死亡保険金の受取人で税金が変わる?損しない受取人の選び方と見直し方

投稿日:2023/01/05 最終更新日:2023/03/17
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死亡保険金に適用される税金の種類は、契約者・被保険者と保険金の受取人の組み合わせによって変わります。税金の種類が異なれば税額も大きく変わるので、多額の税金が発生する形で契約しないよう注意が必要です。

保険金の受取人は誰でもなれるわけではなく、配偶者や2親等以内の血族が基本となっています。保険会社によっては事実婚の相手や同性のパートナーも指定可能ですが、この場合は税金面で不利になる可能性がある点に留意しましょう。  

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死亡保険金の受取人は税金に影響する?

死亡保険金は契約者、被保険者と保険金の受取人の関係性によって適用される税金が変わります。適用される税金により課税額も変わり、実質的な保険金の受取額にも差が出るので、不用意に割高な税金が適用されないように注意しなければいけません。

契約者・被保険者・受取人の組み合わせが重要

死亡保険金に適用される税金は、保険料の払い手に当たる契約者、死亡した時に保険金がおりる対象となる被保険者、そして保険金を受け取る受取人の組み合わせによって異なります。

具体的には、契約者と被保険者が同一で、死亡受取人が妻や子供など、契約者と異なる場合には相続税が適用されます。一方で、契約者、被保険者、保険金の受け取り金がいずれも異なる場合は贈与税の対象になります。最後に、契約者と保険金の受取人が同一で、被保険者だけ異なる場合は所得税の対象となります。

契約者=夫とした場合には、契約内容と適用される税金は下図のような関係です。

適用される税金が異なれば、控除額や税率にも差が発生し、実質的に受け取れる保険金額も変わってくるので注意が必要です。

死亡保険金が1,000万円だった場合の税金はいくら?

それぞれの税制度による税額の違いを確認するために、次の条件で3つの税金パターンのシミュレーションを行います。

  • 夫、妻、子供の3人家族
  • 夫が亡くなり、死亡保険金1,000万円を受け取った

契約者・被保険者が夫で、受取人が妻もしくは子供の場合

相続税が適用されます。相続税の非課税枠は以下の通りです。

法定相続人の数×500万円

今回の例では妻・子供がいずれも法定相続人に含まれるので、1,000万円までは非課税となります。従って、この死亡保険に由来する相続税はなし、ということになります。

【関連記事】:生命保険の死亡保険金に相続税はいくらかかる?税金の対策方法や注意点について解説!

被保険者が夫で、契約者が妻、保険金受取人が子供だった場合

妻から子供への実質的な贈与とみなされて贈与税の対象となります。ここでは、仮に保険金以外は贈与がなかったと仮定してシミュレーションします。

贈与税の計算は次の通りです。

死亡保険金 - 基礎控除額110万円 = 課税価格 (課税価格 × 税率)- 控除額 = 贈与税額

今回のケースでは、保険金1,000万円から110万円を引いた890万円が課税価格の基準となります。890万円の時の贈与税の税率は40%で控除額※は125万円です。890万円の40%は356万円で、そこから125万円を引くと、最終的な贈与税額は231万円となります。
※控除額は基礎控除後の課税価格によって変化します。

被保険者が夫、契約者及び保険金受取人が妻の場合

所得税の対象となります。ここでは保険金を一時所得として受け取った場合を想定してシミュレーションします。

一時所得の課税金額の計算式は下記の通りです。 ここでは簡略化のために配当金はなし、払込保険金は500万円だったとします。すると、

【計算式】1,000万円(保険金)- 500万円(払込保険金)- 50万円(特別控除額)= 450万円

となります。これを1/2にして、225万円が一時所得の課税対象額となります。

所得税は累進課税で、その人の総所得に応じて税率が変わるため、ここでは給与所得が600万円でそれ以外の所得はなかったとしましょう。この時、給与所得と一時所得の合計は825万円です。所得825万円の時の税率は23%なので、生命保険金に対する所得税は225万円×23%で約52万円となります。

このように相続税、贈与税、所得税のどれが適用されるかで税額に大きな差があります。できるだけ税金がかからない形で受取人を指定することで、実質的に受け取れる保険金額を最大化することが可能です。

死亡保険金の受取人になれる条件・範囲は?

死亡保険金の受取人は契約者本人の配偶者・2親等以内の血族に限定されるケースが多いですが、保険会社によっては、事実婚や同性パートナーでも受取人になれる場合もあります。誰でも自由に受取人に指定できるわけではないので留意しましょう。

配偶者・2親等内の血族

死亡保険の保険金受取人に指定できるのは、被保険者の配偶者及び2親等内の血族であるのが一般的です。2親等というのは、家系図上で線が2本以内でつながる関係性を意味します。また「血族」とは本人と血のつながりのある関係性です。

上の図で言うと、自分の配偶者は血のつながりはありませんが、受取人として指定できます。ついで、子供や両親は1親等にあたるため、やはり受取人とすることが可能です。また、孫や自分の祖父母、自分の兄弟・姉妹も2親等なので指定できます。

一方で、配偶者の両親は、2親等には当たりますが血のつながりがないため通常受取人にできません。子供の配偶者も同様です。このように配偶者以外の場合は、2親等かつ血縁者であることが条件となる死亡保険が多いため注意しましょう。

事実婚や同性パートナーの場合は?

最近では正式な相続人以外でも、事実婚および内縁関係の事実上の配偶者、同性のパートナーなどについても、調査の上で親しい関係があり、保険金受取人で適切であると認められると、受取人に指定できる場合もあります。 ただし、後半で詳しく説明しますが、税制面では不利に働く可能性があるなど注意すべき点もあるため、指定すべきかどうかは慎重に判断してください。

受取人を「法定相続人」とした場合は?

