損切りとは?どんな意味がある?できる人、できない人の特徴について

投稿日:2023/02/24 最終更新日:2023/06/28
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損切りはポジションを解消して損失を確定する方法で、初心者が損失を抑制するためには重要な行動です。ルールに基づいて、確実に損切りを実行すれば、大損を避けながら効率よく資産運用をおこなうことができます。また予め損失発生時の対応を明確にしておくことで、冷静に行動できるようになるといったメリットもあります。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

損切りとは?

損切りとは、損失が出ているポジションを閉じることで、損を確定させることです。損切りをすれば損失が確定するため、実行するのをためらう人も少なくありません。しかし、ルールに基づく適切な損切りにより更なる損失リスクを回避し、長期にわたり安定的な投資ができるようになります。

損切りの方法

損切りは闇雲にその時の判断で行ってしまうと、まだ反転余地があるポジションを閉じたり、損切りタイミングが遅れて損失を拡大させるリスクもあります。そのため、ルールを定めたうえで、ルールに従って実行することが大切です。

損切りルールの決め方には主に次の3つがあります。

  • 金額ベースの損切り
  • 投資リターンベースの損切り
  • テクニカル分析による損切り

まず、「金額ベースでの損切り」とは、損失額が一定額になったら損切りをするというルールの決め方です。投資家が負う損益は最終的には、現金の価値に換算されるものです。金額ベースで損切りラインを決めておけば、一定額以上の損失が発生する心配がなくなります。

二つめは投資リターンベースの損切りです。当初元本に対する割合で損切りラインを決めます。これなら金額に関わらず、市場の価格変動の大きさを加味して適切なルールを設定できます。

しかしリターンベースで決めると、投資金額が大きくなれば、それだけ損切りをした時の損失額は大きくなってしまいます。損切りをした時に発生しうる損失額が自分にとって耐えうるものなのかを考えたうえでルールを作りましょう。

最後に、テクニカル分析による損切りです。移動平均線やトレンドラインなど、特定のテクニカル指標について、自分が意図する方向と異なるトレンドのサインが現れたら損切りする、といった具合です。市場に見える変化のサインをいち早く捉えられるため、損失額を抑えて損切りできる可能性があります。

一方で、テクニカル指標は本来のトレンドを適切に示さず、サインが出た後に異なる値動きを示すケースも少なくありません。テクニカル分析を取り入れる時には、活用するテクニカル指標のクセや信憑性を理解したうえで、自分にとって有効な指標を活用しましょう。

なお、損切りのルールやタイミングについてはこちらの記事でさらに詳しく紹介しているのでご参照ください。

【関連記事】損切りとは?タイミングとルールは?損失を抑える方法について解説 

損切りのメリット・デメリット

損切りにはメリット・デメリット双方があります。ルールを定めて適切な頻度・タイミングで損切りを行うことで、デメリットを抑え、メリットをより享受できるようになるでしょう。

メリットとしては次の2つがあります。

  • 損失の拡大を防げる
  • 資金効率が上がる

損切りの本来の効果は、将来相場が想定と異なる方向に進んで損失が拡大する影響を避けられることです。株式などリスクの高い資産は短期間で価格が数十%下がることも珍しくありません。取り返しのつかない損失を被ることのないようにするためには、適切に損切りを取り入れることが大切なのです。

また、早めの損切りで現金が手元に戻ってくれば、その資金を新たな投資に振り向けることも可能に。有望な投資先に早めに資金を振り向けられるため、投資効率の向上にもなります。

一方で、デメリットは次のとおりです。

  • 現金ベースで損失が実現する
  • 再度株価が上昇した際、値上がり益を享受できない
  • インカムゲインが受け取れなくなる

損切りは損失を確定させる行為なので、いうまでもなくその瞬間に現金ベースでの損失が確定します。どのような理由をつけたとしても投資開始時点より資産額が減るという事実は変わりません。資産額が現金ベースで減るのを受け入れられず、損切りをうまく実践できない投資家も多く見られます。

また、損切りによってポジションが閉じられてしまうので、仮に損切り後に相場が反転して株価が上昇したとしても、その時の値上がり益を享受することはできません。

さらに、株や債券、投資信託には、それぞれ配当、金利収入、分配金など、保有しているだけで定期的に発生するインカムゲインが見込める銘柄が多くあります。損切りしてしまうとこれらの収入も受け取れなくなるため注意が必要です。損切りをすると将来のインカムゲインを逸失することも理解のうえ、適度な損切りルールを決めておきましょう。

損切りはなぜ難しい?できない人はどうする?

損切りの重要性を理解していても実践できない人は少なくありません。これは行動経済学の観点から損切りが人間にとってストレスの大きいものだからです。そのため損切りを適切に行う上では、ルールを定めてそのルールに従って行うのがよいでしょう。  

人間の特性上難しい

行動経済学中のプロスペクト理論において、人間は「利益を得る喜びよりも、損失を被る苦痛の方が大きい」という傾向があることがわかっています。イメージ図にすると下記の通りです。

この時横軸の客観的価値は、多くの人の場合「現金として実現する損益」を意味します。すなわち損失が現金として実現することの苦痛が大きいため、人は損失の確定を拒む傾向にあるのです。このような性質を損失回避性と呼ぶこともあります。人間には、元々この損失回避性が備わっているため、そもそも損切りは難しいことなのです。  

できない人はルールで縛る

損切りは人間の特性上難しいため、あらかじめルールを設定して、そのルール通りに機械的に行うのがおすすめです。どうしてもルールに抵触したらただちに損切りすることに抵抗があるという人は、ルールに抵触した後に考える期間も決めておき、その期間を過ぎても相場が回復しなかったら損切りするという決まりを作っておくのもよいでしょう。

また、FXなどの場合は「逆指値注文」を活用するのも有効です。逆指値注文とは、保有しているポジションの損失を確定させるための注文で、あらかじめ「損切り」のレートを決めておくことができます。ポジションを持つときに必ず、自分の損切ルールに応じて逆指値注文もいれておくと、強制的に損切りがおこなわれるため、損切りに躊躇して失敗する心配がなくなります。

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損切りは不要って本当?

