投資信託の利回り(トータルリターン)ランキングTOP10!銘柄の選び方についても解説

投稿日:2023/08/31 最終更新日:2024/01/31
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トータルリターンは過去の一定期間の投資金額に対する収益率で、特に投資信託の場合は基準価額を投資金額と考えて計算します。分配金による収入と基準価額の変動が加味されているため、トータルリターンランキングを見れば過去にパフォーマンスのよかった投資信託を把握できます。

一方で、トータルリターンはあくまで過去の成績に過ぎないため、将来の収益率を保証しているわけではない点には注意が必要です。

本記事では、利回りの高い投資信託をランキング形式で掲載しています。それぞれの銘柄の情報を比較し、ご自身の今後の資産形成に役立ててください。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

投資信託の収益性を測る指標としては分配金利回りやトータルリターンなどがあります。たとえば、2023年7月28日時点のトータルリターン上位3銘柄ランキングは次の通りです。

※2023年8月29日時点

順位 ファンド名 トータルリターン(1年) 純資産(百万円) 運用会社
1位 SBI-SBI 日本株4.3ブル 94.47% 28,890 SBIアセットマネジメント
2位 楽天-楽天日本株4.3倍ブル 93.40% 44,910 楽天投信投資顧問
3位 SOMPO-トルコ株式オープン 86.15% 4,902 SOMPOアセットマネジメント

トータルリターンは基準価額の変化も踏まえた収益性の指標なので、投資信託本来の成績をみることが可能です。トータルリターンが高いほど高い収益が見込まれるので、銘柄を選ぶ際の一つの判断基準にすることをお勧めします。

ただし、分配金利回りもトータルリターンも、過去の数値もしくは予測値となるため、将来の収益性を保証する情報ではない点には注意してください。

トータルリターンとは?

トータルリターンとは、投資金額に対してどのくらいの収益(利回り)を獲得したかを評価する数値です。基本的には収益額を投資額で割った割合で計算されます。収益には分配金による収益と投資信託の価格である基準価額(元本)の変化に伴う損益がすべて加味されるため、投資信託の総合的な損益の指標となります。

投資信託では、分配金をその投資信託の基準価額で割った分配金利回りも、しばしば収益性の指標(毎月や決算等で表示)として参照されます。しかし、分配金利回りには基準価額の変動(為替や株、債券の影響)が加味されないため、分配金利回りが高くとも基準価額が下落して損失になるケースも少なくありません。

したがって、投資信託の収益性を正確にとらえるうえではトータルリターンの方が優れています。証券会社によっては、投資信託の各銘柄のトータルリターンや分配利回り等の情報を、サイトやアプリのサービスで提供しています。投資家はこれらの内容を簡単に把握できるようになっているので、投資信託選びや自身の投資成績を把握する上での参考としてください。

今回の記事では、2023年8月29日時点の、日本の投資信託のトータルリターンTOP10を紹介します。

投資信託トータルリターンランキングTOP10

2023年8月29日時点の、投資信託の過去1年間のトータルリターンランキングは次の通りです。

※2023年8月29日時点

順位 ファンド名 トータルリターン(1年) 純資産(百万円) 運用会社
1位 SBI-SBI 日本株4.3ブル 94.47% 28,890 SBIアセットマネジメント
2位 楽天-楽天日本株4.3倍ブル 93.40% 44,910 楽天投信投資顧問
3位 SOMPO-トルコ株式オープン 86.15% 4,902 SOMPOアセットマネジメント
4位 カレラ-中欧株式ファンド 74.10% 880 カレラアセットマネジメント
5位 大和-iFreeレバレッジ FANG+ 71.55% 6,957 大和アセットマネジメント
6位 大和-NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載) 68.99% 3,108 大和アセットマネジメント
7位 三井住友DS-日本株厳選ファンド・メキシコペソコース 68.90% 1,255 三井住友DSアセットマネジメント
8位 楽天-楽天日本株トリプル・ブル 66.82% 10,639 楽天投信投資顧問
9位 三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 毎月 62.28% 342 三菱UFJ国際投信
10位 三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 1年 62.12% 119 三菱UFJ国際投信

ここ1年ほどは株式市場が好調だったこともあり、上位のファンドはすべて株式に投資するファンドとなっています。また、参照先の数倍のパフォーマンスとなるレバレッジ型もしくはブル型*と呼ばれるファンドが複数ランクインしているのも特徴です。

