成行・指値・逆指値の違いと注文方法について解説

株式投資には複数の注文方法があり、相場や自分の基準から最適な注文方法を選べます。株式を売買する際には、主に「成行注文」「指値注文」「逆指値注文」と呼ばれる3つの注文方法を目的に応じて使い分けます。3種類の注文方法には、自分で取引価格を指定するのか否かや、約定する際の条件などに違いがあります。それぞれの概要や特徴を把握して最適な場面ごとに使い分けることで、株式投資による損失のリスクを下げられます。 そこで今回は、成行注文、指値注文、逆指値注文それぞれの概要とメリット、注意点について、使い分け方やその他の注文方法などとともに解説します。株式投資に興味がある場合は、まずは本記事で株式の購入の流れや注文方法について覚えましょう。

株式投資で株を購入したい場合はどうすればいい?

株式会社が発行している株式を取得し、配当金や株主優待、売却益などの利益を狙う株式投資。しかし、いざ株式投資を始めたいと思った時、どのように株を購入すれば良いかわからないという人がほとんどではないでしょうか。

そこでまずは証券口座を作った後、どのようにして株を購入できるのかについて解説します。

株の注文とは?

まずは、そもそも株の注文はどのような流れで行うのかについて確認しましょう。

株を注文する際の流れは以下の通りです。

1.銘柄を選ぶ
2.株数を決める
3.売買価格を決める
4.注文の有効期限を決める
5.口座区分を指定する

株式投資を始める際には、初めに投資する銘柄を選びます。2022年6月現在、日本取引所グループに上場している企業は約3,800社あります。その中から、株価の上昇が期待できる銘柄や身近な企業の銘柄など、投資したい銘柄を選びましょう。

投資する銘柄が決まったら株数を決めます。株数は、購入する株式の価格と投資を予定している金額を基準に決めましょう。なお、株式の購入は100株単位に統一されているため、単元未満株(※)ではない限り1株単位で購入することはできません。

次に売買価格を決めます。株の注文方法は、指値注文と成行注文の2種類があり、どちらを選ぶかで売買価格の決め方が異なります。そのため、まずは注文方法を決めた上で売買価格を決めると良いでしょう。

なお、指値注文と成行注文については後ほど詳しく解説します。

次に、注文の有効期限を決めます。注文の有効期限は当日、今週中、期間限定から選択できます。

当日は、市場が開いている時間の注文であればその日のみ、それ以外の時間であれば翌営業日の1日のみです。今週中は週末の営業日まで、期間限定は日付を指定して注文できます。

最後に、株式投資の取引をする口座を選びます。口座は一般口座、特定口座、NISA口座から選択可能です。

口座区分の指定まで終えると、約定したかをオンライントレードまたは電話で確認します。約定した場合は受渡をして取引完了です。なお、約定とは売買の成立のこと、受渡とは株を買った場合は代金の支払い、株を売った場合は株を渡して代金を受け取ることです。

※証券会社各社が提供している1株単位で株を購入できるサービス

様々な注文方法がある

前述の通り、株の注文にはさまざまな方法があります。主な注文方法は、成行注文と指値注文、逆指値注文です。本記事で、それぞれの注文方法の概要、メリットとデメリットについて学び、自分に合う注文方法で株式投資を始めましょう。

成行注文とは

成行注文とは、株式を売買する価格を決めずに、注文時点で株価情報に表示されている株価で発注する注文方法です。取引時間中に買いの成行注文を出すと、注文時に出ている最低価格の売り注文と売買が成立します。売りの成行注文を出した場合は、注文時に出ている最高価格の買い注文と売買が成立します。

即時に約定する場合に用いる

成行注文は、現在表示されている株価で売買するため、「いくらでもいいから買いたい」または「いくらでもいいから売りたい」など、すぐに売買したい場合に最適な注文方法と言えるでしょう。

成行注文で発注する際には、「A株を成行で500株買い注文する」や「B株を成行で1000株売り注文する」というように売買する金額を設定せずに注文します。

成行注文のメリット

成行注文は市場が提示している株価で売買するため、売買スピードが速いというメリットがあります。後述する指値注文などは、市場に対して金額を提示し、市場が最も良いと判断した金額を提示している投資家のみ売買できます。しかし、成行注文は市場が示す株価で売買するため、すぐに売買が成立するということも少なくありません。

また、成行注文は指値注文よりも優先順位が高いというメリットもあります。なぜなら、市場から見ると指値注文よりも成行注文の方が条件が良いケースが多いためです。なかなか約定しない場合は、指値注文から成行注文に切り替えることで約定しやすくなります。

このように、成行注文には売買スピードが速く、指値注文よりも約定しやすいというメリットがあります。

成行注文の注意点

成行注文は、すぐに即時約定できるというメリットがありますが、いくらで約定されるか分からないという注意点があります。例えば、注文時に表示されている株価が450円だったにも関わらず、約定後は550円で取引されていることがあります。