死亡保険金の受取人は「法定相続人」と指定することも可能です。この場合は、もし被保険者が死亡すると、法定相続割合に従って、それぞれに保険金が分割されることになります。

なお、保険金は受取人固有の財産とみなされ遺産分割協議の対象外となるため、遺産相続の協議の際には注意しましょう。

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死亡保険金の受取人を選ぶ際のポイント

死亡保険金の受取人は、被保険者が死亡すると多額の財産の受領と税金支払いが発生する可能性があります。そのため、トラブルにならないよう配慮することが大切です。

また、事実婚や同性パートナーを指定する場合には、税制上のデメリットを理解した上で判断してください。ライフステージによって適切な受取人が変わってくるので、定期的な受取人の変更を検討するのも有効です。

トラブルにならないよう注意 

死亡保険金は「受取人の財産」として扱われるため、遺産分割協議の対象外となります。保険金の受取人が法定相続人でもあった場合は、保険金を受け取ったうえで、そのほかの遺産相続も法に定められた比率で受けることになるのです。

一見保険金の受取人が多くの資産を相続するように見えるため、相続におけるトラブルの元となることもあります。そのため、保険を受け取る相続人以外の人が納得できる形で受取人を指定しましょう。

また、特定の一人を受取人にして、被保険者の死後に相続人間で保険金を分割しようとする人も少なくありません。これなら遺族が相談のうえ保険金を配分できるため、相続時のトラブルを緩和できる可能性があります。ただし、受取人から他の相続人に保険金を渡すと贈与税の対象となり、税支払いが増える原因となるため注意が必要です。

最後に、受取人に指定された者が死亡していたケースでは、受取人に指定された人の相続人が保険金を受け取ります。「被保険者の相続人」ではない点に注意しましょう。

相続人の間で均等に頭割りするルールとなっていて、かつ相続人それぞれの「固有資産」とみなされるため、保険金は遺産分割協議の対象とならない点もおさえておいてください。

事実婚・同性パートナーの際は注意点が多い

事実婚や同性パートナーを受取人に指定できるかどうかは保険会社のスタンスによります。近年は事前調査のうえで指定可能となっている保険が多いので、加入前に保険会社に相談しましょう。

ただし、これらの人を受取人とする場合には、次の2点に留意が必要です。

  • 保険金の非課税枠の計算に入らない
  • 保険料控除が使えない

受取人を配偶者もしくは法定相続人としている場合は、それぞれ所定の非課税枠が適用されます。そのため相続税がかからないもしくは大幅に減額されるケースが多いのですが、事実婚の相手や同性パートナーを受取人にした場合には、これらの非課税枠が適用できないため、相続税が割高になります。

また、保険金の受取人が契約者または配偶者その他の親族である場合には、定期的に払う保険料に対して所得控除が適用され、所得税を圧縮することができます。一方で、事実婚・同性パートナーを受取人とすると、この要件に当てはまらないため、所得控除が適用されません。

以上の要因により、配偶者や親族を受取人に指定するよりも税負担が大きくなる点に留意が必要です。

定期的に見直そう

保険金の受取人はライフイベントによって見直しが必要になるケースも少なくありません。例えば、子供が幼いうちは妻を受取人としていても、子供が成人する一方で妻が老齢に差し掛かれば、子供を受取人とした方が良い場合もあるでしょう。そのほか、受取人の死亡・重病などを受けて受取人の変更が望ましいケースも考えられます。

ただし、受取人の変更が望ましい場合には、保険自体も見直した方が効率的な場合も少なくありません。見直しをする時には保険代理店やFPに相談したうえで、最適な組み合わせを検討した方がよいでしょう。

まとめ

死亡保険金は契約者や被保険者、受取人の関係性により適用される税金が変わります。相続税は控除や非課税枠が大きい一方で、贈与税は高額になるなど、実質的な保険金の受取額に大きな差が生じる場合もあるため留意が必要です。

受取人の一般的な条件や保険金が遺産分割協議の対象とならないことなどをふまえて、保険金の受取人は慎重に決めましょう。現在では事実婚の相手や同性パートナーでも一定の条件のもと受取人に指定できる可能性がありますが、税制上不利に働く点には留意が必要です。

税制度や今のライフステージ、親族との関係性などを踏まえて、適切な相手を保険金の受取人に選ぶようにしてください。

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よくある質問

Q

受取人は複数指定できる?

A

可能ですが、次の点に留意が必要です。

  • 保険金請求の手続きの際に受取人全員で手続きをしなければならない
  • 一つの代表口座にしか振込み出来ない場合が多い
  • 代表口座から各受取人に分配する際にトラブルの元となりやすい

複数人を受取人に指定する場合は、後々トラブルとならないよう、親しい間柄の人を指定し、生前からもしもの時の手続きなどを確認しておくとよいでしょう。

詳しくは「死亡保険金の受取人になれる条件・範囲は?」を参照。

Q

受取人を事実婚・内縁関係・同性のパートナーに指定する際の条件は?

A

最終的には保険会社の判断になりますが、次のような条件が指定されているケースが多いです。

  • お互い戸籍上の配偶者がいない
  • 保険会社所定の期間、同居人である
  • 保険会社所定の期間、生計を共にしている

詳しくは「死亡保険金の受取人になれる条件・範囲は?」を参照。

Q

生命保険の見直しに適切なタイミングは?

A

次のようなタイミングには、保険の見直しを検討してください。

  • 退職や家族の増減や子供の成人などライフステージに大きな変化があった時
  • 生命保険の満期到来や更新の時
  • 保険料が家計の負担になり始めている時
  • 実際に乗り換えるべきか悩ましい時

以上の時には、まずはFPや保険代理店に相談してみるのがよいでしょう。

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