株を買うときの見分け方は?
株取引を始めたばかりの初心者にとって、初めてぶつかる壁は株を買うタイミングを判断することでしょう。実際、株を買うタイミングには様々な判断基準があり、それら全てを用いることはベテランにとっても難しいですが、初心者におすすめな判断基準はいくつもあります。
株を買うタイミングは何を判断基準にすればいいのか?この記事で具体的に解説していきたいと思います。
まずは株価を見てみる
最初に株価がどんなものか見てみましょう。
これは、トヨタ自動車の2013年から2022年の株価のデータです。理想としては、2021年の1月に1,500円で買って、翌年の2022年1月辺りに2,000円ぐらいで売って差額分(これを値上がり益と言います)の収益が欲しいですよね。
しかし、逆に買った後、株価が下がるとショックですよね。「せっかく買うなら損をしたくない!」と誰もが思うはずです。
株価はなぜ下がる?
株価が下がる理由は、たくさんあります。
例えば、
・時期的に企業の業績が伸び悩んでいる
・コロナの影響で顧客の確保が難しくなった
・社内での不祥事が明るみになった
などなど。このように色々な企業の情報が混ざりあって、株価は決まります。異なる銘柄の株価が連動するわけではなく、同じ時期に株価が上がる銘柄もあれば、株価が下がる銘柄もあります。
そのため、あらゆる企業の情報を集めることで「どのタイミングで買えばいいのか」判断基準が明らかになってきます。
判断基準はどうすればいい?
ここでは、株を買うタイミングの見分け方として3つのポイントをお伝えします。
チャートを見てみよう
1つ目は、チャートを見ることです。チャートとは、その企業のこれまでの株価の動きを図にしたものです。図表2を見てください。
図表2は任天堂のチャートです。任天堂の株価はどんどん上昇していますが、2018年と2021年の山になっているところを見てください。
任天堂社の株価は12月から4月まで上昇し、それ以外の月では株価は現状維持か低下している傾向が見えます。12月から4月に山になっている理由としては、任天堂のゲームをクリスマスプレゼントや合格祝い、新生活のお祝いとして需要が高まっているからと言えます。
このように、チャートを見ることである程度その企業の株価の動きやその背景が見えてくるようになります。
【関連記事】 チャートの見方についてやさしく解説!株価チャートから株の買い時を探る方法とは? |
時期を考えよう
2つ目が時期についてです。先ほど、チャートから株価が上がる時や下がる時が分かると言いましたが、加えて企業が売上や利益を公表する情報のタイミングについても重要です。それらの情報は企業の「IR情報」と呼ばれており、今後の株価の予想をする上での貴重な情報となります。
企業の将来性は見込める?
3つ目は企業の将来性です。株価については、過去の企業の業績だけでは無く、今後の将来性についても見る必要があります。ここでは、企業に関する情報について説明していきたいと思います。
企業の資料を見てみる
まずは、企業のホームページに行ってみましょう。先ほど説明した投資家向けのIR情報に加え、「有価証券報告書」が掲載されています。
有価証券報告書とは、その年の売上や利益、さらには利益が上がった場合もしくは下がった場合、なぜそのようになったのか理由まで詳しく書かれています。
例えば、図表4では:日本マクドナルドホールディングスの「2021年12月有価証券報告書」ですが、年間ごとに売上や利益、総資産まで細かく書いています。自分が株を買いたい企業の情報がまとめられており、今後の将来的な見通しについても確認することができます。
売上は今どのくらいか
ただし、そのような企業のIR情報や有価証券報告書は膨大な量であり、全て読むには時間もかかり、また株価とは直接関係のない情報も記載されています。
そこで、特に注目するべき点として、ここ数年の売上や利益に着目してみましょう。そして、売上が減っている企業に将来性があるか考えましょう。
例えば、航空業界はここ数年新型コロナウイルスの影響で売上が減少しています。しかし、今年2022年は外出する人も増え、旅行や観光がより活発になると予想されています。さらに、政府は外国人の入国規制の緩和も進めており、今後インバウンド効果(※1)も期待できます。
売上の減少が一時的なものか、それとも慢性的なものか考えてみるのが大切です。
