投資信託の分配金とは、運用で得た収益などを投資家に支払われるお金のことです。分配金を目当てに投資信託で投資をする人も一定数いますが、分配金にはさまざまな種類があり注意点もあります。そこで今回は投資信託の分配金について見ていきましょう。
投資信託における分配金とは?
投資信託の分配金とは、運用で得た収益などを投資家に支払われる金銭のことです。投資信託には分配金ありと分配金なしの2種類があり、必ずしも分配金が支払われるわけではありません。
また、株式投資の配当金に似ていますが、投資信託の分配金の場合、必ずしも利益から出すわけではないので、仕組みについてしっかり理解する必要があります。
投資信託には「分配金あり」と「分配金なし」の2種類がある
投資信託には「分配金あり」と「分配金なし」の2種類があります。
分配金ありの投資信託とは、毎月や半年に1回、1年間に1回などあらかじめ決められた決算の都度、分配金が支払われるタイプの投資信託です。分配金が支払われる投資信託のメリットは、分配金が支払われる都度「利益確定」の効果があることになります。なぜなら、分配金を払った段階では利益があったとしても、その後、運用が悪化し基準価格(※1)が下落してしまうことがあるからです。(※1)基準価額…投資信託の値段のこと
一方、分配金が支払われる投資信託のデメリットは、分配金を支払わずに、その資金を再投資した方が大きな利益になる可能性があることです。例えば、基準価格が10,000円の投資信託の場合で1,000円の分配金を出した場合と出さなかった場合で見ていきましょう。
1,000円の分配金を出すと基準価格が9,000円になりますが、分配金を出さなかった場合は基準価格10,000円のままです。もし、その後、基準価格が10%上昇した場合、分配金を出した投資信託の基準価額は9,000円から9,900円になりますが、分配金を出していない投資信託の基準価額は11,000円になります。
分配金を出した投資信託は分配金の1,000円を足しても合計10,900円にしかなりません。一方、分配金を出さなかった投資信託は11,000円と分配金を出さなかった投資信託の方が増えていることになります。
このように、分配金を出すことによって利益が少なくなってしまう可能性があります。
参考:日本証券業協会 「分配金あり・分配金なしのメリットと留意点」
分配金の仕組み
分配金は、投資信託の元本から払うため、分配金を支払うと投資信託の基準価格は下がります。預貯金の利息のように元本が減らないわけではないので注意してください。
分配金と基準価額の関係
分配金と投資信託の基準価額の関係は以下の通りです。よく投資信託の分配金は預貯金の利息と比較されますが、全く異なるものです。
預貯金の利息は、あらかじめ決められた利率で、半年や1年など定期的に支払われますが、投資信託の分配金は運用実績によって左右されるため、毎回同じ金額を受け取れるとは限りません。
分配金には2種類がある
投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類あります。
普通分配金とは、投資信託の利益から出す分配金になるので税金がかかります。
一方、特別分配金は投資信託の元本から出す分配金なので税金はかかりません。利益が出ていなくても出る分配金は特別分配金に該当します。このように一口に投資信託の分配金といっても2つの種類がありますのでしっかり理解しましょう。
投資信託の分配金はいつもらえる?
投資信託の分配金は、投資している投資信託の決算の時にもらえます。また分配金を受け取る方法は2つありますので違いについて理解しましょう。
分配金がもらえる時期
投資信託の分配金は決算後の5営業日以降に受け取れます。決算日に分配金がもらえるわけではないので注意してください。投資信託の決算は、投資信託によって異なり、毎月決算型投資信託もあれば1年に1回の投資信託もあります。
毎月決算のある投資信託を購入すれば、毎月分配金がもらえる可能性がありますが、運用状況によっては分配金が出なくなる可能性や減額される可能性もあるので注意してください。
毎月分配型の投資信託に関しては以前、金融庁が問題視していたことがあります。なぜなら毎月分配金を出すと運用効率が悪くなってしまう可能性があるからです。分配金を出さないほうが先ほど説明した通り。複利効果を享受できる可能性があります。
※参考:金融庁 「毎月分配型商品比率」
分配金を受け取る方法
分配金を受け取る方法は、「分配金受取コース」と「分配金再投資コース」の2つがあります。- 分配金受取コース…分配金を銀行の普通預金や証券会社の口座に入金するコース
- 分配金再投資コース…分配金で投資している投資信託を自動的に購入するコース
税金については、分配金受取コースも分配金再投資コースも普通分配金については税金がかかり、特別分配金は税金がかかりませんので受け取りコース選択の際に気にする必要はありません。
普通分配金で分配金再投資コースの場合は、税金が引かれた後のお金で再投資するかたちになります。
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分配金は受け取るべき?再投資すべき?