投資家の中には損切りが不要と考えている人も一定数います。長期投資を基本とする著名な投資家のウォーレン・バフェットも損切り不要と考える投資家として有名です。損切りを不要とするのにも一定の根拠があり、決して誤りではありません。一方で、初心者の場合は、やはり損切りを活用して効率よく運用するのがおすすめです。  

含み損のある銘柄を保有し続ける根拠

含み損が出ていても、保有し続ける理由がいくつかあり、それぞれ一定の合理性があります。

一つ目は価格下落が一過性の相場変動の波及にすぎず、企業自体の成長力や財務状況など、本質的な価値は変わっていないと考えられる場合です。当初想定した企業の成長力が損なわれていないため、いずれ株価が適正値に戻ると考えて、保有を継続するという判断には一定の合理性があります。

また、個別銘柄の要因ではなくマクロ的な環境変化に伴う価格下落の時は保有を継続するというのも一理あります。マクロ環境は基本的に循環性を持っていて、長期で見れば好況と不況を繰り返すものです。いま、マクロ環境が悪化して株価が下落しているのであれば、(企業が倒産や極端な弱体化に陥らないことを前提とすれば)景気回復局面では業績が上向き、株価も回復してくると想定されます。そうした回復を見据えて長期で保有を継続する投資家も少なくありません。

最後に、株式投資では配当収入が手に入ります。配当水準は銘柄によって様々ですが、高配当な銘柄は長期で保有していると数十%相当のリターンを産み出すこともあります。そのため価格が下落していても配当を加味すればプラス、ということが考えられ、その場合は損切りする必要はないと考えられます。

また、現時点では配当を加味してマイナスでも保有を続けて将来の配当を積み上げることで、いずれプラスになると期待できるのであれば保有を継続したほうがいい、という考え方もあります。  

損切りは不要か

結論から言うと、初心者の場合はやはり適切に損切りを取り入れた方が効率的な運用ができます

まず、個人が限られた情報ソースの中で企業の成長性を適切に予測するのは困難です。一過性の相場変化に見えて、実は企業の深刻な競争力低下が原因だった、といったように見通しを誤って大きな損失を抱えるリスクが高いといえるでしょう。

また、初心者は投資資金量が限られるケースが少なくありません。資金量が少ないなら、将来の反転を待つよりも、すぐに損切りをして有望な株式に乗り換えた方が効率的に資産をふやせるでしょう。もし、損切りした銘柄が改めて魅力が高まってきたら、後で買いなおすという判断をすればいいだけなのです。

最後に大きな含み損を抱えたままでいることは、大きなストレスを伴います。過度なストレスから解放されるためにも、一旦は損切りして不安をなくしたほうが、長期で安定した運用ができるようになるでしょう。

まとめ

損切りとは含み損が発生しているポジションを解消して損失を確定させることです。適切におこなえば、大きな損失リスクを回避して、また資産運用の効率性を高めることができます。初心者は損切りに躊躇してしまいがちですが、ルールを決めて、抵触したら強制的に損切りを行う決まりにしておけば、適切に損切りを資産運用に取り入れられるでしょう。

初心者にとって株式投資はリスクが高いと考えてしまいがちですが、損失が発生したときの対応方針を予め決めておけば、安心して資産運用ができます。損切りの仕組みを理解したら、早速証券口座を開設して、投資にチャレンジしてみましょう。

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よくある質問

Q

損切りルールの決め方はありますか?

A

初心者は損失金額が一定以上に達したら損切りする、あるいはリターンがマイナス何%になったら損切りする、といったようなルールを決めておくとよいでしょう。
また、テクニカル指標などを活用して、想定と異なるトレンドが現れたら損切りするというルールにすると、さらに精度高く損失を抑えた損切りができるようになるでしょう。

【関連記事】損切りとは?タイミングとルールは?損失を抑える方法について解説

Q

「塩漬け株」はどうすれば良い?

A

塩漬け株とは大きく値下がりしたにもかかわらず保有を続けている株のことです。損失額が許容範囲である、もしくはもう回復が見込めない場合は損切りをした方がよいでしょう。一方で、損失額が既に大きいもののいずれ回復が期待できるなら、長期保有して配当や優待を受け取りながらトータルリターンを回復させていくという考え方もあります。

【関連記事】損切りとは?タイミングとルールは?損失を抑える方法について解説

Q

バフェットが損切りをしないのはなぜ?

A

ウォーレン・バフェットは長期投資を基本としている投資家です。投資を検討する企業のことを徹底的に調べ上げ、成長ストーリーを描ける企業を厳選して投資しています。自分の見通しに絶対の自信を持っているため、株価が下落しても、見通しが誤っていたことが明確にならない限りは、基本的に投資を継続するスタンスです。

なお、過去に一度も損切りをしたことがないわけではなく、より有望な株が見つかった、明らかに自分の見通しが誤っていた場合などには、損切りして別の銘柄に投資したこともあります。

詳しくは「含み損のある銘柄を保有し続ける根拠」を参照

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