出産手当金(産休手当)がもらえる条件は?入社1年未満や退職後の場合は?

投稿日:2022/10/31 最終更新日:2023/08/17
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出産手当金は出産で休んでいる間に支給される手当です。出産手当金を受け取るためにはいくつかの条件があり全て満たす必要があります。

そこで今回は出産手当金を受け取るための条件について説明をしますので参考にしてください。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

ファイナンシャルプランナー

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当。保有資格は「2級フィナンシャル・プランニング技能士」「日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト」。資産形成に関するセミナー講師や執筆活動も積極的に行っているほか、株式投資の基礎や資産形成、ライフプランニング、資金計画などのアドバイスを得意とする。

出産手当金と産休手当との違いは?

産休手当の正式名称が出産手当金です。出産手当は、社会保険の一つである健康保険に加入している女性が出産を理由に会社を休んだときに受け取れる給付金になります。

【関連記事】出産手当金とは?いつ入る?早く産まれた場合は?計算方法や申請方法の基本から徹底解説!

出産手当金(産休手当)がもらえる条件と注意点

出産手当金の大切なポイントは以下の2つがあります。

  • 支給条件
  • 注意点

支給条件について、①会社の健康保険の被保険者であること、②妊娠4ヶ月以上での出産、③出産のために休業していることが必要です。
主な注意点について、①出産日当日は「産前扱い」、②終日仕事をしなかった日のみ対象、③公休日があっても支給日に含まれることになります。

支給条件

出産手当金の主な支給条件は以下3点です。

  • 会社の健康保険の被保険者であること
  • 妊娠4ヶ月以降の出産
  • 出産のために休業している

会社の健康保険の被保険者であること

出産手当金を受け取るためには、出産する本人が会社の健康保険の被保険者であることが必要です。会社員だけではなく公務員や団体職員も対象になります。

また、正社員ではなく、パートやアルバイトでも出産する本人が健康保険の被保険者であれば、正社員同様に出産手当金は支給されるのでパートやアルバイトの方も安心してください。

ただし、国民健康保険には、出産手当金制度のようなものはありません。出産手当金は健康保険独自の制度であり、加入していないと適用されません。また、出産する本人が健康保険の被保険者でない場合は支給されませんので注意してください。つまり、夫の健康保険に加入している場合などは支給されません。あくまで出産する本人が健康保険に加入している必要があります。

参考:全国健康保険協会「出産手当金について」

妊娠4か月以降の出産

出産手当金の対象になるのは妊娠4ヶ月以降の出産です。

  • 通常の出産
  • 流産
  • 死産
  • 人工妊娠中絶

参考:全国健康保険協会「出産手当金について」

通常の出産の場合、自然分娩と帝王切開の両方とも支給対象になります。

また妊娠4ヶ月以上経っていれば流産や死産してしまった場合も支給の対象になります。妊娠4ヶ月以上経った場合、産後休暇の取得が必要です。なおかつ出産手当金が支給されますので、出産手当金の対象についてはしっかり覚えておいてください。

出産のために休業している

出産手当金を受け取るためには出産のために休業しており、無休もしくは出産手当金の金額よりも低い給料を受け取っている必要があります。出産手当金の金額よりも高い給料を受け取っている場合は、出産手当金は出ません。また、出産手当金より低い給料を受け取っている場合は、出産手当金との差額が支給されます。

このように、出産手当金を受け取るためには主に3つの要件を満たす必要がありますので覚えておいてください。1つでも要件に当てはまらないと出産手当金は受け取れませんので注意しましょう。

注意点

出産手当金には主に3つの注意点があります。

  • 出産当日は「産前」扱い
  • 終日しなかった日のみ支給の対象
  • 休業期間中に「公休日」があっても、支給日に含まれる

出産日当日は「産前」扱い

出産日当日は「産前」扱いになります。出産手当金の対象期間は、「出産の日以前42日(双子などは98日)〜出産の翌日以後56日目までで、会社を休んだ期間」です。

もし、出産日が予定日より5日遅れた場合の出産日以前の出産手当金の支給日数は、42日間+ 5日分の47日分になります。

終日仕事をしなかった日のみが支給の対象日

出産手当金は終日仕事をしなかった日のみが支給の対象日になります。半日など仕事をした場合支給の対象外になりますので注意してください。

休業期間中に「公休日」があっても、支給日に含まれる

公休日とは、就業規則であらかじめ決められている休日のことです。休業期間中に公休日がある場合、公休日を支給日に含まれますので覚えておいてください。

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出産手当金は入社1年未満でももらえる?

出産手当金には勤続年数の要件は無いため、入社1年未満でも先ほど説明した条件を満たしていればもらえます。

出産関連で支給されるお金は、出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金の3つがあります。金額の違い以外に、支給される3つのお金にはそれぞれの目的の違いがあります。

出産手当金は出産のため給料がもらえない期間の補填が目的です。出産一時金は、出産にかかる費用の軽減を目的にしています。そして育児休業給付金は、育児休業を支援する目的のための制度です。育児休業給付金は仕事に復帰することを前提に支給され母親だけではなく父親も対象です。

それぞれの支給される金額をまとめました。

  • 出産手当金…支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額を平均額÷30日の3分の2
  • 出産育児一時金…子どもひとりにつき原則として42万円
  • 育児休業給付金…休業開始時賃金日額×支給日数の67%。休業開始から6か月経過後は50%相当額
 

【関連記事】育児休業給付金とは?受給条件や申請方法、受給期間を徹底解説!

