出産育児一時金の受取条件と申請方法を解説!転職しても手続きできる?

投稿日:2022/04/08 最終更新日:2023/04/12
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妊娠・出産・育児にどれくらいお金がかかるかご存知ですか?検査費用や分娩・入院費用、マタニティ・ベビー用品といった多くの費用がかかります。そのため、出産のためにまとまったお金が必要なのではないか、貯蓄がなければ産めないのか、と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、申請をすれば受けられる給付やサービスが沢山あります。こういった制度に関してあらかじめ知っておくことは、不安やストレスを和らげる上でも有用だと言えます。

本記事では出産育児一時金における用語や詳しい手続きの方法まで徹底的に解説します。

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出産育児一時金がもらえる対象者とは?

子どもが生まれた時には「出産育児一時金」を受け取ることができます。出産育児一時金とは、被保険者及び被扶養者が出産した時に、「協会けんぽ」へ申請すると支給されるものです。

被保険者本人が利用すると「出産育児一時金」と呼び、被扶養者が利用すると「家族出産育児一時金」と呼びます。 出産育児一時金では赤ちゃん1人につき42万円が支給されます。また、出産時の人数に限度はなく、多胎児であれば人数分の金額が支払われます。

しかし、産科医療補償制度に加入してない病院等で出産された場合は1人につき40.8万円となります。 健康保険においては、妊娠85日(12週)以後の早産・死産・流産・人工妊娠中絶(経済的理由も含む)を出産と定義しています。

また、正常な出産や経済的理由で行われる人工妊娠中絶は、健康保険による診療(療養の給付)においては対象外ですが、出産育児一時金の対象です。妊娠0週〜21週6日に胎児が出てしまうことを流産、22週〜36週6日の出産を早産、37週〜41週6日までの出産を正期産と言います。

更に、会社を退職し受給する資格が喪失した場合であっても、退職日の翌日から6ヶ月以内に出産することや、退職日までに継続して1年以上被保険者期間があることなどを条件に出産育児一時金を受給することが出来ます。

出産一時支給対象は13週85日以上ある。死産・安産は妊娠12週から22週のの間で40.4万円が支給され、妊娠22週以降は制度加入の分娩期間で分娩をすると42万円支給され、制度未加入の分娩期間で分娩すると、40.4万円支給される。
出産一時支給対象は13週85日以上ある。死産・安産は妊娠12週から22週の間で40.4万円が支給される。妊娠22週以降は制度加入の分娩期間で分娩をすると42万円支給され、制度未加入の分娩期間で分娩すると、40.4万円支給される。

被保険者と被扶養者の違いがある

健康保険に加入し、病気や怪我などをした時に必要な給付を受けることができる人のことを「被保険者」、被保険者に扶養されている家族を「被扶養者」と言います。「被扶養者」は、主として被保険者の収入によって生活しており、原則的に日本国内に住所を有している(日本国内に生活基礎があると認められる)三親等内の親族のことです。

扶養内だから出産育児一時金は受け取れない、ということはないので安心して申請してください。

受け取れる時期は?

妊娠85日(12週)以降以降です。対象期間中の場合、早産や死産、流産、帝王切開、人工中絶も受け取り可能です。

出産育児一時金はいつから増額される?

政府は、2023年に子供一人当たり42万円の出産一時金を大幅増額するという方針を表明しています。2012年には約41.2万円だった出産費用が、現在は約46万円と増加傾向にあり、「42万円ではまかなえない!」という声が多く出ています。

今回の施策は、そうした声を踏まえてのものだと考えられます。対象は、健康保険に加入しており、かつ妊娠4か月以上での出産であるという二つの条件を満たしている人となっています(早産、流産、死産、人工妊娠中絶(経済的な理由によるものも含む)も支給対象として含まれています)。

どの程度増額されるか、具体的な金額は発表されていませんが、費用面で強い味方になるのではないでしょうか。今後の情報に期待しましょう。

また、岸田総理は2022年12月7日に出産育児一時金を42万円から50万円にすると発表しました。詳しくは、下記の記事を参照してください。

【関連記事】【2023年】出産育児一時金が50万に増額!いつから?何が変わるのか?