*ブル型とは、一日の値動きに対して株や債券等の相場(日経平均など)が上昇したときに、対象となる指数の値上り幅以上に利益が出るように作られたファンド。

なお、これ以降は特記ない限りパフォーマンスについては2023年8月29日時点の1年リターン、そのほかの特性値や統計値は2023年7月31日時点で掲載しています。

1.SBI-SBI 日本株4.3ブル

SBI 日本株4.3ブルのロゴ

SBI証券のグループ企業のSBIアセットマネジメントが運用するブルファンドで、1日あたりのパフォーマンスが日本株市場全体の4.3倍となることを目指して運用されます。日本の公社債と株価指数の先物取引を活用して、日本株以上の変動幅となるように運用します。

なお、日本株にはTOPIXや日経平均株価などがありますが、このファンドは特定の株価指数を参照しているわけではありません。日本の株式市場が好調だったこともあり、過去1年間のパフォーマンスは94.47%と日本の公募投資信託の中でトップとなっています。なお、このファンドは分配金を出していません。

※1 ブルファンド...対象となる市場や資産の価格が上昇すると、投資成果も上昇することが期待されます。逆に、市場価格が下落すると、大きく下落するリスクがあります。

参考元:SBI-SBI 日本株4.3ブル

2.楽天-楽天日本株4.3倍ブル

楽天日本株4.3倍ブルのロゴ

楽天日本株トリプル・ブルは、日本の株式市場の3倍の値動きとなることを目指して運用されるレバレッジ型(※1)のファンドです。その主要な投資対象は国内の株価指数先物取引と短期公社債です。投資信託の資産をもとに、株価指数先物取引の買建額と株式の組み入れ額の合計が、純資産総額の3倍程度となるように調整され、その結果、基準価額の値動きが国内の株式市場の値動きの約3倍を目指します。

レバレッジ型のファンドは、もみ合い相場(※2)に弱いことが特徴です。この動きが続くと、このファンドの基準価額はその間の変動によって元の価格には戻らないというリスクがあります。

このため、このファンドは短期的な投資戦略に向いているといえます。一般的な中長期の投資よりも、市場の動きを短期的にとらえ、そのタイミングを見計らって取引を行うタイプの投資家に適しています。

選ばれる株価指数先物取引の種類は、流動性や効率性をもとに決定され、楽天投信投資顧問が運用しています。特定の株式指数に連動するファンドではありませんが、株価先物を活用して運用されます。

1年間のリターンは66.82%ですが、高リターンを目指す一方でレバレッジを使用するため、今後もし相場が下落した場合には一般的な投資信託より大きな損失が生じる可能性があるので、注意が必要です。なお、分配金を出した実績はありません。

※1 レバレッジ...投資効果を増強するための手法で、このファンドの場合市場が1%上昇すれば4.3%の上昇を目指すという性質を持っている

※2 もみあい相場...市場が一定の範囲内で上昇と下落を繰り返す動きをする相場

参考元:楽天-楽天日本株4.3倍ブル

3.SOMPO-トルコ株式オープン

トルコ株式オープンのロゴ

トルコ株式オープンはSOMPOアセットマネジメントが運用するファンドで、ファンド名の通りトルコ株式に投資ができます。とくにベンチマークや連動する指数が設定されておらず、実質的に運用を指図するスイスのユニオン・バンケール・プリヴェ・UBPSAの判断のもと、 収益性、成長性、安定性などを総合的に考慮して運用されます。

なお、為替ヘッジがかけられていないため、トルコ株式市場の値動きに加えて、トルコリラ円の為替変動の影響を受ける点に注意が必要です。 過去1年はトルコリラ円は円高方向だったため、ファンドパフォーマンスにとって向かい風でしたが、トルコの株式市場が好調だったため、ファンドのパフォーマンスは良好でした。

トータルリターンでは86.15%と全体の3番目の高水準となっています。このファンドは近年分配金を出していませんが、過去には出したこともあります。決算は1年に1回で、1月に実施されます。

参考元:SOMPO-トルコ株式オープン

4.カレラ-中欧株式ファンド

中欧株式ファンドのロゴ

中欧株式ファンドはカレラアセットマネジメントが運用するファンドで、中央の株式に投資する商品です。ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアを中心に、周辺の中欧・東欧諸国へ投資しています。なお、2023年7月末時点ではファンド資金の約75%の投資先がポーランドの企業の株式です。

