そもそもファンダメンタルズ分析とテクニカル分析ってなに?
FX投資や株式投資において重要となる「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」。どちらも投資先が優れているかを分析する手法ですが、具体的にはどのような方法なのでしょうか。
まずは、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析について、それぞれ詳しくご紹介します。
ファンダメンタルズ分析とは?
ファンダメンタルズ分析とは、国の経済状況や企業の財務状況を分析する手法です。「ファンダメンタルズ(fundamentals)」とは「経済の基礎的諸条件」という意味です。国の経済状況を示す指標として経済ニュースでもよく用いられる言葉ですが、FX投資や株式投資では国だけではなく企業の経済状況を示す指標としても使われます。
ファンダメンタルズは、株価や為替などの値動きに影響を与えることもあるため、FX投資や株式投資において重要な指標です。
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ファンダメンタルズ分析の指標
株式投資・FX投資のどちらを行っているかによって、ファンダメンタルズ分析で重視するべき指標が異なります。
株式投資、FX投資でそれぞれの重視すべき指標は下記の通りです。
株式取引の場合
・自己資本比率 ・ROE(自己資本利益率/株主資本利益率) ・ROA(純資産利益率) ・EPS(1株あたりの当期純利益) ・キャッシュフロー |
FXの場合
・金融政策(米FOMC、ECB政策金利など) ・経済指標(小売売上高、消費者物価指数、雇用統計など) ・要人発表 |
株式投資では、安定性・収益性・成長性の観点から企業価値を見極めます。例えば、安定性を見たい時には自己資本比率を参照します。自己資本比率が高ければ高いほど、財政状況が安定していると判断できます。また、利益性を調べるときはROEから算出されるROAを分析し、成長性を調べるときはキャッシュフローを分析します。
FX投資では、金利や通貨の動向などの経済情報に注目する必要があります。特に、投資している通貨を発行する国の金融政策を分析することが必須です。具体的には金融政策の動向を予測し、どのようなポジションを持つか決めます。
金融政策を分析するためには、経済指標も分析しなければなりません。経済指標とは、その国の経済状況を構成する要因を数値化した統計です。通貨を取引するFX投資では、通貨を保有する国の経済状況がとても重要です。保有している通貨にかかわらず、各国の為替に影響を与える米ドルの経済指標は必ずチェックしましょう。
さらに、中央銀行の総裁や経済政策を担っている大臣といった要人の発言も重要です。なぜなら、FXの相場は要人発言に応じた値動きを見せることがあるからです。FX投資をする際は、必ず要人の発言もチェックしましょう。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析とは、過去の相場の推移を基に統計学的な手法などを用いる分析方法です。主に売買のタイミングを決める際に活用します。
テクニカル分析の分析方法は以下の通りです。
・ローソク足 ・ボリンジャーバンド ・移動平均線 ・MACD(移動平均収束拡散手法) ・RSI(相対力指数) |
テクニカル分析を行う目的は、将来の値動きを予測したり、現在の価格が妥当かどうか判断したりなどさまざまです。それぞれの目的に適した分析方法を選択しなければなりません。
テクニカル分析の指標
テクニカル分析の指標には複数の種類があります。
主な指標は下記の6通りです。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析って結局何が違うの?
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の主な違いは「目的」と「方法」です。ここからは、それぞれの違いについて詳しく解説します。
目的:取引の対象を見つける/取引のタイミングを見つける
ファンダメンタルズ分析の目的は「何を」買うか、テクニカル分析の目的は「いつ」買うかです。
まず、ファンダメンタルズ分析の主な目的は、指標を通して取引の対象を見つけることです。つまり「何を」買うかについて決めることを目的に行います。
一方でテクニカル分析の主な目的は、指標を通してベストな取引タイミングを見つけることです。つまり「いつ」買うかについて決めることを目的に行います。
このように「何を」買うのか、「いつ」買うのかという目的に大きな違いがあります。
方法:企業価値重視/チャート重視
ファンダメンタルズ分析は企業価値を重視しますが、テクニカル分析はチャートを重視して分析します。
例えば、ファンダメンタルズ分析は売上高などの業績や経済状況を分析します。一方で、テクニカル分析は移動平均線や値幅観測など、チャート(※)上の価格や売買高の需要を分析します。
このように、分析する方法も大きく異なります。
ファンダメンタルズ分析のメリットとデメリットまとめ!
