ETFを活用した分散ポートフォリオ - ETF活用をした分散投資・ポートフォリオ投資術 - 東証ETF活用プロジェクト 東証ETF

投稿日:2013/06/27 最終更新日:2022/08/01
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東証ETF活用プロジェクト [ ETFを活用した分散投資・ポートフォリオ投資術 ]

【第8回】

ETFを活用した分散ポートフォリオ

資産分散によるパフォーマンス安定化の理由 ?
前回(第7回)は、大儲けを狙って集中投資で大損をしてしまうよりも、さまざまな資産クラスに分散投資を行うことで、パフォーマンスを安定させ、大損を避けることが重要であることを確認しました。
では、前回のクイズの答え合わせです。クイズと選択肢を再掲します。
なぜ、資産分散投資をするとパフォーマンスが安定するのでしょうか?
(1)資産分散をするとポートフォリオ全体でパフォーマンスがマイナスにならないため。
(2)資産分散をするとパフォーマンスの良い資産クラスと悪い資産クラスの双方の値動きが相殺されるため。
(3)資産分散をするとポートフォリオ全体のパフォーマンスの90%がアセットアロケーションで決まり、売買タイミング効果や銘柄選択効果などが減少するため。
正解は、(2)の「資産分散をするとパフォーマンスの良い資産クラスと悪い資産クラスの双方の値動きが相殺されるため。」です。
(3)は、ポートフォリオ全体の値動きは投資対象の資産クラスの基本資産配分によって概ね決まることを言っており、資産分散投資によるパフォーマンスの安定化やリスク低減効果の理由にはなっていません。
では、値動きの異なる複数の資産クラスに分散投資することで、パフォーマンス(投資収益率)が安定することを実際のデータから検証することにしましょう。効果的な分散投資には、経済や市場の変動に対して動きの異なる資産クラスを組み合わせることが必要です。また、リターンの異なる資産クラスに分散投資することで、特定の資産のリターンに影響されにくくなり、保有全体で見たパフォーマンスが安定します。
図表1は、国内株式と米国株式の毎年のリターンを表したものです。計測期間の30年間中、国内株式と米国株式が両方上がった年は15年、両方下がった年は4年なので、同じ方向に動いた年は合わせて19年と全体の約3分の2を占めました。一方、国内株式と米国株式が、それぞれ逆に動いた年は11年と全体の約3分の1の期間ありました。このように、同じ株式でも、国が異なれば、いつも同じ方向に動いている訳ではなく、それぞれ逆の動きをしている時期については、資産分散をするとパフォーマンスの良い資産クラスと悪い資産クラスの双方の値動きが相殺されるわけです。
他方、分散投資をしても、投資対象が両方ともマイナスのときは、ポートフォリオ全体でもリターンはマイナスになりますので、「 (1)資産分散をするとポートフォリオ全体でパフォーマンスがマイナスにならないため。」は誤りであることがわかります。
 
【図表1】日米株式市場の年次リターンの推移
【図表1】日米株式市場の年次リターンの推移
 
図表2は、国内株式と米国株式を、いろいろな構成比率で配分した場合の価格変動リスクと平均リターンです。国内株式と米国株式を組み合わせたポートフォリオは、それぞれ単独で保有する場合より価格変動リスクが低くなることがわかります。これは、前述同様、国内株式のリターンが冴えない時に、米国株式のリターンが好調な時期や、またその逆の時期もあるため、それぞれのリターンの良し悪しが、相殺されているためです。
図表2から投資対象の構成比率を変えると、リスク・リターンが変わることがわかりましたが、どのような構成比率が投資家にとって望ましいのでしょうか?
 
