生命保険の解約返戻金はいくら?損せずなるべく多く受け取るポイントを解説

投稿日:2022/04/08 最終更新日:2023/04/11
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生命保険の契約を検討する際に、「解約返戻金」という言葉を見たり聞いたりすることがあるでしょう。その内容をきちんと理解して利用すれば、保障と資産形成を兼ねることができる便利な仕組みで、ライフプランニングにも生かすことが出来ます。 今回は解約返戻金の基礎知識や概要にふれるとともに、関連してなるべく損せずたくさんの金額を受け取ることができるポイントを解説します。
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解約返戻金とは?

解約返戻金(かいやくへんれいきん)は、加入している保険を解約した場合に保険会社より支払われるお金です。保険の加入者が保険契約を自ら解約した場合と、保険会社が契約の解除を行った場合に発生します。
解約返戻金付きの保険に加入すると、保険料を支払っている間は保障を受けることができます。契約を解約して解約返戻金を受け取った際は、そのお金を教育資金や老後資金といった将来の資産形成に役立てることが可能です。
ただし、どのような保険でも解約すればお金が戻ってくるわけではなく保険の種類・契約プラン・加入期間といった条件によって、その有無や受け取り金額が異なります。

解約返戻金
解約返戻金

解約返戻金の仕組み

生命保険会社は、保険の加入者が支払う保険料の中から、一定の金額を財源として積み立てています。将来の保険金給付に備えるためです。解約返戻金は、その積立金の一部を使って払い戻されます。
契約後早い時期に解約すればするほど、解約返戻金は支払った保険料の合計金額よりも減少するパターンが一般的です。これは、積立金があまり貯まっていない上に、解約控除金がカットされるためです。したがって、保険解約金の金額だけを考慮すれば、解約する意味はあまりないと言えます。

また、解約返戻金と関係の深い「返戻率」という言葉も知っておきましょう。返戻率は、保険料として支払った合計金額に対して、戻ってくる金額、つまり払い戻しの割合を表します。支払った保険料と同額だと100%で、100%を超える場合は戻ってくる金額が多く、それを下回る場合は元本割れの状態です。返戻率は保険会社が作成する設計書などに記載されていることが多いため、手続きをする際には確認しましょう。

さらに、解約返戻金が支払った保険金の総額を50万円以上超過する場合、税金を支払う必要があります。

返戻金を一時金(営利目的ではない収入)として受け取った場合、それは一時所得という名目で所得税の対象となります。また、保険の契約者と実際の受取人が異なる場合は贈与税の対象となることがありますので注意しましょう。

解約返戻金のある保険、ない保険

保険は、自分のライフプランに合った適切な保障やサービスを確保することが大切です。しかし、将来の資産形成にも役立てたいと考えるなら、以下のように解約返戻金を受け取ることができる保険を選ぶことも有効です。

・終身保険
養老保険
学資保険
・個人年金保険

これらの保険に共通するのは貯蓄性があり、掛け捨てではない点です。一般的に、貯蓄性のある保険を積み立て保険や貯蓄型保険と呼びます。いずれも途中で解約すると解約返戻金が支払われます。それぞれどのような保険か簡単に説明しましょう。

■終身保険
終身保険は、被保険者が死亡した時にまとまった保険金が支払われる保険です。生存中に解約しない限り、一生涯保障が続きます。保険料は、死亡するまで払い続けるか、一定の年齢で払い終えるか選ぶことが可能です。例として、老後資金を準備するために、終身保険の払込期間を60歳までに設定するような活用法もあります。

解約返戻金は、加入期間が長いほど返戻率にもとづいて増額されます。貯蓄性が高いため、掛け捨ての死亡保険と比べて保険料が高額に設定されています。

■養老保険
養老保険は、被保険者が死亡した場合は死亡保険金を受け取り、満期まで生存すると保険金を受け取ることができるものです。あらかじめ保険期間が決められている点が特徴です。10年、15年といった期間で区切られた年満了か、60歳、70歳などと年齢ごとに区切られた歳満了か選ぶことが可能です。

■学資保険
学資保険は、将来子どもが高校や大学に通う際に掛かる教育費をある程度予測して資金を確保するために利用できます。対象となる子どもが一定の年齢になったときに、保険金を受け取ります。満期のタイミングは選ぶことができますが、大学入学時にまとまった金額を受けとることが一般的です。
途中で解約してしまうと、戻ってくるお金は少ないため注意しましょう。

