医療保険とは?生命保険との違いは?
医療保険の種類には「公的医療保険制度」と民間の保険会社が販売する「医療保険」があります。
国の公的医療保険サービスがベースにあり、そこで受けられない保障やサービスを追加するために民間の医療保険を利用するというのが基本の考え方です。
公的医療保険制度には、健康保険や共済組合などがあります。そして、高度医療費制度や出産育児一時金など、状況に応じた保険制度も。
一方、民間の医療保険には「先進医療特約」や「ガン診断一時金特約」「三大疾病特約」などさまざまな保障内容があります。
保障内容を理解してメリットデメリットを把握した上で、自身にあった医療保険を見つけていきましょう。
「公的医療保険」と「民間の医療保険」の違いとは?
「公的医療保険」と「民間の医療保険」はどのような違いがあるのでしょうか。
加入義務 | 加入目的 | 主な制度・種類 | |
公的医療制度 | 強制加入 | 国民生活の安定・福祉向上 | 健康保険・高額療養費制度 |
民間医療保険 | 任意加入 | 公的医療制度ではカバーできない保障への備え | 医療保険・がん保険 |
公的医療保険制度は法律により定められており、全国民が強制的に加入させられています。
加入の目的は国民生活の安定や福祉の向上で、健康保険制度や高額医療費制度などの種類があります。
一律で国民全員が保険に入り、病気や事故で医療機関にかかった際に健康保険制度を用いれば、現役世代ならば3割の自己負担で済むようになっています。
一方で民間の医療保険には加入義務はありません。個人の判断による任意での加入です。
目的は公的な保障のみでは不安な場合に備えることで、がん保険や定期医療保険など様々な種類があります。
公的な医療保険に上乗せして個人で必要な保険を選ぶのが良いでしょう。
医療保険の保障範囲
それでは、医療保険の保障範囲についても具体的に見ていきましょう。
病気や怪我で亡くなってしまった場合は生命保険の範疇です。入院したり手術を受けて治療を受ける場合は、医療保険に入っておけば入院給付金や手術給付金が支払われます。
また、自宅で療養したり働けない状態になった場合には「就業不能保険」や「介護保険」の範疇になります。
病気や怪我をして医療機関にかかった際に、保障が受けられるのが医療保険と覚えておきましょう。
医療保険と生命保険の違い
医療保険は「病気や怪我で入院したり手術をしたときに給付金を受けられる」ものです。
一方で生命保険は「被保険者が亡くなったり高度障害状態になったときに、保険金を受け取れる」ものです。
生命保険では死亡した時でなければ保険金は受け取れず、病院にかかったときに給付金を受け取る場合には別途特約に加入する必要があります。医療保険は病気や怪我で医療機関にかかったときに給付金が支払われる保険です。その違いを認識しておきましょう。
項目 | 生命保険 | 医療保険 |
保障内容 | 死亡保障 | 医療保障 |
保障期間 | 10年~終身 | 10年~終身 |
加入年齢上限 | 満75歳まで | 満85歳まで |
払込期間 | 満50歳~終身 | 満60歳~終身 |
生命保険の加入上限が満75歳までに対して医療保険は満85歳まで加入が可能。
また、医療保険の払込期間は加入上限年齢が10歳伸びている分、満60歳から終身となっています。
その辺りもわずかな差ではありますが覚えておくと良いでしょう。
医療保険の加入率
日本の医療保険の加入率は、世代によっても違いますが全体で70%以上を超えて非常に高い水準で推移しています。
年齢別に見ると20代の加入率は40%台ですが、30代になると70%台です。
また、40代の加入率は男性79.1%、女性80.3%となっています。
病気や怪我の備えとして医療保険が必要とされているのが見えてくるのではないでしょうか。
医療保険に加入する際のポイント・注意点
まず、公的医療制度をベースにして、さらに必要な保障を考えた上で検討していくことが求められます。
勤務先の健康保険でどのような保障があるかを確認して、自身に必要な医療保険を考えましょう。
注意したいのは年齢です。医療保険は年齢が上がると保険料も上がっていくのが一般的です。
年齢を重ねるほど健康診断の数値などで保険契約に引っかかる可能性も出てきます。既に医療保険を契約していて、解約して切り替える場合にも注意が必要です。
