投信フォーカス 実はあまり知られていないアジアREIT相場の急上昇 三井住友AMの秋山ファンドマネージャーに好調の理由を聞く - 注目の投信

投稿日:2018/06/27 最終更新日:2023/02/08
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投信フォーカス

実はあまり知られていないアジアREIT相場の急上昇

—— 三井住友AMの秋山ファンドマネージャーに好調の理由を聞く

海外の不動産投資信託(REIT)の投資先としてまず思いつくのは米国REITかもしれないが、実はアジアREIT相場が足元で急上昇している。S&P国別REIT指数(現地通貨建て・配当込み)で米国は年初から8月末までの上昇率が17%、これに対してシンガポールは33%、香港は26%と米国を大幅に上回る。そこで、数少ない追加型のアジアREITファンドのうち、3ファンドを運用している三井住友アセットマネジメント・株式運用グループの秋山悦朗シニアファンドマネージャーにアジアREITの投資魅力や、相場が好調な要因などについて聞いた。

アジアREITの投資魅力とは。

秋山氏:

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br>三井住友アセットマネジメント・株式運用グループ秋山悦朗シニアファンドマネージャー

アジア諸国・地域は世界経済の牽引役として注目されています。アジア経済の成長の原動力は豊富な生産年齢人口(年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層)や、拡大が予想される中間所得層の存在です。こうした経済発展を背景に大都市へ人口が集中する"都市化"が進み、都市部の不動産開発や大規模なインフラ投資が相次ぐ見込みです。まさに今、日本の高度成長期と同様の現象がアジア圏で起きつつあります。高い経済成長率を受けて、アジアREIT相場は長期的に右肩上がりの上昇が続く見通しです。これに対し、オセアニア地域の豪州REITについては、高利回りおよび流動性の高さが魅力といえます。

欧米とアジアのREITの主な相違点として、不動産開発に対するスタンスの違いが挙げられます。欧米では不動産物件の新規開発もしますが、アジアでは原則として不動産物件の保有のみです。このため、欧米に比べるとアジアREITは構造的にパッシブな性質を持ちますが、経済成長が続く地域なのでむしろパッシブな仕組みが適しているうえ、開発をしない分、リスクが抑えられるという利点もあります。アジア・オセアニア地域全体(日本を含む)のREIT市場の時価総額は14兆円(8月末時点)と、北米の約3分の1程度にすぎませんが、今後は徐々に規模が拡大するでしょう。

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※三井住友アセットマネジメントの資料を引用。S&P先進国REIT指数採用銘柄の8月末時点の時価総額。()内の数値は時価総額で単位は兆円。時価総額は百億円以下切り捨てのため、各市場の合算値は時価総額合計に一致しない。

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※三井住友アセットマネジメントの資料を引用。S&P先進国REIT指数の8月末時点の配当利回り

 

香港やシンガポールのREIT相場が好調だ。

秋山氏:

中国の金融緩和を受けて、香港とシンガポールの両REITは8月末までの3ヵ月間でそれぞれ15%(現地通貨ベース)超と急上昇しました。香港REITでは業績の堅調な中小型の一部銘柄が選好されました。

オーストラリアにおいても豪準備銀行(RBA、中央銀行)による政策金利の引き下げを好感するかたちで10%弱上昇しました。豪州REITは2008年のリーマン・ショック前に欧米の物件を高値で買い付けたこともあり、長期のパフォーマンスは低迷が続いてきました。しかし、当社では1年ほど前に豪州REIT相場は、回復に転じるとの見通しを立てました。この理由は、業績低迷を受けて、海外保有物件の売却などによるリストラ効果や自己株買取等の資本政策が徐々に業績に表れ始めていたからです。

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※リーマン・ショック直前の2008年7月末を100として指数化。先進国・除く日本は米ドルベース、その他は現地通貨ベースでいずれも配当込みの指数を基に算出、日本はJ−REIT。

 

運用する『アジア好利回りリート・ファンド』などのコンセプトについて。

秋山氏:

日本を除いたアジアREIT(豪州を含む)への投資を通じて、アジア圏の経済および不動産市場の成長を享受します。投資対象は同じですが為替ヘッジなし、ブラジルレアルもしくはトルコリラで為替ヘッジする3タイプを運用しています。時価総額ベースでみると豪州とアジア地域の比率は2:1ですが、当ファンドのポートフォリオは1:2の割合で構築し、基準価額に対するアジアREITの感応度を高くしています。ただ、アジアREITは流動性が低く、投資対象に適さない銘柄もあることから、これを補完するために流動性の高い豪州REITにも投資しています。

