ETFで身近になったコモディティ投資(後編)- ETF活用術 - 東証ETF活用プロジェクト 東証ETF

投稿日:2018/05/09 最終更新日:2022/08/03
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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ 個人投資家のETF活用術 ]

【第6回】

ETFで身近になったコモディティ投資(後編)

今回もコモディティETFのお話ですが、特に金(Gold)に絞ってETFの使い方を考えてみましょう。
金は独特の魅力を持ったアイテムです。金の用途には工業用(たとえば使い終わった携帯電話端末から金が回収されていますよね)、歯科医療用、宝飾品のほか、政府・中央銀行の保有がありますが、実際には宝飾品と政府保有を含めて、財産の保全のために長い歴史の中で愛用されてきた比率が高かったですし、現在もそうです。
金の最大の特徴は
主要金融商品との相関性の低さ
金融商品としての金は、こうした目的すべてのほか、値上がり益を求めて投資されます。独特の投資目的のため金市場は、他の金融商品と違う動きをする性格を持っています。株式・債券を含めて多くの金融商品は経済動向に連動して動きます。たとえば株式は先行き景気が良いと判断されるなら値上がりし、逆の場合には値下がりします。エネルギーや食糧系のコモディティも、将来の需給動向に従って動きます。
しかし、金はこれらとは別の動きをします。この主要な金融商品との相関性の低さが金投資の最大の魅力なのです。
2008年のリーマンショック時の世界同時株安などのときに、金市場が高騰していました。金は、株式など主要な金融商品の市場が急落した際の避難先として、世界中の機関投資家から活用されたわけです。また、歴史的にドル(米国資産)からの避難先としても金市場が重要な役割を果たしてきましたし、近頃のユーロ圏のいくつかの国の財政と銀行不安の局面ではユーロからの避難先にもなっているようです。
ただし、株式や債券と違って、金はただ保有していても配当があるわけではありません。機関投資家はあくまでポートフォリオを下支えする安定化目的や、値上がり益の獲得を目的に金投資をしているのです。
さて、大口で金の延べ棒(現物)を買い保有できる(実際には、運用機関が買い付けと保管を代行)機関投資家や政府とは違って、個人投資家にとっては金ETFが登場するまでの金市場は、使い勝手が良いとは言えませんでした。貴金属商社に口座を持って商品先物ファンドや純金積立を買うこともできましたが、先物ファンドはマネジャー任せで投機性の強い商品ですし、純金積立は原則として毎月一定額買い付けるだけです。
金ETFでポートフォリオ分散の幅を
より一層拡げる
金ETFの登場で、個人投資家は自分の投資判断で売買を実行でき、機関投資家と同様に株式・債券(それらの投資信託・ETF)と金を組み合わせて分散投資ポートフォリオを構成することがきるようになりました。ETFはインデックスに連動する上場投資信託と説明してきましたが、金ETFの場合は金の国際価格(ロンドン渡し金価格)などに連動しています。
東京証券取引所に上場されている金ETFとしてはまず、「SPDRゴールド・シェア」(ワールド・ゴールド・トラスト・サービシーズLLC)と「ETFs金上場投信」(ETFセキュリティーズ)が挙げられます。両者ともに実際に金を買って保有することによって、金の国際価格との連動を図っています。
現物買い付け方の場合、投資家がETFを買った分、金を買い付けて保管します。そのいわば預り証として受益証券を投資家が持つ仕組みなので、現物を手に入れなくても金に投資している実感はあります。そのせいでしょうか、ETF本場の米国でもSPDRゴールド・シェアは常に売買高上位の銘柄になっています。
2010年7月からは東証に「純金上場信託(金の果実)」(三菱UFJ信託銀行)も上場されていますが、こちらは現物買い付け型で、国際価格ではなく東京工業品取引所の先物価格から算出した現在価値に連動する仕組みです。
どの金ETFも一口1万円程度から投資できますので、金を加えて安定性を増した分散投資ポートフォリオが作りやすいですよね。また市場価格が円表示なので日本の投資家にとっては助かります。
個人投資家にとっても、自分の投資判断でポートフォリオの金の比率を増やしたり減らしたりできる金ETFは、便利なツールであることは間違いありません。
東証のコモディティETF
世界の金ETF残高と金価格推移
相場は長期上昇トレンドを描いているが……
金の需給動向は? 今後の価格見通しは?
そこで問題になるのは、金をポートフォリオの中にどの程度の比率で持てばいいのか、ということですが、残念ながら正解はありません。繰り返しますが金は配当をもたらすものではなく、ただ保有しているだけで収益を得られません。ポートフォリオの安定化のための「コスト」として、ある程度の値下がりも覚悟しておいたほうがいいかもしれません。常に市場価格をウォッチし、投資家自らが予測を持って、比率を変更していくのがベストでしょう。
金価格は1999年以来、多少のブレはあるものの、長期の上昇トレンドを描いています。しかし、1980年代と90年代の大半はゆるやかに価格が下落していたことも認識しておくと良いと思います。
金の国際価格は、中東情勢不安による原油高騰でインフレ懸念の強かった1980年に875ドル/トロイオンスの最高値をつけた後、ゆるやかに下落して200ドル近くまでなり、再度上昇して、1200ドルを超えるまでになってきたという流れがあります。突然の企業破綻やデフォルトのリスクを持つ株式や債券とは違って、金は価格がゼロにはなりませんが、大きな幅で価格が変化するものだと思っておきましょう。
現在、アナリストたちの将来見通しはかなり強気です。供給面での金生産量が伸び悩む中で需要が強いという構図があるためです。中国・インドなど高成長する新興国は金を好む国民性が指摘されている国々ですし、投機マネーだけでなくETFを通じて機関投資家の中長期の資金がしっかり入っています。先進国の低金利政策により値上がりする投資商品を見つけるのは難しく、最近のユーロ圏の財政不安から避難するのに、巨額の財政赤字を抱える日本や米国も使えません。
いくつもの要因が重なって、金への需要は根強いものになっていることは確かです。さらに高値になるかもしれません。それでも、金価格は下落する可能性もあることを忘れるわけにはいきません。むしろ、金ETF投資をして、こうした要因の変化をウォッチすることで世界の経済情勢を知る楽しみを持つくらいに思えると良いのではないでしょうか。
東証に上場する金ETF
 

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監修者:菅原 良介
編集者:K-ZONE money編集部

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