外国債券は日本の国債に比べて、利回りが高く、分散投資や為替差益にもなるメリットがあります。一方で、債券の発行体の信用リスクやカントリーリスク、為替差損が出るというデメリットもあります。外国債券を運用するメリットやデメリットを把握したうえで、ポートフォリオに組み込むことが重要です。
この記事では、外国債券の利回りランキングやメリットデメリット、おすすめの外国債券ファンドについて紹介します。
外国債券の利回りランキングTOP10
本記事では、 外国債券ファンドの投資信託利回り(リターン)についてランキング形式でご紹介します。ランキングは以下のとおりです。
※2023年5月8日時点
ファンド名 | 利回り | 信託報酬 | |
1位 | 三菱UFJ米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ<ロシアルーブルコース>(毎月分配型)(スマートスター) | 74.35% | 1.82% |
2位 | 三菱UFJ米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ<メキシコペソコース>(毎月分配型)(スマートスター) | 27.02% | 1.82% |
3位 | 三菱UFJ新興国高利回り社債ファンド通貨選択シリーズ<メキシコペソコース>(毎月分配型)(グローイング・スター) | 26.79% | 1.88% |
4位 | メキシコ債券オープン(資産成長型)(アミーゴ) | 25.32% | 1.36% |
5位 | メキシコ債券オープン(毎月分配型)(アミーゴ) | 25.16% | 1.36% |
6位 | トルコ・ボンド・オープン(毎月決算型) | 25.06% | 1.47% |
7位 | トルコ・ボンド・オープン(年1回決算型) | 25.03% | 1.47% |
8位 | メキシコ・ボンド・オープン(毎月決算型) | 22.90% | 1.47% |
9位 | 三菱UFJメキシコ債券オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型) | 22.32% | 1.80% |
10位 | 野村PIMCO・米国ハイ・イールド債券投信(メキシコペソコース)毎月分配型 | 22.25% | 1.68% |
外国債券は国内債券や国内株式と比べて、高い利回りが期待できる傾向にあります。実際に2022年に国内債券の利回りは0.211%ですが、ランキングに掲載されている銘柄の利回りを見ると、その差は歴然としています。ランキングから、特にロシアやメキシコの債券は利回りの高いものが多いことがわかります。
しかし、外国債券は日本国内で発行される日本円建ての債券や国内株式にはないデメリットもあります。その代表的なものが以下の5つです。
外国債券のデメリット
- 信用リスク
- カントリーリスク
- 為替リスク
- 投資以外の情報・知識が必要
- 国内債券と比べてサービスが充実していない
信用リスクは、債券発行者が債務不履行に陥った場合に生じるリスクであり、カントリーリスクは、発行国の政治や経済情勢によって債券価値が変動するリスクです。また、為替リスクは、外貨建て債券の元本や利息が円安になることで減少するリスクです。 信用リスクは海外、国内外問わず存在するものですが、為替リスクは海外の債権やファンドにのみ存在します。
これに加えて、外国の債券の運用を行う際は、海外の情報の収集のため英語などの投資以外の情報も必要になる場合もあります。さらに当然のことですが、国内の証券会社は、米国債券よりも国内債券や国内ファンドのサービスが充実しているのも事実です。そういった意味での、外国債券のデメリットも存在します。
これらのリスクに関する情報を適切に把握し、ポートフォリオの分散投資を行うことが重要です。外国債券に投資する際には、低資金で始めることができ、分散投資ができる投資信託やETFを利用することが一般的です。
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おすすめの外国債券は?
