- 分配金利回りとは
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ETFに投資する目的には、長期保有による値上がり益の獲得、株式のように売買できるというETFの機動力を利用したデイトレードや信用取引などさまざまですが、分配金利回りに着目した投資もETF投資の魅力の一つです。
ETFの分配金利回りとは、株式投資における配当利回りに相当するもので、ETF1口当たりの分配金が1口当たりの株価の何%になるかを示したものです。
分配金利回り(%)=1口当たり配当金/ETFの株価
例えば、TOPIX連動型上場投資信託(1306)で見てみましょう。
TOPIX連動型上場投資信託の2015年12月30日の終値は1,589円でした。過去1年間に支払われた分配金は1口当たり23円(税引前)です。したがって、分配金利回りは1.45%となります。銀行の1年定期預金の金利(税引前)が0.025%程度ですから、相対的には魅力的な水準であると言えます。
TOPIX連動型上場投資信託のように株式に投資するETFでは、投資家がETFから受け取る分配金は、ETFが組み入れている株式から得た配当が主な原資となります。売買益は配当の原資にはなりません。ここから経費を差し引いた額が原則として全額分配されます。したがって、ETFが組み入れている銘柄の業績が改善し、配当が増えると、投資家がETFから受け取る分配金も増えることになります。ただ、そのような環境では株価が上昇することでETFの価格も上昇するため、分配金利回りが上昇するとは限りません。
前述のTOPIX連動型上場投資信託で見ると、1口当たり分配金と分配金利回りの推移は次のようなグラフになります。2012年以降分配金額は増加していますが、分配金利回りは低下又は横ばい程度です。この間、ETFの1口当たりの株価は750円程度から1,500円程度まで上昇しています。
【TOPIX連動型上場投資信託の分配金と分配金利回り推移】
(データ出所 :東京証券取引所・野村アセットマネジメントより作成)
- 分配金がないETF
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ただし、全てのETFが分配金を支払うわけではありません。株式や債券などの有価証券を主な投資対象としているETFでは、分配の原資となる配当や利子収入があるため基本的には分配が行われます。しかし、ほとんどの商品ETFやレバレッジ型のETFでは、分配は行われません。分配金の獲得を目的としてETFに投資する場合には、各ETFの分配方針や分配履歴を確認することが大切です。
- 商品ETF
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商品ETFに関しては、さまざまな仕組みがあります。例えば、現物の商品に投資するタイプのETF、リンク債型ETF、そして、OTCスワップ型ETFなどがあります。現物の商品に投資するタイプでは、分配金の原資となる配当や利息が発生しないために、分配は行われません。リンク債型商品ETFは、2016年1月末現在「金価格連動型上場投資信託(1328 )」だけですが、同ETFのリンク債は利率が0%であるため利息収入がなく、資産の一部を預金等で運用しているものの、その額が少ないため、利息収入が経費を上回る水準になく、分配は行われません。OTCスワップ型を採用しているETFの内、ETFセキュリティーズの銘柄は、特別目的会社である発行体の発行した外国投資法人債券で金利を支払わないため、分配はありません。また、S&P GSCI商品指数エネルギー&メタル・キャップド・コンポーネント35/20・THEAM・イージーUCITS・ETFクラスA米ドル建受益証券(1327)は分配型の受益証券ではなく元本成長型受益証券であるため分配金の支払いは行われません。
- レバレッジ型のETF
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レバレッジ型のETFでも、分配方針においては、分配を年1回実施するとされていますが、ほとんどのレバレッジ型のETFでは分配金は支払われていません。レバレッジ型ETFにおいても、コール・ローンなどからの受取利息等はあるものの、その額が経費を上回る水準にないためです。2016年1月25日現在、29本のレバレッジ型のETFが東京証券取引所に上場しており、このうち1回以上の決算を迎えたことがある21本のETFの中で分配が実施されたことがあるのは、日興アセットマネジメントが運用する「上場インデックスファンド日経レバレッジ指数(1358)」だけです。同ETFは運用資産の一部に日経平均株価に連動するETFを組入れていることから、ここから得られる分配金を原資として、分配る金を支払うことが可能になっています。2015年7月10日の第1回決算において1口当たり50円の分配を実施し、2015年12月末現在の分配金利回りは0.35%でした。
- ETFの分配金利回りの分布
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2015年に分配金の支払いを行った117本のETFの分配金利回りの分布を見ると、1%以上2%未満が最も多くなりました。3%以上のETFは日本株の業種別ETFや海外債券に投資するタイプのETFが多く見られました。
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