出産手当金

出産手当金は、産休の間の収入を補填する目的で健康保険から支給されます。出産手当金は入社1年未満でも支給されますが、入社1年未満の場合、出産手当金は標準報酬月額の計算方法が入社1年以上の場合と異なるため支給金額が少なくなる場合があるので注意が必要です。

出産手当金の支給される期間は、出産の日以前42日から出産の日後56日までの間になります。出産予定日より出産が遅れた場合はその分も支給されますので安心してください。ただし出産が早まった場合は満額もらえない可能性があります。

出産手当金の支給金額は支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額を平均額÷30日の3分の2です。

出産育児一時金

出産育児一時金とは出産の際にかかる費用を補助する目的の一時金です。子どもひとりにつき原則として42万円支給されます。

出産は病気や怪我ではないので健康保険の対象外ですが、出産にかかる費用負担は重いのでその軽減のために健康保険から支給される制度です。

【関連記事】【2023年】出産育児一時金が50万に増額!いつから?何が変わるのか?

育児休業給付金

育児休業給付金とは、1歳未満の子どもを養育するために育休を取得した労働者に対して、雇用保険から支給される給付金です。育児休業給付金は最長2歳までの子供を養育するために育休を取得した場合に適用されます。

育児休業給付金は育児中に収入が減ってしまうのを補填する意味合いがあるので母親だけではなく父親も対象です。育児給付金で支給される金額は以下の通りになります。

  • 休業開始時賃金日額×支給日数の67%。休業開始から6か月経過後は50%相当額

 

退職後でも出産手当金はもらえる?その条件は?

退職をした後、出産手当金がもらえるのか気になる方も多いでしょう。退職後でも出産手当金をもらえる可能性はありますがもらえない場合もあります。

こちらの章では以下の2つのケースに分けて説明をします。

  • 退職後に出産手当金がもらえる条件
  • 退職後に出産手当金がもらえないケース

場合によっては退職しても出産手当金がもらえる場合もありますので、よく確認してください。

退職後に出産手当金がもらえる条件

退職後に出産手当金をもらうための主な条件は3つです

  • 退職日までに、1年以上継続して健康保険の被保険者であること(任意継続期間は除く)
  • 退職日が、産前産後休業の期間内であること
  • 退職日に出勤していないこと

退職後に出産手当金をもらえる条件についてわかりやすく説明をします。

退職日までに、1年以上継続して健康保険の被保険者であること(任意継続期間は除く)

退職日までに1年以上継続して健康保険の被保険者健康保険だった場合は、退職日の翌日からの分(産後56日間分)も申請が可能です。しかし、1年未満の場合は、退職日(当日)までの分しか申請できないので注意してください。

また、健康保険の任意継続被保険者は退職後、出産手当金を受け取ることができません。

ただし、任意継続被保険者の場合でも以下の条件を満たせば、出産手当金をもらえる可能性はあります。

  • 任意継続被保険者の資格取得前日までに1年以上の被保険者期間があること
  • すでに出産手当金の支給を受けていた場合は出産手当金

このように任意継続被保険者でも出産手当金はもらえる可能性がありますので覚えておきましょう。

退職日が、産前産後休業の期間内であること

下記の図のように退職日が産前産後休業の期間内であれば、退職後も引き続き出産手当金を受け取ることができます。

退職後に出産手当金がもらえる条件について

退職後に出産手当金をもらえる条件

退職日に出勤していないこと

退職日に出勤してしまうと出産手当金を引き続き退職後も受け取ることはできません。ただし退職日に有給を当てるのは可能なので覚えておいてください。

退職後に出産手当金がもらえないケース

退職後に出産手当金がもらえない主なケースは3つあります。

  • 退職日までに1年以上の継続した健康保険加入期間がないケース
  • 退職日が産前産後休業の期間内ではない場合
  • 退職日当日に出勤した場合

それぞれのケースについてわかりやすく説明をします。

退職日までに1年以上の継続した健康保険加入期間がないケース

退職日までに1年以上の継続した健康保険加入期間がない場合、退職してしまうと出産手当金を受け取ることができません。出産予定があり退職する場合は健康保険の加入期間をしっかり確認するようにしましょう。

退職日が産前産後休業の期間内ではない場合

退職日が産前産後休業の期間内でない場合、退職後に出産手当金を受け取ることができません。下記の図のように退職日が産前42日に入っていないと退職後支給されませんので注意してください。

退職日が産前産後休業の期間内ではない場合を示した図

退職日が産前産後休業の期間内ではない場合

退職日当日に出勤した場合

退職日当日に出勤してしまうと退職後に出産手当金は受け取れません。有給休暇の場合は問題ありませんので覚えておきましょう。

まとめ

今回は出産手当金がもらえる条件について説明をしました。出産手当金は出産のため休業した間に受け取れる手当です。

休業期間中も当然生活費がかかるので非常にありがたい制度になります。ただし、出産手当金を受け取るためにはいくつかの条件があり条件を満たさないと出産手当金は受け取れません。

今回紹介した条件を参考にしていただき、出産手当金の受け取れる知識を深めていただければ幸いです。

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よくある質問

Q

出産手当金と出産育児一時金、育児休業給付金は全て受け取ることができますか。

A

はい。すべて条件を満たせば受け取ることができます。

【関連記事】妊娠・出産に備える医療保険についてわかりやすく解説

Q

出産手当金を受け取るための手続きを教えてください。

A

出産手当金を受け取るためには、出産する女性本人が加入している勤め先の健康保険組合や協会けんぽに申請をして、必要書類の提出を行わなければなりません。また、申請の際には、勤務先と出産した施設の医師などの協力が必要です。

詳しくは下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】出産手当金はいつ入る?早く産まれた場合は?計算方法や申請方法について

Q

退職後でも、出産手当金はもらえますか?

A

退職後については、出産手当金をもらえるケースともらえないケースがあります。

詳しくは「退職後でも出産手当金はもらえる?その条件は?」を参照。

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