■個人年金保険
個人年金保険は、公的な年金制度とは別に、老後の資金作りに活用できる保険です。被保険者が一定の年齢に達したときに、年金形式でお金を受け取ることができます。年金の受け取り期間が決まっており死亡しても保険金を受け取ることができる保険商品、受け取り期間中に死亡したら保険金の支給が終了する保険商品、生存している間ずっと保険金を受け取ることができる保険商品などがあります。
解約返戻金は設定されていますが、短い期間で解約すると少ない金額しか受け取ることができません。

ここからは、解約返戻金がない保険を紹介します。

・定期保険
・医療保険、がん保険

これらは貯蓄性がなく、基本的に掛け捨てです。保障を受けるような事態が起こらずに満期を迎えた場合はお金の受け取りが発生せず、そのまま終了となります。上記の保険でもプランによってはお金が支払われることもありますが、金額は少量です。
これらの保険について簡単に説明します。

■定期保険
定期保険は、保障期間が決まっている保険のことです。子育て期間のような、特定の期間だけ加入して保障を手厚くすることができます。
保険料が安くなるため、貯蓄性を重視しない人は掛け捨ての定期保険も検討しましょう。

■医療保険、がん保険
医療保険は、公的な医療保険とは別に、病気やケガに備えることができる保険です。商品によって保障内容はさまざまですが、入院給付金と手術給付金をメインに保障している保険商品が一般的でしょう。
また、がん保険はその名の通り、がんにかかった場合の金銭的負担をカバーするための保険です。

解約返戻金のタイプ

解約返戻金にはそれぞれ以下のような種類があり、保険料に差がつきます。

・従来型
・低解約返戻金型
・無解約返戻金型

それでは、どのような内容なのか確認していきましょう。

■従来型
従来型は、支払った保険料の増加にあわせて解約返戻金も増加するスタンダードなタイプです。満期がある商品の場合は、期限に近づくほど返戻率が高くなります。終身保険の場合は、払込期間満了後もそのまま加入し続けることで返戻率が高くなります。
資産形成の手段として利用しやすいタイプですが、近年は返戻率の高い商品が少ない傾向です。

従来型解約返戻金
従来型解約返戻金

■低解約返戻金型
低解約返戻金型は、ある一定の期間まであえて返戻率を低く設定しているタイプです。しかし、期間満了の時期が近づくと返戻率が徐々に上がるため、長期間契約を続けるほど戻ってくる金額が増えます。
また、従来型タイプの保険よりも、払い込む保険料が安い点も特徴です。

低解約返戻金型解約返戻金
低解約返戻金型解約返戻金

■無解約返戻金型
無解約返戻金型は、解約時の返戻金が設定されないタイプです。先述した掛け捨ての保険がこれにあたります。

以上のように、各種商品によってサービス内容等が異なっているので、手続きする前に、必ず契約内容をしっかり確認して自分に最適なプランを探すようにしましょう。

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解約返戻金を損せず受け取るポイント!

ライフイベントなどにより急に資金が必要になった時に、安易に保険を解約しまとまったお金を受け取ろうとするのは避けましょう。せっかく払い込んだお金が元本割れを起こしてしまいます。ほかの金融商品を選んだ方が良かったと後悔しないよう、お金を損せず受け取るポイントについて事前にしっかり押さえておきましょう。

契約時から解約返戻金のことまで考えておく

保険を契約する際には、保障内容はもちろんのこと、解約返戻金のことまで検討する必要があります。ただし、充実した保障内容と高い返戻率を追い求めると保険料が高くなってしまい、支払いを続けていくことが難しくなるかもしれません。無理なく払うことができる範囲で検討しましょう。
解約返戻金が経過年数によってどのように推移するか、契約時に確認することも重要です。設計書と呼ばれる保険の説明資料を見るか、不安な場合は保険会社に直接問い合わせしましょう。払った保険料を超える額のお金が戻ってくるタイミングを把握しておけば、その時期に合わせて途中解約を検討することができます。
また、自分の契約する保険が、先に述べた解約返戻金のどのタイプに当てはまるかも、併せてチェックしておくと良いでしょう。

保険料払込期間の設定をよく考える

保険料の支払い方法をどう設定するかによって払込期間が変わり、解約返戻金の返戻率に影響することがあります。
支払方法は主に以下の3種類です。

・終身払い
・有期払い
・一時払い

それぞれ詳しく説明します。

■終身払い
終身払いは、被保険者が死亡するまで保険料を支払い続けることです。払込期間が一生涯の長期にわたる代わりに、1回ごとに支払う保険料は安くなります。
運用の実績によってお金が増減する変額保険の場合は、返戻率が上がる可能性もゼロではありません。しかし、逆に返戻率が下がるリスクもあるので注意が必要です。