というのも、保険を解約してしまったのにも関わらず、次の医療保険に健康状態などが理由で入れない場合には保障が受けられなくなってしまうからです。保険契約の切り替えなどには十分気をつけましょう。
公的医療制度の種類とそれぞれの保障内容
医療保険には「公的な医療保険」と「民間の医療保険」があります。
まずは、公的な医療保険について理解をしていきましょう。
公的医療保険の分類
公的な医療保険には「健康保険」や「共済組合」「船員保険」「国民医療保険」などの種類があり、どのような立場かによって加入する医療保険は異なります。それぞれの種類を見ていきましょう。
健康保険
健康保険はサラリーマンやOL、会社員に扶養されている家族が加入する公的な医療保険です。
主に大企業の従業員が加入する組合掌握健康保険と、その他の中小企業を中心とした従業員が加入する協会掌握健康保険があります。一般的なサラリーマンが加入しているものと覚えておきましょう。
共済組合
共済組合は公務員や教職員、また公務員や教職員に扶養されている家族が加入する公的な医療保険です。
国家公務員が加入する国家公務員共済組合、地方公務員が加入する地方公務員共済組合、私立学校の教職員等が加入する日本私立学校振興共済事業団などがあります。
公務員が加入するのが共済組合とおぼえておきましょう。
船員保険
航海士など船に乗って仕事をする船員や、船員に扶養される家族が加入するのが船員保険です。
船員保険が別のくくりになっているのは歴史的な背景があります。保険の起こりは大航海時代にイギリスが船の出港費を投資家から募ったことから始まっており、船に乗る船員にも保険がかけられていました。
また航海期間が長くなれば定住せず住所も持たないのが一般的だったので保障を受けられるために別途船員保険というくくりが作られたのです。
国民健康保険
自営業の人や無職の人、また自営業者や無職の人に扶養されている方が入るのが国民健康保険です。
これまで説明した他の制度に加入していない人のための医療保険制度です。住んでいる地域の市町村が保険者になって運営しています。
公的医療保険の保障内容
公的な医療保険の保障内容についても把握していきましょう。
「療養の給付」や「高額医療費制度」「後期高齢者医療制度」「出産育児一時金と出産手当」「傷病手当」など状況に応じてさまざまな保障内容が準備されています。
医療費の給付
病気や怪我で医療機関を受診した時、健康保険証を提示すると医療費の7割を給付してもらえます。自己負担は3割となっています。
年齢によって負担割合は異なってきます。小学校入学前の乳幼児は2割負担ですが、自治体による上乗せ給付がある場合は自己負担分が不要なケースもあります。
満70歳から74歳の高齢者は一般的には2割負担ですが、現役世代並の所得がある場合は3割負担になるケースもあります。
高額療養費制度
高額な医療費を払い、1か月あたりの自己負担金額が増えた場合には、一定額を超えた分が給付される高額医療費制度もあります。
例えば、月100万円の医療費がかかった場合、自己負担分は3割で30万円になります。月30万円の医療費は一般的なサラリーマンにとっては月の収入の多くを占める金額です。
高額療養費制度を利用すれば、標準報酬月額が28万~50万円の場合、高額療養費制度として21万円が支給されます。
後期高齢者医療制度
75歳以上の方が加入する独立した医療保険「後期高齢者医療制度」もあります。75歳以上の方は加入し、医療機関で払う医療費の自己負担割合は1割です。
ただし、現役世代並の所得がある方は3割負担です。後期高齢者医療制度は各都道府県の広域連合が運営しており、給付申請や保険料の徴収は市区町村単位で行われます。
本人が75歳になり後期高齢者医療保険に加入したものの配偶者が74歳以下の場合はどうなるのでしょうか。
夫婦ともに国民健康保険に加入している場合、本人だけが後期高齢者医療制度に加入することになり、配偶者は国民健康保険を継続する形になります。この場合、手続きは必要ありません。
本人が健康保険に加入していて配偶者を扶養していた場合、配偶者は国民健康保険などに切り替わることになり、この場合は手続きが別途必要なので注意が必要です。
