長期投資を複利で運用すると、より効率的に資産を増やすことが可能になります。
この記事では長期投資に適したつみたてNISAにおける複利効果のポイントや注意点などを紹介していきます。
つみたてNISAの複利効果とは?
つみたてNISAの魅力の一つとして、長期投資による複利効果が得られることがあります。ここではまず複利効果の基本的なメカニズムと、つみたてNISAで複利効果が得られる背景について見ていきましょう。
そもそも複利とは?
複利とは、投資の中で発生した収益を再投資することで、積み立てた金額が増えていくため、投資期間が長いほど収益額が大きくなる効果を意味します。
例えば、10万円を年率5%で運用した時の収益額を計算すると5,000円です。次の年、もし複利効果を得ずにもう一度10万円で運用すれば、やはり収益額は5,000円になります。一方で、複利効果を得るために、元々の元本10万円と収益の5,000円の合計105,000円を年利5%で運用すると、収益額は5,250円となり、1年目より金額が大きくなるのがわかるでしょう。
このように収益額を再投資することで、長期投資においては運用効果を高めることが可能です。ここからは、具体的なシミュレーションを基に見ていきましょう。
こちらの図は毎月1万円、年率5%で30年間運用した場合の複利運用と複利効果がない単利運用でおこなった場合の収益の差です。図のように複利効果を30年間継続すると、複利と単利では約430万円もの差が生じます。つみたてNISAなどによる長期投資では複利効果をうまく活かすことで、資産額を効率的に拡大できるのです。
複利と単利の違い
複利は投資によって生じた収益をまた再投資に回すことで得られる収益を意味します。計算式は次の通りです。
- 複利運用による資産総額=投資元本×{(利回り+1)投資期間-1}利回り
具体的な複利効果を得る方法としては、分配金などを現金化せず、そのまま同じ投資信託などの金融商品に再投資することにより可能となります。
対して、単利では元金のみを対象とする運用手法で、計算式は次の通りです。
- 単利運用による資産総額=投資元本(1+年率利回り×投資期間)
単利運用は、投資で得た収益を再投資せず、現金化した場合に実現可能です。例えば、年に一回分配金を出す投資信託を再投資せずに運用すれば、単利運用に近くなります。
つみたてNISAで複利が利益を生み出す仕組み
長期で積み立てながら投資をするつみたてNISAは、複利運用を行うことで投資信託等の基準価格が上昇する度により利益を得ることが出来ます。つみたてNISAで投資可能なETFや投資信託は、インデックス投資をおこなう商品が中心です。インデックス投信では投資先の株式の値上がりなどによって生じた収益が自動的に再投資されます。そのため、基準価額には複利運用の成果が反映されることになるため、保有し続けているだけで複利効果が得られます。
またETFなど分配金が出る商品でも、分配金を再投資すれば複利効果を享受可能です。長期で運用すれば収益額に大きな差を生みますので、特につみたてNISAをおこなう場合は、複利効果を得られる方法で投資をおこなうことをお勧めします。
つみたてNISAの複利は嘘?効果ない?
