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就業不能保険とは?必要?不要?どんな人におすすめ?

最終更新:2022/04/08 13:18

万が一病気や怪我で働けない就業不能な状態になってしまったとき、給与のように保険金として保障を得られる保険に就業不能保険があります。就業不能保険はなぜ必要なのか。どのようなメリットやデメリットがあるのか。就業不能保険を選ぶポイントや就業不能保険が向いている方について解説していきます。

就業不能保険とは?

病気や怪我で働けない状態になったときに、保障を得られる保険として就業不能保険があり、加入することで、収入が長期間得られない状態になったとしても給与のように保険金を毎月得られます。
就業不能保険の仕組みや保険料、保険期間、支払い条件などについて見ていきましょう。

就業不能保険の保障の仕組み

就業不能保険は病気や怪我で働けない状態になり、所得が減少したときに保険で保障されるものです。

就業不能保険の保障の仕組み
就業不能保険の保障の仕組み

得られる給付金は保障の対象となる被保険者の年収に応じて設定され、おおよそ保険金は月10万円や15万円など、5万円ごとに設定ができます。
保障を受けられるのは働けるようになるまでや最長2年など保険会社によって異なります。

就業不能保険の保険料

就業不能保険の保険料は、同じ保険金額であれば年齢や性別、職業よって決まります。
年齢が上がればその分、病気のリスクが上がるので保険料は上がり、また、職業は働けなくなるリスクが高い職業では保険料は上がります。

例えば、建設機械業や危険物の取り扱いのある技術者などは高くなります。一般には一度契約をしたら支払う保険料は変わらないことが多く、また、男女によって支払う保険料に違いはありません。

就業不能保険の保険期間

就業不能保険の保険期間は現役で働いている期間となっています。
60歳や65歳など所定の年齢までと定められており、概ね、50歳~70歳くらいまでの期間で、5年単位で設定可能です。就業をいつまでするかによって期間は設定されることが多いでしょう。

就業不能保険の支払い条件

就業不能保険は「就業不能状態」とされたときに、保険金が支払われます。
保険会社によっても定義は多少異なりますが、主に病気や怪我で入院したときや在宅療養となり、働けない状態になったときになっています。保険会社によっては在宅療養でも有料老人ホームや介護保険施設、障害者支援施設での療養を認めているケースもあります。
ただし、うつ病などの精神病を基因とする就業不能は入院であっても、在宅療養であっても保障の対象外となっていますのでしっかり覚えておきましょう。

新型コロナウイルスに感染した場合は?

新型コロナウイルスに感染した場合には、入院や治療によって長期間仕事を休む可能性があります。
その場合には就業不能保険の契約内容によっては給付金が出るケースがあります。
就業不能保険は就業ができない状況になっても60日以上や180日以上の就不能状態にならないと給付の対象になりませんので注意が必要です。

就業不能保険と他の保険との違い

就業不能保険とよく似た保険に、「所得補償保険」と「収入保障保険」があり、いずれも、毎月給与のような形で保険金を受け取りますが、別のものです。
それぞれと就業不能保険との違いについて見ていきましょう。

所得補償保険との違い

所得保障保険は病気や怪我で働けなくなったときに給付金が得られますが、就業不能保険との違いは保険金額や保険期間、補償の支払い期間、給付金の受け取り方法にあります。

就業不能保険の保険金額が10万円~50万円で5万円刻みで設定ができるのに対して、所得補償保険は収入の60%前後となっています。
保険期間についても、就業不能保険は50歳から70歳までの5年ごとに設定できる一方で、所得補償保険の保険期間は1年から5年ごとに毎回更新ができる形になっています。
保障の支払期間は前者が保険期間満了までに対して、後者は1年から3年となっており、また、給付金の受け取り方法は就業不能保険が保険期間満了まで毎月一定得られるの対して、所得補償保険は支払期間が1年から3年なので毎月一定金額を1年~3年受け取る形になります。

