住宅購入時には保険を見直すべき?
住宅購入時には必要な保険を見直すべきです。火災保険や地震保険などの建物に関する保険のほかに、生命保険の見直しも必要です。というのも、生命保険には住宅ローンが深く関係しているためです。住宅ローンを契約する場合、多くの人が団体信用生命保険という保険に入ります。団体信用生命保険とは名前の通り生命保険の一種です。この保険への加入は、銀行でローンを契約する場合は必須です。そのため、既に加入している生命保険と重複する保障を見直す必要があります。
保険を見直すべきタイミング
保険は万が一に備えて必要なお金を受け取る制度です。そのため、結婚や出産などの変化に合わせて必要な保険を増やし、不要な保険を減らすことが重要です。保険を見直すべきタイミングは人生で何度も訪れるでしょう。主なタイミングをいくつかあげます。
- 就職
- 結婚
- 子どもの誕生
- 子どもの独立
- 住宅購入
- 老後
この中でも特に見直しを検討するべきタイミングは、子どもの誕生、子どもの独立、住宅購入です。以下で詳しく解説します。
子どもの誕生
子どもが誕生した場合に見直しが必要な保険は生命保険です。自分が万が一亡くなった場合にも子どもが生活していけるよう、死亡保障を見直しましょう。病気や怪我に備えた医療保障や、教育資金に備えた学資金なども見直しのポイントです。
子どもの独立
子どもが独立した時も保険を見直す必要があります。配偶者の生活を守るだけの貯金があれば、死亡保障を見直しましょう。減らした保険料を、介護保険や年金保険など自分たちのための保険に振り分けることも選択肢のひとつです。
住宅購入
住宅購入のタイミングも保険を見直すべき重要なタイミングです。以下に、住宅購入時に保険を見直すポイントについて詳しくご説明します。
保険を見直すポイント
住宅購入時に見直すべき保険のポイントは団体信用生命保険への加入です。銀行でローンを契約する場合は、この保険への加入が必須です。一方で、フラット35の場合は任意で加入します。フラット35とは住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して行う住宅ローンです。固定金利で最長35年のローンを契約できます。
死亡保険料を節約する
団体信用生命保険とは、契約者の死亡時に残りの住宅ローンを生命保険で支払う仕組みです。住宅ローンの返済をしている家族が亡くなった場合に、残された家族がローンを支払わずに済みます。つまり、契約者の死亡で収入が大幅に減ったとしても、購入した家には住み続けることができるのです。そのため、他の生命保険で死亡保障が重複している場合、月々の保険料を下げた方が固定費の節約になります。
病気や怪我に備える
基本の団体信用生命保険は死亡と高度障害についての保障はありますが、病気や怪我で働けなくなった場合の保障がありません。三大疾病などに備える特約も存在しますが、住宅ローン金利に0.3%程度の上乗せがあります。金利上乗せ分の金額と、一般の医療保険や就業不能保険の金額を比べてどちらに加入するかを比較検討しましょう。
住宅購入時に加入すべき保険
住宅購入時に加入すべき保険はいくつかあります。主なものは火災保険、地震保険、団体信用生命保険でしょう。そのうち、火災保険は金融機関で住宅ローンを契約するならば必ず加入しなければなりません。というのも、金融機関にとっては火災などで住宅ローンの返済が滞るリスクを避けるためです。金融機関にとって住宅は借金の担保となりうる契約者の資産です。その資産が火災などで失われた場合、契約者は住宅ローンの支払いと住宅の再建をする必要があります。契約者が火災保険に入っていれば一定の保障があり、金融機関にとっても貸し倒れのリスクを防ぐことができます。地震保険は、火災保険の契約者のみがセットで加入できる保険です。団体信用生命保険は、契約者の死亡時にローン返済が不要になる保険です。ここからは、3つの保険をさらに詳しくご紹介します。
火災保険は必要?
