傷病手当金がもらえる条件は?支給時の注意点も解説

投稿日:2022/12/09 最終更新日:2023/04/11
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傷病手当金は、業務外のケガ・病気で療養していて、給与支払いを受けていないなど、いくつか受給するための条件があります。また、休職日数に応じて支給されますが、日数算出は土日・祝日も含めた暦日で算出する点、扶養から外れていればパートや派遣社員でも受給可能な点などにも注意しましょう。今回の記事では傷病手当がもらえる条件や注意点を紹介していきます。

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傷病手当金がもらえる条件

傷病手当金は病気やケガが原因で会社を休んだときに、生活費や医療費を補填するために社会保険から支給されるもので、次のような受給要件があります。

  • 業務外でのけがや病気で療養していること
  • 連続した3日間を含み、4日以上休業していること
  • 仕事に就くことができない「就労不能状態」であること
  • 休業した期間について、給与の支払いがないこと

それぞれの条件について、さらに詳しくみていきましょう。

業務外でのけがや病気で療養していること

業務外のケガや病気で療養していることが傷病手当金の受給要件の一つとなります。業務内や通勤中ケガや病気に対する補償をするのは労災保険の休業補償になり、制度が異なるので注意してください。

業務外のケガや病気に当たるか、業務につくのが困難であるかは診断書による医師の証明が必要なので、傷病手当金を申請するときは、必ず診断書をもらってください。また、働いている時にケガや病気が発生して、その後休職したまま退職した場合には、退職後にも傷病手当金がもらえるケースもあります。

連続した3日間を含み、4日以上休業していること

傷病手当金は最初の連続した3日間を待機期間として、その後4日目以降の期間に対して支給されます。例えば2-3日休んだ後に一度でも出社してしまうとリセットされて、また3日間連続の待機期間を経なければ受給要件が得られないので注意しましょう。また「3営業日」ではないので、土日や祝日など公休日も含まれます。

もう一つ取扱いに注意が必要なのは有給休暇の取り扱いです。待機期間の3日間については、有給休暇も含めることが可能です。しかし、傷病手当の支給要件には「給与支払いを受けていないこと」という条件があるため、待機期間以後の傷病手当の支給期間の算出には含められません。

傷病手当金をもらってそのまま退職し、退職後も需給を継続したい場合には、最終日などに挨拶などの目的で出社してしまうと、出勤扱いになって日数算出がリセットされるため、退職後の傷病手当金がもらえなくなるので注意しなければなりません。

仕事に就くことができない「就労不能状態」であること

傷病手当金は「就労不能状態」と呼ばれる仕事に就くことができない状況でなければ支給されません。就労不能状態であるかは診断書による医師の証明が必要で、また傷病手当金の申請書には診断した医師が記入する欄もあります。自分で判断しても受給要件を満たすことはできないので注意してください。

なお、コロナ禍以降はテレワークのシステムが整備され、各社とも出社できないときはリモート対応するケースも増えてきました。もし在宅でも、仕事をしてしまうと「就労している」とみなされ受給要件は満たさなくなります。

休業した期間について、給与の支払いがないこと

休業期間中に給与の支払いがないことも基本的な支給要件の一つです。ただし、給与が減額されるなどして、傷病手当金の金額よりも少ない場合も、給与と手当金満額の差額については支給されます。

有給休暇を活用した休業の場合は、この要件を満たさないため傷病手当金の受給要件にならないので注意してください。なお、傷病手当金の支給期間中に手当金をもらって退職した場合、退職後も他の条件を満たせば、傷病手当金の受給対象機関である1年6か月間のうちは受け取ることができます。

さて、このように休業期間中の生活費や医療費をサポートする傷病手当金ですが、受給金額は多くの場合、直近の給与水準より下がるケースが多くなっています。また1年6か月間と受給できる期間に限りがあるため万全とはいえません。就業不能保険や医療保険などに加入して、疾病手当金を合わせて保険金を受け取れる状態にしておけばより安心です。もしもの時に備えて、保険加入も検討しておきましょう。

傷病手当金の支給における注意点

傷病手当金はパートや派遣社員でももらえますので、申請を忘れないようにしてください。また、支給対象日は営業日ではなく、土日や祝日も含まれます。一方で、傷病手当金の金額を決める標準報酬月額の算出には、多くの場合賞与が含まれない点には注意しましょう。ここからは、これらの注意点について詳しく紹介します。

パートでももらえる?

