【第6回】コア・サテライトの実際−コアとサテライトという考え方 - ETFの応用 - ETF

投稿日:2013/06/27 最終更新日:2022/11/01
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ETF [ ETFの応用 ]

【第6回】

コア・サテライトの実際

前回はコア・サテライト戦略の基本を考えてみました。今回は、実際にETFを活用してポートフォリオを組んでみます。コア・サテライト戦略の基本は、ポートフォリオをコア(中核)となる部分と、サテライト(非中核)に分けて構築するものです。その際に、コア部分では低コストで広範に分散投資されたインデックスファンドを利用し、サテライト部分では、アクティブ運用型の商品や個別銘柄などを活用するというものです。そうすることで、コア部分で市場平均程度のリターンを確保しつつも、サテライト部分で市場平均を上回るリターンの獲得を目指し、ポートフォリオ全体としても、リスクとコストを抑えながら、市場平均に勝つ可能性を追求することが可能であるという考え方を基本としています。

実際にコアとサテライトにどのようなファンドや商品を利用するか、コアとサテライトの配分をどの程度とするかなどは、投資家の保有資産の額や内訳、リスク許容度、志向、ニーズにより異なります。

最初にアセットアロケーションを決めます。ここではオンラインで利用できるアセットアロケーションのシミュレーションを利用してみました。いくつかの質問事項に答えることで、適切なアセットアロケーションをはじきだしてくれるというものです。その結果、私は収益追求型の投資家であり国内債券26%、国内株式40%、国外債券14%、国外株式20%が適しているというアロケーションが表示されました。以前「ETFでポートフォリオを作成する」で紹介したジョン・C・ボーグルの「年齢と同じ割合で債券を保有する」という彼の好む経験則に従うと、40代の私は債券を40%保有することになるので、概ね同じような配分が示されたことになります。

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次に、国内株式、国内債券、国外株式、国外債券のそれぞれの部分について、コアとサテライトに分けて検討します。

国内株式について

国内株式のコア部分には最も広範をカバーするTOPIX連動型のETFを組み入れることにします。2010年12月末日現在、東京証券取引所にはTOPIX連動型のETFが4本上場されていますが、その中で運用管理費用が0.078%と最も低い「MAXIS トピックス上場投信」(銘柄コード1348)を選択しました。サテライトについては、個別銘柄を組み入れます。コア部分とサテライト部分をどのように分割するかも、投資家のリスク許容度などにより異なりますが、ここでは80%をコア、20%をサテライトという配分にします。国内株式以外の資産についても同じ配分とします。サテライトではより値動きの大きい商品を選択するため、その部分が半減、あるいはゼロになってしまうという最悪のシナリオを描いた場合に、自分が許容できる範囲がその程度という理由からです。

国内債券について

2010年12月末現在、東京証券取引所には国内債券型のETFは上場していません。そこで、一般の投資信託の中から国内債券型の投資信託を選択しました。日本の債券に投資するインデックスファンドの中から広範な債券を対象としており、信託報酬が安いという理由で「ノムラ日本債券インデックス」を選択します。サテライトについては、国内の社債の中から個別銘柄を選択します。

国外株式について

コアには、日本を除く世界の先進国23カ国の株式市場に分散投資する「MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信」(銘柄コード:1550)を組み入れます。サテライトには、インド株式に投資するETF「NEXT FUNDS インド株式指数・S&P CNX Nifty 連動型上場投信」(銘柄コード1678)を組み入れます。「NEXT FUNDS インド株式指数・S&P CNX Nifty 連動型上場投信」はインデックスファンドですが、新興国市場であること、為替リスクもあること、また、ボラティリティが高いことから、ここではアクティブの代替として扱うということです。

国外債券部分について

コアには、世界22カ国の国債市場を対象とした「上場インデックスファンド 海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型」(銘柄コード1677)を組み入れます。ここでも、アクティブ運用の債券ETFは上場していませんので、香港、韓国、シンガポール、中国、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンの国債・公債に投資するETFである「ABF汎アジア債券インデックス・ファンド」を代替としてサテライトとして利用します。

結果として、次のようなポートフォリオが構築されました。

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国内の取引所に上場しているETFだけで厳格な意味でのコア・サテライト戦略を構築することはできませんが、ETFを活用することでコストはかなり抑えられます。株式や公社債の個別銘柄を利用する場合には、売買単位の問題から、資金面で組み入れが困難な場合も考えられます。また、一般の投資信託を利用する場合には、信託報酬がETFよりも高い傾向にあるため、コスト上昇の要因になることがあるので注意が必要です。ETFの中でも、一般的に、国内より海外を対象としたETFの方が、そして、先進国市場より新興国市場を対象としたETFの方が管理運用費用が高くなる傾向にあります。今回利用したETF等の管理運用費用は次の通りです。

各ファンドの年間管理運用費用は次の通りです。

・MAXIS トピックス上場投信 0.078%

・ノムラ日本債券インデックス 0.3885%

・MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信 0.25%程度

・NEXT FUNDS インド株式指数・S&P CNX Nifty 連動型上場投信 0.95%

・上場インデックスファンド 海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型 0.25%程度

・ABF汎アジア債券インデックス・ファンド 0.20〜0.25%程度

今回のポートフォリオは、ETFを活用したシンプルなコア・サテライト戦略の一例ですが、広く分散を図りながら、コストも抑え、一方で、インド株式や個別銘柄というサテライトを組み込むことで、インデックスに勝つ可能性も追求するというコア・サテライト戦略が組まれています。また、今回利用したアセットアロケーションのシミュレーターでは、国内株式、国内債券、国外株式、国外債券という4つの資産でのアロケーションが表示されるものでしたが、不動産投資信託や商品を含めたシミュレーターを利用すれば、より分散されたアロケーションが提示されるでしょう。また、日本で購入可能な海外上場のETFを活用することで、ETFだけでポートフォリオを組むことも可能にはなりますが、海外ETFの場合は、管理運用費用が低く抑えられていても、国内の証券会社に支払う売買手数料、外国証券取引口座の口座管理費、為替手数料、海外で発生する手数料を合わせると、かなりの額の費用負担が発生することがあるので注意が必要です。

 
執筆:トーキョー・インベスター・ネットワーク(掲載日:2011年05月13日)

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