複利効果は長期で運用することでより効果が出るものなのですが、その効果を実感できず「嘘なのでは?」「効果ないのでは?」と考えている人も少なくありません。ここからはつみたてNISAで効果を実感できない背景について見ていきましょう。
複利効果を実感できない理由
つみたてNISAで複利効果を実感できない理由は大きく次の二点です。
- 実際には収益率は毎年変わるから
- 損失にも複利効果が効いて拡大してしまうから
まず、実際の投資においては毎年「年率〇%固定」というわけには行かず、時期によって相場は常に変化しているので成果が変わることがほとんどです。さきほどのシミュレーションのように毎年利率が固定ならわかりやすいのですが、時期によって利率が異なると、複利効果によって実際どの程度収益額が拡大しているのかわからなくなってしまいます。もう一点は、損失にも複利効果が働いてしまうこと。下落相場の中で損失が拡大している印象が強く、複利効果がよくないものであると錯覚する人も少なくありません。
もし相場の方向性を正確に予測できるなら、その時々で分配金や配当の受け取り・再投資を選んでいくというのも選択肢の一つとなります。しかし現実には、相場の方向性を予測するのは困難です。そのため、つみたてNISAで長期継続運用をする場合には、短期間の損失時に左右されることなく、投資先の将来の成長に期待して複利で投資をおこなうのも一つの考え方といえるでしょう。
複利効果を活かす方法
つみたてNISAで複利効果を最大限活かすためには次のような商品に投資をおこなうのがおすすめ。
- 分配金なしの商品
- 手数料が安い商品
インデックス投信などを中心に、そもそも分配金なしの商品、分配金なしを選択できる商品が少なくありません。分配金なしの商品は、ファンドの中で発生した収益が自動的に再投資されるため、保有していれば複利効果が享受できます。
「分配金あり」でも分配金を再投資すれば複利効果が得られるのですが、つみたてNISAでは分配金の再投資はその時のNISAの非課税投資枠を使用してしまいます。すなわち別の投資をおこなう余地が減ってしまうため、極力分配金なしにして自動的に複利効果を得る形にした方がよいでしょう。
また、投資信託では運用期間中は運用会社や販売会社が信託報酬という手数料を徴収します。この手数料は投資成果によって生じた収益から差し引く形で間接的に徴収される仕組みです。そのため、投資信託の手数料が高いと毎年の年率リターンが下がってしまいます。複利効果は収益率が高いほど大きく資産額が拡大するため、手数料が低く、収益が残りやすい商品を選んだ方が、より効果を実感できるでしょう。
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つみたてNISAの複利効果はどのくらい?シミュレーションで計算
20年間にわたり積み立て運用をおこなうつみたてNISAにおける複利効果をシミュレーションで確認してみましょう。ここではつみたてNISAの上限額である40万円を年率3%で20年間運用したと仮定します。
複利で運用する場合
まず、複利で運用したときのシミュレーションは次の通りです。
当初40万円だった資産額は72.2万円ほどになります。運用利益の合計は32.2万円となり、複利効果により年率3%でも資産規模は倍近くになることがわかります。
単利で運用する場合
続いて、単利運用をした場合には次の通りです。
この場合は20年間の利益の合計は24万円です。もし収益をそのまま現金で保有し続けていたとしたら資産総額は64万円になります。複利運用の場合と比較すると8万円以上の差がつく計算となります。
つみたてNISAの複利効果についての注意点
最後につみたてNISAに複利効果を期待して運用する場合の注意点を紹介します。注意点を理解したうえで、効率的な運用をおこなっていきましょう。
利益だけでなく損失も拡大させる
下落局面においては、複利運用によって損失を拡大させるケースもあります。
上図のように下落相場のタイミングで分配金や配当を得られる投資をおこなっている場合、分配金・配当を現金化しておいた方が、トータルの損失額を抑えられます。但し、長期投資をするときに価格の下落を正確に予測するのは困難です。そのため、一時的な損失には目をつぶり、長期的な成長力に期待して複利効果を享受していくというのも一つの選択肢といえます。
元本が安定しないと複利の効果が利かない
複利効果は、投資成果によって拡大する資産をそのまま再投資することで効果が最大化します。運用期間中に一部を現金化してしまうと、投資元本が減るため、複利効果は抑制されることになります。複利効果を最大限得るためには、投資元本や獲得した収益は売却・現金化せずに、つみたてNISAの運用期間が終了するまで保有し続けるのがおすすめです。
まとめ
長期投資を行うつみたてNISAは複利効果を得やすい仕組みを持つ制度です。インデックス投信やETFなどで分配金を受け取らない購入方法を取ることで、収益が自動的に再投資され複利効果が最大化できます。また、複利効果を得るためには、手数料を抑えることが重要です。SBI証券や楽天証券などのネット証券では、手数料の低いつみたてNISA商品を多数販売しているので、このような証券会社を利用するのも事も資産運用の1つとしておすすめです。
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よくある質問
Q | 複利運用のメリットは? |
A | 投資で得た収益を再投資することで、収益額および投資期間終了後の資産規模が単利運用よりも拡大することにあります。 |
Q | 単利と複利どっちがお得? |
A | 価格が長期で見て上昇傾向にある商品では、複利の方が収益が拡大するためお得になります。ただし、相場下落局面では短期的に単利の方が損失を抑えられる可能性もあります。 |
Q | 複利効果の実感はいつから? |
A | 人によりますが5年程度の中長期投資を行うと実感しやすくなります。10-20年と継続していくと、単利と複利の差は大きくなるでしょう。 |