【J-REIT初心者入門】J-REITと海外REITの違いって?メリット・デメリットについて分かりやすく解説!

投稿日:2022/03/10 最終更新日:2023/03/31
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投資家から集めた資金でオフィスビル・商業施設・マンションといった不動産を購入し、購入した不動産から得られる賃貸料収入や不動産の譲渡益を投資家へ分配するREIT。日本では「不動産投資信託」とも呼ばれているREITは、日本のREITであるJ-REITと海外のREITである海外REITに分けられます。 今回はJ-REITと海外REITの違いや、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
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海外REITとは?J-REITとの違いって?

「不動産投資信託」とも呼ばれるREITには、海外で運用される海外REITと日本国内で運用されるJ-REITの2種類があります。 海外REITとJ-REITは制度に大きな違いがあります。そこでここからは、海外REITの概要とともに、海外REITとJ-REITの制度上の違いを詳しく解説します。

【この記事もおすすめ】J-REITとは?メリットやリスク、現物不動産投資との違いを解説

海外REITとは

海外REITとは、海外のファンド(投資法人)が運用するREITです。日本以外の全ての国のREITを海外REITと呼びます。国ごとにREITの制度が異なるため、海外REITが対象とする不動産も千差万別です。 例えば、J-REITは主にオフィスビルなど既存の不動産を運用しますが、海外REITでは居住用住宅やオフィスだけではなく刑務所や農場なども運用対象となることがあります。

なお、日本のファンドが海外の不動産を運用するケースも増えつつありますが、この場合は海外REITではなくJ-REITに分類されます。

 

海外REITの固有リスク

海外REITはさまざまな国で運用されているため「カントリーリスク」という固有リスクに注意が必要です。

カントリーリスクとは、対象国における政治・社会・経済等の変化によって投資した資産の価値が下落してしまう危険性の度合いのことです。津波や嵐といった自然災害、政権交代による政策の変更、内乱や紛争など様々な要因を含めて総合的に判断されます。

特にREITの運用対象は、国の土地から動かすことができない不動産であるため、その国の情勢が大きく影響します。海外の社会情勢や市場動向を日本からリアルタイムで入手することは難しいため、リスクを予測することは容易ではありません。

また、その国ならではの災害リスクも把握しておかなければなりません。例えば、アメリカの一部地域ではハリケーンによる被害のリスクがあります。

このように、海外REITにはJ-REITにはない固有リスクが多数あることを覚えておきましょう。

J-REITと海外REITとの制度上の違い

J-REITと海外REITの大きな違いは、制度上の違いです。

J-REITは、不動産の開発行為を禁止されているため、既存の不動産物件を購入して運用します。しかし海外REITは、投資法人が不動産開発も行います。そのため、開発した不動産の売買に成功すれば、J-REITよりも高い利回りが期待できます。

このように、J-REITは既存の不動産物件を運用する不動産投資ファンドのような仕組みであるのに対し、海外REITは既存の不動産物件だけではなく不動産開発もできる不動産事業会社のような仕組みです。

J-REITのメリット

前述の通り、J-REITと海外REITはそれぞれ異なる特徴があるため、メリットとデメリットも異なります。 そこでまずは、J-REITのメリットをご紹介します。J-REITの主なメリットは以下の通りです。

J-REATのメリット

J-REATのメリット
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。 

入手しやすい

J-REITは、日本の証券会社を使えば個別で銘柄を売買できます。そのため、購入したい銘柄をスピーディーに入手できるというメリットがあります。 なお、海外REITは個別で銘柄を購入できず、購入までに時間を要するため、銘柄の入手のしやすさはJ-REITならではのメリットです。

情報収集が比較的容易

運用対象が日本国内の不動産であれば、不動産にまつわる情報を収集することはそれほど困難ではありません。物件検索システムを利用すれば、基本情報や収益推移などを詳細に調べることができます。

また、J-REITの販売窓口である証券会社からは、様々な分析ツールや情報が提供されています。情報収集が容易であれば、投資した不動産のリスクを予測するために役立ちます。

 

上場廃止が少ない

J-REITのメリットには、投資法人の上場廃止がこれまで少ないという点もあります。つまり、比較的上場廃止リスクが低く投資できるということです。 J-REITのサービス開始は2001年ですが、サービス開始から20年以上が経過した現在でも上場廃止となったファンドはプロスペクト・リート投資法人の1件のみです。なぜ、上場廃止が極端に少ないのかというと、不動産のプロが運用をしていることで透明性の高い取引が行われているためです。

また、リーマンショックなどの不景気でも、J-REITの多くは不動産価値を高めるなどの対処をして安定的な運用を実現していることも、上場廃止リスクが低い理由です。 このように、J-REITには上場廃止が少なく安定した運用が可能というメリットもあります。

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J-REITのデメリット

J-REITには日本国内ならではのさまざまなメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットもあります。

J-REATのデメリット

それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

利回りは高くない

J-REITは比較的年利が高いことで知られていますが、年利は約4%です。海外REITでは年利が10%を超える銘柄も少なくないため、海外REITに比べるとそれほど高くはありません。 また、最近では運用をサポートしてくれるサービスも注目され始めています。運用をサポートしてくれるアセットマネジメント会社やプロパティーマネジメント会社を利用すれば、不動産の管理や運用の手間が省けて安心です。しかしサービスの利用には手数料がかかります。 このようなサービスの手数料も支払うとさらにリターンは小さくなるため、J-REITの利回りが高いとは言えません。

