IPO株(新規公開株/新規上場株)とは?当選確率を上げる方法についてもやさしく解説!

投稿日:2022/01/12 最終更新日:2023/03/10
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株の一種であるIPO株(新規公開株/新規上場株)は多くの投資家が注目している金融商品ですが、通常の株とは取引形態が異なります。そのため、投資家でもあまり詳しい内容を知らない人もいるのではないでしょうか。本記事では、IPOの特徴や取引方法、IPOに強い証券会社について解説します。
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IPOとは?

IPO(新規公開株)における売買フロー

IPO(新規公開株)における売買フロー

IPOとは「新規公開株」を意味しており、未上場企業が証券取引所に上場して、株式を投資家に売り出すことをいいます。

IPOで上場した株の初値(※)は、市場に出回る前の価格(公募価格)よりも高くなるため、上場前の公募価格で購入して、上場日に売却することで大きな差額が生まれ、利益を得られるようになります。このように、IPOを購入して売却することで利益を得ることを「IPO投資」といいます。

なお、IPOは誰でも取引できる株式ですが、証券会社ごとに割り振られる数が決まっています。そのため、購入希望者が多い場合は抽選が行われ、当選した人のみが購入できる仕組みとなっています。抽選の方法は証券会社によって異なるため、IPOを購入したい方は証券会社に確認しておく必要があります。

※初値:株が上場したあとで最初に決まる株価。

 ・IPOは新規公開株式
 ・未上場企業が証券取引所に上場 
 ・IPOは抽選が行われる

抽選の種類

投資家がIPOを購入する場合、ほとんどのケースで抽選が必要です。抽選には大きく分けて3つの種類があり、証券会社ごとに異なる抽選方法を採用しています。下記では、抽選方法の特徴や投資方法をそれぞれご紹介します。

IPOにおける三種類の抽選方法

IPOにおける三種類の抽選方法

①平等抽選

平等抽選とは、抽選に申し込んだ人それぞれに1票ずつの抽選権が与えられる抽選方法です。当選者はコンピュータでランダムに選ばれます。

当選確率については参加者全員が同じで、申し込んだ株の数や預けている資金額、これまでの取引履歴などは関係ありません。資金力に左右されない抽選のため、高額投資よりも少額投資の方に向いています。

②資産比例抽選

資金比例抽選とは、申し込んだ株式の数ごとに1票ずつ抽選権が与えられる抽選方法です。当選者は平等抽選と同様にコンピュータでランダムに選ばれますが、当選確率が人によって大きく異なります。

株式を一口申し込むごとに1票の抽選権を獲得できるため、申し込み資金が多ければ多いほど当選確率が高くなります。そのため、少額投資よりも高額投資の方に向いている抽選方式です。

③優遇抽選

優遇抽選とは、証券会社にとって優良な顧客や継続利用者に関して当選確率を優遇する制度です。優良顧客とは、一般的に預けている資産額や支払っている手数料が多い方を指します。

たとえば、以下のような項目で優遇する人を選出します。

・証券会社が独自で設けているポイント制度
・預けている資産の金額によるステージ

上記で優遇された人ほど、IPO購入権の当選確率が高くなります。ただし、少額投資の方は優遇があまりないため、少額投資の場合は前述した平等抽選を採用しているIPOを選びましょう。

IPOのメリット

IPOの購入には抽選によって購入権を獲得する必要があります。必ずしも購入できるわけではありませんが、ほかの株式と比べてさまざまなメリットがあります。

ここからは、IPO投資のメリットを詳しく紹介します。

利益が出やすい

前半で述べた通り、IPOは初値が公募価格と比べて高くなることが多い株です。そのため、差額によって売却益が大きくなるというメリットが期待できます。

たとえば、IPOの公募価格が1,500円だったのに対して、初値が3,000円になることがあります。以下の表からも分かるように、初値が公募価格を上回った銘柄と下回った銘柄を比べると、上回った銘柄のほうが多くなっています。

 <2019年12月~2020年8月の新規上場銘柄の中で50の銘柄の動向> 
 ・初値が公募価格を上回った銘柄=32
 ・初値が公募価格を下回った銘柄=18

初値が高くなる理由としては、新しく株が公開される企業は、将来的な伸びしろが期待できるためです。「市場に出回る前の価格より高くても買いたい」「成長幅を期待してなるべく早く購入したい」という需要により、初値が押し上げられる傾向があります。

