【第50回】 インベスコ投信投資顧問 代表取締役社長兼CEO 佐藤 秀樹 氏 - 資産運用ビジネスこそ私の天命 - 投資信託

投稿日:2013/06/27 最終更新日:2022/08/01
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【第50回】

インベスコ投信投資顧問 新社長に佐藤秀樹氏が就任

資産運用ビジネスこそ私の天命

独立系資産運用会社の米インベスコ・リミテッドの日本拠点であるインベスコ投信投資顧問の代表取締役社長兼CEOに9月18日、佐藤秀樹氏が就任した。若き新社長は資産運用ビジネスこそが自身の天命といい、今後3年程度で運用資産残高を2倍に引き上げると意気込む。これまでとは一味違ったインベスコ投信投資顧問の姿をみせてくれそうな予感を漂わせる。

資産運用業界では一貫して外資系畑を歩んでいますね。

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佐藤氏:

以前はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントで法人営業部長として、年金基金や金融法人などの機関投資家向けビジネスを担当していました。その後、フィデリティ投信に転職し、投信営業本部長としてリテールビジネスに携わることになりました。これまでの法人営業とは職務の内容が180度変化したわけですが、リテールビジネスの面白さを味わえた良い機会になりました。リテールの醍醐味は、売れ筋商品を自分達の手で生み出すことができる、つまりマーケットを創出できる点にあります。機関投資家およびリテールの両ビジネスで培った経験が私の強みであり、インベスコ投信投資顧問ではこの経験を生かして私のキャリアの集大成にする心づもりでいます。

私は外資系というジャンルに強いこだわりを持っています。幼少期を海外で過ごした私は日本人と外国人双方の文化や考え方を理解することができ、両者を結ぶ仲介的な役割を担えます。こうした私のバックグラウンドをビジネスに生かせる場が外資系企業です。これまでキャリアを積み重ねてくるなかで苦難もありましたが、現在、資産運用ビジネスが私のmission、天命であると確信しています。

 

結果が全てといわれる外資系企業で、どのような数値目標を掲げていますか。

佐藤氏:

当社の運用資産残高(※)は約1兆8400億円(6月末時点)ですが、この資産規模を今後3〜5年間で2倍に拡大し、同じく収益についても2倍アップを目指します。この目標を実現させるための一つの手段として、運用のプラットフォーム(基盤)を拡大し、商品ラインアップを充実させることで多様な投資家ニーズに応えられるようにします。例えば、インベスコ・リミテッドでは2000年にイギリスの『パーペチュアル』を買収したほか、9月にはインドの総合金融グループ『レリゲア・エンタープライゼス・リミテッド』と合弁企業設立に合意したことでインドに投資するファンドの提供も可能になりました。しかし、プラットフォームはまだまだ大きくする必要があります。

 

リテールビジネスでは、どういったファンドを通じて個人投資家資金を呼び込み、残高を拡大させますか。

佐藤氏:

新ファンドの立ち上げだけでなく、社内で"お宝ファンド"と呼んでいる運用成績が好調な既存ファンドにクローズアップする機会を増やします。一例を挙げると、『インベスコ オーストラリア債券ファンド(毎月決算型)』は2003年からの運用実績があり、設定当初からの基準価額(分配金再投資)は約80%上昇(9月末時点)しました。毎月の分配金額は徐々に増額し、2010年9月以降は110円(税引前)と高水準かつ安定しています。こうしたお宝ファンドを浸透させていく考えです。私の過去の経験に基づくと、個人投資家の方に支持を得られるファンドには、シンプルで分かりやすく、好成績という共通のキーワードがあります。こららも念頭において商品を提供していきます。

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また、"サブアドバイス"(※)を通じたリテールビジネスの資産規模拡大も視野に入れています。新光投信さんが運用している『新光 US−REITオープン(愛称:ゼウス)』は運用資産残高が一時7000億円(9月末時点5811億円)を突破した大型ファンドですが、実はこのファンドの米国REITの実質的な運用をグループのインベスコ・アドバイザーズ・インクの不動産部門が行っています。不動産部門としては運用資産残高が世界でトップ10に入る資産規模を有しているほか、約30年という長い運用実績などが評価されてアドバイザーに選ばれたようです。こうした関係から、当社も『ゼウス』に関する業務の一部をサポートしています。

 

2010年にモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント・グループから日本株部門を取得しましたが、日本経済は2013年以降1%台の低成長が続く見込みのうえ、日本株相場は低迷が続いています。日本株運用に対するニーズは限られるのでは。

佐藤氏:

相場全体では軟調でも個別銘柄に焦点を当てると有望銘柄は多数あります。こうした銘柄を発掘するストラテジーの一つがユニークなコンセプトの"日本株式アドバンテージ運用戦略"です。この投資戦略では、企業のブランドなど"無形価値"を強みに強固なフリー・キャッシュフローの創出が見込める40〜60銘柄程度に厳選投資します。運用成績は2006年度(2006年4月〜2007年3月)以降、ベンチマーク(TOPIX・配当込み)を上回るパフォーマンスを上げていることも評価され、機関投資家の資金流入を受けて残高が増加しています。

 

資産運用の必要性と運用業界の発展に不可欠なこととは。

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佐藤氏:

低金利が続く国内において、1500兆円に膨らむ個人金融資産を有効活用すべきでしょう。豊かで幸せな老後を実現させるためには資産運用のほかに方法はないと思います。まさに今、資産形成について本気で考える時期にきているといえます。例えば、確定拠出年金(日本版401k)で掛け金を上乗せできる"マッチング拠出"の上限額の引き上げなど、制度面の仕組みづくりだけでなく、運用に対する海外の考え方なども参考に金融リテラシーを高めることが必要です。

当社としては多数の良いプロダクトを投資家の方に提供していく方針です。また、若い人材が資産運用業界にあまり入ってこないことを危惧しています。当社のファンドなどを通じて、今後は外資系企業の認知度をアップさせることで志の高い若者達と共に、より活気に満ちた運用業界をつくっていきたいです。

 


インベスコ投信投資顧問単体の運用資産残高で、国内外の投資一任/投資助言、公募投資信託、私募投資信託、サブアドバイス(海外関係会社が投資助言などをしているファンドのうち、インベスコ投信投資顧問がサポートなどをしているファンドの残高の一部)を合算したもの。

 
聞き手:QBR (掲載日:2012年11月05日)

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佐藤 秀樹氏
インベスコ投信投資顧問 代表取締役社長兼CEO

経歴

1993年 慶應義塾大学商学部卒業
1993年 三井物産
1994年 ウエスト・ドイチェ・ランデス・バンク
1999年 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント
2005年 同社 法人営業部長
2008年 フィデリティ投信 執行役 投信営業本部長
2012年 現職
 

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