投資対象が多くない

J-REITには、銘柄が少なく投資対象が多くないというデメリットもあります。 J-REITの運用対象は、居住用住宅・オフィス・テナントビル・物流施設・ホテル・ヘルスケア施設などです。前述の通り、海外REITでは農家や刑務所なども運用できるため、海外REITに比べると投資対象の種類が少ないことがわかります。 また、J-REITの運用対象が家賃収入を目的とした不動産が大半であるため、分配金の原資は家賃収入に限られてしまう点も、デメリットです。

海外REITのメリット

次に、海外REITのメリットとデメリットを見ていきましょう。まずはメリットからご紹介します。 海外REITのメリットは以下の通りです。

海外REATのメリット

海外REATのメリット
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

海外不動産へ少額から分散投資できる

通常であれば、海外不動産へ投資する場合は、物件を選定し、各国の法規制を確認する必要があります。また、現物不動産投資の場合は現地に行って直接不動産を確認してメンテナンスしなければなりません。しかし、海外REITではこれらの不動産投資にかかる手間が必要なく、海外不動産でも気軽に投資できます。 また、海外REITは、海外の不動産に少額から投資できます。複数の不動産に対して少額ずつ購入して運用できるため、分散投資がしやすいというメリットもあります。 このように、海外REITには海外不動産を手軽に、かつ少額から分散投資できるというメリットがあります。

利回りが比較的高い

海外REITでは高い利回りが期待できるのかについて解説します。J-REITは総収入の最低95%は賃料などの不動産関連で得なければならないと決められていますが、海外REITにはそのような法規制がかかっていないため利回りが比較的高いです。

ただし、必ずしも海外REITの方がJ-REITよりも利回りが高くなるということはなく、借入金の金利などが影響して海外REITの方がJ-REITよりも利回りが低いケースもあります。特に、利回りを気にする場合には借入金の利用時期に注意が必要です。 

分散効果が高い傾向にある

海外REITは、運用対象の種類が豊富であるため、リスクの異なる不動産に分散投資ができます。

J-REIT全体の保有不動産の40%がオフィス関連施設です。オフィス関連施設は、賃料収入が企業収益によって左右されるため、景気の影響を受けやすい物件です。異なるJ-REITに分散投資しても、似たようなオフィス関連施設であることが多いため、リスク分散効果はあまり高くありません。

その点で海外REITは農地や刑務所といった特殊な例を除いても、景気に左右されにくいインフラや、需要が高まると予測できるデータセンターなど多岐に渡って投資を行うことができます。異なる市場の不動産に分散投資することができるため、J-REITよりもリスク分散効果が高い傾向にあります。

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海外REITのデメリット

海外REITには利回りが高かったり、少額購入で分散投資効果が高いといったメリットがある一方で、以下のデメリットがあることも覚えておきましょう。

海外REATのデメリット
海外REATのデメリット

ここからは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。 

情報収集が難しい

海外REITの大きなデメリットは、海外の不動産市況について情報収集が難しい点です。 海外にある不動産に投資する海外REITでは、直接現地に赴いて不動産を確認することは困難です。加えて情報収集も証券会社が提供している情報や、海外のニュースサイトを翻訳して読まなければなりません。

現地の語学を身につけていれば、翻訳の手間が省けるためニュースを確認することはさほど難しくないと感じる方もいるでしょう。しかし、海外の情報が日本まで届くまでにタイムラグがあり、リアルタイムで情報を入手することが難しいというデメリットがあることも把握しておかなければなりません。

このように、海外の不動産市況は情報収集が難しく、収集した情報はタイムラグがあることが多いというデメリットがあります。 

入手が難しい

手軽に少額から購入できる海外REITですが、一方で銘柄の購入が難しいというデメリットもあります。

J-REITは証券会社が提供しているREITをリアルタイムで購入できます。しかし海外REITは直接REIT自体を購入できる機会が少なく、ほとんどの場合日本の証券取引所で取引しているREITを購入します。そのため、海外REITを組み込んだ投資信託やETFを購入しなければなりません。 つまり、直接単体銘柄の購入ができないためリアルタイムでの購入が難しく、さらにはファンドに組み込まれている他の銘柄も購入する必要があります。そのため不要な不動産も購入しなければならず、自分の理想通りに投資活動ができません。

このように、海外REITはJ-REITに比べて手軽に銘柄を入手しづらく、入手する場合も不要な銘柄とセットで購入しなければならないケースがあるというデメリットがあります。 

海外固有のリスクがある

海外REITには海外固有のリスクがつきものです。海外固有のリスクは、海外REITの最大のデメリットといっても過言ではありません。

海外固有のリスクとは、自然災害リスクや為替リスクなどです。自然災害リスクでは、その国ならではの災害に注意が必要です。例えばアメリカではハリケーンが起こりやすい地域があり、ハリケーンのリスクを想定した上で投資しなければなりません。

また、為替リスクとは為替の変動によって起こるリスクです。海外REITで良くあるケースとして、収益を得られたにも関わらず、為替の変動によって最終的にマイナスになったというケースがあります。 このように、海外REITではその国ならではのリスクを事前に調べた上で投資する必要があります。

まとめ

J-REITは、上場廃止リスクが低く、銘柄を手軽に購入でき、情報収集がしやすいといったメリットがあります。海外REITは、高い利回りに期待でき、種類豊富な不動産に投資できます。メリットがあると同時に、J-REITにも海外REITにもデメリットがあります。大切なポイントは、リターンだけに注目せず、REITが運用する不動産や物件が建つ国の情勢をしっかり調べることです。REITは手軽に少額から始めることができますが、投資の基本である情報を集めて考え抜くことを怠ってはいけません。

それぞれのメリットとデメリットを把握した上で、自分の投資目標が達成できるREITに投資しましょう。

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