パートや派遣社員などでも、配偶者の扶養から外れて社会保険に加入していれば傷病手当金を受け取ることは可能です。傷病手当金は「協会けんぽ」をはじめとした企業に所属すると加入する健康保険から支給される制度です。扶養に入っている場合は、配偶者の健康保険に加入している形となって、自分自身で健康保険に加入していることにはなりません。傷病手当金をもらえないケースとなってしまいます。

また、自営業などで国民健康保険に加入している場合も傷病手当金はもらえません。自分が加入する健康保険の性質がわからない人は、保険証を見て再確認しておきましょう。

土日も支給対象日に含まれる?

傷病手当金の日数やそのまえの待機期間の日数はいずれも暦日数で計算します。すなわち土日や祝日があった場合はそれらも日数にカウントします。営業日で計算するものと誤解して受給日数を誤ってしまう人も少なくないので、注意しましょう。

賞与も含まれる?

傷病手当金の1日当たりの支給金額は、受給を開始した月を含めた過去12か月の標準報酬月額の平均を日割りして、さらに2/3した金額となります。

標準報酬月額は50等級に分かれていて、本人の給与水準によっていずれかの等級に分類されます。なお、この算出の時に賞与については年4回以上支給される場合のみ加味されます。それ以下の場合は標準賞与額という別の枠組みに含まれ、標準報酬月額に含めることはできません。誤って過大な金額を申請することのないようにしましょう。

このように傷病手当金は、過去およそ1年の給与の2/3の金額しか支給されないため、生活費や医療費として充分とはいえません。保険に加入しておけば、疾病給付金を合わせて受給することで家計にゆとりができます。万が一のときの備えとして、就業不能保険や医療保険に加入しておくことをおすすめします。

まとめ

コロナの影響で休職が長引くなどして、傷病手当金に着目する人も増えてました。しかしながら、有給休暇で給与支給が続いていた、業務中に発生したケガだった、リモートワークしていたといった場合など、もらえないケースに当てはまる人も少なくありません。自分が受給要件を満たしているか確認のうえ、申請手続きを進めてください。

なお、傷病手当金は1年6か月間しか支給されないため、受給期間を過ぎると完全に無収入になる恐れもあります。さらに、金額も直近およそ1年の給与の2/3となってしまいます。生活費や医療費として不足する部分は生命保険でカバーする必要があるので、傷病手当金を過信せず、保険加入も合わせて検討してください。

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よくある質問

Q

残業代や通勤手当は標準報酬月額に含める?

A

標準報酬月額には基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当が全て含まれます。またレアケースとはなりますが、何らかの現物支給があった場合は、金銭価値に置き換えて標準報酬月額に加味します。

参考:全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?

Q

傷病手当金に税金はかかる?

A

傷病手当金それ自体は非課税所得なので、住民税・所得税ともかかりません。しかし、住民税や社会保険料は前年度分の税金・料金を支払っている立て付けのため、傷病手当金の支給期間中も住民税・社会保険料の支払いが必要になります。給与をもらっているときには、これらを天引きしてくれる源泉徴収がストップしますので、住民税・社会保険料の支払方法については企業に確認した方がよいでしょう。

また、傷病手当金がどれくらいもらえるか知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。

【関連記事】傷病手当金の計算方法は?支給額や支給日数についてわかりやすく解説!

Q

休職中の収入不足をカバーする保険とは?

A

例えば、就業不能となった時に長期で年金が受け取れるシステムの就業不能保険や、入院や手術、診療などに伴う医療費を保障してくれる医療保険などに加入しておけば、生活費や医療費をカバーすることが可能です。普段の月収より少ない可能性が高い、期限付きであるといった傷病手当金の弱点を補えるでしょう。

【関連記事】医療保険って必要?それとも不要?みんなの加入率は?

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