国の経済状況や企業の財政状況を分析するファンダメンタルズ分析。株式投資やFX投資でファンダメンタルズ分析を行うことにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
主なメリットとデメリットは下記の表の通りです。
メリット | デメリット |
・重要な経済指標に対する準備ができる ・中長期な展望が見えてくる ・リスクを回避できる |
・情報を知るまでにタイムラグがある ・全てが正確な情報とは限らない ・どのようにレートが動くのか分かりづらい |
ここからは、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
ファンダメンタルズ分析のメリット
ファンダメンタルズ分析では経済指標の分析を行うため、重要な経済指標の発表に対する準備が可能です。例えば米国の失業率が今日の22時に発表されると知っていれば、その前に持っているポジションを決済しておくといった対処ができます。失業率の他にも金利や貿易収支などの経済指標は、景気の動向を図る上で大切です。また、重要な経済指標は為替レートに大きな影響を与えるため、十分な準備ができることは大きなメリットと言えます。
また、ファンダメンタルズ分析は中長期の予測をすることに適しています。「これからしばらくは円高になりそう」など、漠然とした中長期の展望が読めることはトレードに重要です。
さらに、ファンダメンタルズ分析はリスク回避にも役立ちます。例えば、ある国の経済状況が良くないことが分かれば、その国の通貨のトレードはやめた方が良いと判断できます。特にレバレッジの大きい金融商品の場合は、ハイリスク・ハイリターンの投資になってしまうため、少しでもリスクを減らすことが重要です。また、自国と他国の通貨の信頼度を比べることによって、よりリスクの少ない通貨を保有することもできます。
このように、ファンダメンタルズ分析により、トレードの選択肢を広げられます。
ファンダメンタルズ分析のデメリット
ファンダメンタルズ分析にはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
まず、発表時間が決まっている経済指標以外の、外国の要人による発言やニュースなどはタイムラグが生じます。そのため、為替レートが動いてから情報が入ってくることは少なくありません。このようなタイムラグがあるということは、スキャルピング(※)などの短期売買には不向きです。株式投資やFXの取引において、情報を手に入れるまでにタイムラグが生じることは、重大な損失に繋がる場合があります。
また、ファンダメンタルズは人間を介して得られる情報であり、確実に正確な情報が入ってくる訳ではありません。そのため、ファンダメンタルズ分析を信じ過ぎないようにすることも大切です。
さらに、ファンダメンタルズ分析は複雑で、トレードの動きが把握しづらいというデメリットもあります。例えば、要人の発言が為替レートに影響を与えることは多々ありますが、どのタイミングで為替レートが動くかは判断が難しいです。
このように、ファンダメンタルズにはデメリットもあることを把握しておかなければなりません。
※スキャルピング…数秒から数分以内の短時間で売買を繰り返して小さな利益を積み重ねる方法
ファンダメンタルズ分析の注意点
メリットとデメリットから、ファンダメンタルズ分析での注意点をご紹介します。ファンダメンタルズ分析では、株式投資とFXとで注意点が異なります。
まずは、株式投資においては下記の点に注意しましょう。
・分析に多くの時間が必要 ・分析に知識が必要 ・機関投資家(※)との間に情報格差がある |
デメリットで述べた通り、ファンダメンタルズが入ってくるまでタイムラグがあります。また、ファンダメンタルズ分析自体が複雑なため、多くの時間が必要です。そのため、為替レートの動きに遅れをとりやすい点に注意が必要です。
さらに機関投資家に比べて情報量が少なく、タイムラグがあることもあります。
次にFX投資における注意点は下記の通りです。
・短期トレードには不向き ・予想値にも着目する ・過去の値動きの推移を参考にする |
ファンダメンタルズ分析は中長期的なトレードに適しており、デイトレードなどの短期トレードには適していません。なぜなら、ファンダメンタルズ分析において重要な経済指標や財政指標は、1ヶ月に1回や四半期に1回のペースで発表される統計だからです。
また、経済指標は絶対的な値ではなく、市場予想値に着目することも重要です。なぜなら、経済指標や金融政策の結果は、すでに市場に織り込まれている可能性があるためです。経済指標が発表された際には、必ず発表値も確認しましょう。
さらに、経済指標は定期的に発表されるもののため、過去の値動きの推移も参考になります。あらかじめ確認しておきましょう。
※機関投資家…生命保険や銀行など多くの資金を用いて投資活動をしている投資家。
テクニカル分析のメリットとデメリットまとめ!
