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見過ごされてきたフィリピン株に着目——キャピタルAMが新ファンド
世界の株式相場が足踏み状態となる中、フィリピン総合指数は上昇が続き6月21日に3357ポイントと年初来高値を更新した。BRICsに続く新興国の一角として期待が持てるのかどうか・・・。フィリピン株に投資する国内唯一の追加型株式投信『フィリピン株ファンド』を運用するキャピタル アセットマネジメントの執行役員兼運用本部・本部長の本庄正人氏に話を聞いた。
フィリピンの魅力を挙げると。
本庄氏:
新興国ブームの陰で見過ごされてきたのがフィリピン。しかし、フィリピンの国内総生産(GDP)は個人消費を牽引役に安定成長を遂げてきたうえ、足元の1−3月期の実質GDP成長率は輸出の回復が寄与し、前年同期比7.3%と高い伸びをみせた。また、人口は現在約9000万人で今後は年率2%程度のペースで増加する見通しと、数十年後にピークアウトすると言われている中国や、人口の増加率が1%台にスローダウンしているベトナムと比較すると先行きの見通しは明るい。
こうした豊富な人口を背景とした個人消費のさらなる拡大のほか、他社業務の一部を一括請負するBPO(Business Process Outsourcing)サービスの増加、インフラ整備などによりフィリピンの今後のGDP成長率は5%程度が見込まれる。
BPOで思い浮かぶのはインドだが。
本庄氏:
BPOの世界シェアトップはインド、第2位はフィリピンだ。英語を話す人材が多いことなどが両国でBPOが発達した背景にある。さらに、フィリピンでは政府の後押しもあってコールセンターや、金融のバックオフィス、文書作成関連と様々な分野のBPOが急速に増加している。最近ではインドの人件費アップなどを受けて、インドからフィリピンにアウトソース先を移行するケースも増えているようだ。
フィリピンの代表的株価指数のフィリピン総合指数が年初から5月末までに7%上昇した一方、中国株やインド株は下落した。フィリピン株が好調な理由は。
本庄氏:
外国人投資家の買いが入っている。インドネシアなどと比較すると短期的には割安感があるからだろう。1−3月期のGDPが好調だったことも買い安心感につながっているようだ。今秋にはREITの取り引きが解禁される予定のため、相場の活性化につながると期待している。
新興国の株式市場といえば市場規模や流動性の問題が懸念されるが。
本庄氏:
これもフィリピン株が見過ごされてきた理由の一つ。実はフィリピン株市場の時価総額は、約13兆円とベトナムの約3兆円を大きく上回っている。また、1日の出来高は平均70〜100億円程度と流動性も十分にある。上場企業の業種が銀行やインフラなどに偏っているとの見方もあるが、実はコングロマリット(複合企業)が多いので結果的に業種は分散できる。
『フィリピン株ファンド』は国内で運用しているが、企業調査はどのように行うのか。また、現地の運用会社に委託せずに自社での運用にこだわった理由は何か。
本庄氏:
四半期に1度は必ず現地に足を運び企業とコンタクトをとる。長い間、政治腐敗が問題視されてきたフィリピンだが、現地で企業調査をしていると民間企業の経営レベルが非常に高いことに感心させられる。
リサーチではマクロ経済分析のほか、企業の収益力や割安性、マネジメント能力などに着目する。上場企業は約260社だが、フィリピンの代表的株価指数のフィリピン総合指数を構成する30銘柄だけで時価総額全体の8割超を占める。流動性などを勘案し、当ファンドでは主に指数構成銘柄の中から20銘柄前後に投資する。
運用会社なので自前で運用すべきとの考えがある。自社運用なら個人投資家にコストを還元することも可能だ。当ファンドの信託報酬は年率1.46%(税抜き)と新興国株に投資するファンドの中では相対的に抑えめの水準といえよう。
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