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指定難病と診断されたら保険に入れない?医療費助成制度と加入できる生命保険について

最終更新:2022/04/08 14:27

指定難病と診断を受けると、多くの方が今後の生活やお金に関して不安に思われるのではないでしょうか。長期の療養を必要とする指定難病は、病気に対する不安はもちろんのこと、金銭的な不安も大きくなります。 本記事では、指定難病と診断された際に活用できる医療費助成制度と、指定難病と診断された後でも加入できる可能性のある生命保険について紹介します。

難病・指定難病とは

難病・指定難病とは、具体的にどのような病気を指すのか、それぞれの定義について解説します。

難病の定義

難病とは、法律で以下のように定義されています。

・発病の機構が明らかでない(原因不明)
・治療方法が確立していない
・希少な疾病
・長期にわたり療養を必要とする

難病は生命維持が困難な病気と誤解されることもありますが、生命維持が困難なことは難病の定義には含まれません。日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)ですが、がん対策基本法において施策体系が確立されているため、難病には含まれません。

また、難病に定義される疾病が生活に及ぼす影響はさまざまです。
実際に、難病を患っていても、うまく病気と付き合いながら通常の生活を送っている方もいます。また、指定難病に指定されていても、平均寿命は変わらない疾病も数多くあります。難病は、長年付き合っていかねばならない「持病」と認識するとよいでしょう。

参考;難病の患者に対する医療等に関する法律

指定難病の定義

指定難病とは、以下のように定義されています。

・患者数が本邦において一定の人数に達しないこと
・客観的な診断基準またはそれに準ずるものが確立していること
・前述の難病の定義に該当すること
注)一定の人数とは、人口の0.1%程度以下であることが厚生労働省令において規定するされています

難病のうち上記をすべて満たす疾病が指定難病と法律で定義されており、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定します。2021年11月現在、厚生労働省によって指定難病に指定されている疾病は338疾病にのぼります。

なお、指定難病については、長期療養による経済的負担を支援する医療費助成の対象となります。医療費助成の要件・助成金額・必要書類・申請手順については後述します。

参考;難病の患者に対する医療等に関する法律
   厚生労働省令第百二十一号『難病の患者に対する医療等に関する法律施行規則

指定難病の一例

指定難病の中には患者数が多く、一般に広く知られている疾病もあります。
ここでは、一般に知られている疾病についていくつか紹介します。

・潰瘍性大腸炎
安倍元首相が持病の潰瘍性大腸炎の悪化を理由に退任したことは記憶に新しい方も多いと思います。
潰瘍性大腸炎は、20代で発症することが多い疾病ですが、平均寿命は疾病に罹患していない人と変わらないことが分かっています。

症状が落ち着いていれば、治療や投薬は必要なく、健康な方と変わらない生活を送ることもできるとされています。しかし、根本的な治療体系が確立されていないため、指定難病に指定されています。

・パーキンソン病
パーキンソン病は、寿命が延びることに伴い患者数が増加している原因不明の神経変性疾患です。パーキンソン病患者は、産生されるドーパミン量の減少を伴うことが分かっており、運動障害や神経障害が見られます。現在は薬物治療によって進行を遅らせる治療法が取られていますが、根本的な治療方法は未だ確立されていません。

・全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、日本全国に推定約6万人~10万人の患者がいるとされている難病です。この病気では、免疫系が自分自身の体を攻撃してしまうことで、全身の関節や皮膚、中枢神経も含む臓器全般にさまざまな症状や障害を引き起こします。発熱や全身倦怠感を伴う全身症状に加えて、心病変・肺病変・血液異常といった臓器障害を伴うこともあります。世界的に研究が行われていますが、原因は現時点で解明されていません。

現れる症状や障害の程度は患者によって異なり、臓器障害の症状が全くない軽症の全身エリトマトーデスも存在します。関節炎や皮膚の発疹だけの患者は、薬剤のコントロールにより健康な方と変わらない生活を送ることができるとされています。

難病(指定難病)でも保険に入れる?

