ETF [ ETFと指数 ]
【第5回】
TOPIX-17シリーズ
TOPIX-17シリーズは、東京証券取引所が2007年12月より算出・公表を開始した比較的新しい業種別の株価指数です。東京証券取引所の第一部市場に上場している全銘柄を、17の業種に分けた時価総額加重型の株価指数です。基準日は2002年12月30日で、この日の各業種の時価総額を100ポイントとして、現在の時価総額がどの程度であるかを表しています。
東京証券取引所では、それまでも、第一部市場の上場銘柄を33の業種に分類して、業種別株価指数を算出・公表してきましたが、TOPIX-17はそれらの33業種を次の表のように17業種に集約しています。例えば、「自動車」セクターだけ、あるいは「食品」セクターのように、特定の業種の株価動向を知りたい場合には33業種別の「自動車」指数や「食料品」指数を利用し、それに関連する業種を合わせた、より広範をカバーする株価動向を知りたい場合には「TOPIX-17自動車・輸送機」や「TOPIX-17 食品」を利用するというように使い分けるとよいでしょう。
銘柄 | TOPIX-17シリーズ | 業種別指数(33業種) |
---|---|---|
1634 1617 | TOPIX-17 食品 | 「水産・農林業」「食料品」 |
1635 1618 | TOPIX-17 エネルギー資源 | 「鉱業」「石油・石炭製品」 |
1636 1619 | TOPIX-17 建設・資材 | 「建設業」「金属製品」「ガラス・土石製品」 |
1637 1620 | TOPIX-17 素材・化学 | 「繊維製品」「パルプ・紙」「化学」 |
1638 1621 | TOPIX-17 医薬品 | 「医薬品」 |
1639 1622 | TOPIX-17 自動車・輸送機 | 「ゴム製品」「輸送用機器」 |
1640 1623 | TOPIX-17 鉄鋼・非鉄 | 「鉄鋼」「非鉄金属」 |
1641 1624 | TOPIX-17 機械 | 「機械」 |
1642 1625 | TOPIX-17 電機・精密 | 「電気機器」「精密機器」 |
1643 1626 | TOPIX-17 情報通信・サービスその他 | 「その他製品」「情報・通信業」「サービス業」 |
1644 1627 | TOPIX-17 電力・ガス | 「電気・ガス業」 |
1645 1628 | TOPIX-17 運輸・物流 | 「陸運業」「海運業」「空運業」「倉庫・運輸関連業」 |
1646 1629 | TOPIX-17 商社・卸売 | 「卸売業」 |
1647 1630 | TOPIX-17 小売 | 「小売業」 |
1648 1631 | TOPIX-17 銀行 | 「銀行業」 |
1649 1632 | TOPIX-17 金融(除く銀行) | 「証券、商品先物取引業」「保険業」「その他金融業」 |
1650 1633 | TOPIX-17 不動産 | 「不動産業」 |
TOPIX-17シリーズの公表を受け、各指数に連動する投資成果を目指すETF(取引所上場投資信託)が野村アセットマネジメントと大和投資信託委託によって設定され、東京証券取引所に上場しました。例えば、「NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信」は「TOPIX-17食品」指数への連動を目指すETFで、野村アセットマネジメントが運用しています。投資家は、これらのETFを利用することによって、TOPIX−17シリーズの各業種の値動きをとらえた運用が可能となりました。
業種別・セクター別ETFの利用方法
TOPIX-17シリーズのような業種別やセクター別のETFは、特定の業種やセクターが他に比べて好調に推移すると予測される場合に購入するのが基本的な利用方法です。例えば、今後、自動車業界が好調に推移すると予想されるものの、個別銘柄を選択するのがむずかしい場合に、TOPIX-17 自動車・輸送機ETFを購入するという方法です。ETFを活用することで、個別銘柄に賭けることなく、特定の業種の好調から恩恵を受けることが可能になります。また、複数の銘柄を個別に購入するよりも小さな金額で投資が可能です。
また、自分のポートフォリオの中で、手薄になっている業種について、業種別ETFを利用してそのギャップを埋めるというのも、ひとつの利用方法です。例えば、個別銘柄や他の投資信託で保有している銘柄などを含めて自分のポートフォリオ全体を見たときに、自動車や機械などの製造業に集中していて、非製造業を中心にポートフォリオをリバランスしたい場合などに、TOPIX-17 商社・卸売、TOPIX-17 小売、TOPIX-17 銀行などを組み入れることで、ポートフォリオのバランスをとるという方法です。この場合も、個別銘柄を複数購入するより小さな金額ですみます。
これら以外にも、個別銘柄のポジションをヘッジするために業種別ETFを利用する方法もあります。例えば、自動車株を保有して利益が出ているものの、先行きが不透明だと感じた場合に、TOPIX-17 自動車・輸送機のような業種別ETFを売っておくことで、リスクヘッジが可能になります。保有する自動車株の株価が下落しても、ETFの売りポジションを買い戻すことで株式の損失を相殺することが可能になり、株価が上昇した場合でも、ETFの売りポジションの損失は株価の上昇で相殺できます。
さらに、特定の業種の下落が予想される場合に、下落が予想される業種の業種別ETFを信用売りし、値下がりしたところで買い戻すことで利益をあげることも可能となります。この場合、委託保証金を基にした取引となるため、手持ちの資金よりも大きな取引が可能です。委託保証金率は、法令上は30%以上ですが、証券会社により異なります。
また、世界的に特定の業種が好調に推移すると予想される場合には、世界中のETFを利用することで自分だけの業種別ポートフォリオを作ることも可能になります。世界のETF市場では、数多くの業種別・セクター別ETFが運用されていますが、その多くが、MSCIとスタンダード・アンド・プアーズ社が共同で開発した世界産業分類基準(グローバル・インダストリー・クラシフィケーション・スタンダード:GICS)を基本としています。世界産業分類基準は、10のセクター、24の産業グループ、67の産業、および147の産業サブグループから構成されています。
世界産業分類基準の10セクター
1.エネルギー |
2.素材 |
3.資本財・サービス |
4.一般消費財・サービス |
5.生活必需品 |
6.ヘルスケア |
7.金融 |
8.情報技術 |
9.電気通信サービス |
10.公益事業 |
例えば、世界的にエネルギーセクターが上昇すると期待した場合に、日本のNEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信、米国のEnergy Select Sector SPDR ETF、欧州のstreetTRACKS MSCI Europe Energy ETFを組み合わせることで、日本、米国、欧州のエネルギーセクターに分散投資する自分だけのポートフォリオを組むことが可能になります。残念ながら、現在のところ、Energy Select Sector SPDR ETFと欧州streetTRACKS MSCI Europe Energy ETFについては、国内の証券会社での取り扱いは限られているようですが、今後、日本において海外ETFの取り扱いが増えていけば、このようなポートフォリオを組むことも容易になってきます。また、海外の業種別・セクター別ETFには、例えば、iShares S&P GLOBAL ENERGY SECTOR Index Fundのように、世界のエネルギーセクターに分散投資するタイプのETFのように一つのETFで、世界の特定の業種・セクターに分散投資できるタイプのものが多くありますので、そういうものを利用するのも一案です。
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