【第18回】野村證券がETFの販売を本格化——なぜ、今、ETFなのか 東証ETF

投稿日:2013/06/27 最終更新日:2022/08/01
article hero image
本コンテンツは当サイト編集部が独自に制作しております。各広告主様やアフィリエイトサービスプロバイダ様から商品案内や広告出稿をいただくこともありますが、各事業者様がコンテンツ内容等の決定に関与することはございません。本サイトは広告およびアフィリエイトサービスにより収益を得ています。コンテンツ内で紹介した商品が成約されると、売上の一部が当サイトに還元される場合があります。

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

【第18回】

ETFプロバイダーに聞く——野村證券

野村證券がETFの販売を本格化——なぜ、今、ETFなのか

野村證券がETFの販売に本格的に乗り出しました。同證券では昨年12月にETFマーケティング・グループというETFの専門部署を設立。ETFの認知度をアップさせて投資家資金を呼び込み、国内ETF市場の活性化への貢献を目指すとのことです。同グループの塩田誠グループ長に今後の販売戦略などについて話を聞きました。
金融商品を販売する金融機関でETF専門の部署があるのは珍しいですね。具体的にどのような活動をしているのですか。
野村證券ETFマーケティング・グループ長塩田誠氏
野村證券ETFマーケティング・グループ長
塩田誠氏
投資家層を運用のプロである“機関投資家”と、個人投資家を主とする“営業店のお客様”に大別して、それぞれのお客様のニーズに見合った商品提案をしています。
ETFの委託取引に占める投資部門別売買シェア(東京証券取引所・金額ベース、グラフ1参照)では、機関投資家の比率は1割強です。比率が低水準に止まっている理由の一つとして、投資信託や年金資金の運用機関など、最終投資家の受託資産を運用する投資家がETFの活用を躊躇していることなどが考えられます。
(グラフ1)東京証券取引所の投資部門別ETFの売買状況(金額ベースの構成比)(グラフ1)東京証券取引所の投資部門別ETFの売買状況
※出所:東京証券取引所
※自己、委託の比率は資本金30億円以上の取引参加者の総売買代金(売り買い合計別)に対する構成比。法人、個人、外国人のシェアは委託売買代金(売り買い合計別)に対する構成比。
※外国ETFは含まない。
しかし、この数年で世界的にETFの商品ラインアップが多様化したため、例えば年金資金の運用で金現物への投資は実質的に不可能ですが、ETFなら代替することが可能です。機関投資家の潜在需要は大きいとみており、今後はさらに力を入れていく方針です。また、当部署では国内に限らず海外の機関投資家も視野にグローバルな活動を目指しています。
一方、個人投資家層については現在、ネット経由での取引が多いと推測され、営業店での対面販売を通じたETFの取引はあまり活発ではなかったように感じます。このため、この分野も今後の開拓余地が大きいとみています。
2001年のETFの本格スタートから既に約10年が経過しています。なぜ、今、ETFに注目するのでしょうか。
私は2007年に野村アセットマネジメントの金価格連動型ETFの設定・上場に携わりました。その後3年が経過して国内の上場銘柄数は当時より増えはしたものの、残高は伸び悩み、売買金額もほぼ横ばいです(グラフ2参照)。これは商品ラインアップの問題だけではないと思い、ETFの商品性や活用法をもっと広めるべきだと考えました。
(グラフ2)国内ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ2)国内ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ2)国内ETFの残高と銘柄数の推移
ETFの投資魅力を挙げると。
野村證券ETFマーケティング・グループ長塩田誠氏
たとえていうなら、ETFは選ぶ(E)楽しみ(T)があるファンド(F)。なぜかというと、世界には約2400銘柄ものETFがあるからです。例えば、債券価格の値動きを捉えるETFと一口にいっても、連動投資対象が中期債や長期債など様々で、投資家は各自の投資判断・テーマに見合ったETFを見つけることができると思います。さらに、ETFの商品性について、投資対象指数への連動を目指すという理解しやすい仕組みであることも魅力の一つです。
また、ETFは世界の著名なヘッジファンドが活用しているだけでなく、国内では日本銀行が金融緩和策としてETFを買い入れてます。つまり、プロの目にも適った金融商品といえるのではないでしょうか。
今後のETFの販売戦略を教えて下さい。
当社では現在137銘柄(国内上場93銘柄、海外上場44銘柄)のETFを取り扱っていますが、さらなる取扱銘柄の拡充を図ります。国内債券市場などの値動きを捉えるETFがまだありません。米国のETF市場でリーマン・ショック後に最も資金が流入したのは債券のETFです。国内債券ETFにも需要はあると思います。
投資家に対しては各投資家層に応じた商品提案をします。個人投資家についてはセミナーなどを通じてETFの魅力を説明するなど、まずは認知度アップを図ります。さらに、これまで手薄になっていた個人投資家への対面販売に力を入れ、直に投資家と接することで資産運用の必要性やポートフォリオ運用の有効性を唱えていく中でETFを提案していく方針です。
国内ETF市場の活性化に必要な要素は何でしょうか。
米国を筆頭に海外ではETFの取引が活発です。例えば、米国の代表的株価指数であるS&P500種株価指数に連動するETFの1日当たりの売買金額は2兆円と、この1銘柄だけで東京証券取引所(1部、2部、マザーズの合算値)の売買金額を上回ることもあります。これは米国国内の投資家だけでなく、海外投資家の資金も流入しているからです。
(グラフ3)米国ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ3)米国ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ3)米国ETFの残高と銘柄数の推移
野村證券ETFマーケティング・グループ長塩田誠氏
日本でも海外投資家の資金を積極的に取り込むべきではないかと思います。そのためにはまず、海外投資家にとって魅力があるETFを揃える必要があります。例えば、日本の取引所の地理的特性を活かして、アジア市場の値動きをタイムリーに反映したアジア株のETFや、アジア債券のETFなどアジア諸国・地域を投資対象とした商品なら優位性があると考えます。そのほか、簡単ではないことを十分承知しておりますが、海外投資家の利便性向上のために国内ETFの米ドル等での決済、もしくは米ドル建てでの価格の表示が実現できれば海外投資家の資金流入に弾みがつくかもしれません。
また、海外のETF運用会社が彼らのETFを国内の金融機関で取り扱う場合、外国投信の届出が必要で、そのための費用がかかります。このため、海外運用会社は届出に二の足を踏むという声も聞きます。さらに、国内上場ETFは個別株の取引と同様に乗り換え(保有するETFを売って別のETFを買うこと)をしても問題ありませんが、外国上場ETFの場合は投資信託と同様に乗り換えの前に、金融商品取引法に基づいた個人投資家への説明が必要になります。しかし、このような規制は投資家サイドに立てば、柔軟なポートフォリオ変更の機会を阻害する要因になっているかもしれません。端的に表現すると、国内上場ETFとイコールフッティングになっていないのです。
現在、香港やシンガポールの取引所もETFの新規上場に力を入れていると聞きます。国内ETF市場の活性化のためにも、両国に見劣りしない優位性のある商品ラインアップ、銘柄数、そして制度などが必要だと思います。
掲載日:2011年月01月27日/株式会社QBR

