保険の告知義務とは?どこまで必要?告知義務違反するとどうなる?

投稿日:2022/04/08 最終更新日:2023/04/14
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生命保険に入る場合には被保険者の健康状態など現在の状況を保険会社に告知しなければならない告知義務があります。この告知義務に違反した場合には、契約が解除されたり、保険料の支払いとなる事態が起こっていても保険料が支払われない可能性もあります。告知義務と告知義務違反について解説していきます。
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告知義務違反とは?

生命保険に加入する際には、契約の対象となる被保険者の健康状態や過去の病歴、身体の障害、就いている職業などについて保険会社に告知をしなければいけません。

保険の告知義務の仕組み
保険の告知義務の仕組み

告知義務は保険法で定められており、告知を行わなかったり、事実と違う内容を届けた場合には告知義務違反となります。告知義務違反があった場合には契約を解除されたり、保険料の支払いとなる事態になっても、支払いがなされなくなったりします。

平成22年(2010年)から施行された保険法では、保険契約者や被保険者の告知義務が、それまでの自発的申告義務から質問応答義務に変更されています。
手続きとして、保険会社が告知を求めた事項について回答する形で告知を行います。
告知の方法には質問事項を告知書に記入するケースや、医師の診査によるケースなどがあります。
保険会社によっても異なるので、契約を考えている保険会社、そして生命保険や医療保険など加入する保険の内容についてしっかり確認しましょう。

なぜ告知が必要なのか?

そもそも生命保険ではなぜ告知が必要なのでしょうか?
生命保険は加入している方がそれぞれに保険料を支払い困っている方を支える相互扶助の考えで成り立っています。保険会社は契約を公平にしなければなりません。
罹患している病気や健康状態によっては死亡のリスクや治療に必要な費用が大きく異なるため、仮に健康状態のよくない人も契約でき、結果保険金や給付金を受け取ることができれば公平性は保てなくなってしまいます。
保険会社は申し込み時に告知を求め、被保険者の健康状態を確認して、保険の公平性を確保できるようにしているのです。

告知義務違反があるとどうなる?

告知義務違反があるとどうなってしまうのでしょうか。
告知義務違反をすると、契約解除や契約の取り消しなどがあり得ます。契約解除になった場合は給付金が取得できなくなるのはもちろん、過去に支払った保険料も水に流すことになります。
告知義務違反のリスクについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

契約解除のリスク

故意に告知をしなかったり、もしくは重大な過失により事実の告知をしなかったりした場合、責任開始日から2年以内は告知義務違反で保険契約が解除されることがあります。

また、2年が経過していても、保険金の受け取り事由が責任開始日から2年以内の場合は保険契約を解除されることがあり、保険契約を解除されると保険金が受け取れる事由があっても保険金を受け取る事はできません。
ただし、解約されたときに解約返戻金があれば、解約返戻金を受け取ることはできます。

契約取消しのリスク

告知義務違反の内容が特に重大だった場合には、詐欺として扱われ、保険契約自体が取消しになります。
契約取消しになると、それまで払った保険料は戻ってきませんし、保険金を請求しても受け取れません。

契約解除されない場合(時効、過失、不告知教唆)

告知義務違反があったとしても契約が解除されない場合もあります。
告知義務違反の時効や過失、不告知教唆の場合です。それぞれのケースについて見ていきましょう。

時効

告知義務違反の時効があったときには契約解除されません。
責任開始日から2年以内に保険金や給付金の受け取り事由が発生しなかったときや、保険会社が解除の原因を知ってから1か月以上経過したときには契約解除にはなりません。

過失(保険会社のミス)

告知義務違反の過失があったときも契約解除にはなりません。前提として、この際の「過失」とは保険会社側のミスを指します。契約者側のうっかり告知漏れのことではありません。契約者側の「うっかり」については後述を参考にしてください。
具体的に、保険会社の過失とは、契約締結の時点で保険会社が契約解除の原因となる事柄を知っていた場合や、契約者側が「何が告知義務違反になるか」を保険会社から知らされなかった場合を指します。これらの場合には、保険会社のミスが原因となりますので契約解除にはなりません。

不告知教唆

告知義務違反があっても不告知教唆のときにも契約解除にはなりません。
例えば、告知の際に保険募集人が正しく告知することを妨げたり、事実ではないことを告知するように勧めた場合などです。
告知義務違反の対象になった内容とは関係のない病気や怪我で保険金や給付金の請求を行った場合には、保険金や給付金を受け取ることが出来ます。

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告知義務違反はうっかりでもダメなの?

では「うっかり」告知を忘れていた、もしくは間違って告知していた場合にはどうなるのでしょうか?