収入保障保険との違い

収入保障保険は被保険者が亡くなったり高度障害になったときに給付金が得られる保険です。
残された家族の生活を支えるための死亡保険であり、就業不能保険は働けなくなることへの保障なので目的が異なります。
そこで就業不能保険との主な違いは保険金額にあります。
就業不能保険が10万~50万円までの間で設計が可能で収入による上限があるのに対して、収入保障保険の保険金額は加入時に自由に設計が可能です。

保険期間、支払い期間、受け取り方法などは大きな差はなく、どちらも保険期間は50歳から70歳まで、保険の支払期間は保険期間満了まで、受け取り方法は毎月一定の保険金が保険期間の満了まで支払われる形です。

就業不能保険の必要性

就業不能保険はどのようなときに必要なのでしょうか?
病気や怪我によって入院や手術をして治療費がかかったり、仕事ができず収入が減少することなど具体的な働けないリスクについて確認しつつ、公的な健康保険による保障も合わせて見ていきましょう。

病気やけがになるとどれくらい費用がかかる?

そもそも、病気や怪我で入院したり手術をしたときにはどれくらい費用がかかるのでしょうか?
生命保険文化センターによる2019年(令和元年度)の『生活保障に関する調査』では、1日あたりの治療費の自己負担額は入院1日につき平均2万3000円程度となっています。
厚生労働省の『平成29年(2017年)患者調査』によると平均入院日数は15.7日なので、1回の入院による平均的な自己負担額は35万円前後と言えるでしょう。

ただし、平均の入院日数といってもどんな病気で入院をするかによっても変わってきます。
特に三大疾病病の一つ、脳卒中の平均入院日数は厚生労働省の『平成29年(2017年)患者調査』によると80日、高血圧性疾患では30日前後となっておりいずれも平均入院日数を上回っています。
これらの病気で入院した場合には、100万~200万円前後の自己負担額になることが予測されるので、貯蓄だけで乗り切るのは少々厳しい側面もあるかもしれません。

収入が減っても払い続けなければいけない出費は?

入院している期間はもちろん働けないので備えが必要です。治療費だけでなく、家賃や住宅ローンの返済、子どもの学費などといった支出への備えも必要になってきます。
長期間に渡って就業不能状態担った場合には、公的な健康保険組合では働けない期間を給与の3分の2を支給する傷病手当金や、働けなくなったときへの障害年金などは準備されています。ただし、
傷病手当金や障害年金だけでは住宅ローンの返済などはまかないきれないのが現状です。

用途分類 支出金額(月額)
食料 77,431円
住居 19,292円
電気代 10,734円
ガス代・その他 5,877円
上下水道料 5,226円
家具・家事用品 12,079円
被服・履物 12,935円
保健医療 12,662円
交通 7,684円
自動車等関係費 31,054円
通信 16,206円
教育 18,529円
娯楽・旅行・教養 31,948円
交際費 17,402円
諸雑費(美容・たばこ等) 24,995円
こづかい(使途不明) 11,897円
仕送り金 7,901円
合計 323,853円

※総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」より、二人以上の世帯の勤労者世帯の世帯あたり月間支出

厚生労働省の2019年の家計調査によると、日本の2人以上の勤労者世帯の消費支出は月平均約32万円前後で、これに加え、住宅ローン返済世帯では1か月あたりの住宅ローン返済額が月平均約9万円前後かかっています。
病気や怪我で働けなくなってもローンの返済は必要ですから、この費用への備えをしておくと大きな助けになります。

公的保障はどのようなものがある?