75歳の後期高齢者になった際には自身の公的医療保険がどのようなサービスだったかを確認しましょう。
出産育児一時金・出産手当金
子どもが生まれた際には出産費用として原則42万円の出産一時金が支払われます。
健康保険組合等では他に出産手当金が受け取れます。出産手当金の金額等は加入している健康保険組合で確認をしましょう。
妊娠4か月以上の出産であれば早産や死産、流産でも支給の対象になります。
傷病手当金
病気や怪我で務めている企業を休むことになり給与が支払われなくなった時、生活を保障してくれるのが傷病手当金です。
傷病手当金を受け取るには条件があります。業務外の事由による病気や怪我による休業であること、仕事に就くことができないという医師の診断、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと、休業した期間について給料の支払いがないことが条件です。
通勤中の怪我や業務に関する病気の場合、労災から補償を受けるため傷病手当金の支給はないことに注意しましょう。
公的医療保険の注意点
公的医療保険は非常に頼りになる存在です。まずは自身の加入している公的医療保険の給付内容を十分に理解しておきましょう。
公的な医療保険でどこまで保障が可能か知っておけば病気や怪我にも備えられます。また、公的な医療保険の保障だけでは不安な人はその分の貯蓄をしたり、民間の医療保険に加入して備えておくと良いでしょう。
日頃から安心できるだけの備えをしておくことが重要です。
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医療保険の種類とそれぞれの保障内容
民間の医療保険は病気や怪我に備えられる医療保険です。
民間の医療保険の保障内容やその種類を理解して、病気や怪我に備えましょう。保障内容や種類について解説していきます。
民間の医療保険とは?
国が用意する公的医療保険と違い、民間の保険会社がサービスを提供しているのが民間の医療保険です。
病気や怪我で医療機関にかかったときに、その入院費や手術費に対して入院給付金や手術給付金が受けられます。
特約を付けることによって先進医療やがんなどに対しても備えることができます。
医療保険の主な保障内容
民間の医療保険の保障内容は主に「入院給付金」と「手術給付金」になります。病気や怪我で入院したり、手術を受けた時に給付金が支払われます。
◆入院給付金
病気や怪我で入院したときに支払われるのが入院給付金です。
昨今では手術技術の進化により入院日数も短期化している傾向があります。1回の入院日数が定められている入院給付金は60日程度で設定されていたり、一時金が支払われる医療保険が中心になっています。
◆手術給付金
病気や怪我で手術を受けたときに支払われるのが手術給付金です。どんな手術でも必ずもらえるわけではなく、給付対象となる手術は医療保険の契約条項に記載されています。
対象となる手術は保険会社が指定している88種類です。
一般的に手術給付金は入院を伴わない手術でも支給の対象になりますが、商品によっては「入院を伴う手術」を対象にしている医療保険もあります。
加入する際にどのような手術が対象になるかは確認しておきましょう。
医療保険の特約
医療保険には特約をつけることによってさまざまな保障を受けることが可能です。それぞれの保障について解説します。
◆先進医療特約
「先進医療特約」は厚生労働大臣から承認を得た高度な医療技術を受けた場合の保障です。
陽子線治療や多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術など最先端の医療技術が対象です。先進医療の具体的な費用は医療技術の種類や医療機関によって異なりますから、受診する医療機関で確認をしましょう。
◆がん診断一時金特約
がんと診断された際に、一時金が支払われるのが「がん診断一時金特約」です。
がんと診断されたら受け取れるので、入院費や治療費に使ったり、個室を希望する際に自己負担となる差額のベッド代に使うことも可能です。
◆三大疾病特約
がん(悪性新生物)や急性心筋梗塞(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)で要件を満たしたときに一時金が支払われるのが三大疾病特約です。
