日経平均は採用銘柄の値動きを平等に反映しているわけではない
日経平均は、東証第一部に上場する株式1980余りから代表的な225銘柄を選択し、みなし株価(株価水準の統一のため旧額面を50円額面に換算したもの)を採用し、除数による調整のもとに計算したものです。除数を用いることにより、株式分割などによる株価水準の変更にも対応しています。
日経平均株価=構成銘柄の採用株価合計/除数
このような計算プロセスを辿るため、日経平均は連続データとして長期比較が可能となっています。
しかし、株価をベースに計算する以上、実際には株価(みなし株価)の高い銘柄(値がさ株)の価格変動の影響が大きくあらわれるという特徴があります。1つの銘柄の変動が日経平均株価に与える影響は225分の1ではありません。225銘柄の採用株価合計の中で構成率の高い銘柄の価格変動が日経平均に大きく作用することになります。
そのため、構成率は寄与度とも呼ばれます。225銘柄のうち、みなし株価の上位10銘柄の構成率は3割程度にも達します。このように、日経平均株価は市場概況を反映しているとはいえない面もあるのです。
日経平均を左右する寄与度(構成率)の高い銘柄
日経平均採用225銘柄のうち、構成率の大きな銘柄には、ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクグループ(9984)、ファナック(6954)などが挙げられます。特にファーストリテイリングの構成率は一時よりも低下したものの依然7%台と高く、日経平均に及ぼす力は多大です。
実際に、日経平均とファーストリテイリングのチャートは長期的にみても非常に良く似た形をとっており、日経平均の牽引銘柄ともいわれます。海外投資家の中には、日経平均の変動を狙いとしてファーストリテイリングなどの寄与度の高い銘柄に投機的な売買を仕掛けるものもあるほどです。
また、日経平均の計算において出来高の要素は含まれません。寄与度が低い銘柄は市場で大きな金額が動いていたとしても、日経平均に影響を及ぼすことはないのです。この点も、株式市場全体の概況と日経平均株価との間に感覚的差異が生まれたり、保有株と日経平均の上下が一致しなかったりする要因となります。
上昇銘柄数と日経平均が比例しない場合も
このように、日経平均は市場の状況を正しく反映しているとはいい難く、東証一部で上昇銘柄数が多かったとしても、日経平均が下落しているということも起こります。その背景には、寄与度の高い銘柄が下落していることが多いです。
例として、2016年10月13日の株価を見てみましょう。この日の日経平均終値は、16,774.24円(前日−65.76円)でした。日経平均の終値だけを見た場合、軟調であったかと思われます。
しかし、東証一部の全銘柄数をみると、上昇銘柄は1151社、下落銘柄は701社と上昇している銘柄の方が多かったのです。
では、なぜ日経平均が下がったかと分析していくと、寄与度の高いファーストリテイリングが通期決算発表前により640円安と大きく下落していたほか、ソフトバンクグループが82円安、ファナックが140円安と軒並み下落していたからです。この3社だけで、39.37円日経平均を押し下げた計算になります。
また、他の日経225銘柄についても、下落銘柄が154銘柄となったため、東証全体の値上がり値下がり銘柄数とは関係なく、日経平均終値が下落したものと考えられます。
日経平均は国内株式市場の値動きの主要指標として扱われていますが、このような歪みも存在します。日経平均だけに一喜一憂するのではなく、全銘柄の値動きを対象としたTOPIX(東証株価指数)など他の指標も参考にしながら投資戦略を立てるべきでしょう。
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