契約者貸付制度とは?保険でお金が借りられる?仕組みと注意点は?

投稿日:2022/04/08 最終更新日:2023/03/17
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保険のなかには解約返戻金を担保にしてお金を融資してもらえる契約者貸付制度という制度があります。保険料の支払いが難しい状況になったときでも、契約者貸付制度を利用すれば保険を解約することなく、保険の保障を維持することができ、必要なお金を解約返戻金から借りられます。契約者貸付制度の仕組みや注意点などについて解説していきます。
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契約者貸付制度とは

契約者貸付制度とは保険の解約返戻金を担保にしてお金を融資してもらえる制度で、解約返戻金が設定されている終身保険や養老保険でしか使えない制度です。

契約者貸付制度は解約返戻金を担保にするため、あくまで借金ということは覚えておきましょう。
契約者貸付制度の詳細について見ていきます。

契約者貸付制度の利用条件

契約者貸付制度が利用できるのは解約返戻金が設定されている終身保険や養老保険で、解約返戻金が設定されていない保険では利用することはできません。

そもそも、保険料は死亡保険料と付加保険料、生存保険料から成り立っています。
このうち、生存保険料から保険会社の経費を引いたものが解約返戻金となり、この解約返戻金を担保に契約者にお金を貸し付けることによって保険を解約することなく保障を維持することができます。
解約返戻金を一時的に保険会社から借りることで自身の必要なお金として活用することができます。

契約者貸付制度を利用できるのはあくまで契約者本人のみで、契約者が夫で被保険者が妻で保険金の受取人が子どもに設定していた場合でも、利用できるのは契約である夫のみとなっています。
一部の保険では解約返戻金が設定されていても契約者貸付制度が利用できない場合もあるので保険会社から送られてくる契約書をしっかり確認しましょう。

契約者貸付制度の利用方法

契約者貸付制度を利用するにはいくつか方法があります。
「店頭で申し込む方法」「担当者に連絡する方法」「電話で申し込む方法」「ウェブサイトから申請する方法」「ATMで借り入れる方法」などです。それぞれの方法について見ていきましょう。

店頭で契約者貸付を申し込む

保険会社の店頭窓口に出向いて申請をするのは一番オーソドックスな方法です。
本人確認のための運転免許証や保険証などの書類や保険を契約したときに使用した印鑑、保険証券が必要になる場合もあるので、必要書類に関してはしっかり確認をしましょう。

担当者に連絡して契約者貸付を申し込む

保険の担当者やコールセンターに連絡することで契約者貸付制度を利用することもできます。
電話の後に手続きに必要な書類が郵送で送られてくるので必要事項を記入して返送したり、保険会社の店舗窓口に持ち込むことで利用ができます。

電話で申し込む

保険会社によっては電話での契約者貸付制度の申し込みを受け付けている場合もあります。
契約者貸付制度の専用電話番号に連絡をして、保険会社のIDやパスワードを入れることによって契約者貸付制度を利用できます。

ウェブサイトから契約者貸付を申請する

保険会社によっては契約者貸付制度の申請用のウェブサイトを準備しているケースもあります。
こちたも必要なIDやパスワードを入力してログインして、申請をすれば契約者貸付制度を利用できます。
ただし、昨今ではフィッシング詐欺のサイトによる被害も報告されています。保険会社の公式サイトか否かはしっかり確認してフィッシング詐欺に遭わないように気をつけましょう。

ATMで借り入れる

銀行や郵便局、コンビニに設置されているATMでも契約者貸付制度を利用することができます。
契約者貸付制度の専用カードと暗証番号を入力すると契約者貸付制度を利用できます。
保険会社によってもATMが利用できるかどうかは異なるのでしっかり確認をしましょう。

契約者貸付制度の利用可能額

契約者貸付制度での利用限度額は一般的に解約返戻金の7~9割となっており、その上限内であれば何度でも契約者貸付制度は利用できます。
また、その借りたお金の利用目的を問われることはなく、保証人も不要です。