このように注文時の株価と約定後の株価が異なる原因は、自分が注文するよりも一瞬早く大量の注文が入り、株価が上昇したためです。

成行注文は、その名の通り株価が成り行きで変わることを把握した上で、成行注文での発注を検討しましょう。

指値注文とは

指値注文とは、自分が希望する価格を指定して株式を売買する注文方法です。買いの指値注文であれば指定した金額以上、売りの指値注文であれば指定した金額以下で売買が成立することはありません。

約定金額を指定して注文する

指値注文は、株価情報に表示されている価格よりも安く買いたい(高く売りたい)場合に最適な注文方法と言えるでしょう。指値注文で発注する際には、「A株を500円で1,000株買いたい」や「B株を600円で1,000株売りたい」というように金額と株数を指定して注文します。この場合、株価が500円以下でA株を購入でき、600円以上であればB株を売ることができます。

指値注文のメリット

指値注文のメリットは、自分で売買したい価格を自由に決められる点です。前述のように、成行注文では自分で価格を指定せずに売買するため、取引が成立した際に思わぬ価格になっていたというケースも少なくありません。

しかし、指値注文であれば自分で指定した価格で取引できるため、予想外の価格で取引しなければならないという事態を防げます。買いの指値注文は、指定した価格以上では取引されず、売りの指値注文は指定した価格以下では取引されないため、意図しない価格で取引される不安がないというメリットがあります。

ただし、指値注文は成行注文に比べると売買が成立しにくいというデメリットがあります。なぜなら、買い注文では指定した価格以下になると取引が成立せず、売り注文では指定した価格以上になると取引が成立されないためです。指値注文ならではの特徴から、確実に取引を成立させたい場合は、指値注文は不向きと言えるでしょう。

逆指値注文とは

逆指値注文は、買い注文の場合は指定した金額以上、売り注文の場合は逆指値以下でなければ売買が成立しない注文方法です。指値注文とは逆の注文方法であることから逆指値注文と呼ばれています。指値注文とは逆の条件になった場合のみ取引が成立します。

こちらも約定金額を指定して注文する

例えば「A株を500円で1,000株買いたい」と発注した場合、指値注文ではA株の株価が500円以下になったら約定します。しかし、逆指値注文の場合は指値注文とは逆にA株の株価が500円以上になったら約定します。また、「B株を600円で1,000株売りたい」と発注した場合、指値注文ではB株の株価が600円以上になったら約定します。しかし、逆指値の場合は指値注文とは逆にB株の株価が600円以下にならないと約定しません。

このように、指値注文と逆指値注文はどちらも売買したい価格を提示して発注しますが、約定する条件は指値注文とは逆の注文方法が逆指値注文です。

逆指値注文のメリット

逆指値注文の大きなメリットは、損切りしやすい点です。例えば、108万円で指値注文を発注し、相場が転換した場合に備えて107万円で売りにする逆指値を設定した場合を見てみましょう。107万円で売りにする逆指値は、株価が107万円以下にならなければ発注されません。万が一この株式が急落しても損失を1万円に抑えられます。

逆指値注文は、「指定した価格より株価が安くなったら売る」という機能をもつため、損切りしやすく、万が一損失が出た場合も最低限に抑えられるというメリットがあります。

また、常にチャートが見れない場合も逆指値注文が適しています。なぜなら、逆指値を設定しておくことで自動的に注文を発注及び決済できるためです。自動的に発注及び決済できれば、チャートの動きを常に監視する必要がありません。さらに、トレンド転換を逃さないというメリットにもつながります。

逆指値注文にはメリットだけではなく、なかなか約定できないケースも少なくないという注意点があります。自分の予想よりも価格が変動しなかった場合、逆指値注文ではなかなか約定できません。

このように、逆指値注文には約定できないケースも少なくないという注意点を把握した上で、逆指値注文での注文を検討しましょう。

注文方法の使い分けとは?

ここまでご紹介した通り、株式投資の発注方法には主に「成行注文」「指値注文」「逆指値注文」の3種類があります。

成行注文は、自分で売買価格を指定せずに市場の株価で取引するため約定しやすいというメリットがある一方で、思わぬ価格で約定することがあるという注意点があります。指値注文と逆指値注文は、自分で取引価格を指定して発注する注文方法です。どちらも指定した価格に沿ってしか約定しないため、思わぬ価格で取引しなければならないという事態を予防できます。

このように、株式投資の注文方法にはそれぞれ特徴が異なるため、場面によって注文方法を使い分けなければなりません。ここからは、注文方法の使い分け方について解説します。

まず成行注文が最適な場面は、素早く損切りしたい場合、欲しい銘柄がある場合、上昇または下降のトレンドが出ている場合などです。急ぎの場面では、約定しやすい成行注文の方が損失を小さくできたり、株価が下がる前に売却して多くの利益を得られます。

次に指値注文が最適な場面は、株価に特にこだわりがない場合、高値掴みや狼狽売りを避けたい場合、想定した価格で売買したい場合です。また、投資初心者も基本的な株式の注文方法である指値注文が良いでしょう。

