投信フォーカス 高分配の源泉といえる「収益調整金」について - 注目の投信 - 投資信託
投資信託 [ 注目の投信 ]
投信フォーカス
高分配の源泉といえる「収益調整金」について
高い分配金を背景に毎月分配型ファンドは人気化し残高が拡大しましたが、組入資産の運用益以上の分配金を出すファンドを問題視する向きもあります。そこで、今回は高い分配金の源泉ともいえる「収益調整金」について説明し、次回はこれを踏まえて問題点などを解説します。
投信の分配金にかかわる勘定科目には、当期の「配当等収益」、「有価証券売買等損益」に加えて、前期から繰り越された「分配準備積立金」、「収益調整金」があり、そこから分配金が支払われます。収益調整金とは、新たな投資家が投信を購入する追加設定によって、既存のファンド保有者への分配可能額が減らないよう設けられた勘定科目です。分かりやすい例を1つ挙げてみましょう(図表1参照)。
投資家Aの資金により投資信託を10000 円設定して、決算直前までに300円の分配原資(組入資産からの利子など)がたまっていたとします。
投資家Aは決算期に300 円の分配金がもらえると楽しみに思っていたところ、決算(分配)直前に別の投資家BがAと同じ口数を追加投資してきたとします。
投資家Bの購入金額は元の10000円に分配原資300円が積み上がっていますので、10300円ということになります。その直後に決算を迎えたとすると、たまっている分配原資は300円しかないため、この300円を2人で分ける形となり、1人あたりの分配金額は150円と投資家Aの当初予定していた分配額より減ってしまいます。これを分配金の希薄化といいます。
そこで、この分配金の希薄化を防ぐために、投資家Bの資産10300円のうち、10000円を超える300円の部分を収益調整金に入れることで、そこからも分配が可能になるのです。つまり、分配可能原資は300円+300円=600円となり、1人あたり300 円の分配金を出すことが可能になります。
このように、収益調整金は分配金の希薄化を防ぐために重要な役割を担っているとの見方もあります。
一方、実在するファンドXの分配可能原資(図表2参照)を見ると、分配金が35円であるのに対し、組入資産の配当等収益は9円で、当期の組入資産の収益でまかなっているのは分配金の1/4程度であることが分かります。つまり、それ以外は前期から繰り越された分配可能原資から分配していることになります。組入資産の収益の蓄積ともいえる「分配準備積立金」が168円。それに対して、「収益調整金」は673円とはるかに大きい状況です。これまでの追加設定により膨らんだ「収益調整金」が、分配可能原資の中心になっており、その結果、このように組入資産の利回り水準より高い分配金を支払うことができるファンドも出てきているため、総合的な運用成績を誤解しないよう注意する必要があります。
最新ネット証券比較ランキング
口座開設されてない初心者の方に向けた、ネット証券が比較できる最新ランキングTOP10はこちらです。口座開設手続きはネット上で完結できます。口座開設キャンペーンもご紹介してます。是非この機会に、ネット証券の口座開設を行ってみましょう。