がんや心筋梗塞、脳卒中は代表的な生活習慣病と言われます。これらの病気への備えとして三大疾病特約は有効です。
◆女性疾病入院特約
乳がんや子宮頸がん、子宮筋腫など女性特有の病気で入院した時に、通常の入院給付金に上乗せされて支払われる保障が「女性疾病入院特約」です。
女性が安心できる入院特約と言えるでしょう。
◆生活習慣病特約
がん、脳血管疾患、糖尿病、肝疾患、心疾患、高血圧性疾患、腎疾患、膵疾患などの生活習慣病と診断されたら支払われる特約です。
三大疾病特約よりも広い範囲の病気をカバーしている特約です。
◆通院給付特約
病気や怪我で入院手術後、一定期間通院が必要と判断されたときに支払われるのが通院給付特約です。
◆退院特約
入院や手術に対して給付金が支払われる医療保険ですが、退院をしたら給付金が支払われる退院特約を付けることも可能です。
◆就業不能特約
病気や怪我で就業不能になり、その状態が一定期間継続しているときに給付金が支払われるのが「就業不能特約」です。
◆死亡保障の特約
医療保険でも亡くなった時に備えて「死亡保障特約」を付けることもできます。
ただし、その保障範囲は生命保険とも被るのでこの特約に関しては他に加入している保険と比べた上で検討することが必要です。
医療保険の種類とそれぞれの特徴
民間の医療保険には「終身医療保険」「定期医療保険」「貯蓄型医療保険」「引受基準緩和型医療保険」「無選択型医療保険」「女性保険」「がん保険」「所得補償保険・就業不能保険」などのさまざまなタイプがあります。
それぞれの医療保険の保障内容を理解して、あなたにぴったりな医療保険を見つけましょう。
終身医療保険
終身医療保険は保障が一生涯続き、保険料が変わることのない医療保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
終身医療保険は、「終身」と名前が付いているように保険期間は一生涯です。亡くなるまで一生涯にわたって病気や怪我に備えることができる保険です。
◆保険料
保険料は一定金額で変わりません。保険料の支払いには終身払いと一定の年齢で支払いを終える短期払いがあります。
◆メリット・デメリット・注意点
終身医療保険のメリットは「保障が一生涯続くこと」。そして、「保険料が上がることなく変わらないこと」になります。
一定の医療保障を得て安心したい場合には検討の候補に上がるのではないでしょうか。
デメリットは何十年も加入していると、状況にあった医療保険ではなくなる可能性があることです。
現に以前の医療保険は入院に備えたものが多かったのですが、昨今では手術技術の進化により入院期間が短期化しているため、以前加入した医療保険を見ると時代に合ったものではない可能性があります。
また、終身保障なので「医療保険を見直す機会が少なくなる」こともデメリットと言えるでしょう。
定期医療保険
定期医療保険は例えば10年など契約時に一定期間を定めて決められた期間に保険契約を終える医療保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
定期医療保険の保険期間は契約した期間で決まります。保険料は更新するまで一定ですが、更新する場合年齢が上がるので月額保険料も上がります。保障内容は入院手術に対しての保障です。
◆保険料
保険料は更新するまで一定ですが、更新する場合年齢が上がるので月額保険料も上がります。
◆メリット・デメリット・注意点
定期医療保険は決められた期間の保険料を掛け捨てで払う形になるので保険料はお得になるのがメリットです。必要に応じて、医療保険を乗り換えや切り替えがしやすいのも大きなメリットです。
一方で、定期医療保険は更新時の年齢に応じて保険料が上がるというデメリットもあります。
また、契約を更新しなければその保障が受けられないのもデメリットです。
貯蓄型医療保険
一定期間、給付金の支払いがなかった場合に祝い金や健康還付金を受け取れる「貯蓄型医療保険」も人気の医療保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
貯蓄型医療保険には終身タイプと定期タイプがあります。終身タイプの保険期間は一生涯で保険料は一定です。定期タイプは更新するまで一定ですが、更新すると保険料が上がります。
◆保険料