人間誰しも「うっかり」はあります。告知についても同様です。しかし、例え「うっかり」であってもそのまま放っておくと、保険金を受け取る際に保険会社に発覚し「故意、又は重大な過失」と認定されて、契約解除・契約取り消しなど不利益を被る場合があります。もし、責任開始日以降「うっかり」に気づいたら速やかに保険会社に知らせるようにしましょう。その際には、追加告知を行うことになります。

追加告知とは

追加告知とは契約者の「うっかり」に対応するための制度です。単純に「うっかり」を、事後保険会社に報告する制度を指します。

<追加告知の手順>

  • 1.契約者本人が告知漏れを保険会社に電話などで報告
  • 2.保険会社から送られる書類に必要事項を記入
  • 3.追加告知の書類を保険会社へ送付

まず、「うっかり」の告知漏れを見つけたら速やかに保険会社に連絡しましょう。告知漏れを知っていて報告しない場合、「故意又は重大な過失」とみなされ保険金受け取りの際などに不利益を被る可能性があるので十分に注意しましょう。

保険会社へ連絡する際は、契約者本人が保険会社の問い合わせ先などに電話し、証券番号を伝える必要があります。その後書類が送られてきますので、必要事項を記入しましょう。そして、書類を保険会社へ送付し保険加入時と同様に審査されますが、告知漏れがあったことから保険会社は慎重に審査することになります。書類を記入する際には、今度こそ「うっかり」がないように、医師へ確認するなど、間違いがないように進めましょう。

告知審査の結果、場合によっては保険が継続不可になる、もしくは、条件が不可される可能性があります。しかし、これを恐れて追加告知をしないと、前述のように保険が解除されるなど、後々、より大きな不利益を被ることになります。な繰り返しになりますが、「うっかり」に気付いたら、正直に速やかに保険会社にその旨を報告するようにしましょう。

追加告知ができない場合

ただし、追加告知それ自体を保険会社に受け入れてもらえない場合もあります。

  • 既に保険金を受け取っている場合
  • 責任開始日から2年以上経過している場合

このように、保険会社が告知漏れに気づかず保険金を支払った場合や、責任開始日から2年以上経っている場合には、追加告知それ自体ができなくなってしまいます。このとき受け取った保険金の取り扱いや2年経過後の告知漏れに対する対応は、保険会社によって異なりますので、確認が必要です。

そもそも「うっかり」をなるべく無くすようにしっかりチェックすることも必要ですし、「うっかり」に気付いた場合には即座に正直に、保険会社へ報告するのが良いでしょう。

 

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告知義務違反はバレない?

では、告知漏れを隠し続けた場合(もしくは、故意に告知をしなかった場合)、告知義務違反は保険会社にバレないのでしょうか?

結論から述べると、高確率でバレる可能性が高いです。これは単純に、保険会社が綿密に調査をしているからです。そのため「うっかり」の告知漏れを放置したり、もしくは虚偽の告知をしても、最終的には保険会社の知るところとなり、契約解除・契約取り消し、もしくは保険金がもらえないなどのペナルティが与えられます。当然のことですが、告知は正直に、且つ、なるべく間違いのないように行うのが良いでしょう。

【あわせて読みたい】生命保険加入後に1回でも心療内科・精神科に通院するとバレる?

保険会社はどうやって調査してる?

話は逸れますが、告知義務違反が発覚する際に保険会社はどのような調査を行っているのでしょうか。もちろん、調査の内容やタイミングは保険会社ごとに異なりますが、例えば、加入時の調査では告知書の内容に間違いかないかどうか、調査員によって、持病・病歴等が調査されます。

告知義務違反が発覚するケースとしては、2年以内に保険金や給付金を請求する際が多いようです。調査の例を見てみましょう。

  • 加入者への聞き込み
  • 医療機関・医師への問い合わせ
  • カルテなどの調査
  • 健康診断の調査
  • 医療保険等他の保険の調査

ごくごく当然の内容ではありますが、抜かりない調査であることがわかります。具体的には、患者は医師には正直な話を伝えていることが多いために、医師への聞き込みで発覚することが多いようです。また、カルテなどは個人情報のため契約者本人の承諾が必要ですが、承諾が得られないと保険金をもらえないと言う内容が約款に書かれてるケースが多いため、隠すことはできません。

いずれにせよ、繰り返しにはなりますが、告知の際には正直にありのままを伝えるのが良いでしょう。万が一現在加入している保険のコストが自身の健康状態と相性が悪かったとしても、告知義務を違反するのではなく、保険内容を見直して別の保険に乗り換えましょう。

 

告知のポイント

告知義務違反が起こると契約が解除されたり、詐欺として契約が取消になってしまいます。
告知義務違反を起こさないためにもしっかりと告知をすることが必要です。告知のポイントをまとめます。

告知項目

保険会社に告知する項目は主に2種類です。職業内容の告知と、健康状態の告知です。
危険な職業に従事している方や、過去に傷病歴がある方は保険金を受け取る可能性が高くなります。職業や健康状態を正しく告知することが必要です。

告知事項に該当すると契約できないケースもありますが、正しく告知すれば保険料の割増や特定部位の不担保など条件付きで契約ができるケースもあります。

危険な職業に該当するのは、例えばとび職や大工など建設現場で作業に従事する方や、鉱山で地下作業や砕石作業を行う方、ダイバーや船舶を用いて漁業を行う方などです。
業務上、生命が脅かされてしまうリスクがある職業に就いている方はしっかりと職業内容について告知しなければなりません。

