企業の価値に対して株価が低い銘柄を割安株と言います。配当利回りの高い割安株は、株式投資のなかでは長期で安定した投資ができる銘柄といえます。
PERやPBRなどを確認し、ROEや自己資本比率などで業績や財務状況を分析したうえで魅力的な割安株を選び出すことが大切です。
株の割安とは?
株の割安とはその企業本来の価値よりも株価が低い状態の銘柄です。将来の成長性に対して株価が資産価値よりも高くなっている割高株と対になる考え方と言えます。
株価の何が割高で割安なのか
本来株価は企業が将来生み出す利益やその企業が保有する資産の価値を合計した「企業価値」を反映するものです。しかし、株価は市場の需給で変動するため、企業本来の価値と株価が完全にイコールになるとは限りません。
企業が生み出す利益や資産価値より株価が低い銘柄を割安株と言います。もし今後利益が安定的に推移するならば、割安さは長期的に株価に反映され始め、株価の相対的な上昇が期待できます。対して、利益や資産価値と比して株価が高い銘柄を割高株と呼びます。
割高株との違い
文字だけを見ると、生み出す利益や保有資産の価値よりも株価が高い割高株は、一見投資する意味合いが薄いようにみえますが、現実のところグロース株を中心に割高株はしばしば散見されます。
グロース株または成長株とは新興企業などで、今後急速な利益・事業規模の成長が見込まれる企業の株式のことです。こうした株式は、株価の要因の一つである「利益」が将来拡大すると見込んで投資が行われます。そのため、現在見えている利益水準より株価が割高でも、将来の利益成長が期待できるなら株価は維持されるのです。
割安株に投資するメリット、デメリット
割安株は、成熟企業が多く値動きが穏やかで配当目的の投資がしやすいなどの特徴があります。一方で、短期で高収益を上げられない、衰退産業などは株価が割安になり続ける恐れがあるなどのデメリットもあります。
割安株に投資するメリット
割安株に投資するメリットは大きく次の三つです。
- 成熟企業が多く値動きが穏やかな傾向
- 配当利回りが安定していて配当目的の投資がしやすい
- 長期で安心して保有できる
割安株はすでに産業の成熟が一巡した大企業に多く見られます。新興企業と比べると利益の変動リスク、倒産リスクなどが低いため相対的に株価の変動が穏やかな影響があります。
そのため、配当水準や配当利回りも安定しやすく、配当目的の投資をする上でも選択しやすい銘柄です。
また、値動きが穏やか、配当を積み上げる投資がしやすい、ということで長期投資に適しているともいえるでしょう。頻繁に相場を見て売買をせずに長期で資産形成したいと考えている人にはおすすめの銘柄です。
割安株に投資するデメリット
一方で割安株のデメリットは以下の通りです。
- 短期での成長は見込みにくい
- 衰退産業は割安さが修正されず株価下落が続く恐れがある
割安株の割安さは、企業の現在の利益水準が安定していけばいずれ修正される可能性もありますが、修正には時間がかかるケースも少なくありません。そのため、短期投資と割安株は相性が良くないと言えます。
また、衰退産業のように今後利益水準やビジネスの縮小が懸念されていることが、割安さの背景にある場合もあります。この見通しが現実のものとなると、将来の企業利益は現時点より低下していくことから、割安さが修正されないどころか、さらに企業の評価が悪化して株が下落傾向となるリスクもあります。
割安株投資においては企業のスクリーニングをしっかり行って、業績が安定した割安株を探し出しうまく投資することが重要です。
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割安株の見つけ方・見極め方
割安株の探し方としては、PERやPBR、ROEなどの指標をもとにスクリーニングするのが有効です。また、財務諸表で自己資本比率や流動比率などを確認して、安全性を確認することも忘れてはいけません。
PER,PBRから判断
PERは株価収益率で、株価を一株あたり利益で割り算したものです。すなわち「今の株価は足元のその企業の利益何年分か」を表す指標となります。
数値が大きいほど利益水準に対して株価が高いことを意味するため、株価は割高です。PERは全体の平均より業界、業種ごとに水準感に差が出る傾向があるため、同業他社と比較してPERの低い銘柄が割安株となります。
次に、PBRとは株価純資産倍率のことで、株価をその企業の財務諸表上の純資産で割り算したものです。もし企業が解散する場合は純資産を株主に分配することになるため、一株当たりの純資産=株価すなわちPBR=1となる水準が割安・割高いずれでもない財務諸表上「適正水準」となります。
従ってPBRが1を割る銘柄が「割安株」という考え方になります。ただし、こちらも業界によって全体的にPBRが低くなりがちな業種もあるため、スクリーニングする際にはPER同様、同業他社との相対比較もしながら総合的に判断しましょう。
ROE(自己資本利益率)から判断