貯蓄型医療保険の保険料、終身タイプならば保険料は一定です。定期タイプは更新すると年齢が上がるので保険料は上がります。
◆メリット・デメリット・注意点
貯蓄型医療保険は健康に過ごすと還付金が支払われることが大きなメリットです。また、貯蓄が苦手な方は医療保険として保障を得られながら貯めることができるので貯めやすい金融商品です。
しかし、入院や手術などで給付金の支払いがあると還付はされません。また、貯蓄型なので払い込んだ保険料よりもお金が増えるわけでは有りません。
加えて、掛け捨ての医療保険よりも保険料が高くなりがちというデメリットもあります。
引受基準緩和型医療保険
一般的な医療保険よりも加入時の告知項目が少なく、3~5つの項目を確認するのが「引受基準緩和型医療保険」です。
健康状態に気になるところがある方であっても、通常の医療保険よりも加入しやすい医療保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
最大の特徴は持病がある方や健康に不安がある方でも加入ができることです。加入してから一定期間は保障範囲が一部制限されますが、その期間を過ぎると給付金の保障が厚くなります。
◆保険料
保険料は健康に不安がある方でも入れるので通常の医療保険よりも割高になります。
◆メリット・デメリット・注意点
引受基準緩和型医療保険は一般の医療保険の告知に引っかかる方でも加入しやすいのはメリットです。また、告知書がシンプルなので加入時の確認事項が少なく煩わしさは通常の医療保険よりも低減されています。
一方で通常の医療保険よりも割高になるのはデメリット。通常の医療保険に加入できる場合は、そちらを優先した方が損をせずに保障が受けられる可能性が高いでしょう。
無選択型医療保険
医療保険に加入する際、保険会社は加入の可否を加入希望者の健康状態を参考にして判断していますが、無選択型医療保険はその選択をしない医療保険です。
引受基準緩和型医療保険よりもさらに加入しやすい医療保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
無選択型医療保険は引受基準緩和型医療保険と同じように加入してから一定期間中は保障を受けられません。
その期間を過ぎれば、通常の医療保険と同じように保障が受けられます。
◆保険料
無選択型医療保険の保険料は通常の医療保険よりも割高になります。
◆メリット・デメリット・注意点
健康状態の告知が必要ない無選択型医療保険は病歴や持病があっても医療保険に加入ができるのがメリットです。
しかし、契約から一定期間は保障が受けられなかったり、医療保険加入前からの病気は給付の対象外になるなどのデメリットもあります。
保険料も通常の医療保険より割高になるので注意が必要です。
女性保険
女性固有の乳がんや子宮がん、子宮筋腫などの保障を上乗せしているのが女性保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
通常の医療保険で受けられる保証に加えて、乳がんや子宮がん、子宮筋腫などと診断された場合に上乗せして保証が受けられます。
一生涯を保障する終身タイプと一定期間を保障する定期タイプがあります。
◆保険料
保険料は通常の医療保険と比べて割高になります。また定期タイプは更新すると年齢があがるのでその分保険料も上がります。
◆メリット・デメリット・注意点
女性保険のメリットは女性固有の病気になったときに手厚い保障が受けられることにあります。一方で通常の医療保険よりも保険料が割高になるのはデメリット。
自身が安心を得たいか、それとも保険料を抑えたいかによって内容を吟味したほうが良さそうです。
ガン保険
がんと診断された場合に保障が受けられるのががん保険です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
がん保険期間は保険によっても変わりますが、さまざまな治療法や状況に応じて対応できる保険が増えています。長引く入院や通院、手術による治療費に対して保障が受けることができます。
◆保険料
がん保険の保険料はその治療法方や保障内容によって変わってきます。公的な医療保険でカバーできない部分での負担を抑えるために検討してみてはいかがでしょうか?
