし、他の保険と比べて料金が割高です。告知は不要ですが、入院中や入院予定の場合など、それぞれの条件によっては加入できない可能性もあります。また、契約から一定期間(90日程度)は保障されない、一定期間に分かった病気の保障はされないといった細かい条件があります。契約する際はそれぞれの条件をよく確認しましょう。持病があっても入りやすい保険ですが、保険料や保障条件の面ではおすすめできません。他の保険に加入できない場合に検討しましょう。
メリット・デメリット
無選択型・無告知型保険のメリットは、他の保険に比べて加入基準が最も緩い点です。高齢者でも加入しやすいでしょう。デメリットは、保険料が高いこと・保障のない期間があること・保障にさまざまな条件があることです。メリット・デメリットをよく見比べて加入を検討しましょう。
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持病や既往症のある人が保険を選ぶ際に注意することは?
持病や既往症がある人でも加入できる保険について理解できたでしょうか?持病や既往症のある人は特に、保険を選ぶ際に注意するポイントがあります。ここからは保険選びで気を付けることについて紹介します。
持病を隠してはいけないこと
告知書を記入する際、持病を隠して保険に加入してはいけません。告知書に虚偽の申告をして保険に加入できたとしてもメリットは全くありません。加入の時は告知書の記入のみですが、給付金を受け取る段階で保険会社が過去の病歴について医療機関を通じて調査します。調査で虚偽の申告が判明すると、告知義務違反として給付金が支払われない可能性があります。契約解除や契約取消となる可能性もあるため十分注意しましょう。
加入者の故意による重大な告知漏れは、告知義務違反となります。告知漏れがあると、入院時や手術時に保険金や給付金を請求しても、貰えなくなる可能性があります。ただし、加入者の告知忘れの場合も告知義務違反となる可能性もあるため、漏れがないかを注意して告知書を記入しましょう。
告知書記入の注意点
告知書を記入するときの注意点はほかにもいくつかあります。
健康診断の結果や診療記録などを確認しながら正確に記入する
→あいまいな記憶のままに記入すると、記入漏れが起こりやすい
既往症が完治しているときは、必ず現在の状況も記入する
→完治していないと判断されることがあるため
分からないことは保険会社の担当者に確認する
→自己判断による告知間違いを防ぐ
口頭で伝えた内容も、必ず告知書に記入する
→保険会社の担当に口頭で伝えても告知にはなりません
保険を比較検討し、また、随時見直すこと
さまざまな種類の保険があります。ひとつの保険会社だけでは特別条件付き保険などの条件に合わないことがあります。審査に落ちたとしても、他の会社で加入できる可能性があるため、いくつかの保険会社を比較検討しましょう。一度加入できたら終わりではありません。時勢に応じて次々と新しい商品が誕生しています。定期的に保険を見直すことで毎月の出費を抑えることや、保障を充実させることが可能です。また、既往症の治療後何年か経つと告知しなくてもよくなります。保険料の高い保険から、安い保険に乗り換えることができないかを検討しましょう。
本当に保険に入る必要があるのかどうかを考えること
十分な貯蓄がある人は、本当に保険に入る必要があるか考えましょう。病気やけがで入院したとしても貯蓄で支払いができるなら、加入する必要はありません。定期的に保険会社と結んでいる契約や特約を見直すことをおすすめします。無理して高額な保険料を支払い、条件付きの給付金を受け取るより、そのまま貯蓄の足しにしましょう。
また、「今入っている保険が分からない」「どうやって見直せばいいか分からない」と言う方は、FP(ファイナンシャルプランナー)に依頼して、保障内容を見なすのも1つの手です。
会社員の健康保険には、病気やけがで働けなくなったときに受け取れる「傷病見舞金」という制度があります。そのため、ある程度の貯蓄があればすぐに生活に困るわけではありません。ただし、自営業や専業主婦が加入する国民健康保険には傷病見舞金がありません。そのため貯蓄も会社員より多く必要になることに注意しましょう。
まとめ
持病や既往症があっても入れる保険はあります。最近では特定の既往症を持つ人向けの保険も登場し、今後さらに加入しやすい状況になるでしょう。持病があると加入できる保険探しに手間がかかります。それでも諦めずにさまざまな種類から自分の要望に合う保険を探しましょう。
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