当ファンドの運用の特徴は高利回りの中小型のREIT銘柄への投資を中心としたバイ・アンド・ホールド(買い持ち)型です。中小型銘柄に着目する理由は、マネジメントの質が高く、今後の成長が期待できる割安な銘柄が相当数あることをインハウスのディープ・リサーチにより把握しているからです。

運用面での強みや特徴は。

秋山氏:

当社アナリストは年2回シンガポール、香港、豪州へ出張し、REITの経営陣との"One On One Meeting"(1対1での面談)や物件視察を行い、経営状況を詳細に調査しています。2007年度の下期から丸5年にわたりこうした調査を続けているため、ノウハウは十分蓄積され、REIT経営陣との信頼関係も構築できたといえます。また、香港に駐在する当社の証券アナリストとは、REITやそのスポンサー会社に関する情報を共有しています。以前、当ファンドも保有していた銘柄が短期間で急落したことがあったのですが、事前に現地アナリストから得ていた情報を勘案し、組入比率を徐々に引き下げていたので悪影響を最小限にとどめられました。

運用する3ファンドの基準価額は6月以降、急上昇している。

秋山氏:

ヘッジなしの『アジア好利回りリート・ファンド』の3ヵ月騰落率は15.56%でした。香港やシンガポールのREIT相場が上昇したなか、当ファンドが注目していた割安銘柄に見直し買いが入りました。例えば、香港に上場するフォーチュンREITは予想通りに業績が上ブレする結果となり、この3ヵ月間で約31%の急上昇をみせました。そのほか、サンライトREITが27%近く上昇するなど、これら組入上位銘柄が基準価額を押し上げたといえます。

設定(2011年9月30日)からではトルコリラ・円相場の円安が寄与し、3ファンドの中でリラで為替ヘッジするタイプの基準価額の上昇幅が最も大きくなっています。海外REITファンドというと、残高の規模が大きい米国REITファンドが注目されがちですが、実は米国やグローバルREITファンドよりアジアREITファンドの方が好成績を収めている点は強調したいところです。

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※データは8月末時点。基準価額の騰落率は課税前分配金を再投資したとして計算、▲はマイナス。日本を投資対象国に含むタイプもあるなど、投資対象国や投資比率は各ファンドで異なる。

 

為替ヘッジなしタイプの6月の分配金(1万口当たり・税引前)を100円引き下げて90円にするなど、3ファンドともに分配金の水準を大幅に引き下げたが。

秋山氏:

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当ファンドはこれまでREITのポートフォリオ利回りやREIT価格の上昇など実力に応じて分配金を拠出する変動分配型を採っていました。運用開始以来、REITのポートフォリオ利回りは安定していたものの、為替の変動が想定以上に大きくなったため、これまでは分配金額の変動が大きくなりがちでした。しかし、安定分配に対する個人投資家ニーズが高まっていることから、分配金の水準を毎月変動させるのではなく、REITのポートフォリオの実力を踏まえた安定分配型に切り替えました。安定的に分配金を支払える水準を考慮した結果、90円とする判断をしました。なお、今後は一定期間の運用成果を踏まえつつ、安定分配を実現できる水準を定期的に見直す方針です。

ファンドおよびアジアREIT市場の固有のリスクとは。

秋山氏:

ファンドのリスクとしては為替の変動が挙げられます。また、2000年代の前半にアジアで流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)問題や、政治社会システムの混乱などはアジアREITのリスクとして一応念頭に入れておくべきでしょう。当ファンドではこのような問題が生じた場合、国別の基本ウエートを柔軟に変更し、できるだけリスクを低減させるよう対応します。

『アジア好利回りリート・ファンド』への投資のメリットについて。

秋山氏:

個人でアジア圏の不動産やREITに直接投資することは難しい面があるため、ファンドを通じた投資が有効な手段といえます。当ファンドはアジアの経済発展の恩恵を大きく受けるだろう中小型のREIT銘柄に着目して投資します。アジアREITの相場自体は右肩上がりの上昇トレンドが期待されますが、相場は上昇と下落を繰り返しながら推移するでしょう。このため、短期的な相場の変動に一喜一憂するのではなく、中長期の投資スタンスで投資してほしいですね。そうすれば、好配当利回りREITへの長期投資の醍醐味を受益者の方に享受していただけると確信しています。

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執筆:QBR(掲載日:2012年10月05日)
 

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