先述の通り、住宅購入時に住宅ローンを使う場合、火災保険への加入は必要です。しかも先述に加えて、火災に巻き込まれた場合でも自身の保険でまかなう必要があります。なぜなら、木造建築がメインで付近へ延焼しやすい日本の背景から、よほどの過失がない限り火元の家に損害責任はないためです。
また、火災保険は火災だけではなく落雷・破裂・爆発などに遭っても保険料を受け取ることができる保険です。風災・ヒョウ災・雪災・水災などは会社によってオプション扱いの場合もあります。もしもの時に備えて、オプションも検討しましょう。
火災保険を選ぶポイント
住宅ローンを契約する場合、多くは金融機関から提携する保険会社を勧められます。提携先の保険会社で契約するメリットは手続きがスムーズという点です。住宅購入と同時に進めれば、住宅の引き渡し日までに契約できないことで起こる火災保険の空白期間を避けることができます。一方で、提携先の保険会社における契約内容が自宅の立地状況と合うとは限りません。例えば、水害がおきやすい地区であれば水災への備えを厚くするべきでしょう。プランの内容をよく確認して自分にあった保険を選んでください。
地震保険は必要?
住宅購入直後で、ローン残高が多いうちは地震保険に入りましょう。地震保険は地震・噴火・津波による損害を対象とする保険です。地震や噴火・津波が原因で起こった火災に火災保険は適用されません。地震保険は単独で加入できないため、火災保険の契約者のみがセットで加入できる保険です。地震保険も、住宅の引き渡し日から契約を始めることで保険適用のない空白期間を作らないように気を付けて加入手続きを進めてください。なお、免震や耐震構造の建物であれば、最高で50%もの保険料の割引を受けることができます。住宅の構造に併せて加入をご検討ください。
地震保険の注意点
火災保険のように失った家屋を再建するための費用が保障される訳ではありません。保険金額も火災保険の50%までです。また、全壊・半壊などによっても受け取ることができる金額は変わります。
団体信用生命保険とは?
団体信用生命保険とは、金融機関などの住宅ローン借入時に加入する生命保険です。略して「団信」と呼ばれます。ローン借入時に加入を義務付けられる場合と、任意加入の場合があります。また、団体信用生命保険は加入者が金利の一部として保険料を金融機関に支払い、金融機関が保険会社に保険料を支払います。加入者が死亡や高度障害状態になった場合、保険会社から金融機関にローン残高分の保険金が支払われる仕組みです。通常、団体信用生命保険の保障期間は住宅ローンと連動しており、ローンの支払い開始時に始まり、完済されると終了します。繰り上げ返済でローン期間が短くなると、保障期間も短くなります。ただし、期間が異なる団体信用生命保険も存在するため、契約時には注意が必要です。
団体信用生命保険のメリット・デメリット
団体信用生命保険への加入は、どのようなメリット・デメリットがあるのかをご説明します。
メリット
■家族の住む家を残すことができる
団体信用生命保険における最大のメリットは、契約者にもしもの事があった時でもローンの支払いを気にすることなく自宅に住み続けることができる点です。契約者が死亡したら、ローンの返済は団信から金融機関に支払われ、契約者の家族は支払いが免除されます。よって、残された家族が住む家を追われることなく、そのうえ土地や家屋を資産として残すことができます。
■保険料が比較的安い
団体信用生命保険が基本的に保障している内容は、契約者が死亡または高度障害となった場合です。このように基本的な保障の場合、保険料、すなわち金利の上乗せをしない金融機関も増えています。そのため、保険料なしで死亡保険に加入でき、保険料の負担を軽減できるのです。
■他で加入している死亡保険料を減らすことができる
団体信用生命保険に加入するのであれば、ぜひ今契約している死亡保険を見直しましょう。死亡保険は世帯主が亡くなった場合に残された家族が生活していくための保険です。先述の通り、重複している内容もあるので見直しをすることで死亡保険料を減らすことが可能です。
デメリット
■基本の保障範囲が狭い
基本的に団体信用生命保険の保障範囲は死亡・高度障害までであり、病気や怪我のリスクに対応していない点がデメリットです。病気や怪我で一時的に働けない場合や、長期的に働けなくなった場合にローンの支払いが滞る危険性もあります。団体信用生命保険に三大疾病特約などを付けることもできますが、ローン金利が0.3%ほど上がります。金利上乗せ分の支払金額が一般的な保険料より高い場合、他の医療保険や就業不能保険などの加入も検討しましょう。