契約者貸付制度の利息

契約者貸付制度はあくまで解約返戻金を担保にした借金なので借入額に応じて利息が発生します。
その場合の利率は「制度の対象となる契約における契約日」によって決まりおり、概ねですが低い場合には2%程度、高い場合には6%程度の利率となっています。
カードローンの金利は10~14%台が一般的であると考えると利息は若干リーズナブルと言えるでしょう。

契約者貸付制度の返済方法

契約者貸付制度で借りたお金を返済するには、保険期間内であれば返済方法は自由となっています。キャッシングやカードローンで分割払いにした場合では、月々の返済日に返すのが一般的です。

契約者貸付制度では分割で返してもよいですし、一括で返済することもできるので自由度が高く返済計画も自由に設計できる仕様となっています。

契約者貸付制度のメリット

契約者貸付制度には「保険を解約する必要がない」「金利が比較的低い」「ほかの借り入れに関係なく利用できる」「返済方法が幅広い」といったメリットがあります。それぞれのメリットについて見ていきましょう。

保険を解約する必要がない

契約者貸付制度の大きなメリットは保険を解約は不要で、保障を得ながらお金を借りることができる点です。
突然、お金が必要になった場合、保険を解約して解約返戻金を得る場合だと、保障がなくなってしまいますが、契約者貸付制度を利用すれば保険を解約することなく借り入れができます。
また、保険に再加入するにしても保険は加入時の年齢が上がればその分保険料が上がるリスクもあり、満期保険金が設定されている場合にはその額が減ってしまう点などのデメリットがあります。

契約者貸付制度を利用すれば保険を解約せず、保障を得たまま、お金を借りられるのでこれらのデメリットを払拭することができます。

金利が比較的低い

契約者貸付制度による金利は2~6%程度となっています。一般的なカードローンの金利は10~14%程度なので、カードローン等よりも金利が比較的低く設定されているのはメリットです。

また、カードローンの場合は月々分割しての返済ですが、契約者貸付制度の返済は定期で返済せずとも一括で返済することもできるので、返済方法が自由なのも一つのメリットです。

ほかの借り入れに関係なく利用できる

カードローンを利用する場合には、信用情報機関の情報を元に審査が行われ、他の借り入れ状況などによっては審査が通らないこともあります。
契約者貸付制度の場合は、本人の確認のみで、信用情報機関の審査等はありませんので、信用情報に影響なく借り入れができるのもメリットです。

返済方法が幅広い

カードローンなどの他の借入の場合には一般的に一定額を毎月決められた日付に返済する必要があります。
契約者貸付制度の返済は、保険期間内であれば一定額を毎月決められた日付に返せたり、分割で払ったり一括で返済するなどの方法を自由に選べます。家計の状態に合わせて自由に返済ができるのはメリットです。

また、カードローンの場合は返済が滞ると催促がなされる場合もありますが、契約者貸付制度の場合には原則的には催促等もないのもメリットです。

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契約者貸付制度のデメリット

契約者貸付制度には「解約返戻金が少ない状態だとあまりお金を借りることができない」「返済しないと保険が失効する可能性がある」「十分な保険金が受け取れなくなる場合がある」「貸付時の金利が高い場合がある」といったデメリットもあります。

解約返戻金が少ない状態だとあまりお金を借りることができない

契約者貸付制度は解約返戻金を担保にしていますので、解約返戻金が少ない状態だと大きな金額を借りることはできません。
保険に加入したばかりで、解約返戻金自体が少ない場合には、契約者貸付制度を利用できなかったり、利用できても少額しか借りられないのはデメリットです。
自身が積み立てた保険料がいくらあるか、解約返戻金がどれくらいあるのかはしっかり確認しましょう。

返済しないと保険が失効する可能性がある

契約者貸付制度はあくまで解約返戻金を担保にしてお金を借りる制度です。
借りているお金と利子を足した元利金が解約返戻金を超えると保険料を支払っていても、保険契約が失効したり解約される可能性があります。

契約者貸付制度は返済の自由度が高く、催促もないので、うっかり返済をしていないと保険自体が失効してしまうリスクがあることは十分に理解しておきましょう。
また、契約者貸付制度の金利は複利で計算されますので、複利の場合には単利よりも利息がどんどん膨らんでいくので金利計算には十分に注意をしましょう。