なお、「高値掴み」とは相場が高いタイミングで買ったもののその後値下がりすること、「狼狽売り」とは株価の急落を受けて慌てて株式を売却することです。

このように、瞬時に取引したい場合はすぐに約定しやすい成行注文が、急を要する売買が必要ではない場合は無難な指値注文がおすすめです。

執行条件付注文

株式投資の注文方法には、「執行条件付注文」という注文方法もあります。執行条件付注文とは、成行注文や指値注文、逆指値注文に対して「一定の条件を満たした場合にのみ当該注文を執行できる」というように、条件をつけて注文することです。なお、執行は注文と同じ意味を待ちます。

そんな執行条件付注文には、寄付、引け、不成、引指の4種類の注文方法があります。ここからは、執行条件付注文について、さらに詳しく見ていきましょう。

「寄り」と「引け」

執行条件付注文の専門用語として、よく使われるのが「寄り」と「引け」です。まずは、寄りと引けの意味について確認しましょう。

「寄り」(寄付)とは、取引所でのその日の最初の取引のことを指します。また、「引け」とは前場及び後場の売買のことを指します。なお、前場は午前中の取引を指し、後場は午後の取引を指します。東京証券取引所の場合、9:00~11:30が前場、12:30〜15:00が後場と呼ばれます。

それぞれの意味を把握した上で、執行条件付注文のそれぞれの注文方法について詳しく見ていきましょう。

寄付成行(寄成) 寄付にのみ成行注文が執行される
寄付指値(寄指) 寄付にのみ指値注文が執行される
引成行(引成) 引けにのみ成行注文が執行される
引指値(引指) 引けにのみ指値注文が執行される

寄付成行(寄成)とは、寄付の場合のみ成行注文が執行される注文方法のこと、寄付指値(寄指)とは寄付の場合のみ指値注文が執行される注文方法です。寄付は前場、後場どちらでも問題なく、前場寄付までに発注した場合は前場寄付のみ有効、後場寄付までに発注した場合は後場寄付のみ有効です。

ただし、前場寄付までに寄付いていなかった場合は後場に繰り越され、発注時点で寄付いていた場合の寄付成行は無効となります。

一方で、引成行(引成)とは引けの場合のみ成行注文が執行される注文方法のこと、引指値(引指)とは引けの場合のみ指値注文が執行される注文方法のことです。引けは前場、後場どちらでも問題なく、前場引けまでに発注した場合は前場引けのみ有効、後場引けまでに発注した場合は後場引けのみ有効です。

ただし、前場引け前に発注した注文は後場に繰り越すことはできず、引け値がつかなかった場合は注文が無効になります。

その他特殊な注文方法

株式投資には、ここまで紹介した注文方法以外に、指成注文やOCO注文、IFD注文などの特殊な注文方法もあります。最後に、指成注文、OCO注文、IFD注文について簡単にご紹介します。

まず、指成注文とは引けまでは指値として扱われ、その間に全く約定しなかった場合に引けの時点から自動的に成行注文へ切り替わる注文方法のことです。「引け」が関係していることからも分かる通り、指成注文は執行条件付注文の一種です。ただし、引けから成行注文に切り替えたとしても必ず約定することはなく、特にザラバ引けが起こると約定しません。

なお、ザラバ引けとは取引最終時間までに株価がつかず、前場または後場でついた株価のまま取引時間が終了してしまうことです。

次に、OCO注文とは同時に2種類の注文をし、どちらかの注文が約定したらもう一種の注文は自動的にキャンセルされる注文方法のことです。相場の動向によって売りと買いを決定したい場合などに有効な注文方法で、約定しやすいという特徴があります。

最後に、IFD注文とは株式の注文と、その注文の決済の注文を同時に行う注文方法のことです。株式の注文は成行注文、指値注文から選択でき、決済の注文は利益確定、損切りから選択できます。そのため、相場に合わせて株式の注文及び決済の注文を使い分けやすいという特徴があります。

このように、株式投資には特殊な注文方法も複数あります。

投資初心者の場合、注文方法や注文の流れなどを把握しきれていないことも少なくないため、これらの特殊な注文方法は難しいと感じるでしょう。そのため、特殊な注文はある程度投資に慣れてから行うことで、失敗するリスクを減らせます。

まとめ

株主優待などを目的に株式投資をしている人も多く、投資の中でも特に人気の高い株式投資。しかし、株式投資に限らず投資は知識がないまま始めると大損失する可能性もあり危険です。そのため、投資は基礎知識を身につけた上で始めましょう。

株式投資の基礎知識として、株式投資の注文方法は主に成行注文、指値注文、逆指値注文です。素早く約定したい場合は成行注文、特にこだわりがなく無難に投資したい場合は指値注文、早めに損切りしてリスクを最低限に抑えたい場合は逆指値注文など、それぞれの注文方法の特徴を把握した上で使い分けながら株の取引をしましょう。



監修者:菅原 良介
編集者:K-ZONE money編集部

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