生命保険でお金を借りる契約者貸付制度とは?仕組みとメリット・デメリットについて徹底解説!

投稿日:2022/04/08 最終更新日:2023/04/14
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生命保険の契約を利用して融資を受ける、契約者貸付制度という仕組みがあります。メリットが多い制度ではありますが、仕組みが複雑なため、使用方法を間違えてしまう可能性があります。実際に契約者貸付制度を使用する場合は、事前に制度の仕組みを理解しておきましょう。この記事では、契約者貸付制度の仕組みやメリット、デメリットについて解説します。
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契約者貸付制度とは?

契約者貸付制度とは、銀行ではなく保険会社から融資を受ける制度です。金融機関が提供するカードローンに比べて低金利で、かつ審査不要で即日入金可能とお金を借りる条件が緩いメリットがあります。ただし、利息が付くためきちんと返済方法を検討しないと、加入している保険自体が失効するリスクがあります。こちらでは、契約者貸付制度における融資の仕組みや、借入限度額、利用対象者について詳しく説明します。

契約者貸付制度のイメージ図
契約者貸付制度のイメージ図

解約返戻金を担保に融資を受ける制度

契約者貸付制度とは、保険を解約するときに受け取る「解約返戻金」を担保にして、保険会社から融資を受けられる制度です。この制度には、保険会社と契約者の双方にメリットがあります。

【保険会社側】解約リスクの回避

保険の契約者にまとまった費用が必要になったとき、解約返戻金を受け取るために保険を解約する人もいます。契約者貸付制度であれば、保険を解約することなく、契約者はまとまった金銭の借り入れができるため、保険の解約リスクを回避できます。

【保険の契約者側】契約の継続と限度額内の融資

指定代理請求制度を利用するためには、保険契約時に「指定代理請求特約」を契約に付け解約返戻金を受け取るために途中解約すると、本来受取できた解約返戻金が目減りしてしまう可能性があります。解約のタイミングによっては、契約者貸付制度を利用すると、借り入れできる限度額はあるものの、保険契約を解約せずに融資を受けることが可能です。なお、解約返戻金のない一般的な掛け捨て型の生命保険では、契約者貸付制度を使用できません。また、契約後であっても、被保険者の同意を得ている場合、新たに指定代理請求人を指定・変更することができます。

借入限度額は解約返戻金の7~9割

契約者貸付制度の借入限度額は、解約返戻金の7〜9割が相場となっています。ただし、保険会社や保険商品によって限度額は異なるほか、現在契約中の保険商品の解約返戻金は、公式サイトで公開されていないこともあります。事前に公式サイトの契約者ページで調べるか、直接保険会社へ問合せして確認しておくことが重要です。

また、契約者貸付制度では、解約返戻金の額以上の借り入れはできません。解約返戻金は契約年数が多いほどに金額が増えていくため、契約間もない時期では解約返戻金がほとんどないことも考えられます。反対に、加入している保険の解約返戻金の額が大きく、長期間に渡って保険に加入している人ほど、より多くの融資を受けやすくなります。

たとえば、保険料が月額1万円の場合、契約1年後における支払済の保険料は総額「1万円×12か月=12万円」です。契約者貸付制度の借入限度額を解約返戻金の7割とすると「12万円×0.7=8万4千円」となり、8万4千円までが限度額となります。このように、契約内容や契約期間によって、借入限度額は変わります。

制度を利用できるのは誰?

契約者貸付制度は、保険の契約者(名義人)だけが使用できる制度です。生命保険では、1つの保険契約に対して以下のような複数の関係者が含まれるケースがあります。

・保険料を支払い、保険を契約する契約者(名義人)
・保険の対象となる被保険者
・保険金を受け取る保険金受取人

上記の三者は、同一人物の場合もあれば、別々の場合もあります。

たとえば、契約者が父親・被保険者が妻・保険金受取人は子どもといったケースです。このケースでは、保険料の支払いは名義人となる父親となり、支払われる保険金は被保険者の妻が亡くなったときです。また、保険金を受け取るのは子どもになります。