外国債券を選ぶ際には、自身の投資目的やリスク許容度に基づいて選択する必要があります。一般的に、外国債券の魅力は、高い金利が得られることです。現に、ランキングにある外国債券ファンドは、いずれも20%以上のリターンを記録しています。
日本では低金利の状況が続いているため、債券投資に魅力を感じない人もいるかもしれませんが、世界には高金利の国がたくさんあります。これらの国の債券に投資することで、より高いリターンを得ることができます。
新興国の中でも、メキシコや南アフリカなどは高い金利が見られる傾向にあります。これらの国の債券に投資することで、高いリターンを期待できますが、同時に投資リスクも高くなる可能性があります。
したがって、これらの金利が高い国の債券に投資する際は、事前に利回りや特徴、世界情勢などの投資に関する情報を収集し、投資リスクについて理解しておくことをおすすめします。
※2023年5月15日時点
国名 | 10年国債利回り |
日本 | 0.38% |
アメリカ | 3.47% |
オーストラリア | 3.32% |
メキシコ | 9.07% |
南アフリカ | 10.94% |
また、先進国でも、日本より好利回りの国がいくつかあります。たとえば、アメリカやイギリスなどの国では、日本よりも高い金利が見られる場合があります。先進国も先ほど説明した新興国と同様に、高いリターンが期待できる一方で、同時に投資リスクも高くなります。これらの国の債券に投資することで、高いリターンを得ることができますが、同時に為替リスクがあるため、投資前には為替リスクを理解するとともに、運用中も情報を更新しリスクヘッジを行う必要があります。
以下では、外国債券のおすすめや、外国債券のETFや投資信託等のファンドについて解説します。
おすすめは米国債券
外国債券に直接投資する場合、おすすめの債券は米国債券です。米国債券は国内債券に比べて利回りが良く、安定しています。
また、米国の政治・経済的な情報は比較的、日本語でも入手しやすいため、安心して投資できます。さらに、米国債券は日本国内の証券会社でも取り扱っている場合が多く、個人投資家でも容易に投資でき、サービスなども比較的充実しています。
2021年5月現在、アメリカの10年債利回りは約3.47%で、日本の10年国債利回り0.38%の10倍です。したがって、長期的な投資に適している商品といえます。
外貨建ての外国債券は高い金利が得られる
外国債券の定義は「発行体・通貨・発行市場のどれかが日本以外」とされています。その中でも、外貨建ての外国債券は、日本の超低金利政策により、円建ての債券よりも高い金利が得られることがあります。
ただし、外貨建て債券への投資には為替リスクが伴うため、注意が必要です。為替リスクとは、投資したタイミングよりも円安になった場合には為替差益を得ることができますが、逆に円高になった場合には為替差損を被る可能性があることを指します。
したがって、外貨建て債券への投資は慎重な検討が必要であり、投資家自身のリスク許容度に合わせて余剰資産で運用することが重要です。
外国債券のETF、投資信託は?
外国債券に投資する際には、ETFや投資信託を活用することができます。 ETFには少ない費用で簡単に分散投資ができるといったメリットがあります。
中でもおすすめのETFは、上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型です。このETFに投資することで、世界中の国債に投資するのとほぼ同じ効果が得られます。
投資信託であれば、「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」がおすすめです。この投資信託は、先進国の国債価格に連動するもので、長期的に安定的な収益が期待できます。
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外国債券のメリット
ここからは、外国債券のメリットについて解説していきます。外国債券に投資するメリットは以下の3点です。
金利が高い
外国債券を持つことのメリットとして、国内の債券に比べて金利が高いことが挙げられます。日本国内の債券の金利平均が0.5〜1%程度に対して、外国債券の金利平均は1〜3%程度と高くなっており、国内債券より高いリターンが期待できます。
ただし、金利の高い投資は基本的にリスクが高くなるということを忘れてはいけません。債券の場合、信用リスクが高くなることがあるため、注意が必要です。
また、国によって金利平均が異なるため、より収入を得たい場合は金利の高い国の債券を選ぶことが重要です。
分散投資ができる
外国債券の購入による分散投資は、国内の金融商品にしか投資していなかった場合に比べて、ポートフォリオのリスクを軽減するメリットがあります。
ある一国の金融商品しか持っていなかった場合、その国内情勢が変わると保有していた金融商品の価値が軒並み下がってしまうリスクがありますが、別の国にも投資することでそのリスクを分散させることができます。日本や米国だけでなく、世界から広く債券を選ぶことも肝要です。
また、外国債券は国内の債券と比べて金利が高いことがあるため、収益の向上も期待できます。ただし、金利が高い投資はリスクも高くなり、債券の場合は信用リスクが高くなることに注意が必要です。
為替差益が得られる
外国債券の中には外貨を利用して購入・利息や元本の受け取りをするものがあり、為替相場が円安となった場合、為替変動による収入が得られる場合があります。