◆メリット・デメリット・注意点
がん保険のメリットはがんの治療、手術や化学療法、放射線治療をはじめ先進医療などさまざまな治療法に備えることができることです。
一方で、その分通常の医療保険よりも保険料の負担は増えるので家計の状況を鑑みて加入を検討しましょう。
所得補償保険・就業不能保険
働けなくなったときに備えるのが、「所得補償保険・就業不能保険」です。
◆特徴(保険期間・保険金・保障内容等)
病気や怪我で入院や理療を行うことで、働けなくなったときに備える所得補償保険・就業不能保険です。
一定の保険料を支払うことで、月10万円~50万円の給付金が就業不能になったときに支払われます。満期期間は目的に応じて40歳から70歳の間で設定が可能です。
◆保険料
所得補償保険・就業不能保険の保険料は各保険会社によってさまざまに設定されています。保険会社の支払い条件も異なることが多いので、加入前に確認をしましょう。
◆メリット・デメリット・注意点
所得補償保険・就業不能保険は、病気や怪我で働けなくなった時の支出増への対応や収入源の確保ができていない方には大きなメリットです。自営業などの方は公的医療保険制度では傷病手当金がないので加入するメリットはあるでしょう。
反対に、既に貯蓄がある方やすでにリタイアして定期的な収入を持っていない方にはメリットがない保険と言えるでしょう。
医療保険と税金
ところで、民間の医療保険は税金とどのような関わりがあるのでしょう。例えば、医療保険でおりる給付金には税金はかかるのでしょうか。医療保険と税金の関わりについて説明していきます。
医療費控除とは
そもそも、1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が一定額を超えると「医療費控除」という制度によって、所得控除を受けることができます。
具体的には以下の式で表されます。
- 総所得200万円以上:控除額=支払った医療費ー保険金などで補填された額ー10万円
- 総所得200万円以下:控除額=支払った医療費ー保険金などで補填された額ー総所得の5%
確定申告をすることで、この金額分が課税所得から差し引かれて、所得税・住民税の納税額が少なくなるのです。この控除の対象となるものには病院での診療・治療費をはじめ、治療に要した交通費なども含まれます。何が対象となるか詳しく調べ、今一度医療費を計算した上で、忘れずに確定申告をするようにしましょう。
給付金と税金
さて、医療保険と税金の関係について本題に入りましょう。まずは保険会社から受け取る給付金の扱いについてです。前提として保険会社から受け取るお金は、主に「保険金」と「給付金」の2種類に分けられます。保険金とは死亡保険金や満期保険金など、1回きりしか支払われず、支給とともに保険が満期を迎えるというお金になります。それに対して給付金とは、先ほど出てきた入院給付金や手術給付金など、一定期間に複数支払われるお金のことを指します。
実はこのうちの「給付金」について、これは金額によらず非課税なのです。生命保険文化センターのQ&Aによると、この給付金には
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 疾病療養給付金、etc...