就業不能保険の検討を考える前に、公的な健康保険による保障をおさえておきましょう。
代表的な公的保障には傷病手当金や障害年金、高額医療費制度があります。

傷病手当金

傷病手当金は健康保険組合に加入している会社員や公務員が病気や怪我で働けない状態になったときに支給を受けられるものです。
業務外の事由による病気や怪我の療養のため、仕事に就くことができない状態が連続して3日以上続いており、その間に給与の支払いがない場合に申請すると健康保険組合が支給を行います。
支給額はそれまで支払われていた給与の3分の2で、期間は最長1年半となっています。

障害年金

障害年金は病気や怪我で生活や仕事が制限される場合に申請をすれば受け取ることのできる年金です。
国民年金に加入している方は障害基礎年金、厚生年金に加入している方は障害厚生年金を受け取ることができ、認定を受けた障害の等級によって受け取れる金額は変わってきます。

障害等級の認定を受ける際には初診から1年6か月経っている必要性があります。
その間、会社員や公務員は傷病手当金でそれまで支払われていた給与の3分の2は得られますが、自営業の方は障害年金を受給できるまでは生活費を備えておいたほうがよいでしょう。

高額療養費制度

入院生活が長くなり、働けない期間が長くなると、その分入院費の医療費もかさんできます。1か月の医療費が高額になると、一定の自己負担額を超えた分に関しては後で払い戻される高額療養費制度という公的な健康保険の仕組みもあります。

年収 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
低所得者
(被保険者と扶養家族の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合)
8,000円 15,000円
低所得者
(被保険者が住民税の非課税者等の場合)
24,600円
一般所得者 18,000円
(年間上限14.4万円)
57,600円
(多数該当は44,400円)
現役並みⅠ
(標準報酬月額28万~50万円で
高齢受給者証の負担割合が3割の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)✕1%
(多数該当は44,400円)
現役並みⅡ
(標準報酬月額53万~79万円で
高齢受給者証の負担割合が3割の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)✕1%
(多数該当は93,000円)
現役並みⅢ
(標準報酬月額83万円以上で
高額受給者証の負担割合が3割の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)✕1%
(多数該当は140,100円)

※出典:全国健康保険協会「70歳以上の方の高額療養費の上限額が変わります」

月の給与が28万~50万円前後の方の場合、月の医療費の限度額は8万円前後になります。
また、医療費が高額になりそうな場合は事前に「限度額適応認定証」を健康保険組合に申請すれば、医療機関での支払額を自己負担額まで抑えることもできます。
過去12か月以内に3回以上高額医療費制度を利用した方がさらに続けて限度額を超えそうな場合には多数回該当で医療費はさらに下がる仕組みもあります。

就業不能保険のメリット

就業不能保険には「働けなくなった場合のリスクを軽減」「公的保障でまかなえない部分をカバー」「医療保険の不足部分をカバー」といったメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

働けなくなった場合のリスクを軽減

病気や怪我で働けない状態になっても、家族の食費や水道光熱費などの生活費、住宅ローンの支払いなどがある場合にはそれらの必要はかかってきます。
就業不能保険に加入すれば、これの経済的なリスクに対して備えることができ安心できます。
傷病手当金など公的な保障と合わせて、保険料を調節できる就業不能保険もあります。

公的保障でまかなえない部分をカバーできる

会社員や公務員であるならば、公的な健康保険の傷病手当金により給与の3分の2は保障を得られます。
ただし、給付を受けるまでには審査期間もあり、すぐに対応できるわけではなく、また、3分の2とはいえ給与よりも目減りすることは確実です。特に精神疾患や脳卒中になると入院生活は長引く傾向があります。
その間の生活費をどうするのか。月10万~15万円の保障を得られる就業不能保険に入っておけば、公的な保障でまかなえない部分もカバーできます。

医療保険の不足部分をカバーできる

就業不能保険は医療保険による不足分をカバーできるのもメリットです。
医療保険はあくまで病気や怪我による入院や手術に対して入院給付金や手術給付金が得られるものなので、退院後の在宅療養や日々の生活費まではカバーしていません。
病気や怪我による療養が長引いて働くのが難しくなってしまった状態のときに、就業不能保険があれば在宅療養などに対しても保障を得ることができます。