■有期払い
有期払いは、払込期間を60歳や65歳などに設定してその間に支払いを終えることです。払込期間満了後は、保険料の総額は固定され解約返戻金だけ増え続けるため、返戻率を上げることができます。
例えば、年金を受け取り始める年齢までに保険の支払いが終わるよう設定しておけば、年金生活に入ったあと保険料の負担を心配しなくてもよくなります。

■一時払い
一時払いは、一括で保険料を全て支払うことです。月払いや年払いで支払うのではなく1回でまとめて支払うため、保険料の総額を安く抑えることができ、解約返戻金が保険料の総額を上回るまでの期間が短くなります。しかし、契約時にまとまったお金を用意しておかなければなりません。

3つの種類のなかで返戻率は最も高いのが従来型の解約返戻金です。
ただし、昨今日本の政策金利は非常に低い状態が続いているので、返戻率も徐々に低下しているのも特徴です。

なるべく若いうちに保険に入る

一般的に、加入時の年齢が若いほど保険料が安くなるため、なるべく早めに契約して払込期間を短くするといいでしょう。30代、40代で加入すると病気や死亡などのリスクが高くなり、返戻率が低くなる傾向にあります。また健康を著しく損ねてしまってからでは、そもそも保険に加入すること自体が困難になりかねませんので、早めに検討するのも得策といえます。

返戻率の高い保険を検討

そもそも返戻率の高い生命保険を検討することも、手段のひとつです。以下のような保険がそれにあたります。

・変額保険
・外貨建て保険

それぞれ詳しく説明します。

■変額保険
変額保険とは、株式や債券といった資産を保険会社が運用し、その実績によって保険金や解約返戻金が変動する保険です。経済が良好で株価が高いときは、普段より高い金額の返戻率が期待できます。ところが、経済が悪化して株価が急落すると返戻率が一気に下がる可能性もあるため気をつけましょう。ゆえに、現在の返戻率が高いからといって将来もそれが続くとは限りません。

■外貨建て保険
外貨建て保険とは、支払った保険料を日本円以外の外貨で運用する保険です。米ドルやユーロなど、基本的に日本円より比較的高いと言われる海外の金利で運用します。為替相場の変動により円安に傾いたときは解約返戻金が多くなりますが、逆に円高に傾くと金額が少なくなる危険性もあります。

解約のデメリットも考えよう!

生命保険はあくまでも「保険」です。貯蓄性のことばかり考えて返戻率の高さを重視すると、保険料が払いきれず結局解約してしまう可能性もあります。その場合は当然万が一の保障もなくなり、いざというときに保険を利用することはできません。自分の収入や家族構成、将来のライフイベントなどを考慮し、無理なく支払いができる範囲で保険を検討しましょう。生活費として必要なお金などから保険料を拠出したりするのは危険です。

また、安易に解約したあと再び再契約しようと思っても、以前の契約内容をそのまま引き継ぐことはできません。新しく加入することになり、保険料もその時点での年齢や健康状態によって算出されるため割高になります。病気にかかっていると契約自体を断られることもあります。デメリットが大きくなるので、注意しましょう。

まとめ

解約返戻金を受け取ることができる保険は、払込期間中に保障を受けながら資産形成もできる便利な仕組みで、ライフプランニングにも役立つ場合もあります。
ただし内容をきちんと理解しておかないと、メリットを享受できないばかりか損をしてしまう可能性もあります。

今回紹介した記事の内容を参考に、自分に合った適切な保険を選びましょう。また、何か質問事項や分からないことがありましたら、FPや保険の専門家に相談するのもおすすめです。

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よくある質問

Q

解約返戻金に税金はかかりますか?

A

解約返戻金は契約者と受取人が同じ場合は「所得税」、契約者と受取人が異なる場合は「贈与税」がかかります。

【関連記事】解約返戻金は税金がかかる?計算方法や確定申告の基準について紹介

Q

返戻率とは何ですか?

A

返戻率とは、支払った保険料に対して、解約の際どのくらいのお金が戻ってくるかを表す割合のことです。返戻率が100%を超えると、支払った保険料を上回るお金を解約時に受け取ることができます。そのため、高い返戻率の保険を選ぶのが重要です。

詳しくは「返戻率の高い保険を検討」を参照。

Q

解約返戻金を受け取ったら、確定申告は必要ですか?

A

確定申告が不要になる場合は給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下の場合です。解約返戻金は、「一時所得」と見なされるので、解約返戻金などの所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。

【関連記事】解約返戻金は税金がかかる?計算方法や確定申告の基準について紹介

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