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出産一時金に必要な手続きとは?

出産育児一時金を受給するためには基本的に、出産翌日から2年以内に「出産育児一時金申請書」の提出が必要です(協会けんぽのWebページからダウンロード可能)。ただし、具体的な手続方法は保険者により異なります。被保険者や被扶養者の場合は加入している健康保険組合に、国民健康保険に加入している場合は各市区町村に問い合わせて確認しましょう。

また、一時金の受給には以下3つの方法があります。

①直接支払制度
②受取代理制度
③上記どちらも利用しない

選ぶ病院によって取り扱う制度が違う事情や出産費用をまとめて捻出できない事情など、それぞれの事情に合わせてどの方法にするか選びましょう。3つの方法の詳細は次で解説します。

直接支払制度とは

直接支払制度とは、出産育児一時金を健康保険組合から医療機関等へ直接支払う方法のことです。直接支払制度を利用すると、あらかじめお金をまとめて準備する必要がありません。なぜなら、この制度によって医療機関の窓口で支払う出産費用が少なくなるためです。支払が発生した場合でも、出産育児一時金を上回った金額のみとなります。たとえば、出産費用に50万円かかった場合、病院窓口で支払う自己負担額は8万円です。この通り、申請をして支給を受ければ出産費用がそれほど高額にならずに済みます。

出産費用50万円 − 出産育児一時金42万円 = 8万円

直接支払制度は非常に便利な制度ですが、取り扱っていない医療機関もあるため、病院選びの際は確認が必要です。関連して、直接支払いを取り扱っていない医療機関は、診療所や助産所などの、事務的負担が大きくなる施設が多いとされています。

直接支払制度の流れと差額が発生した場合

直接支払制度の流れは次の通りです。

①分娩する医療機関に保険証を提示し、直接支払制度に関する書類を申し込む
②出産後、被保険者に明細書が交付される
③医療機関→支払機関へ請求
④支払機関→健康保険組合へ請求
⑤健康保険組合→支払機関に支払う
⑥支払機関→医療機関に支払う

直接支払い制度の流れは、まず分娩する医療機関に保険証を提示し、直接支払制度に関する書類を申し込む。そうすると出産後、被保険者に明細書が交付される。次に医療機関から支払機関へ請求、支払機関から健康保険組合へ請求、健康保険組合から支払機関に支払う、支払機関から医療機関に支払うという流れ。
直接支払い制度の流れは、まず分娩する医療機関に保険証を提示し、直接支払制度に関する書類を申し込む。そうすると出産後、被保険者に明細書が交付される。次に医療機関から支払機関へ請求、支払機関から健康保険組合へ請求、健康保険組合から支払機関に支払う、支払機関から医療機関に支払うという流れ。

このように、分娩する医療機関に申し込んで利用するため、健康保険組合への申請手続きは不要です。次に、出産費用と一時金に差額がでた場合について説明します。出産費用が一時金42万円をこえた場合は、病院窓口にて差額分を支払います。出産費用が一時金の42万円を下回った場合は、健康保険組合へ「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」の申請を行い、差額分を支給してもらいます。

医療機関が本人の代わりに受け取る受取代理制度とは?