上記の場合は、被保険者の妻と、保険受取人の子どもは契約者貸付制度の対象外です。契約者貸付制度を利用できるのは、あくまで契約者の父親のみとなります。したがって、保険加入時に契約者貸付制度を検討するのであれば、契約者や被保険者、保険金受取人の三者を誰にするかについて考慮しておく必要があります。

契約者と被保険者と保険金受取人の説明。
契約者と被保険者と保険金受取人の説明。

契約者貸付制度を利用するメリット

契約者貸付制度は、銀行等の金融機関から融資を受ける場合と比べて契約者にさまざまなメリットがあります。

保険に継続して加入できる 

前述のとおり、契約者貸付制度を使用すると、保険を解約せずに融資を受けることができます。たとえば、どうしてもお金が必要で、保険を解約して解約返戻金から捻出しなければならないときがあるとします。

もし契約者貸付制度がない場合は、保険を解約してしまうため、その後の保障はありません。また、再度保険に入る際は、改めて加入手続きが必要です。保険料は年齢とともに高くなるため、前回の申込時よりも月々の保険料が高額になることがあります。

また、健康状態が悪化した場合は、保険加入を断られる可能性も考えられます。契約者貸付制度を利用することで、現在の保険契約をそのまま継続できるようになります。

他の金融機関よりも低金利    

契約者貸付制度の金利は平均で3%〜8%となっており、ほかの金融機関が提供するカードローンやキャッシングと比べて低く設定されています。契約者貸付制度が低金利である理由は、担保に解約返戻金を使用した融資のためです。他の金融機関の金利相場と比較してみると、以下のようになります。

・銀行カードローン:4.5%~18.0%

・消費者金融:15.0%~18.0%

・クレジットカードキャッシング:15.0%~18.0%

消費者金融や銀行のカードローンと比べると、金利に10%以上の差が生まれることも少なくありません。他の金融機関よりも低金利で借りることができるため、利息の負担が少なく済みます。

審査が要らない・入金が早い     

契約者貸付制度は、生命保険の解約返戻金を担保としているため、審査不要で融資を受けられます。通常、カードローンを使用する場合は事前審査があり、信用情報機関にて情報を参照されます。信用情報とは、割賦契約やローン契約、クレジットカードの支払状況における取引事実を登録した個人情報です。

クレジット会社は、この信用情報機関の情報をもとに顧客の信用を判断しています。そのため、滞った返済や多額の借入金があると、それ以降の融資を受けることができません。

しかし、契約者貸付制度の場合、払い込んだ保険料をもとにして保険会社から融資を受けるため、信用情報機関への確認はありません。借り入れ審査がなく、次のような人でも融資を受けることができます。

・無職
・消費者金融で多額借り入れがある人
・支払いの延滞を起こした人

また、審査・入金に時間がかかる銀行ローンと比べて、契約者貸付制度は審査不要のため、速やかな入金が可能です。大手生命保険会社であれば、即日入金されるケースも多くあります。なお、Webサイトや提携のATMで手続き可能な保険会社の場合は、借り入れまでの手続きもスムーズです。

返済方法が自由

契約者貸付制度で融資された借入金の返済方法には、さまざまな種類があります。保険会社によって異なりますが、以下のような方法を利用できます。

・全額返済
・一部返済
・利息返済

また、返済日が設定されていないことが多いため、保険契約の期間中であれば、その時々の状況に合わせた返済が可能です。

通常のカードローンやキャッシングの場合、毎月の返済日に定期的に返済することが一般的です。また、返済ができなかった場合は、督促状や遅延損害金の可能性があります。契約者貸付制度であれば督促を受けることはありません。なお、保険会社によっては返済期日が設定されていることもあるため、利用前に確認しましょう。

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契約者貸付制度を利用するデメリット 

低金利、審査不要といったさまざまなメリットがある契約者貸付制度ですが、気を付けておきたいデメリットもあります。ここからは、契約者貸付制度の3つのデメリットについて詳しく説明します。

もらえる保険金が少なくなる?   

