老後資金とは?
老後資金とは、定年退職後に家計や生活費を維持するために必要となる資金のことをいいます。定年退職後は労働による収入がなくなり、年金が主な収入源になるため、老後資金を貯めることは退職後の生活をより安定したものにすることに繋がります。
老後資金とは毎日の生活費だけでなく、もしもの備えや娯楽費用もふくまれる
老後資金には、毎日の食費、家賃、医療費、保険等の生活費に加え、冠婚葬祭にかかる費用や娯楽費等も含まれます。老後の資金を計算しようとすると、普段の生活費にばかり目が行ってしまいがちで、もしもの時の貯蓄を含めるのを忘れてしまうことが多々あります。あらゆる出費を想定し、長期入院が必要などの万が一の状況に陥った場合に必要な金額を考慮することも、正確な老後資金を算出するうえで必要となります。
老後資金っていくら必要?
ではいったいどのくらいの老後資金が必要となるのか、ここで計算してみましょう。
老後の生活費は毎月平均いくら必要?
老後に必要なお金はどのくらいなのか、一か月の支出を計算します。まず絶対に必要な食費、家賃、光熱費、医療費等を計算し、さらに娯楽費や介護、冠婚葬祭、入院した際にかかる費用等を加えます。
具体的な数値としては、総務省統計局による家計調査年報(家計収支編)2020年によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均消費支出は224,390円となっており、さらに税金等の非消費支出を加えると、一世帯につき毎月約26~27万円の支出が予想されます。
また、人によってはこの他にも住宅や自動車のローンなど諸々の支出があるかもしれず、一概に言うことは出来ませんが、老後の備えとしてそれ相応の金額を準備する必要があることが伺えます。
年金ってどれくらいもらえるのか?
年金には公的年金と私的年金があり、公的年金は条件に当てはまるすべての人が加入するのに対し、私的年金は個人の判断で加入します。ここではほとんどの人が加入する公的年金について主に解説します。
まず公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の二種類があります。国民年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金で、年金構造の1階部分にあたります。一方で厚生年金は、会社員や公務員の人が加入する公的年金で、年金構造の2階部分にあたります。
さらに個人で私的年金に加入する場合、これが年金構造の3階部分に当たります。よって、現在の日本の年金制度は、基本的に国民年金・厚生年金・私的年金の3階建て構造であるといえます。自営業などを営む個人事業主は、上記の厚生年金には加入しないため、個人年金保険や個人方確定拠出年金のような私的年金が注目されています。
厚生労働省発表の厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年度)によると、国民年金受給者の平均年金月額は56,358円(令和2年度末現在)、厚生年金保険受給者の平均年金月額は144,366円(令和2年度末現在)となっています。
▶︎年金制度が破綻するは本当?老後は公的年金だけで問題ない?
結果としていくら貯金しておくべきなの?
では老後資金を貯めるのに実際いくら貯金が必要なのか、必要な貯金金額は人によって異なるため、以下で「独身一人暮らしの場合」と「二人家族の場合」について、シミュレーションを行います。
独身一人暮らしの場合
まず独身一人暮らしの場合に必要な老後資金を計算します。一人暮らしの場合は、家賃や食費は自分で賄う必要があります。65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)における平均消費支出は139,739円であり、さらに税金などの非消費支出を合わせると、151,800円となります。一方で実収入は124,710円なので、一か月あたり27,090円が不足することになります。したがって、
27,090円×12か月×30年=9,752,400円 |
が老後資金として必要であることがわかります。
二人家族の場合
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦二人家族の場合は、一人暮らしの場合と異なり、食費や家賃を分担します。65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均消費支出は239,947円となっており、さらに税金などの非消費支出を加えると、一世帯につき毎月270,929円の支出が予想されます。一方で実収入は237,659円となっており、一か月当たり33,269円が不足することになります。したがって、
33,269円×12か月×30年=11,976,840円 |
が老後資金として必要であることがわかります。
※参照:家計調査報告(家計収支編)2019年(令和元年)平均結果の概要
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「老後2,000万問題」とは?
2019年に金融庁が公表した報告書により、「老後2,000万円問題」が話題となりました。老後2,000万円問題とは、無職の高齢者夫婦世帯(夫65歳、妻60歳)において、老後30年間で約2,000万円が不足するという問題です。
本当に老後には2,000万円が必要なのか?