難病や指定難病に指定される疾病を患っていても、その重症度や予後はさまざまです。そのため、患っている疾病によっては、生命保険・医療保険へ加入できる場合もあります。ご自身が患っている疾病を保険会社に正直に伝えた上で、加入できる保険を探してみましょう。

まずは通常の保険を検討

指定難病に指定される疾患と診断された場合でも、まずはオーソドックスな保険から検討してみましょう。指定難病に指定されている疾病でも、予後がよい疾病であれば、通常の保険に加入できる場合もあります。

保険加入の条件は各保険会社によって異なるため、ある保険会社で加入できなかった方でも、別の保険会社では加入できた事例も多数あります。保険の加入を検討する際は、必ず複数の保険会社の保険を検討するようにしましょう。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型の保険とは、加入条件が緩やかで、持病や入院歴があっても入りやすい保険商品です。
一般的な保険と同様に、入院給付金と手術給付金の保障を受けることができます。

国民生活センターのホームページには、引受基準緩和型の告知項目は下記3点と記載されています。

・最近3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査・先進医療を勧められたか
・過去2年以内に入院をしたことがあるか
・過去5年以内にがん・肝硬変・慢性肝炎で医師の診察、検、治療、投薬を受けたことがあるか

出典:国民生活センター「医療保険が多い引受基準緩和型保険

これらの項目がすべて「NO」であれば、保険に加入できる可能性があります。期間の部分(3か月以内、2年以内など)については、生命保険会社によって異なるため事前確認が必要です。

引受基準緩和型は告知項目が少ない分、通常の保険と比較すると保険料が高く設定されています。これは、加入者全員が支払った保険料から、困った人のために給付金を渡すという保険の仕組みに基づくためです。入院や手術リスクが高い人でも加入できる保険は、保険料も比例して高くなるのが一般的です。

また、引受基準緩和型は契約前に発病していた疾病に対して、給付金が支払われない場合もあります。
加入から1年以内の入院では、給付金額が50%に減額される保険契約もあるため、加入前にしっかりと条件を確認しましょう。

無選択型保険

無選択型(無告知型)の生命保険には、告知項目や医師の審査項目がありません。引受基準緩和型よりも、さらに条件が緩やかで加入しやすい保険商品です。

ただし、以下のような注意点もあります。

■加入できる年齢が限られている
無告知型保険の多くは40歳以上など年齢制限が設定されている場合があります。

■保険料が高い
生命保険として支払う保険料が通常の保険よりも高額になるため、加入者が支払う毎月の保険料も高くなることが一般的です。

■保険金の支払いに制限を設定される可能性がある
無告知型保険では、契約後の一定期間は病気による入院・手術が保障されないなど、制限を設定される場合があります。特に死亡保障については、「契約後2年間」など生命保険会社が定めた期間内に死亡した場合に、「払い込んだ保険料に相当する金額」しか支払われない場合もあります。

無選択型保険にはさまざまな制限がありますが、難病または指定難病を患っているからといって、諦めて無選択型保険を選ぶ必要はありません。まずは告知書を提出して「入れる保険があるか」問い合わせることが大切です。

通常の生命保険であっても、特定の疾病や特定の身体部位については保障から除く「特定部位不担保」や、割増保険料を支払うことで「特別条件付き契約」として加入できる可能性があります。

日本には国内生保・外資系含めて生命保険会社はたくさんあり、各社からバリエーション豊富な保険商品が発売されています。治療に専念できるよう、金銭的な不安をカバーできる保険を見つけましょう。

告知義務に注意

無選択型保険を除いてほとんどの生命保険では、加入する際に現在の健康状態や既往歴を保険会社へ正確に伝える「告知義務」が設けられています。

保険会社では、加入者から告知された情報をもとに保険契約の可否判断や契約内容の設定を行います。
そのため、加入者が事実と異なる告知をすると、告知義務違反とみなされて契約途中であっても強制解除となる可能性があります。強制解除されると、支払った保険料が返還されず、いざという時の保障を受けることができません。

意図的に虚偽の申告をしてはいけませんが、指定難病に指定されている疾病には慢性疾患もあるため、うっかり忘れることもあるかもしれません。たとえ「うっかり」であっても、生命保険会社の調査によって告知事項と既往歴の相違が発覚すれば、保険金を受け取れないため注意が必要です。告知漏れに気付いた際は、すぐに生命保険会社に連絡しましょう。

また、保険に加入する際は「いつどのような診断を受けたか」「どのような薬を処方されたか」を伝えられるようにしておきましょう。現在の経過状況が明確かつ詳細に記載されていれば、保険会社がリスクを高く見積もる必要はなくなるため、疾病を患っていても保険に加入しやすくなる場合もあります。