など、様々なものが含まれます。ただし、そのなかでも「生存給付金」や「お祝い金」など保険事故に対する保障ではない給付金の類いは、「一時所得」として扱われ非課税ではありません。実際は税金を払わなくて良い場合が多いのですが、気になる方は保険会社へ確認しておきましょう。また、給付金ではあっても「保険金」という名前がついているものもありますので、この点も確認しておくと良いでしょう。
さらにもう一点、「保険金」や「給付金」は医療費控除の際にもポイントとなります。先ほどの式を見てもらえるとわかりますが、支払った医療費に対して「給付金」などの形で補填された分に関しては控除対象とはならず、差し引く必要があります。このとき差し引くのは「その病気・ケガに対して受け取った給付金」のみです。例えば、ある年に風邪を引いて医者にかかり、医療費として1000円払ったとします。同じ年、事故にあい怪我をして入院してしまい、医療費として10万円・給付金として15万円受け取ったとしましょう。また、家族の医療費として同年に20万円を払っていると仮定します。
合計の医療費は、
- 1000円+10万円+20万円=30万1000円
となります。ここで、給付金の15万円は骨折に対してのみですから、差し引くのは「事故で怪我をした際の10万円」からのみです。ゆえに計算式は、
- 控除額=1000円(風邪)+20万円(家族の医療費)+0円(怪我の際の医療費)ー10万円
なので、控除額は20万1000円となります。怪我の際の10万円ー15万円=ー5万円分は他の医療費からは差し引かれませんので覚えておきましょう。
保険料と税金
保険会社へ支払う保険料も税金と関わりがあります。実は「生命保険料控除」として、支払った保険料の分だけ所得控除を受けられるのです(上限あり)。控除の対象となるのは「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3種類です。具体的には、
- 一般生命保険料:定期保険、終身保険など
- 介護医療保険料:医療保険、介護保険、がん保険など
- 個人年金保険料:個人年金保険
の保険料が対象で、それぞれ上限は4万円ずつ、合計で12万円までが控除されます。他に詳しい条件もあるので、自分の保険の種類を保険会社に確認したり、保険料控除についてより詳しく調べておきましょう。
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医療保険はいらない?必要?
ここまで様々な医療保険の種類や、各々のメリット・デメリットについて説明してきました。ただ保険はそれなりに大きい買い物でしょう。ずばり、医療保険には入った方が良いのでしょうか。それとも不必要なのでしょうか。
実際のところ、人それぞれでしょう。前述の通り、高額療養費制度や健康保険など様々な公的医療保険があります。とはいえ入院費など医療費の他に、病気・怪我による所得の減少などもありますから、公的保険だけでは足りなくなる可能性あります。しかし人によっては、貯蓄によってまかなえる場合もあります。自分が加入している公的保険では何が・どのくらい保障されているのか、また貯蓄も合わせると急な病気・怪我にどこまで対応できるのか、事前にきちんと把握しておくようにするとともに、医療保険に加入した場合の保障・保険料のバランスをよく考え、保険に入るようにしましょう。
目的・ライフステージに応じて最適な医療保険を選ぼう
医療保険は病気や怪我による入院や手術への備えです。公的な医療保険でまかなえない部分を準備するのが良いでしょう。
年齢が上がると病気や怪我のリスクも上がります。
家族構成やライフステージの変化に応じて医療保険に加入するとよいでしょう。
例えば、2015年の厚生労働省統計情報部「人口動態統計」によると、平均初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.4歳となっています。
40代に入れば結婚10年目で第一子が小学生に入学したり、第二子が産まれたりという方も多いのではないでしょうか。第一子が小学校在学中でも大学卒業まではまだ10年近くあります。その間、家族を養いながら働くには病気への注意も必要です。
もちろん、自身での予防や健康に気をつけることは大切ですが、医療保険という備えも検討の候補に挙がるのではないでしょうか。
また、40代以上の健康面でのリスクについても確認しましょう。
30代以降は身体の筋肉量が減り、身体能力も低下していきます。消化器官など内蔵系などもその機能が弱まっていきます。
20~30代では筋肉量も多く病気や怪我のリスクも比較的少ないのですが、40代以降はその点を考慮する必要があります。
加えて、3大疾病とされる「がん」「心筋梗塞」「脳血管疾患(脳卒中)」は40代~50代になると発症数が増加していく傾向にあります。がんや心筋梗塞などは定期的に健康診断を受けていても、見過ごされているケースもあり得ます。
この点も医療保険などで備えをしておけば万が一に備えることができます。
40代~50代以降は家族を持つ一方で病気のリスクも上がってきます。そういった方は医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。
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