老後2,000万円問題では、夫婦ともに無職であり、老後30年間ずっと家計収支が毎月5.5万円の赤字である高齢夫婦世帯を前提としています。
しかし、実際は人によって収入・支出の金額は異なります。老後2,000万円問題では、40年間夫が会社に勤めて年金を納め、妻は専業主婦である世帯をモデルとしており、今では共働きの世帯も増えているため、一概に老後2,000万円の資金が必要とはいえません。更には、家賃を支払うことも前提にしており、持ち家などの不動産を持っている人には当てはまりません。
したがってこの数字はあくまでも目安であり、自分に合った資金額を計算することが重要です。
2,000万円不足の背景とは?
老後2,000万円問題が注目されるようになった背景としては、日本人の平均寿命が伸びていることや、将来的な年金の受給にまつわる不安、退職金が減少傾向にあることがあげられます。寿命が伸びたことでさらなる老後資金が必要になり、資産として当てにしていた退職金が減っていることで、老後のための資産形成への注目が高まっています。
老後資金を蓄える方法
ここまで老後2,000万円問題について解説しましたが、全員が老後2,000万円不足するとは一概にはいえないまでも、生活にかかる費用を計算し、必要な資金を蓄えておくことは大切です。老後資金を蓄えるためには、貯蓄、副業、資産運用等の方法が挙げられます。それぞれの方法にメリット、デメリットがあり、自分に最も合う方法を選択することが良いとされています。
いまからでも間に合う資産形成とは?
老後2,000万円問題で老後資金に対する不安を持つ人が増え、早いうちからの資産形成への注目が高まっています。ここからは、今からでも始められる資産形成方法をいくつかご紹介します。
資産形成とは?
資産形成とは、貯金がほとんどない状態、あるいはあっても少額な状態から、少しずつ増やしていくことを指します。資産形成では、最終的には1,000万円ほどの貯金を形成することを目標としており、老後資金を準備手段としておすすめです。
今からできる資産形成とは?
資産形成のポイントは、コツコツと積み上げていくイメージで貯金を増やしていくことです。目標額や速度は人それぞれですが、少しずつ貯金を積み上げていくことは全て資産形成であるといえます。自分に必要な費用を計算し、現在持っている資金や目標となる老後資金の金額に応じて、自分に合った資産形成方法を見つけることが重要となります。
株式投資
今から始められる資産形成の方法として、株式投資が挙げられます。株式投資とは、企業が発行する株式や投資信託と呼ばれる金融商品を購入することです。株式投資は時間をかければかけるほど有用であるため、老後に向けた必要資金の形成にとても適しています。株式投資の詳しい始め方については、次の記事で説明しています。
▶︎初心者向け!基本的な株の取引方法まとめ -ゼロからはじめる株式投資-
▶︎株式投資の基本とは?まずは仕組みを知ろう!
保険
老後資金を貯める手段として、保険運用も挙げられます。老後資金の積み立てを目標とした「個人年金保険」では、老後に向けて積み立てをしていくことで、満期後に積み立てた年金を受け取ることができます。
NISA
資産形成の方法としては、非課税で少額から始められる「NISA」も挙げられます。NISAについては次の記事で詳しく説明しています。
▶︎初心者が投資を始めやすい資産運用「つみたてNISA」とは?
財形貯蓄
財形貯蓄制度もまた、資産形成方法の一つです。聞きなれない言葉かもしれませんが、財形貯蓄とは、従業員の代わりに会社が提携先の金融機関へ給料から天引きして積み立てをしておくという制度です。
iDeCo
最後に、今からでも始められる資産形成の方法として「iDeCo(イデコ)」が挙げられます。iDeCoについて詳しくは、次の記事で紹介しています。
▶︎初心者におすすめなのはiDeCo、NISAならどっち?つみたてNISAはどう?
まとめ
近年では「人生100年時代」などという言葉が聞かれるようになり、先行きが不透明な、そしてリスクが多い時代、長い老後生活を不安に思っている方も多いのではないでしょうか。この記事ではそのような不安を少しでも減らせるように、老後資金の算出方法から、一時期話題となった「老後2,000万円問題」、そして老後に向けて今からでも始められる資産形成の方法について簡単に解説しました。老後生活向けて、まずは自分に合った資産形成方法を始めてみてはいかがでしょうか。
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