さてここからは、割安株の中で有望な銘柄をスクリーニングするための指標です。
まずは、ROE(自己資本利益率)で、これは自己資本に対する利益の比率となります。ちなみに、株主資本は資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計で、自己資本はこれに「その他包括利益累計額」という項目を足したものです。
便宜上株主資本を代用して計算するケースも少なくありません。また、利益については、最終的な損益である純利益を用いるのが一般的です。
ROEは高いほど効率の良い経営を行なっていることを示します。一つの目安として10%を超えていれば優良企業とみられる傾向にあります。割安であるにもかかわらずROEが高い企業は、安定した業績が期待でき、信頼して投資できる銘柄といえるでしょう。
財務諸表から安全性を判断
投資に適した割安株を探すうえでは、財務諸表で安全性を確認することも欠かせません。財務が不安定で経営危機を迎える企業も株価が下落するため、PBRやPERなどの指標から見れば割安と判断してしまう場合があるためです。
安全性を判断する財務指標の一つとしては自己資本比率があり、総資産に対する自己資本の割合となります。自己資本比率もまた、業界により傾向が異なるため、同業他社と比較して大きく劣後していない銘柄を選ぶようにしましょう。
また、流動資産と流動比率の割合である流動比率も安全性を見るうえでは重要です。流動資産には比較的容易に現金化できる資産が計上されています。
流動負債よりも充分に多い額の流動資産があれば、負債を着実に返済できると考えられ、安全性が高いといえるでしょう。具体的な目安としては流動比率が200%を超えていれば安心で、100%を割っていると危険水域となります。
どんな割安株に投資すべき?
ここまでの探し方も参考に、業績が安定していて配当が高い銘柄へ投資するのが有効です。また2023年の割安株として、k-zoneでは商船三井、ENEOSホールディングス、東京海上ホールディングスなどをおすすめしています。
株価下落と割安は異なる
株価下落と割安は異なる概念です。企業の先行きに懸念が高まって売りが増えれば株価は下落しますが、これは企業の利益を生む能力の低下が反映されているにすぎないため、割安株とは言えません。割安株とは、将来の利益や企業の資産規模を比較して株価が低い銘柄を示します。
しかし株価が急落した銘柄は一時的にPERやPBRでみると割安に見える場合もあります。業績や財務状況を確かめて、利益創出力を維持しながらPERやPBRなどにおいて割安に見える銘柄を選ぶことが大切です。
配当が高い銘柄から選ぶ
割安株投資は長期で投資をするのがおすすめです。株に長期投資するとなると、配当が高い銘柄は、配当が年々積みあがっていって収益の土台となるため、より投資に適しています。配当利回りの高い割安株に投資することで、より安定的に収益を得られるでしょう。
割安株のおすすめ銘柄は?
2023年のk-zoneのおすすめ割安株としては、次のような銘柄を紹介しています。
- 商船三井【9104】
- ENEOSホールディングス【5020】
- 東京海上ホールディングス【8766】
- オリックス【8591】
- 塩野義製薬【4507】
各業種の最大手クラスの企業が多く、また配当利回りが高いため、長期保有に適した銘柄となっています。詳しくはこちらの記事で紹介しているので、2023年の投資先を決めかねている人は、合わせて参考にしてみてください。
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まとめ:業績が安定した割安株への投資を
企業の利益水準や資産価値に際して株価が安い割安株は、相対的に価格変動が緩やかで、長期で配当を得ながら投資をするうえで魅力的な銘柄です。
ただし、業績が悪化して株価が下落している銘柄も一時的にPERやPBRだけでみると割安に見えてしまう恐れもあるので、財務状況や業績を加味してスクリーニングして、魅力的な銘柄を選ぶことが大切です。
割安株の投資先に悩む人は、今回の記事で紹介した割安株の探し方や、k-zoneが過去に紹介した2023年のおすすめの割安株を参考にしてみてください。
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よくある質問
Q | PERの目安は何倍ですか? |
A | 全業種に共通する目安は15倍程度といわれます。但し業種によってPERの平均値は大きく異なるため、全業種の平均だけでなく、同業他社との相対比較でPERが低い銘柄を候補とするのがおすすめです。 |
Q | 割安成長株の見つけ方は? |
A | 割安でありながら成長性も期待できる株を割安成長株と呼びます。着実な成長が期待できる銘柄は魅力的な投資先となります。次のような条件を満たす銘柄が割安成長株です。
詳しくは「割安株の見つけ方・見極め方」を参照 |