【図表2】株式の市場分散の効果
【図表2】株式の市場分散の効果
 
ETFを活用した分散ポートフォリオ ?
投資対象の構成比率を決める方法には、いくつもの方法があると思いますが、機関投資家をはじめ運用会社は、一般的にポートフォリオのリスク・リターンの効率性を高めることを目指します。
図表3は、「個別の資産クラス」のリスク(標準偏差)と期待リターン(リターンの予測)と、個別の資産クラスをさまざまな構成比率で組合せた「ポートフォリオ」のリスク(標準偏差)と期待リターン(リターンの予測)をイメージにしたものです。
 
【図表3】さまざまなポートフォリオのリスク・リターン
【図表3】さまざまなポートフォリオのリスク・リターン
 
投資家が合理的にリスク回避的な投資行動をすれば、同じリスク水準ならば期待リターンのより高いポートフォリオを投資家は選択することでしょう。また、同じリターン水準ならばリスクのより低いポートフォリオを投資家は選択するはずです。
したがって、合理的な投資家は�Aのポートフォリオよりもリスク・リターン特性が効率的な�@や�Bのポートフォリオを選択します。�@や�Bのように左上部分にあるポートフォリオは、いずれもリスク・リターンの観点から効率的なポートフォリオと言うことができ、これらのポートフォリオのリスク・リターンを結んだ線を効率的フロンティアと呼びます。
言い換えますと、効率的フロンティアは、あらゆるリスク水準でリターンを最大にし、同時に、あらゆるリターン水準でリスクを最小にする資産の組み合わせ(ポートフォリオ)のリスク・リターンを表したものです。
図表4は、国内上場ETFで作ることができる効率的フロンティアに近い資産クラス型ポートフォリオです。投資家は一人ひとりリスク許容度が異なるので、リスク水準の異なる3つのモデル・ポートフォリオを示しています。
 
【図表4】ETFで構築する分散ポートフォリオ例
【図表4】ETFで構築する分散ポートフォリオ例
【図表4】ETFで構築する分散ポートフォリオ例
 
これらのポートフォリオは、どれもがリスク・リターンの観点からは効率的ですが、ある特定の投資家にとって、どのポートフォリオが適切であるかは、投資家の投資方針(目標リターン、リスク許容度、投資期間など)によって異なります。
【第3回】ETFの「価格変動リスク」でも触れましたが、ポートフォリオの価格変動性は、推計リスク(標準偏差)とかかわりが深く、1年間で推計リスクの2倍程度上昇する可能性がある一方、下落する可能性もあります。そのため、投資できる期間や、短期的に損失が出てしまった時にどれだけ我慢できるか、といった自分の忍耐力をあらためて見つめることが大切です。一時的に40%以上の値下がりに耐えることが出来るならば、積極型ポートフォリオなど長期的には高い運用成果が期待できる株式中心のポートフォリオを選択することができるでしょう。しかし、短期的にでもなるべく値下がりを避けたい場合は、長期的には高い運用成果を期待できないかもしれませんが、バランス型ポートフォリオなど債券中心のポートフォリオを選択したほうがよいでしょう。
この基本資産配分で運用成果の大半は決まってしまいますので、投資を行う際には、同じ資産クラスの中で、どのファンドを選択しようか?と迷う前に、長期的な観点でのリスク・リターンの予想に基づき「どの資産クラスに、どれくらい配分するか」という基本資産配分をしっかり決めましょう。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということわざがあります。ETFを活用した資産運用においても当てはまり、各々のETFの連動指数のリスク・リターン特性を理解した上で、自分はどの程度の損失に耐えられるかを再認識し、現在の財産状況を踏まえ将来の資産設計を見つめ直しましょう。
自分に合った資産運用(基本資産配分)を見つけることが、投資の第一歩です。
執筆:イボットソン・アソシエイツ・ジャパン マネジング パートナーCIO/小松原宰明
掲載日:2011年月03月22日
小松原 宰明氏小松原 宰明氏プロフィール
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 マネジング パートナーCIO
(社)日本証券アナリスト協会検定会員
http://www.matonavi.jp/
1987年慶應義塾大学理工学部卒業、日本長期信用銀行入行。長銀投資顧問システム運用部ファンドマネジャー、UBSアセットマネジメント国内株式ポートフォリオ・マネジャーを経て、2000年11月イボットソン・アソシエイツ・ジャパンを共同設立。著書に『リスク・リターンの経営手法』(共著、中央経済社)、『ポリシー・アセットアロケーションの重要性』証券アナリストジャーナル2008年9月号(第20回証券アナリストジャーナル賞受賞)、『債券の期待リターンの推計−実証分析と将来シミュレーション−』(日本ファイナンス学会第12回大会予稿集)、『ポートフォリオ・マネジメント・プロセス』(共著、証券アナリスト第1次レベル通信教育講座テキスト)などがある。


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