■ローン完済時に契約が終わる
団体信用生命保険はローン完済時に契約期間が終わります。そのため、死亡保障の保険をすべて解約した場合は、完済時に必要な分だけ再度加入することをおすすめします。
■保険料控除がない
団体信用生命保険は、金融機関が保険会社に保険料を支払う形であるため、加入者の生命保険料控除はありません。なぜなら、金利として保険料を支払うのは加入者ですが、保険契約は金融機関と保険会社の間で行われているためです。生命保険で節税ができないことを知識として持っておきましょう。
■審査に落ちるとローン契約できない
団体信用生命保険は一般の生命保険と同様に、加入の審査があります。この保険への加入を義務付けている住宅ローンで審査に落ちると、ローン契約ができなくなるでしょう。以下に、審査の詳細や審査に落ちた場合の対策についてご紹介します。
団体信用生命保険の審査
団体信用生命保険は一般の生命保険と同様で加入に対する審査があります。審査基準は非公開で保険会社によって異なります。基本的には保険金の支払い能力や健康状態が判断基準となるでしょう。また申し込みの際は、自分自身の健康状態についての告知書を提出する必要があります。告知書で主に聞かれる一例として以下の3つをご紹介します。
- 直近3か月以内に病院で治療や投薬を受けたか
- 直近3年以内に、指定する病気の手術や治療・投薬を受けたか(※)指定する病気は保険会社によって異なります。(生活習慣病やがんなど)
- 手足や脊柱・視力・聴力・言語・そしゃく等の障害があるか
(※)指定する病気は保険会社によって異なります。(生活習慣病やがんなど)
保険会社によっては、さらに質問事項が増える可能性もあります。告知書に該当する内容がなければ、審査に通る可能性は高いでしょう。
団体信用生命保険の告知における注意点
団体信用生命保険の告知書を記入する際の注意点をご紹介します。
告知内容は正確に記入する
病気の種類によって、数値の記入が必要な場合もあります。通院の時期や期間などは正確に記入してください。必要事項の記入がないと、審査がやり直しになる可能性があります。また、住宅ローン開始までに審査が終わらなければ借り入れができなくなることもあります。
嘘は書かない
持病などを隠して告知書を提出すると「告知義務違反」となります。この場合、実際に保険金の支払い段階になってから契約解除される可能性もあり、保険に加入した意味がなくなります。「持病で審査に落ちるかもしれない」と不安になるかもしれませんが、加入時の審査に通るだけでは意味がありません。きちんと持病や通院歴を記入して審査を受けてください。
聞かれていないことは書かない
余計なことを書いて不利にならないためにも、聞かれている以上のことを書く必要はありません。各社で内容は異なるため、告知内容をよく読んで聞かれていることだけに答えるようにしましょう。
団体信用生命保険に入れない場合
持病などで審査に落ちてしまっても対策はあります。以下で団体信用生命保険に入れないときの対策についてご紹介します。
ワイド団信を利用する
ワイド団信は、一般の団体信用生命保険よりも健康に関する条件が緩和されています。そのため、健康に不安のある人や持病のある人でも審査が比較的通りやすいでしょう。ただし、その分金利の上乗せが発生するため注意してください。具体的には一般の団体信用生命保険の審査を受けてみて、落ちた場合のみワイド団信の審査を受けましょう。
別の金融機関の住宅ローンに申し込む
金融機関によって利用する保険会社は異なります。そのため、審査の基準も変わる可能性があるのです。審査に落ちても他の保険会社を利用している金融機関を探して申し込みましょう。
フラット35で住宅ローンを申し込む
フラット35は住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して行う住宅ローンです。そのため、フラット35なら団体信用生命保険への加入が必須ではなく任意です。したがって、団体信用生命保険に入らなくても住宅ローンを契約できるのです。ただし、万が一に備えて死亡保険・医療保険などの加入・増額を検討しましょう。
まとめ
住宅購入は人生でみても非常に大きな買い物です。ローン破綻といった不安を感じることなく暮らすために、ご紹介した保険をうまく活用してリスクを回避してください。なお、保険はたくさんかければよいわけではありません。必要な金額だけを契約し、不要な契約を見直しましょう。
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