(※1)インバウンド効果:外国から来た観光客の人が日本で消費活動をして、企業の売上の増加につながること。\ 楽天証券の口座開設はこちら /
株を買うときの注意点
ここまで、株を買うときのタイミングや判断基準について説明していきましたが、当然株の購入には注意点もあります。
株価が低くても得とは限らない
せっかく株を買うなら安いときに買って、株価が高くなったら売ろうと考えている人が多いかもしれません。
しかし、注意しておきたいのは株価が低い=株が安いという訳ではありません。株価の低さが必ずしも株の価格に直結するわけではなく、安いと思った株価がさらに下落する可能性があり、売買差額と手数料(取引手数料など)による損失につながりますので、注意が必要です。
予想もつかない下落も
時に株価は思いもよらない理由で暴落し、価値がほぼ無くなる場合もあります。
例えば、
・新型コロナウイルスの影響で、需要が減り経営不振に
・大規模な企業のスキャンダルが明るみに出て、通常営業ができなくなる
といったケースもあります。いくら事前に情報収集をしても、株価の下落に対処できないケースもあります。
対応が現実的に不可能なリスクについては、無理に売買を行なって取り返す必要はありません。仕方ないと割り切り、そのような状況下でも上昇していきそうな銘柄を選定したり、すぐ切り替えると良いでしょう。
下がっても落ち込まない
そのような時に大切なのが、株価が下がっても落ち込みすぎないことです。
株を買うとどうしても、その後の動向が逐一気になり、株価の上下についつい一喜一憂してしまいます。行動経済学(※1)には「プロスペクト理論」というモデルがあり、人は同じ価値でもプラスになったときよりも、マイナスになったときのほうがショックが大きいと言われています。
例えば、「1万円貰った」ときの喜びと「1万円失った」ときの悲しみは、悲しみの感情の方が喜びより大きいと言われています。
株の購入は、情報収集だけでなく自身のメンタルケアも大切です。株価ばかりに縛られないような生活を心がけましょう。
(※2)行動経済学:人間の動きや感情を観察して、どのような結果や傾向が得られるかを調べる学問。株はいつまで保有しておく?
株を買ったからには、株価が上がったタイミングで売却したいですよね。しかし、いつまで持っておけばいいでしょうか?
売るタイミングも考える
先ほど、株価ばかりに縛られないと言いましたが、売るタイミングについては予め計画しておくのは良いことです。ポイントとしては、長期的に保有しておくことです。すぐに「上がったから」、「これ以上下がるのに耐えられないから」という理由ではなく、なるべく長い期間持っておくことでより大きなリターンが得られる場合があります。
ただし、長期保有には資金効率が悪くなるというデメリットがある点にも注意してください。また、長期的に業績・株価の下落が見込まれる銘柄をわざわざ長期保有する必要はありませんし、むしろ損失を拡大させてしまう「塩漬け」は避けるべきです。
保有銘柄の買い直しの判断や他銘柄との比較・選定を定期的に行うなど、「買いっぱなし」にしないようにしましょう。
企業のことを買った後も調べる
そして、売るタイミングですが、買った株の企業の情報は定期的にチェックしましょう。株を買って終わりではなく、企業のホームページで最新情報や経済に関するニュースについて把握しておきましょう。
具体的には、企業の場合、商品の値段が上がっていないか、収益に繋がりそうな新たなサービスを始めていないか等、企業の最近の業績や経営面での情報を見ておきましょう。
また、経済に関するニュースでは、広く情報を集めておくことで、企業の株価の予想の一助になるメリットがあります。具体的には、最新のトレンドや勢いのある業種を調査、世界的なエネルギーや原材料の価格上昇が起きていないか把握することで、今後の株価を考える上での参考になります。
まとめ
株を買うタイミング判断基準として、チャートや企業の情報が使えます。まずは、自分が知っている・興味のある企業の株価チャートやIR情報を見てみましょう。
しかし、判断基準が分かっても、株価は常に自分が期待した通りに動くとは限りません。予想もつかない下落が起きても、気を落とさないようにしましょう。
また、株は買うタイミングだけでなく、売るタイミングも肝心です。買った株の企業の情報は意識して、最新のニュースに目を向けるようにしましょう。
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