また、株式だけでなく中欧のREITに投資できるルールとなっている点も特徴です。 為替ヘッジがかかっていないので、投資先の通貨と日本円の為替変動の影響を受けます。なお、ここ1年はポーランドの通貨であるズロチと円の為替相場は円安傾向だったので、円建てで見た時の当ファンドのパフォーマンスの上振れ要因となっています。

トータルリターンは74.1%です。決算頻度は年4回で3月、6月、9月、12月です。直近は良好なパフォーマンスも背景に、2023年6月に200円の分配金を出しています。

参考元:カレラ-中欧株式ファンド

5.大和-iFreeレバレッジ FANG+

iFreeレバレッジ FANG+のロゴ

iFreeレバレッジ FANG+は大和アセットマネジメントが運用するファンドで、NYSE FANG+指数という指数の2倍のパフォーマンスに連動するように運用される商品です。NYSE FANG+指数は、米国上場企業のうち次世代テクノロジーをベースにグローバルの現代社会に大きな影響力をもつ銘柄で構成されています。

有名なところでは、アマゾン、マイクロソフト、グーグルがいずれも組み入れられています。世界の名だたるグローバル企業が名を連ねていながら、高い成長性も期待できるのが魅力です。 検索エンジン、スマートフォン、OS、クラウド、ソーシャルメディアなど、現代社会に欠かせないインフラにおいて高いシェアを誇る企業が集まっています。1年間のトータルリターンは71.55%で、分配金はありません。

参考元:大和-iFreeレバレッジ FANG+

6.大和-NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)

NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)のロゴ

NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)は、基本的にはNASDAQ100指数の3倍程度の値動きとなることを目指して運用されるファンドです。ただし、さまざまなリスク関連指標を用いて市場局面を評価したうえで、リスクをコントロールするマルチアイ(※1)を搭載しています。

運用がうまくいけば、最大で株式先物を-30%まで売り建てることで下落局面での損失を抑制できます。 なお、NASDAQ100とは、米国の新興企業向け市場のNASDAQ上場銘柄のうち、時価総額上位100社が含まれた指数です。同ファンドに投資すると、高成長が見込まれる一方で規模が大きい企業に、実質的に分散投資できます。なお、1年間のパフォーマンスは68.99%で、過去は分配金は出していません。

参考元:大和-NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)

※1 マルチアイ...マルチアイとは、複数のリスクに関連する指標を用いて市場局面を判定する大和アセットマネジメント株式会社独自のモデルです。市場局面がリスク回避的と判定される場合には、米国の株価指数先物取引の投資比率を調整することによって、基準価額の下落のリスクの抑制を目的としています。

7.三井住友DS-日本株厳選ファンド・メキシコペソコース

日本株厳選ファンド・メキシコペソコースのロゴ

日本株厳選ファンド・メキシコペソコースは、三井住友DSアセットマネジメントが運用する日本株アクティブファンドです。日本株厳選ファンド自体は、いわゆるバリュー株投資を主体としたファンドで、日本株式の中から割安で魅力的な銘柄にフォーカスして投資します。

円コース/ブラジルレアルコース/豪ドルコース/アジア3通貨コース/米ドルコース/メキシコペソコース/トルコリラコースの7コースがあり、円コース以外はそれぞれコース名となっている通貨と円の為替リスクを取得します。すなわち、メキシコペソコースの場合はメキシコペソ円の為替リスクを負うものです。

過去1年は日本株が好調だったことに加えて、メキシコ円が円安に動いたため、ファンドは良好なパフォーマンスを示しました。過去1年のトータルリターンは68.9%です。なお、毎月分配を出すタイプのファンドで、直近は2023年7月に35円の分配を出しています。

参考元:三井住友DS-日本株厳選ファンド・メキシコペソコース

8.楽天-楽天日本株トリプル・ブル

楽天日本株トリプル・ブルのロゴ

楽天日本株トリプル・ブルは、日本の株式市場の3倍の値動きとなることを目指して運用されるファンドです。楽天投信投資顧問が運用しています。特定の株式指数に連動するファンドではありませんが、株価先物を活用して運用されます。