IPOにおける上場前と上場後

IPOにおける上場前と上場後

手数料がかからない

株式を購入する際、取引手数料がかかることが基本です。しかし、IPOの場合は、公募価格で株を購入する費用のみで、取引手数料はかかりません。証券会社によっては、抽選への参加のみであれば、費用がかからないケースもあります。

そのため、初心者でも参加しやすいといったメリットがあります。ただし、上場後に株を売却する際は、株式市場での取引となるため、通常と同様に取引手数料が発生します。

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IPOのデメリット

IPOの主なデメリットを下記で詳しく解説します。

抽選に当たらないと買えない

IPOには上場する前から投資家が注目している銘柄があり、人気も高くなるため、当選する確率が低い傾向があります。詳細な応募者数は公表されていないため正確な数字は明記できませんが、当選確率の目安は1%前後とされています。この数字からも分かるように、抽選に申し込んでも当たる確率は非常に低くなっています。

公開価格割れのリスクがある

IPOにつく初値は、公募価格を大幅に上回ることが多いものの、公募価格を下回ることもあります。なぜなら、新しく上場した企業は事前に調査できる情報も少なく、上場後の業績が安定すると言い切れないためです。

新しく上場する企業の多くは、まだ成長途中の新興企業や規模が小さな企業です。以前から上場している企業と比べて企業情報に乏しく、将来の期待値を予測しづらいことから、売却時に購入価格を下回ってしまうリスクがあります。

IPO投資をする際は、リスクを十分に理解し、自身の資産配分についても検討しておくことが重要です。

IPOはどうやって取引するの?

IPOの取引では、以下の流れが一般的です。

証券口座を作る

通常の銀行口座では株取引はできないため、証券会社で証券口座を開設して、証券口座に株取引で必要な資金を入れておく必要があります。

また、証券口座を開設する際は、IPOの配分がある証券会社を選ぶことが重要です。どの証券会社を選んでも株取引は可能ですが、IPOのように配分が決まっている場合は、株が割り当てられている証券会社の口座を作らなければ、IPOの抽選に参加することはできません。

【関連記事】証券口座、どうやって開設するの?証券口座の種類についても分かりやすく解説! 

IPOの情報を調べる

証券口座を開設したら、IPOの情報を調べます。IPOの抽選は毎日行われるわけではありません。タイミングを見て抽選に申し込まなければならないため、情報を常にチェックしておく必要があります。

主な情報の仕入れ先として、東京証券取引所のIPO企業情報やIPOスケジュールがあります。IPO企業情報は、将来性が見込まれる企業かどうかを見極める指標になります。

また、IPOスケジュールでは、申し込み期間や抽選の日程、購入可能期間、上場する日程などを確認できます。購入したいIPOがある場合、申し込みを忘れないように記録しておきましょう。

 ・IPOの情報を調べる
 ・企業情報で将来性を見極める
 ・IPOスケジュールで申込や抽選の日程を確認する 

抽選に申し込み当選したら購入の意思を示す

購入したいIPOの申し込み期間中に、抽選に応募します。抽選結果が出て当選していた際は、購入期間内に購入の意思を表明する必要があります。

上場日に売却する

上場日に初値が公募価格を上回っている場合は、株を売却します。ただし、上場日に株を売却することが必須というわけではありません。公募価格よりも初値が安い場合は、少し様子を見ることや、長期保有を検討しましょう。

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IPO銘柄の選び方

IPOに投資を始める場合、どの銘柄の抽選に参加するかが重要です。選ぶ銘柄によって、実際に利益を得られるかどうかといった差が生まれます。

IPOの企業業績

銘柄選びで最も重要なことは、IPOの企業業績を確認することです。業績が良好な企業でなければ、上場後の株価が上がりにくく、利益が得られない可能性があります。

企業の業績については、多くのケースでIPOの目論見書に記載されているため、その中の「自己資本比率」と「営業利益」についてチェックしておくことが重要です。

 ・IPOの企業業績を確認する
 ・目論見書に記載されている情報をチェック 
 ・自己資本比率や営業利益に注目

銘柄における市場の注目度

株式市場が注目している銘柄は、成長が期待されている銘柄でもあります。株式市場が注目しており、今後の業績が拡大すると記載されているIPO銘柄は、上場後に値上がりする可能性が高いと判断できるようになります。市場の期待感から値上がりの可能性を見極め、取引を行うと良いでしょう。