  • 告知項目
  • 最近の健康状態について
  • 過去の病気や怪我について
  • 健康診断結果について
  • 身体の障害について
  • 過去のがんについて

質問例

  • 過去3か月以内に病気や怪我で、医師の治療・診察・治療を受けたことがありますか?
  • 過去5年以内に病気や怪我で入院または手術を受けたことがありますか?
  • 過去2年以内に健康診断や人間ドックを受けて異常(要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたことがありますか?
  • 視力・聴力・言語・咀嚼機能に障害はありますか? 足・手・指に欠損や機能不全はありますか?
  • 今までにがんと診断されたことはありますか?

ありのままを記入しましょう

告知書はありのままの事実を記入することが必要、かつ、必ず被保険者が記入しなければなりません。
問われていることをありのままに正確に告知しましょう。質問にないことまで回答する必要はありません。

あいまいな表現にしない

告知書は曖昧な表現にしないことも重要です。
質問事項によっては、覚えておらず記入が難しい場合もあるかもしれません。その場合は空欄にするのではなく、診察券や診療報酬明細等を頼りにできる限り記入しましょう。

曖昧な表現で濁すのではなく、健康状態を正しく伝える努力は必要です。
告知文の記入例などを参考に書き込んでいきましょう。

過去の病歴、現在の状況を書く

告知書を書いていくなかで過去の病歴を記入する項目もあります。
病歴を記入する場合には、「傷病名・診断名」「部位」「検査名」「医療機関名」「症状・原因」「診察・検査・治療・投薬の開始時期」「入院の有無と時期・期間」「手術の有無と内容」「後遺症・合併症」等のほかに、「現在の状況」まで記入が必要になります。

過去の状況と現在の状況をしっかり書き込むことで告知義務違反を免れることが出来ます。

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告知なしで加入できる保険

保険会社に健康状態を告知しなくても加入できる保険はあります。
無選択型保険や引受基準緩和型保険など、告知なしで加入できる保険について解説します。

無選択型保険

健康状態の告知が必要ない死亡保障の保険が「無選択型保険」です。
無選択型保険は被保険者の健康状態を問わないので持病があって通常の生命保険の告知事項がある方でも加入ができます。
ただし、保険料は割高になっていたり、加入から2年以内に亡くなった場合には払い済みの保険料分のみしか保険金が支払われないなど、保障に制限がかけられています。

引受基準緩和型保険

持病や入院経験がある方でも加入しやすい保険に「引受基準緩和型保険」もあります。
引受の基準を緩和しているために、告知項目が2~4項目程度に限定されています。

主な告知項目は「直近3か月以内に入院・手術・検査を受けたか」や「直近3か月以内にがんや肝炎・肝硬変で診察や検査を受けたことがあるか」「過去2年以内に病気や怪我で入院や手術を受けたか」などです。

引受基準緩和型保険は持病がある方でも加入しやすい反面、保険料は割高になっていたり、保険契約後の1年間は給付金や保険金が半額になる特徴もあります。
自身の受けたい保障内容としっかり照らしあわせて検討しましょう。

まとめ

生命保険の告知は正しく行わなければ告知義務違反になってしまいます。
告知義務違反になると保険を解除されたり、取り消されて受けたい保障が受けれないケースも出てきます。
正しく告知を行えば結果として受けたい保障が受けられます。
万が一現在加入している保険との相性が悪くなった場合、告知義務を違反するのではなく、保険の選び方に工夫し、タイミングを見計らって別の保険に乗り換えることを考えましょう。

また、告知項目にひっかかる箇所があっても、無選択型保険や引受基準緩和型保険などがあるので、自身の受けたい保障内容と保険料などを加味しながら自身にぴったりな保険を探しましょう。

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よくある質問

Q

告知義務違反があっても契約が解除されないケースは?

A

契約が解除されない場合として、時効・過失・不告知教唆の3つがあります。

詳しくは「契約解除されない場合(時効、過失、不告知教唆)」を参照。

Q

告知義務違反はどうしてバレますか?

A

保険会社は加入者から保険金や給付金の申請があったとき、告知した内容が正しいか査定します。その際、医療機関のカルテや健康診断の結果を詳しく調べるため、告知義務違反があった場合はバレてしまいます。

【関連記事】告知義務違反するとなぜバレる?もしバレた時はどうなる?判例・事例を含めてご紹介!

Q

告知をうっかり忘れてしまった場合はどうすればいいですか?

A

うっかり忘れていた場合は、追加告知をして早めに保険会社に伝えることが重要です。例えうっかり忘れていても、そのまま保険金や給付金の申請をすると、保険会社から告知義務違反と認定される恐れがあるので注意しましょう。

詳しくは「告知義務違反はうっかりでもダメなの?」を参照。

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