1年間のリターンは66.82%ですが、今後もし相場が下落した場合には一般的な投資信託より大きな損失が生じる可能性があるので、注意が必要です。なお、分配金を出した実績はありません。

参考元:楽天-楽天日本株トリプル・ブル

9.三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 毎月

国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 毎月

9位と10位は共にキャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソで9位が毎月分配を出すコース、10位が1年に1回だすコースです。いずれも三菱UFJ国際投信が運用していますが、ファンドの資金のほとんどはキャピタル・インターナショナルという外資系運用会社が管理するファンドに投資されています。

キャピタル日本株式オープン自体はベンチマークであるTOPIXを上回ることを目指して運用されるアクティブファンドです。 ただし、こちらはその通貨選択型・ペソコースなので、投資先の日本株のポートフォリオの成績にメキシコペソ円の為替変動の影響が加わります。

直近1年はメキシコペソ円の相場環境が円安に触れたこともあり、トータルリターンで62.28%の高水準を示しています。なお、分配は毎月行われていて、直近は2023年8月14日に50円の分配を実施しています。通貨コース11通貨と決算頻度(毎月/1年一回)の組み合わせ22本と2本のマネープールファンドで、計24本のコースがあります。

参考元:三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 毎月 

10.三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 1年

三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 1年のロゴ

こちらは9位にランクインしたファンドと投資先や取得する通貨リスクは同様です。一方で決算頻度だけが異なり、1年に1回となっています。そのためトータルリターンも62.12%で9位の毎月分配型と近い水準となっています。決算は年1回で、直近は2022年10月に10円の分配金が出ています。

参考元:三菱UFJ国際-国際・キャピタル日本株式オープン(通貨選択型)ペソ 1年

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投資信託の銘柄の選び方

投資信託の銘柄選びでは、証券会社のランキングを参考にするほか、手数料の安い銘柄を優先する方法もあります。また、分配金の高さや、自身のリスク許容度に応じてリスクの高さで選ぶのも有効です。一つの手段に絞る必要はないので、複数の観点から魅力的な銘柄を選んでいくとよいでしょう。

トータルリターンランキングの見方

今回紹介したトータルリターンランキングは、SBI証券でみられる過去1年の水準をもとに高い方から順位をつけています。分配金などの利回りと異なり、トータルリターンには基準価額の変動による影響が加味されているため、過去の実際のパフォーマンスを比較することが可能です。

ただし、リターンが極端に高い銘柄は、リスクも高い場合が少なくありません。たとえば今回のランキング上位にはブル型と呼ばれる株価市場の数倍の値動きを目指すファンドが入っていましたが、これらは下落局面では株式市場の数倍の大きな損失を出す恐れがあるのです。

また、あくまで過去のデータである点にも注意が必要です。過去1年好調だったファンドが、次の1年も好調である保証はどこにもありません。市場局面が変わって、別の投資先の成績が向上することはしばしばあります。トータルリターンランキングは銘柄選びの参考にはなりますが、ハイリターンな銘柄にはハイリスク商品が多いことと、過去の収益率に過ぎないことをふまえて、過信しないようにしましょう。加えて、利回りランキングに載った銘柄の上昇要因を把握しておくことも大切です。

さらに、トータルリターンランキングの中には、新しく設立されたファンドが上位にランクインすることがあります。新設ファンドは短期間の高いリターンによってランキング上位に表示されることがありますが、運用期間が短いため、その実績が持続的であるかどうかは未知数です。

新設のファンドに投資する際は、運用方針や運用チームの経験などを確認してから、自身の投資スタイルと照らし合わせて決定すると良いでしょう。

ランキングを使った投資戦略

証券会社では、トータルリターンの他分配金利回りや、買付額/件数の人気、純資産額などさまざまな基準でランキングを見ることができます。これらの指標をもとにしたランキングは、それぞれ概ね以下のような意味を持ちます。

  • トータルリターン:過去の一定期間の実際の収益の高さ
  • 分配金利回り:一定期間に得られる分配金の基準価額対比での潤沢さ
  • 買付額/件数人気:最近の人気ファンド
  • 純資産額:中長期的に見て投資額の多いファンド