受取代理制度とは、医療機関等が本人の代わりに出産育児一時金を受け取る方法です。町の小さな産院など、直接支払制度を導入していない医療機関で利用できます。直接支払制度同様、病院窓口での出産費用が軽減されるため、まとまったお金は必要ありません。ただし、受取代理制度を利用するためには、出産予定日まで2カ月以内である方に限られます。

受取代理制度を利用する際の流れ

受取代理制度を利用する場合は「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」に必要事項を記入のうえ、健康保険組合へ提出します。また、申請から支払いまでの具体的な流れは次の通りです。

①申請書を健康保険組合に提出する
②健康保険組合から医療機関に申請受付通知書を送付する
③出産後、医療機関から健康保険組合に出産に関わる費用などの書類を送付する
④健康保険組合が医療機関に支払う

出産費用と一時金に差額が生じた場合は、直接支払制度と同様の手続きをします。一時金を上回った場合は、病院窓口で超過分を退院時に支払います。下回った場合は、健康保険組合に申請して差額分を請求します。

直接支払制度と受取代理制度を利用しない場合は?

出産後、健康保険組合に申請して一時金を本人が受け取る方法です。病院の退院時には実費で出産費用を窓口で支払うため、まとまったお金を準備する必要があります。事後申請する際のメリットとしては、医療機関の支払いにクレジットカードで決済すればポイントがつくなどが挙げられます。事後申請の具体的な流れは以下の通りです。

①医療機関に提出する書類に「直接支払制度・受取代理制度は利用しない」にチェックを入れる
②退院時、病院窓口で出産費用を全額自費で支払う
③出産後、健康保険組合または各市町村に申請書を提出する
④申請後、2週間〜2カ月で指定の金融口座に一時金が振り込まれる

海外で出産した場合も申請できる!

日本の健康保険に加入しており、妊娠85日(12週)以降であれば申請できます。ただし、通常の申請書類のほかにも必要書類の提出も必要です。また、基本的には海外に駐在していても一時金は受給できますが、各市町村によっては申請時には帰国する必要があるなど、条件が異なるため確認が必要です。海外出産した場合の一時金申請に必要な書類は、基本的に以下のものが挙げられます。

・出産育児一時金申請書
・出産した人の保険証
・出生証明書の原本(日本語訳添付)
・出産した人のパスポート(原本)
・現地の公的機関が発行する戸籍や住民票などの書類(日本語訳添付)
・医療機関で発行された出産費用を証明する書類(日本語訳添付)

また、生まれた子どもが、被保険者の被扶養者に認定されているかによっても提出書類は変わるため、各市町村にて確認しましょう。

その他にも出産手当という制度がある?!

出産時にもらえるお金として、出産育児一時金のほかにも「出産手当」という制度があります。健康保険に加入している人が対象という点は同じですが、対象条件や支給金額、支給申請の方法が異なるため、違いを確認しましょう。また、どちらの給付金もそれぞれの対象に当てはまれば両方とももらえます。

出産育児一時金と出産手当金の違いは?

出産育児一時金と出産手当金の大きな違いは「支給対象者」です。出産育児一時金が健康保険加入者であれば誰でも受給できるのに対し、出産手当金は会社員であることが前提条件にあります。その理由は、出産育児一時金と異なり、出産手当金が「出産のために会社を休業する」場合に支給される制度であるためです。下の表は出産育児一時金と出産手当金それぞれの対象者をまとめたものです。

  専業主婦
(被扶養者)
会社員
(会社で健康保険加入)
個人事業
(国民健康保険加入)
出産育児一時金
出産手当金

つぎに、出産育児一時金と出産手当金の内容の違いを確認します。
対象者となる条件、支給額、申請方法を下の表でまとめています。 

  出産育児一時金 出産手当金
支給対象者の条件 妊娠85日(12週)以上で出産。健康保険加入者もしくは配偶者の健康保険の被扶養者 出産日以前42日から出産の翌日以後56日までの範囲に会社を休んだ健康保険加入者
支給額 子ども1人につき42万円 標準報酬日額の2/3に相当する金額
申請方法 健康保険組合や病院に申請書類を提出 会社または健康保険組合に申請書類を提出

出産手当がもらえる期間は出産日の42日目前(多胎妊娠の場合は98日目)出産日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間です。出産が予定よりも遅れた場合も、遅れた日数分支給されます。

出産予定日より遅れて出産した場合でも、遅れた分の出産手当金の申請ができる。
出産予定日より遅れて出産した場合でも、遅れた分の出産手当金の申請ができる。

全国健康保険協会「出産に関する給付」によると「出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内」

出産手当は「会社員として健康保険に加入した人が、出産のために休業した日数分の賃金を補償する制度」です。会社員(健康保険の被保険者)であれば、出産育児一時金42万円と出産手当の両方を受給できます。

【関連記事】出産育児一時金とは?受給条件や3つの申請方法の違いについて解説:はぐコレ  

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保険適用と適用外になる範囲は?