仮条件・公募価格

仮条件とは、IPOの公募価格が決定されるもとになる価格です。この仮条件は機関投資家の意見を取り入れて決められ、1,000円~1,500円のように幅を持たせて提示されます。そこから、仮条件を踏まえつつ、個人投資家の需要を加味して公募価格が決まります。

公募価格はブックビルディング方式を用いて決定することが主流です。ブックビルディングの期間に仮条件の価格を投資家に提示し、投資家が仮条件の範囲内で希望購入価格を申告します。その申告需要を踏まえたうえで正式な公募価格が決定します。

発行株式数

IPOでは注目度に対して少ない株式数のほうが、需要が高まり株価が上昇しやすくなります。ただし、発行株式数が少ない場合、抽選の際に当選確率が低くなるといった難点もあります。上場後の値上がりが期待できるうえに、一定以上の当選確率がある、バランスが取れた銘柄を選ぶとよいでしょう。

IPOに強い証券会社は?

IPO投資には、IPOに強い証券会社を選ぶことをおすすめします。

ここでは、IPO投資におすすめの証券会社を表にまとめました。取引で利益を上げるためにはIPO銘柄の取扱が多い証券会社を選ぶと良いでしょう。

証券会社 取扱銘柄数(2020年) 抽選方法 特徴
野村證券 41社 1人1票の平等抽選 購入資金の入金は、当選後の購入申し込みまで。
口座の資金を気にせず申込できるため、限られた資金で運用する個人投資家におすすめ。
SMBC日興証券 52社 1人1票の平等抽選 平等抽選を基本とし、抽選に外れた人を対象にステージ別抽選がある。
大和証券 43社 1人1票の平等抽選 取扱銘柄数がトップクラスで、IPO投資に本気な個人投資家には必須の証券会社。
SBI証券 85社 1単元1票の平等抽選 ネット証券ではあるものの、取扱銘柄数が最大。
SBI証券の口座があれば、ほとんどの銘柄に申し込みが可能。

IPOの当選確率を上げるには?

IPOのデメリットとして当選確率が低いことが挙げられますが、実は当選確率を上げるポイントがいくつかあります。ここからは、どのような方法でIPOの当選確率を上げるのかについて、3つの方法を紹介します。

複数の証券会社から申し込む

最も代表的なのが、複数の証券会社からIPOの抽選に申し込む方法です。IPOは証券会社ごとに割り当てられる株式の数が異なります。

したがって、複数の証券会社から申し込むことで、申し込んだ分だけ抽選に参加できるようになります。複数の申し込みによって票数を増やすことで、当選確率を上げることにつながります。
         

主幹事の証券会社から申し込む

複数の証券口座を作る場合、主幹事になる可能性が高い口座を開設することで、当選確率を高められます。主幹事とは、IPOの事務手続きや株価の設定などを担う証券会社です。

主幹事になる証券会社は、IPOの約80%を持ち、ほかの証券会社に残りの20%が分配されます。主幹事になる証券会社は、IPOを購入する前に確認しておきましょう。

【関連記事】IPO株(新規公開株/新規上場株)とは?当選確率を上げる方法についてもやさしく解説 

投資資金を増やす

多くの資金があるほど複数の抽選に申し込めるため、当選確率も上がります。IPOの約8割は30万円程度となっており、10万円で購入できるIPOも約1割存在します。

また、すべての銘柄に申し込むためには50万円以上の資金が必要です。複数の証券会社から申し込む際には、倍以上の費用が必要になることもあります。当選確率を高めるために、自分の資金を考慮した上で可能な方法を試してみると良いでしょう。

まとめ

今回はIPO(新規公開株)のメリットデメリットや取引方法などの基本を解説しました。

IPOは、一般的な株式投資とは異なり、購入するために抽選が必要です。当選すれば、上場前に購入した株を売却して、利益を得られる可能性があります。上場前の公募価格は割安に設定される傾向があるため、上場後に株価が飛躍していると大きな売却益も狙えます。

ただし、IPOは投資家に人気のため、抽選の当選率も低くなっています。上場後に株価が伸びなければ、売却時に公募価格を下回るリスクも把握しておかなければなりません。

IPO投資をする際は、複数の証券会社から申し込む、主幹事の証券会社から申し込むなどして、当選率を高めることがポイントです。デメリットやリスクを考慮しつつ、自身に合った銘柄・投資方法を選びましょう。

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