最新ネット証券比較ランキング

口座開設されてない初心者の方に向けた、ネット証券が比較できる最新ランキングTOP10はこちらです。口座開設手続きはネット上で完結できます。口座開設キャンペーンもご紹介してます。是非この機会に、ネット証券の口座開設を行ってみましょう。

articles 投資を学ぶ

資産運用

article item
資産運用 現行のつみたてNISAの年齢制限は何歳まで?新NISAになったら変わる?
菅原良介 2024/04/16
article item
資産運用 つみたてNISAの手数料を比較!安い手数料を選ぶポイント
菅原良介 2024/04/16
article item
資産運用 つみたてNISAを始めるならどの証券会社がいい?おすすめの銘柄も解説!
菅原良介 2024/04/16
article item
資産運用 つみたてNISAは楽天証券で始めるのがおすすめ!商品の選び方も解説
菅原良介 2024/01/26

株式

article item
株式 (基礎編) 長期投資におすすめな銘柄は?選び方や失敗例を徹底解説
菅原良介 2024/04/16
article item
株式 (基礎編) つみたてNISA利回りランキング!平均利回りと商品の選び方について解説
菅原良介 2024/04/16
article item
株式 (基礎編) 【2023年】初心者向け株取引アプリ7選!アプリ選びのポイントも解説
菅原良介 2024/04/16
article item
株式 (実践編) 米国株式のインデックスファンドおすすめ5選!選び方のポイントについても解説
菅原良介 2024/04/16

信用取引

article item
信用取引 気になる機関投資家の空売り!機関投資家の動きを把握し、取引に活用!
菅原良介 2024/04/16
article item
信用取引 機関の空売りとは?空売り残高の活用方法と銘柄の特徴について紹介
菅原良介 2023/08/15
article item
信用取引 つなぎ売りとは?つなぎ売りの方法や注意点などを徹底解説!
2023/03/31
article item
信用取引 クロス取引とは?有名な「優待クロス取引」のメリットや気をつけるべき点などわかりやすく解説!
菅原良介 2023/03/31

投信/ETF

article item
投信/ETF 投資信託の平均利回りの計算方法を知って賢く投資
菅原良介 2024/04/16
article item
投信/ETF 投資信託とは?初心者でもわかる基本と仕組みについて解説
菅原良介 2024/04/16
article item
投信/ETF ETFの手数料とは?費用や税金などのコストについて解説!
菅原良介 2024/04/16
ETF
article item
投信/ETF SPYDの分配金はどれくらい?利回りの推移や安定性を徹底チェック!
菅原良介 2024/04/16

Jリート

article item
Jリート J-REITの種類とは?選び方のポイントも含めて丁寧に解説!
2023/03/31
article item
Jリート 【J-REIT初心者入門】J-REITとは?メリットやリスク、現物不動産投資との違いを解説
2023/03/31
article item
Jリート J−REITは長期保有?短期売買? - はじめてのJリート物語
2023/03/31
article item
Jリート リートっていくらから買えるの? - はじめてのJリート物語
2023/03/31

金銭信託

article item
金銭信託 安全性と収益性のバランスが良い投資方法とは?スマートプラスの合同運用指定金銭信託についてご紹介!
2023/10/31
article item
金銭信託 金銭信託にはどんな種類がある?それぞれの特徴やリスクを知っておこう
2023/10/31
article item
金銭信託 金銭信託でこれは知っておこう!利益がもらえる時の信託受益権とは?
2023/10/31
article item
金銭信託 信託銀行って何の銀行?どんな金融資産を運用してる?
2023/10/31

NISA

article item
NISA つみたてNISAにおける銘柄選びのポイントは?成功させるための方法も紹介
菅原良介 2024/04/16

不動産投資

article item
不動産投資 不動産クラウドファンディングのメリットは?ソーシャルレンディングとの違いも解説!
菅原良介 2024/04/16
article item
不動産投資 おすすめの不動産クラウドファンディングは?比較すべきポイントも合わせて紹介
菅原良介 2024/01/31