特定ランキングの上位ファンドを参考にして投資をおこなうのも一案です。ただし、いずれも過去の成績であり、将来の結果を保証するわけではない点には注意してください。

またトータルリターン以外は、過去に高収益だったファンドが上位に来るとは限らないため、そもそも好成績のファンドを見るランキングではありません。

手数料で選ぶ

手数料の低いファンドを優先的に選ぶのも一つの選択肢です。投資信託の手数料には購入時手数料、信託報酬、 信託財産留保額がありますが、信託報酬以外はかからないファンドもあります。

信託報酬は運用会社や販売会社の収益源となるため、ごく一部条件付きで無報酬のものを除いてほとんどのファンドで発生します。ファンドの資金の中から間接的に徴収されるため、投資家が直接支払う必要がない代わりに、報酬の分だけパフォーマンスが低下します。

証券会社が出すトータルリターンランキングでは、しばしば信託報酬が加味されていないので注意しましょう。 一見安い手数料でも、隠れたコストや追加の手数料が発生する可能性があるため、詳細な手数料情報を事前に入手することが推奨されます。

投資成績自体が同程度のファンド同士の場合、信託報酬が安いファンドの方が手数料を加味したトータルリターンは高くなります。そのため、同じような投資先のファンドが複数ある場合には、手数料の低いファンドを優先的に購入するのも一案です。

分配金の有無で選ぶ

分配金の有無で選ぶのも一案です。投資信託の中には、分配金を全く出さない方針のものと、定期的に出すものがあります。 分配金があると、定期的に現金収入が手に入るため、投資のメリットを実感しやすくなります。

また、獲得した現金を生活費に回したり、他の投資先に投資したりとさまざまな形で使用できます。お年寄りの方であれば、年金を補完する投資としても有効です。 一方で、分配金を受け取るたびに所得税が発生するため、公表された分配金よりも実際の受取金額が少なくなる点がネックです。

また、実現した収益を分配金に払い出す分将来の運用に回すお金が小さくなるため、分配金を加味しない場合のパフォーマンスは、分配金なしの場合と比べて低下します。 投資先の資産成長の恩恵を最大限受けたいなら、分配金なしの方がおすすめです。

分配金なしのファンドはファンド内で発生した収益を自動的に再投資し、将来のさらなるパフォーマンス向上に役立てています。そのため、長期になればなるほど、分配金ありのファンドよりもパフォーマンスが上向きやすくなるのです。当面のインカム収入が必要ない人には、分配金なしの方がおすすめです。  

このような分配金についての情報は、投資信託ごとにある交付目論見書で確認することができるため、詳細な情報を確認してから選択することが必要です。 

リスク許容度で選ぶ

リスク許容度での選択は、投資家の心理的な側面も考慮する点で極めて重要です。人は投資に関して必ずしも合理的に行動するわけではないため、突然の市場の暴落や不透明な経済情勢において、自分が許容できるリスクを超えた投資を行っていると、慌てて資産を売却するなど、冷静な判断ができなくなることがあります。

またリスク許容度は一定ではありません。生活環境や収入、家庭の事情など、状況によって変動することが多いです。そのため、定期的に自身のリスク許容度を再評価し、必要に応じてポートフォリオの再構築を行うことが推奨されます。

低リスクな商品は高収入を得にくい半面、大きな損失も発生しにくいのが特徴です。大幅に元本が毀損しては困るという場合は、低リスクファンドへ投資しましょう。一般に債券より株の方が、また先進国より新興国の方がリスク(ボラティリティリスク)が高い傾向にあります。新興国に関しては上記ランキングにペソ関連の投資信託が掲載されているように為替リスクもあるため、注意が必要です。

また、市場指数に連動するように運用されるインデックス型と、対象の指数を上回ることを目指すアクティブ型のどちらを選ぶかも重要です。基本的にインデックス型よりアクティブ型の方が手数料やリスクが高い傾向にあります。

【関連記事】 世界のETFランキングTOP10!拡大し続けるETF、おすすめ銘柄は?