例えば、1ドル120円の時に米ドルを購入し、その後為替相場が1ドル130円になれば、1ドルにつき10円の収益を得ることができます。このような為替差益は、外貨建ての投資に特有のメリットの一つです。
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外国債券のデメリット
ここからは、外国債券のデメリットについて解説していきます。先述の通り、外国債券のデメリットは以下の5点です。
外国債券のデメリット
- 信用リスクがある
- カントリーリスクがある
- 為替差損が出てしまうこともある
- 投資以外の情報・知識が必要
- 国内債券・ファンドほどサービスが充実していない
信用リスクがある
債券の購入には信用リスクがあるということが言えます。発行体が経営破綻した場合には利息や元本の支払いが行われない可能性があります。
発行体の信用度は格付機関によって評価されており、信用度の低い発行体の債券は金利が高くなっている傾向があります。
特に外国債権の場合は、国内債権に比べて情報が収集しにくく、たとえ情報を取得したとしてもサービスなどが充実しておらず対応が後手になる可能性があります。
カントリーリスクがある
外国債券を購入する際には、カントリーリスクがあることに注意が必要です。
カントリーリスクとは、発行元国の政治や経済情勢が変化した場合に、元本割れや売却困難などの影響が生じるリスクのことです。
つまり、外国債券に投資をする際は、企業だけでなく、その企業の所在地である国についても考慮する必要があります。購入前には発行元国について情報収集し、購入後も定期的に情報を確認することが重要です。
為替差損が出てしまうこともある
外国債券を購入する場合、外貨建ての債券を購入すると為替相場の変動により為替差益を得られる可能性がありますが、逆に為替相場の変動により為替差損が生じる可能性もあることを覚えておく必要があります。
為替相場が円安になれば為替差益を得られますが、一方で円高になれば為替差損が生じてしまいます。注意深く投資を行い、リスクマネジメントを行うことが重要です。外国債券を取引する際は、将来の為替動向や世界の状況もある程度予測したうえで、円貨建てにするか外貨建てにするかを判断する必要があります。
外国債券の銘柄を選ぶ際は金利の高さだけに注目せず、以上のようなリスクがあることを理解しておきましょう。
また、外国債券を運用する際には、言語や海外市場の知識など、投資以外の情報が必要になってきます。つまり、国内の債券を買い、運用するときに比べて情報収集の難易度が上がるというデメリットもあります。
さらに、外国債券は国内債券や国内のファンドほどサービスが充実しているとは言えません。このようなデメリットがあることを把握したうえで、各銘柄やマーケットの情報を集めて自分に合った外国債券を選びましょう。
まとめ:外国債券は投資信託で保有しよう!
この記事では、外国債券の特徴やメリット、デメリットについて解説しました。外国債券は利回りが高く、分散投資ができますが、国内債券などと比べるとリスクが高いことが特徴です。
しかし、資産運用をするなら株式などと合わせて外国債券も資産に組み入れ、少額から投資ができる投資信託を活用することがおすすめです。
外国債券は、日本国内だけでなく、海外への投資に挑戦したい人にもおすすめの金融商品です。リスクを適切に把握して、バランスのよいポートフォリオを組むように心がけましょう。
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よくある質問
Q | 日本の10年国債利回りは何%ですか? |
A | 日本の10年国債利回りは0.38%です。日本は超低金利のため、国債の金利が低い水準です。一方、アメリカの10年国債利回りは3.47%となっており、日本とは約10倍の差があります。 詳しくは「おすすめの外国債券は?」を参照。 |
Q | 外国債券のデメリットは何ですか? |
A | 外国債券には、発行体が経営破綻がする信用リスクや発行元国の政治や経済情勢といったカントリーリスク、為替変動で損を被るデメリットがあります。 詳しくは「外国債券のデメリット」を参照。 |
Q | 分散投資のメリットは何ですか? |
A | 分散投資をすることで、価格変動(特に値下がり)のリスクを抑えられます。例えば、国内の金融商品だけに投資するのではなく、海外にも投資をすることで、ポートフォリオのリスクを軽減できます。分散投資をすることで、長期的に安定した収益を期待できます。 詳しくは「分散投資ができる」を参照。 |
Q | 外国債券の中でも、新興国の債券はどのような特徴がありますか? |
A | 新興国の債券は、外国債券の中でもとりわけ、成長が期待され、利回りが高くなる傾向があるのが特徴です。一方で政治的リスクや経済の不安定性などのリスクや、国内で利用できる情報サービスの制限などからリスクが高いのも特徴です。 新興国の債券を購入する際は、購入する債券の国の情勢や、分配金・手数料などの債券の情報など、証券に関連する情報を検索などで収集し、自己のリスク許容度や資産状況などと天秤にかけて、判断するようにしましょう。 |
Q | 債券ファンドの価格はどのように決まるのですか? |
A | 債券ファンドの価格は、そのファンドが保有する債券の価格の合計と手数料、運用経費を考慮して決定されます。債券の価格は市場の金利環境、信用評価、経済状況などにより変動します。具体的な金額に関しては、自分が登録している証券口座の表示を参考にするようにしましょう。 |