指定難病に対する医療費助成制度とは

長期の治療が必要となる指定難病では、治療にかかる金銭的な負担の軽減を目的として、医療費の一部を助成する「医療費助成制度」があります。

医療費助成制度は、1ヶ月間の医療費に対して自己負担上限額を設定して、上限額を超えた医療費については窓口での支払いが不要になります。

なお、医療費助成制度を活用するためには申請や更新が必要です。ここからは、医療費助成制度の対象となる要件や助成金額、必要書類、申請方法について紹介します。

2015年には「難病の患者に対する医療等に関する法律」の施行により、消費税の収入を医療費助成の財源とすることが決められ、制度の公平性と安定性が確立されています。

対象者の要件

対象者の要件は、厚生労働省によって下記のように定められています。

・指定難病にかかっており、その病状の程度が厚生労働大臣が定める程度であること
・指定難病にかかっているが、その病状の程度が厚生労働大臣が定める程度ではないもので、申請月以前の12ヶ月以内にその治療に要した医療費総額が33,330円を超える月が3月以上あること
出典:厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律の概要」

現在、指定難病に指定されている338疾病が医療費助成制度の対象となります。しかし、指定難病に罹患しているからといって、必ずしも医療費助成制度の対象となるわけではありません。医療費助成制度の対象となるかどうかについては、疾病の重症度によって異なります。

助成金額

通常の公的医療保険の自己負担額は3割ですが、指定難病患者の場合の自己負担額は2割です。
また、受診した医療機関の自己負担額は合計額に上限が設けられています。自己負担の上限額に外来・入院の区別はなく、合計額となります。

階層区分 階級区分の基準()内の数字は夫婦2人世帯の場合における年収の目安 自己負担上限額患者(負担割合2割・外来+入院)
一般 高額かつ長期 高額かつ長期のうち人工呼吸器等装着者
生活保護 0円 0円 0円
低所得Ⅰ 市町村民税非課税(世帯) 2,500円 2,500円 1,000円
低所得Ⅱ 5,000円 5,000円
一般所得Ⅰ 市町村民税 課税以上7.1万円未満 (約160万円~約370万円) 10,000円 5,000円
一般所得Ⅱ 市町村民税 1.7万以上25.1万円未満約(370万円~約810万円) 20,000円 10,000円
上位所得 市町村民税25.1万円以上 (約810万円~) 30,000円 20,000円
入院時の食事 全額自己負担

引用元;厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律の概要

必要書類・申請手順

医療費助成制度を活用して特定医療費の支給認定を受けるためには、下記の必要書類を都道府県・指定都市へ提出する必要があります。

・特定医療費の支給認定申請書
・診断書(臨床調査個人票)
・住民票
・市町村民税課税証明書など課税状況が確認できる書類
・保険証の写し
・同意書

必要に応じて、下記の書類が求められる場合もあります。

・人工呼吸器等装着者であることを証明する書類
・世帯内に申請者以外に特定医療費または小児慢性特定疾病医療費の受給者がいることを証明する書類
・医療費について確認できる書類

申請後、特定医療の対象と認められる場合には、支給認定を受けることができます。
また、支給認定の有効期限は1年間で、2年目以降も毎年更新手続きをする必要があります。

更新申請では、都道府県が指定する医療機関による診断書が必要になりますが、「難病指定医」「協力難病指定医」のどちらも書くことができます。

なお、医療受給者証の受け取りは3ヶ月ほどかかるため、申請は早めに行うようにしましょう。受け取りまでの間に指定医療機関での診察・治療に医療費がかかった場合には、遡って払い戻しの申請ができます。

申請から医療費受給者証豊富の流れ
申請から医療費受給者証豊富の流れ

まとめ

難病・指定難病の多くは長期治療が必要とされています。診断を受けた場合には、疾病自体に対する不安はもちろんのこと、金銭的な不安も大きいでしょう。日本では、長期にわたる治療に専念できるよう、指定難病患者の方の医療費負担を軽減するために医療費助成制度を整備しています。さらに、万が一に備えた生命保険は、指定難病と診断された後でも加入できる保険商品もあります。

指定難病の診断を受けた際には、金銭的な負担をできるだけ軽くできるよう、利用できる制度や生命保険をぜひ活用してください。

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