契約者貸付制度は解約返戻金を前借りする仕組みとなっているため、返済しないまま解約してしまうと、最終的に受取できる解約返戻金の額が少なくなってしまいます。場合によっては、お金を借りすぎてしまうと、解約時にお金がほとんど戻ってこないこともあります。

また、解約返戻金の額が少なくなるだけでなく、事故や病気によって保険金を受け取るタイミングになったとき、自信の保険金から返済が行われる場合もあります。

たとえば、被保険者が亡くなった場合、本来保険受取人が受け取れる保険金が1,000万円だったとします。しかし、契約者貸付制度で300万円を借りている場合は、契約者貸付制度の借入分が差し引かれ、受け取れる保険料は700万円に減額してしまいます。解約返戻金が減額する、必要な保険金を受け取れないとなると、保険としての意味をなさなくなるため、借りる際は計画的に利用することが重要です。

きちんと返済できないと解約になる? 

保険会社は保険商品の販売を主な事業としており、融資が目的ではありません。あくまで契約者貸付制度は、解約返戻金を担保にした付帯サービスと認識しておかなければなりません。

契約者貸付制度を利用したものの、返済の遅れや滞納が続き、借入総額が解約返戻金の額を超えてしまうと、保険自体が失効する可能性もあります。

また、借入期間中は利息が発生するため、返済期限がないからといって返済しない状態だと、利息が大きく膨らむリスクも考えられます。返済が困難になった場合は、保険を解約せざるを得なくなる可能性があるため、安易に借りてしまうことは避けなければなりません。保険の失効を防ぐためにも、契約者貸付制度は計画的に利用しましょう。

利息が複利で計算されるため返済は計画的に

契約者貸付制度を借り入れるとき、利息が発生します。利息の計算方法には単利・複利がありますが、契約者貸付制度では「複利」で計算されることが一般的です。

単利と複利の違いは以下のとおりです。

■単利
最初の借入金(元本)に対してのみ、所定の利息が発生します。返済期間が長引いた場合でも、かかる利息は常に一定額となります。

■複利
最初の借入金(元本)に対して利息を加え、次の利息が発生する際に利子を元本に組み入れて、そこからさらに利息が発生します。利息に対してもさらに利息が発生するため、返済期間が長引くほど利息の総額が増加します。

このように、同じ借入金・金利・返済期間でも、単利と複利によって返済額は大きく変わります。また、契約者貸付制度は返済期間を設定しないことが特徴ですが、返済期間が長引くほど利息が大きくなるため、借入金と利息の合計額が解約返戻金を上回るリスクがあります。そのため、契約者貸付制度利用の際は、きちんとした返済計画を立てておくことが重要です。

まとめ

契約者貸付制度は、生命保険の解約返戻金の範囲内で保険会社から融資を受けることができる制度です。保険契約を継続した状態で融資を受けることができるため、突然の資金不足に対応できます。また、返済期日が設定されていないことが多く、審査や保証人は不要なため、比較的借り入れの条件は広くなっています。ただし、借入金の金利は「複利」で計算されるため、返済期間が長引くほど利息が増えていき、返済額が高額になる恐れがあります。契約者貸付制度は気軽に利用できる制度ですが、必ずしっかりとした返済計画を立ててから利用しましょう。

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よくある質問

Q

契約者貸付制度の借入限度額は?

A

借入限度額は、解約返戻金の7~9割が目安です。ただし、限度額は保険会社や商品によって異なるので、契約者ページや保険会社への問い合わせで確認しましょう。

詳しくは「借入限度額は解約返戻金の7~9割」を参照。

Q

契約者貸付制度のメリットは?

A

メリットとして、金利が比較的安い点や保険を解約する必要がないこと、さらに返済方法が幅広い点などがあります。

【関連記事】契約者貸付制度とは?保険でお金が借りられる?仕組みと注意点は?

Q

契約者貸付制度のデメリットは?

A

デメリットとして、解約返戻金が少ないと借りられる金額も少ない点や将来十分な保険金を受け取れなくなる点などがあります。

【関連記事】契約者貸付制度とは?保険でお金が借りられる?仕組みと注意点は?

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