ただし、就業不能状態は保険会社によって定義が異なります。自己判断で会社を休んでいる場合には保障の対象外になるケースもあるのでその点は気をつけておきましょう。

就業不能保険のデメリット

就業不能保険にはいくつかデメリットもあります。「支払い対象外期間がある」「精神疾患が対象外の商品も多い」という点です。これらについて見ていきましょう。

支払い対象外期間がある

就業不能保険には支払対象外期間が設定されています。
就業不能状態が60日など一定期間を越えて働けない状態になったときに、就業不能保険による給付を受けることができますが、短期間の入院の場合には医療保険や自身の貯蓄でまかなう必要があります。
保険を検討する際に支払い対象外期間についてはしっかり確認をしておきましょう。

精神疾患が対象外の商品も多い

就業不能保険にはうつ病などの精神疾患による就業不能状態が支払対象外になっている商品も多いことはデメリットです。
精神疾患はいつ罹患したのか、そしていつ回復したのかなどの病状の判断が非常に難しく、また一旦快方に向かったかと思いきや、再発症することも珍しくありません。
そのため、どの期間を保障の対象とするかが難しいので対象外にしている保険会社が多いのです。
とはいえ、保険会社のなかには精神疾患を就業不能保険の保障としている商品を提供しているものもありますので、契約を検討する際にはしっかりと傷病の範囲を確認しましょう。

就業不能保険を選び方のポイント・注意点

就業不能保険を選ぶ際に見ていきたいポイントは、「公的保障の確認」「働けなくなった際の支出の確認」「就業不能状態の条件」です。それぞれのポイントについて見ていきましょう。

もしものときに受けられる公的保障を確認する

会社員や公務員の場合には、公的な健康保険に加入しているため、傷病手当金や障害年金などの公的な保障を受けられます。
また、企業によってはさらに働けなくなったときに備えて企業組合が保障を準備しているケースもありますので、まずは自身の加入している健康保険組合の保障を確認しましょう。

自営業の場合には加入しているのは、国民健康保険なので傷病手当金は受け取れません。
また、障害年金は国民年金部分の障害基礎年金は受け取る事はできても、厚生年金に加入していないので障害厚生年金を受け取ることができませんので、就業不能保険を厚くすることを検討しましょう。

働けなくなったときに不足する額を確認する

働けなくなった際に公的な健康保険組合による保障はどの程度あるのか、そして、現在の収入と自身の家計がどれくらいあるのかを確認して、働けなくなったときに不足する金額をしっかり確認しておきましょう。
その足りなくなった金額について就業不能保険を検討するのがおすすめです。

就業不能状態の条件を確認する

保険会社によって精神疾患を就業不能状態から外すなど、就業不能保険の支払い条件や支払い対象期間は異なってきます。
月々支払う保険料だけでなく、就業不能保険の保障内容や条件をしっかり確認した上で検討を行いましょう。

就業不能保険はどんな人におすすめ?

就業不能保険はどのような方に向いているのでしょうか?

自営業やフリーランスの方

自営業やフリーランスの方が加入するのは国民健康保険なので、傷病手当金の制度がありません。
また、障害年金も支給されるのは基礎障害年金のみで、障害認定がされるのは働けない状態と診断を受けて1年半が経過して以降ですので、それまでの生活費は自身で準備をしておく必要があります。
自営業やフリーランスの方は就業不能保険に加入して、働けなくなる状態に備えておくほうが賢明でしょう。

貯蓄が十分にない方

貯蓄が十分にない方や心もとない方も就業不能保険に加入をしておくと安心を得られます。
長期間働けなくなると、傷病手当金があるとはいえそれまでの給与の3分の2になってしまい、また、毎月支払う医療費は高額医療費制度があるといえ、一般的な収入の方であれば月々8万円前後かかってきます。
生活費や住民税、社会保険料などは払っていかないといけませんので、貯蓄が十分にない方も検討しておくとよいでしょう。

まとめ

病気や怪我で働けない状態に備える就業不能保険。公的な健康保険の保障が薄い自営業やフリーランスの方や貯蓄が十分にない方にとっては心強い存在になるはずです。
自身の加入している公的な健康保険の保障内容などをしっかりと確認した上で、自身に必要な保険を選んでいきましょう。

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