次にテクニカル分析のメリットとデメリットを見ていきましょう。テクニカル分析のメリットとデメリットは以下の表の通りです。
メリット | デメリット |
・情報の信頼性が高い ・情報がリアルタイムで知れる ・視覚的に相場の動きを認知しやすい ・具体的なエントリーポイント、決済ポイントを明確にしやすい |
・情報量が多い ・手法が多く、使いこなすのが難しい ・期待値を含みにしたトレードができない |
メリットとデメリットを詳しく解説します。
テクニカル分析のメリット
過去の相場における推移などから統計学的な分析を行うテクニカル分析は、過去のデータを参考にするため情報の信頼性が高いというメリットがあります。
また、テクニカル分析はチャートを用います。チャートはリアルタイムで更新されるため情報をリアルタイムで確認でき、加えて視覚的に相場の動きを確認しやすいというメリットもあります。
チャートをより深く活用できれば、チャートの動きから具体的なエントリーポイントや決済ポイントを見つけやすくなります。そのため、エントリーや利益確定、損切りがしやすいというメリットもあります。FXや株式投資において、売買取引のタイミングはとても重要なものになっています。
テクニカル分析のデメリット
チャートの見方は人それぞれ異なります。そのため、情報量が多すぎて迷いが生じやすいというデメリットがあります。
また、先ほどご紹介した通り、テクニカル分析にはさまざまな指標があります。そのため、どの手法を使えば良いか分からないといった迷いが生じることもあります。
さらに、過去の指標を参考にするテクニカル分析は、あくまでも過去の値動きのみを分析する手法です。そのため、ファンダメンタルズ分析のように、トレードに期待値を含めることができません。
このように、過去の推移からチャートで分析するテクニカル分析ならではのメリットとデメリットがあります。
テクニカル分析の注意点
テクニカル分析は株式投資やFX投資において重要な指標のため、活用することで多くのメリットがあります。しかし、テクニカル分析を活用する際には、下記の点に注意が必要です。
・短期取引には不向き ・適した分析方法を選ばなければならない |
まず、株式投資における注意点を確認しましょう。
テクニカル分析は、中長期的な株式投資に向いています。なぜなら、テクニカル分析で相場の上下動で利益を上げようと、短期的な取引を繰り返すと失敗が積み重なり、損失が膨大になってしまう危険があるためです。テクニカル分析を行う際は、中長期的に見ましょう。
また、テクニカル分析はさまざまな手法があり、必ずしも正解はありません。しかし、「あの相場ではこの手法が上手くいったから」と、別の相場で同じ手法を使うと失敗する恐れがあります。手法には適材適所があることを覚えておきましょう。
次に、FX取引では「全てのシグナルが絶対ではない」ことに注意しましょう。シグナル全てが必ず正しいということはなく、中にはダマシもあります。相場は必ず予想通りに動くわけではなく、予想もしない出来事の発生で急変することもあることを頭に入れておくことが大切です。これはFX取引以外のすべての投資法にもいえることですが、相場を完璧に予測することはできません。価格が急変しても慌てずに、冷静に価格変動の原因を分析することが大切です。
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ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析どっちを重視すべき?
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析はそれぞれ活用するタイミングがあります。そのため、重視すべき分析方法は個人の投資スタイルと目的によって異なります。
そこでここからは、それぞれの最適な活用方法をご紹介します。
ファンダメンタルズ分析の活用を解説!
ファンダメンタルズ分析を活用すべきタイミングは、バリュー投資をする際です。バリュー投資とは企業の価値を分析し、中長期目線で売買する投資手法です。
企業の将来性を予測し、現在の価格が割安かをファンダメンタルズ分析すれば、投資の判断材料となります。
テクニカル分析の活用を解説!
テクニカル分析を活用すべきタイミングは、数日から数ヶ月程度のスイングトレードや、1日のみのデイトレード、数秒〜数分程度のスキャルピングです。
これらの短期売買では、リアルタイムで情報を収集して分析できるテクニカル分析が適しています。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の使い分け
ここまでご紹介した通り、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は特徴が全く異なるため、上手く使い分けることで投資を有利に進められます。
例えば、景気のピークやボトムではテクニカル分析を、それ以外はファンダメンタルズ分析を活用すると良いでしょう。
まとめ
国の経済状況や企業の財政状況を分析するファンダメンタルズ分析と、過去の相場から統計学的な手法を用いるテクニカル分析について詳しく解説しました。
それぞれでメリットやデメリットが異なるため、目的やタイミングに合わせて上手く使い分けることが重要です。
使い分けられるように、まずはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析について正しい知識を持ち、実際にチャレンジしてみましょう。
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