おすすめの証券会社

投資信託は証券会社によって取り扱い銘柄や手数料が異なります。ここから紹介するようなネット系証券会社の方が、手数料が安い傾向にあり、コストをかけずに投資が可能です。また、投資信託の取扱銘柄数も証券会社によって異なります。

銘柄数が豊富な証券会社を利用したほうが、幅広い選択肢の中から柔軟に投資先を選択できるためおすすめです。なお、ここから紹介する数値は特記ない限り、すべて2023年8月31日時点の値となっています。

楽天証券

楽天証券では、公募の投資信託の買付手数料が無料です。さらに、ETFについても188銘柄において売買手数料が無料となっています。投資信託は2,613本もの豊富な銘柄を取り扱っているため、豊富な選択肢の中から投資先を検討できるでしょう。

投資収益に対する税金が20年間非課税になるつみたてNISAの銘柄も194銘柄と、つみたてNISA対象銘柄の80%程度をカバーしています。 また、楽天グループのポイントサービスである楽天ポイントがさまざまな形でたまるのが特徴で、投資信託の場合は、クレジットカードで決済して積み立てるクレカ積立を活用すると月々の積立額に対して最大1.0%のポイントが付与されます。

さらに、一定残高を超えた月に所定のポイントが付与されます。たとえば、月末時点の残高が、はじめて10万円に到達した場合に10ポイント、30万円の時に30ポイントといった具合です。最大で2,000万円に到達すると500ポイントが付与されます。楽天ポイントを普段頻繁に使用している方にはおすすめの証券会社です。

SBI証券

取引ツールが充実していて、使いやすいのが魅力です。投資信託に絞ると、スマートフォン向け専用サイトがあるため外からでも簡単に投資信託のパフォーマンスのチェックや売買などができます。また、かんたん積立アプリを使うと、積立投資している投資信託のポートフォリオや状況も簡単に把握できます。

SBI証券も手数料の安さが特徴で、投資信託については基本的に買付手数料が無料です。ETFについては、国内ETFなら国内株と同様の手数料が適用されるため、アクティブプランなら1日の約定額が100万円以下であれば手数料無料となります。

投資信託の取扱数は2,653本と多様な銘柄を販売しています。また、つみたてNISA対象銘柄は205銘柄と、2023年8月31日時点では国内で最も銘柄数の多い証券会社です。

auカブコム証券

auカブコム証券はもともとauユーザーにお得な証券会社でしたが、今ではそれ以外の人でもおすすめです。たとえば投資信託のクレカ積立では、年会費無料でauユーザー以外も関係なく利用できるau PAYカードで積立をすれば、月々の積立額に対して年1%のPontaポイントが付与されます

積立投資は1銘柄あたり月100円からできるので、初心者でも少額から始められて便利です。 また投資信託の買付手数料は基本的に無料です。ETFも、auカブコム証券が指定する「フリーETF」適用銘柄なら無料となっています。

投資信託の取扱銘柄数は1,667本と、先に紹介した2社にはおよばないものの、充分な数のラインナップを用意している証券会社です。つみたてNISAについては実は取扱銘柄が豊富で、200本となっています。実は楽天証券よりも多く、SBI証券に次ぐ2番目に多い本数です。

auユーザーの場合は株式売買で優遇があります。たとえば、「国内現物株式手数料」および「国内信用取引手数料」が1%割引となっています。

マネックス証券

マネックス証券も、インターネット上で購入できる投資信託であれば買付手数料はすべて無料です。さらに保有期間に応じてポイント優遇があるのが特徴で、投資信託の保有残高に応じて最大年率0.08%のポイントが付与されます。

また、クレカ積立をマネックスカードで行うと、月々の積立額に対して1.1%のポイントが付与されるルールです。積立を活用しながら投資信託を長期保有すると、ポイントがたまってお得に投資ができるシステムとなっています。 投資信託の銘柄数は1,409本と多様で、さまざまな投資ニーズにあったファンドを柔軟に選択できるでしょう。

つみたてNISA対象銘柄も177本と豊富なラインナップとなっています。積立投資は100円から行えるため、少額から投資を始めたい方にもおすすめです。

まとめ:利回りよりもトータルリターンを参考にするのがおすすめ!

分配金利回りをはじめとした利回りは、基準価額の変化が加味されていないため、収益性を分析するときには注意が必要です。その点、トータルリターンは基準価額の変化も加味した収益率となっているため、過去のパフォーマンスを的確に把握できます。

過去の収益率をもとに投資銘柄を選択したいなら、トータルリターンを参照しましょう。 ただし、トータルリターンが極端に高い銘柄はリスクも高い場合があります。

また、あくまで過去の成績であり、将来は市場が変動して同様のパフォーマンスを出さない可能性がある点にも注意が必要です。トータルリターンだけに着目せず、投資先やリスク、手数料などさまざまなポイントに着目しながら投資先を選んでいきましょう。

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