分配金を受け取るべきか再投資すべきかは、それぞれの目的によって異なります。分配金を受け取った方が良いケースと再投資した方が良いケースについて説明しますので参考にしてください。
定期的な収入が得たい場合は「受け取り」
定期的に収入が欲しい方は分配金を受け取った方が良いでしょう。運用実績が良い投資信託であれば以下のような運用が可能です。
運用実績の良い投資信託であれば分配金は利益から出しているので、投資元本は変わらず分配金を受け取り続けることができます。ただし、こちらはあくまで理想であって、相場環境によっては大きく投資元本を減らす可能性がありますので決算の際は特に商品を確認しましょう。
長期的に運用したい場合は「再投資」
長期的に運用したい場合は「再投資」をするようにしましょう。再投資をすることによって複利効果を得ることができるからです。
再投資をして運用実績が良ければ、投資元本を複利効果で増やせます。複利効果とは、利益を再度投資することによって利益からも利益が生まれる効果です。
複利はお金を増やす有効な方法になります。ただし、運用実績が悪くなってしまうと利益確定ができる分配金受取コースの方が運用成果は良くなりますので注意してください
投資信託の分配金で「月30万」を作る方法
投資信託の分配金で「月30万」を作る方法について説明をします。月に30万円をもらうために必要な資金や利回りの高い投資信託を紹介しますので参考にしてください。また注意点についても説明します。
月に30万円をもらうために必要な資金
毎月30万円をもらうために必要な資金は、投資をする投資信託の利回りによって異なります。例えば、年率5%の分配金ありの投資信託で分配金受取コースを選択した場合、毎月30万円をもらうためには7,200万円必要です。
もし、年率12%で運用できる高利回りな投資信託であっても、3,000万円ほどの資金が必要になります。ちなみに、毎月分配型の投資信託とは、決算が毎月あり毎月分配金がもらえる可能性がある投資信託です。
ただし、運用実績によっては分配金が減額になったりもらえなくなる可能性がありますので注意してください。
分配金利回りの高い銘柄
分配金の利回りの高い銘柄を表にまとめました。
<対象期間> 2021年11月01日〜2022年10月31日
<対象商品>毎月分配型投信
順位 | 銘柄 | 基準価格 | 基準価格 | 基準価格増減 | 決算回数 | 分配金合計 | 分配金直近 | 合計損益 | 分配金利回り(税引前) |
1 | ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)シングルα・米ドルコース | 1,225円 | 1,428円 | 203円 | 毎月 | 245円 | 20円 | 448円 | 20.00% |
2 | ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コース | 368円 | 377円 | 9円 | 毎月 | 65円 | 5円 | 74円 | 17.67% |
3 | アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(メキシコペソコース) | 4,892円 | 5,084円 | 192円 | 毎月 | 750円 | 40円 | 942円 | 15.34% |
4 | 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型 | 1,217円 | 1,657円 | 440円 | 毎月 | 180円 | 15円 | 620円 | 14.79% |
5 | アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(ブラジルレアルコース) | 1,378円 | 1,532円 | 154円 | 毎月 | 200円 | 15円 | 354円 | 14.52% |
6 | ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース | 12,753円 | 12,361円 | −122円 | 毎月 | 1,800円 | 150円 | 1,678円 | 13.16% |
7 | ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) | 2,625円 | 2,789円 | 164円 | 毎月 | 320円 | 20円 | 484円 | 12.19% |
8 | マニュライフ・新グローバル配当株ファンド(毎月分配型) | 10,139円 | 10,949円 | 810円 | 毎月 | 1,200円 | 30円 | 2,010円 | 11.84% |
9 | ワールド・インフラ好配当株式ファンド(毎月決算型) | 9,249円 | 10,381円 | 1,132円 | 毎月 | 1,070円 | 30円 | 2,202円 | 11.57% |
10 | 世界インフラ関連好配当株式 通貨選択型ファンド(米ドルコース) | 6,245円 | 6,849円 | 604円 | 毎月 | 720円 | 60円 | 1,324円 | 11.53% |
出典:マネックス証券 「分配金利回りランキング 上位50銘柄」
いかがでしょうか?投資信託によっては利回りの高い商品もあります。また、運用実績によって投資信託の分配金は減額されたり、なくなったりする可能性があるのをしっかり覚えておきましょう。
分配金だけではなく各々の商品のあらゆるリスクを考慮して商品を選択しましょう。
「タコ足分配」には要注意
「タコ足分配」とは投資元本から分配金を出す特別分配金の別称です。タコ足分配は自分の元本から分配金を出すため税金はかかりません。よって、普通分配金より一見すると大きな金額が入金になっているように感じます。
しかし、タコ足分配を続けていると、いつか元本がなくなってしまいます。運用実績が悪くても同じ金額の分配金を出し続けた投資信託はたくさんありますが、そのような投資信託を選ぶのはやめましょう。
いくら分配金が高くても結果的に投資元本と合わせた運用実績については良くないということになります。タコ足分配かどうかは、各証券会社の投資信託のページの「損益欄」で確認できます。損益がマイナスにもかかわらず分配金を出している場合はタコ足分配に該当しますので注意しましょう。
まとめ
今回は、投資信託の分配金について説明をしました。投資信託の分配金は、定期的に入ってくる収入源として今も魅力があります。
運用実績が良く分配金を出している分には問題ありません。しかし、投資信託の中には運用実績が悪いにもかかわらず分配金を出し続けているファンドもあります。
そのようなファンドの場合、トータルの友情実績は決して良くない場合がほとんどなので注意してください。ぜひ今回の記事を参考にしていただき、投資信託の分配金の理解を深めていただければ幸いです。
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よくある質問
Q | 投資信託の分配金と株の配当金は何が違う? |
A | 投資信託の分配金は、決算ごとに投資信託の運用状況に応じて運用会社が支払います。一方、株の配当金は利益の一部を会社が支払う仕組みです。 |
Q | 基準価額が1万円前後の投資信託が多いのはなぜ? |
A | 投資信託の基準価格はすべて1万円から始まります。基準価額が高くなりすぎると購入するのに躊躇する投資家が多いため、分配金を出して基準価額を1万円前後にするファンドが多いからです。 |
Q | 投資信託を売却しないとどうなる? |
A | 売却しないでずっと保有すると、その期間、分配金が出る投資信託であれば分配金がもらえます。ただし、投資信託の中には運用期間があらかじめ決まっているファンドもありますので注意してください。運用期間に到達すると自動的に解散になります。 |
Q | 投資信託は基本何年保持する? |
A | 一般的なオープン型の投資信託はいつでも購入や解約が可能です。クローズド型など売却できない期間が決まっている投資信託もありますが、基本いつでも解約できますので目標にしていた運用実績に到達したら解約するのが良いでしょう。 |