単利と複利の違い

単利とは元本に対して金利を決める方法で、複利は元本に対して利子も加えて次の利子を決める方式です。
例えば、年利10%で100万円を借りた場合に単利の場合には毎年10万円の利子が発生します。
複利の場合には、翌年返済しなかった場合には利子も含めた110万円に対して10%の利子がかかるので、翌年の利子は11万円になります。

複利の場合には返済をまったくしないと雪だるま式に返済額がかさむので解約返戻金を超えないようにきちんと金利の計算をしましょう。

十分な保険金が受け取れなくなる場合がある

契約者貸付制度を利用しているときに保険金の支払いや満期保険金などが発生した場合には、借りているお金がお金の返済に回ってしまい、もともと受け取る予定だった保険金や満期保険金を受け取れなくなるデメリットがあります。
保険の保障をしっかりと得たい場合には、契約者貸付制度の利用は慎重に行いましょう。

貸付時の金利が高い場合がある

契約者貸付制度の金利は一般的にカードローンより低く設定されています。これは昨今の低金利下によって保険商品の金利が安く設定されているからです。
しかし、80~90年代のバブル期に契約した保険の場合には契約者貸付制度での金利も高く設定されていることがあるので、注意が必要です。契約者貸付制度の金利は保険加入時の金利がベースになります。

また、返済の金利は複利で計算されるので、古い保険で契約した契約者貸付制度を利用した場合には思わぬ金利を払わなければならないケースもあります。いわゆるお宝保険の場合には注意が必要です。

契約者貸付制度以外でお金を借りる方法

契約者貸付制度を使わない場合にはカードローンやキャッシングを利用して金を借りることもできます。
それぞれと契約者貸付制度との違いを見ていきましょう。

カードローンと契約者貸付制度の違い

カードローンの場合には担保は必要ありませんが、契約者貸付制度も解約返戻金を担保としているので、こちらも担保は必要ありません。

また、カードローンには審査があり信用情報機関への登録がなされますが、契約者貸付制度では審査はなく信用情報機関への登録はありません。加えて、金利の面では、カードローンの金利は3%~18%程度となっていますが、契約者貸付制度は2%~6%程度となっています。

貸付額は条件にもよりますが、カードローンは10万円~1000万円程度が上限となっており、契約者貸付制度の場合には解約返戻金の7~9割程度が上限となっており、解約返戻金がいくらあるかがポイントです。
カードローンはネットで完結するサービスも多く、即日融資も可能ですが、契約者貸付制度はネット申込みで2日程度、郵送では1週間程度かかるので、少し利便性の点では劣ります。

返済が遅れた場合カードローンでは催促があり、損害遅延金が発生することもありますが、契約者貸付制度の場合には催促はありません。
ただし、元本と利息が解約返戻金を超えると保険が失効してしまう可能性があります。

キャッシングと契約者貸付制度の違い

キャッシングの場合には原則的に担保は必要ありませんが、他方、契約者貸付制度も解約返戻金を担保としているので、こちらも担保は必要ありません。

また、キャッシングには審査があり信用情報機関への登録がなされますが、契約者貸付制度では審査はなく信用情報機関への登録はありません。
キャッシングの金利は15%~18%程度となっています。契約者貸付制度は2%~6%程度となっています。
金利という点では、キャッシングよりも契約者貸付制度が有利と言えそうです。

貸付額は条件にもよりますが、カードローンは10万円~1000万円程度が上限となっており、契約者貸付制度の場合には解約返戻金の7~9割程度が上限となっており、解約返戻金がいくらあるかがポイントです。
キャッシングはネットで完結するサービスも多く、即日融資も可能ですが、契約者貸付制度はネット申込みで2日程度、郵送では1週間程度かかるので、少し利便性の点ではお取ります。

返済が遅れた場合、キャッシングでは催促があり、損害遅延金が発生することもありますが、契約者貸付制度の場合には催促はありません。
ただし、元本と利息が解約返戻金を超えると保険が失効してしまう可能性があります。

まとめ

解約返戻金がある保険で解約返戻金を担保にお金を借りられる契約者貸付制度。保険の保障を維持しながらも、困ったときにお金を借りることができる制度です。
メリットやデメリットも理解した上で、上手に活用しましょう。

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