ETF初心者入門

【第3回】日本株下落相場にETFで対応する - 東証ETF 東証ETF

最終更新:2022/05/09 15:42

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFの活用方法 ]

【第3回】

日本株下落相場にETFで対応する

日本株市場の下落時に対応するには?
相場の下落時に収益を得る投資手法としては「信用取引の売り」「先物・オプション取引の活用」などがあります。
これらの取引をすでに活用していて、心理的な抵抗がない投資家もいらっしゃるでしょうが、信用取引や先物・オプション取引は、それぞれ専用口座を別途開設する必要がありますし、少額資金(証拠金)で大きな金額の取引をすることに危惧を感じる方もおられると思います。
「追い証(追加証拠金)」の発生する可能性がある信用取引や先物取引等を使わず、相場の下落時に利益を得られる投資信託としては、以前からベアファンドと呼ばれる追加型投資信託がありましたが、今年4月、このベアファンドのETF版「インバース型ETF」が登場しました。
第1回で提示した2つの基本ポートフォリオにおいて、日本株の比率はいずれも全体の10%ですので、一時的に日本株市場が下落しても資産全体が大きく目減りするということにはならないでしょう。
とはいえ、短期的に日本株市場の大きな下落が予想できるような局面では、何らかの対応をしておくことも一案です。その際、「インバース型ETF」を活用できれば、せっかく構築した基本ポートフォリオの一部である日本株ETFを売却することなく、日本株の値下がりによるマイナスに備えることが可能になります。
インバース型ETFの特徴
特徴1:原指数の日々の変動率と反対の動きをする指数への連動を目指す
"反対の動きをする"というのは、例えば日本株が5%値下がりした場合、インバース型ETFの価格は5%値上がりするということですが、このときの変動率は「一日分の変動率」を指しています。2営業日以上離れた期間で見ると(特に相場が上下を繰り返した場合などには)複利効果が働いて、反対の動きからはずれていく可能性があります。
特徴2:分配金はあまり期待できない
ETFは、利子・配当等のインカムゲインについては経費控除後、すべて分配金として出す仕組みになっていますが、インバース型ETFの運用は株価指数先物の売り建てを活用するため、現物の株式は保有しません。短期金融商品の利息収入は得られますが、分配金についてはゼロかごく少額である可能性が高いといえます。
特徴3:非上場のベアファンドとの違いは?
ベアファンドは1日1回算出される基準価額で購入・換金しますが、インバース型ETFは、市場価格で売り買いされます。すなわち、当日中に買って売るといった取引も可能です。ただし、市場価格は需給によって決まりますので、必ずしも基準価額と同一にはならず、また株式と同様に価格がつかずに、売買ができないこともありえます。
また、信託報酬や売買手数料等のコストを比較すると、インバース型ETFの方が非上場のベアファンドよりも低めであるといえます。
「TOPIXベア上場投信(1569)」を活用する
インバース型ファンドは現在2本あります。
一つはTOPIXの値動きを基準とする東証上場の「TOPIXベア上場投信(1569)」、もう一つは日経平均を基準とする大証上場の「日経平均インバース指数ETF(1571)」です。
ここでは「TOPIXベア上場投信(1569)」を使った場合を例として、相場下落時の活用方法を考えます。
日本株の値下がりへのヘッジとして考えるのであれば、「TOPIXベア上場投信(1569)」への投資金額は、基本ポートフォリオで保有している「 TOPIX Core 30 連動型上場投資信託(1311)」と同額程度をめどにしましょう。もちろん相場の下落を強く確信しているのであれば、それ以上の金額分を購入することも考えられますが、思惑が外れて相場が上昇することもありえます。
あくまで保有する日本株部分の値下がりに対するヘッジ手段として考えるのか、短期の相場下落を期待して利益を得ようとするのか、といった投資目的を事前に明確にしておく必要があるでしょう。
 
「TOPIX Core 30連動型上場投資信託」(1311):緑と 「TOPIXベア上場投信」(1569):赤の対比チャート

神戸 孝(かんべ たかし)氏プロフィール
FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役
早稲田大学法学部卒業。三菱銀行、日興證券を経て、99年FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。日興證券勤務時代を併せるとFP歴は約25年、資産運用に強いFPの第一人者として評価が高い。日本FP協会理事、金融庁金融経済教育懇談会委員、金融庁金融審議会専門委員などを歴任する。
著書:
勝つ投資信託(2011年3月発行)朝日新聞出版、地獄を見た11人の天才投資家たち(2010年11月発行)道出版(共訳) ほか多数


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