基本的に出産は公的な保険適用外です。そのため、出産育児一時金や出産手当のなどの制度を利用しない限り、出産費用は全額負担することになります。しかし、ケースによっては公的保険が適用されることもあります。出産といっても、正常分娩や帝王切開などさまざまなケースがあるので確認しておきましょう。

正常分娩の場合

公的保険適用にはならず、全額自己負担になります。正常分娩とは、帝王切開などの医学的介入を挟まずに出産することです。具体的には、自然に陣痛が始まり、胎児が正常な方向のまま(前方後頭位)、頭から出てくることを指します。また、妊娠37週以降~42週未満に生まれてくることも正常分娩とみなす条件です。

異常分娩の場合

異常分娩の場合は、公的保険が適用されます。そのため、入院費用や手術費用を含む出産費用は、3割負担となります。

保険適用の入院・手術の一例

異常分娩には次のようなケースが該当します。

・帝王切開:支給を切開して胎児を取り出す手術
・吸引、鉗子分娩:胎児の頭にカップをつけて吸引して取り出す方法
・切迫早産:早産の一歩手前の状態で生まれること
・切迫流産:流産の一歩手前の状態のこと
・陣痛促進剤の使用:人工的に陣痛を起こす薬のことで、胎児の心拍に異常がみられた場合などに使用

また、上記のような出産は胎児への負担も多く、生まれてきた子どもに「重度脳性麻痺」が生じるケースがあります。重度脳性麻痺とは、出産前後に胎児の脳に傷がついたときの後遺症のことです。手足がうまく動かせないなどの問題がおきた場合もあります。そのため、重度脳性麻痺にかかる費用などの経済的負担を補償する「産科医療補償制度」という制度があります。万が一のためにも、この産科医療補償制度についても覚えておきましょう。

まとめ

出産育児一時金は、健康保険加入者もしくは配偶者の健康保険の被扶養者が妊娠85日(12週)以上で出産した場合、一児につき42万円支給される制度です。

また、一時金の受給方法は3つ(直接支払制度、受取代理制度、事後申告)あるため、分娩する病院や経済状況に合わせて選ぶと良いでしょう。出産育児一時金のほかにも、会社員であれば出産手当金も受給できるため、出産費用の負担はさらに減らせます。このような制度を利用して、安心して出産を迎えてください。

【出産育児一時金の支給方法】  
直接支払制度 出産育児一時金を健康保険組合から医療機関等へ直接支払う方法
受取代理制度 医療機関等が本人の代わりに出産育児一時金を受け取る方法
事後申告 出産後、健康保険組合に申請して一時金を本人が受け取る方法

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よくある質問

Q

出産育児一時金の対象範囲は?

A

出産育児一時金の支給対象となるのは、原則として、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した公的医療保険の被保険者および被扶養者です。

詳しくは「出産育児一時金がもらえる対象者とは?」を参照。

Q

2023年の出産一時金はいくらですか?

A

2023年4月から出産育児一時金が42万から50万に増額されました。

【関連記事】【2023年4月から】出産育児一時金が42万から50万に増額!いつから?何が変わるのか?

Q

出産一時金の申請方法は?

A

出産育児一時金を受給するためには基本的に、出産翌日から2年以内に「出産育児一時金申請書」の提出が必要です。

詳しくは「出産一時金に必要な手続きとは?」を参照。

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