個人投資家のポートフォリオデザイン術 - ETF活用術 - 東証ETF活用プロジェクト 東証ETF

投稿日:2022/05/09 最終更新日:2022/11/01
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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ 個人投資家のETF活用術 ]

【第11回】

個人投資家のポートフォリオデザイン術

資産全体を視野に入れたポートフォリオを
ETFを活用して個人のポートフォリオを考えてみましょう。
個人向けに投資方法を説く本などでは、狭い意味での投資ポートフォリオ、すなわち余裕資金だけでのポートフォリオを提案するケースもあるのですが、多くの人に適しているのは広い意味でのポートフォリオ、すなわち個人なり家庭の資産全体を視野に入れることだと思います。預貯金、貯蓄タイプの保険、それに不動産をすでに持っている場合、それらからの分散効果も考慮するほうが賢明だからです。
別の言い方をしてみましょう。機関投資家は、運用すべき資金があり、その金額全体で安全性の高い資産からリスク性の高い資産まで幅広く分散投資します。その金額は、年金基金であれば資産のほぼ全額かもしれませんが、銀行などの場合は余裕資金の部分のみです。
個人や家庭の運用を考えるとき、資産運用そのものが本業である年金基金よりも、銀行の行動を考えることが参考になるのではないでしょうか。というのも、銀行は本業である企業などへの融資や、店舗やコンピュータネットワークの維持や人件費などにかかるコスト以外の、すぐに使わない部分を余裕資金として運用します。「余裕」と言っていますが、好きに扱っていいおカネという意味ではもちろんありません。銀行は慎重に運用して、高い利回りではないかもしれませんが、多くの場合、実際に増やすことに成功しています。
家庭でも本業として、なんらかの所得を稼ぐ手段があり、最低限の衣食住や子供の教育にかかるコストもあります。そうした本業から余った資金で運用すると考えると、すでに持っている預貯金や貯蓄タイプの保険商品を外すわけにはいきませんし、自宅用の不動産だけであっても不動産を持っているなら、不動産投資のリスクから免れません。ですから、すでに保有している預貯金も保険も不動産も組み入れたポートフォリオに、どうETFなどを加えていくかを考えます。
また、個人向けに限らず投資ポートフォリオを検討するときに、一般論として説明しにくい課題があります。それはどのくらいリスクをとるか、どのくらいリスクの高い金融商品を組み入れるかということです。たとえば、よく高齢層より若い年代のほうが大きなリスクを取れると説明されます。たしかにそのとおりかもしれません。しかし、若い年代でも住宅ローンを抱えていれば、すでに大きなリスクを取っていることは実感されていますよね。
投資ポートフォリオを検討する際には、個人や家庭が自らの取れるリスク、目指したいリターン水準を決めるしかありません。
ただ言えることは、うまく分散したポートフォリオは、同じリターンを実現するときのリスクを小さめに抑えてくれる効果を期待できます。比較的少額でそうしたポートフォリオ作りに役立つのがETFなのです。
タイプ別、ETF活用例
ポートフォリオデザインのポイント
以下にいくつかのタイプ別にETFを活用する例を挙げます。繰り返しになりますが、資産のどの程度の比率をETFに当てるかは、個人なり家庭の資産の現状と将来設計によって違ってきますので、「何%がいい」と一概に言うことはできません。
考えるべきことは、定期預金や貯蓄タイプの保険、不動産などすでに持っている金融商品以外にどれだけおカネを投資に回せるか、そして、すでに持っている金融商品と分散して効果的なのはどんな金融商品か、ということです。
定期預金などは日本国債など比較的安全性が高い商品に性格が近いですし、不動産であっても国内の住宅市場と相関性の低い不動産商品であれば、分散効果を高めることができるかもしれません。
A.安定性重視タイプ
候補となるのは、株式でTOPIXを含めた先進国株式とMSCIエマージングなど新興国株式の両方を組み合わせて、世界の株式市場全体の成績を取ることと、外国債券に連動するETFでポートフォリオを組むことです。
株式でいうと、先進国=成長は著しくないが下ぶれする可能性も少なめ、新興国=高い成長が期待されるが価格の上下の振幅(ボラティリティ)が激しい、と性格の違うものを同時に持つことで分散効果が期待できます。また債券は、2010年前半にユーロ圏の一部で国債の大幅下落がありましたが、定期預金に近い安定性のある国債でありながら、日本のものよりも高めの配当が得られる可能性はまだ大きいと言えるでしょう。
先進国の株式市場全体にはしばらく悲観的な見方をされているのであれば、TOPIXのセクター別ETFの中から安定性の高い業種のものや、ある時期に上昇を期待できるものを選んで持つこともできます。この場合には、市場全体=その国の経済全体の方向性だけでなく、より細かな経済活動・セクター株価の動向をウオッチする必要があります。
B.エマージングの成長を享受するタイプ
定期預金や貯蓄型の保険、個人向け国債など安全性の高い商品を多めに保有されているケースで、余裕資金では経済成長の高いエマージング市場のリターンを取りたいというタイプであれば、エマージング市場の株式やアジア債券のETFでポートフォリオを作ることができます。
MSCIエマージング指数はエマージング諸国内で分散した株式ポートフォリオを持つのと同じ意味がありますし、中国株やインド株、ブラジル株などに連動するETFを分散して持つことで、成長を期待する個別国のウェイトを増やすことも可能です。
また、TOPIX構成銘柄の日本企業でも事業をエマージング経済圏で伸ばしている企業は多数あります。そうした情報は外国経済についてよりも得やすいでしょうから、エマージング市場で伸びているTOPIXセクターのETFを買うのも、有効な選択肢といえるでしょう。
C.株式・債券以外にも幅広く分散をしたいタイプ
日本では1990年代以降、大手金融機関でさえ破綻することがありうることを経験してきましたし、この数年内には米国・欧州でも金融機関や国家財政の破綻がありました。極端に言えば絶対的な安全資産はないということでもあります。こうした事情を受けて、とにかく広く分散しておくことが資産運用にとって大事だと考えられている方にとって、ETFはその分散を実現するツールとなります。
先進国やエマージングの株式、海外の債券だけでなく、金(ゴールド)に代表されるコモディティ、REIT(不動産投資信託)への連動を目標とするETFを使って、細かく分散していくことができます。金融商品の違い、地域の違いで、資産の各パーツがいっせいに下落することがないように配置し、配分の変更もある程度機動的に行うことで、リスクを抑制しつつリターンを取っていくことが可能になります。


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