ローソク足とは何者?
ローソク足とは、1本棒状の形で一定期間内の株価の値動きを表した図表です。日本発祥のチャート(値動きのグラフ)の一部で、ローソクに形が似ていることからローソク足と名付けられました。
シンプルな見た目をしていますが、ローソク足1本に過去の情報や相場の動きなど多くの情報が詰まっており、株投資だけでなくFX、商品先物などさまざまな場面のチャートで使われています。ローソク足の示している意味を理解することで、株取引を円滑に進められるだけでなく、相場の状況を視覚的にとらえることができるようになります。
足には種類がある
ローソク足は、ローソク1本が表す期間を選ぶことができます。表す期間によって足には基本5種類あります。1分単位の株価の動きを表す「分足」、1日単位の株価の動きを表す「日足」、1週間単位の株価の動きを表す「週足」、1か月単位の株価の動きを表す「月足」、1年単位の株価の動きを表す「年足」です。
分足のチャートでは、1分ごとに1本のローソクで表示されます。取引の手法や期間に合わせたチャートを使用しますが、基本的な分析では日足が用いられます。短期トレードで用いるなら分足や日足のチャート、長期の成長率を見たいなら年足のチャート、というように取引手法によって使い分けることができます。
ローソク足で将来の値動きを予想できる?
将来の値動きは、ローソク足を元にある程度は予想できます。
しかし、決して完璧な予想ではありません。株取引やFXにおいて、予想の精度を高めるためには、チャートから読み取れる情報以外の指標も用いなければなりません。また、企業の財務状況や各国経済の動向、その他事件などにもアンテナを張る必要があります。
ローソク足の見方
ここではローソク足の見方についてご紹介いたします。いくつも並んだローソクから、どのような情報が読み取れるのでしょうか。
ローソク足の見方が分かれば、株価の値動きを視覚的に把握でき、実際の株取引において大いに役立ちます。ローソク足の情報を正しく読み取るためにも、しっかり理解しておきましょう。
四本値
1本のローソク足は四本値の数値で形づくられています。四本値とは、一定期間内で取引された「始値」「終値」「高値」「安値」の4つです。始値とは単位期間における開始時の値段、終値とは単位期間終了時の値段、高値とは期間中で最も高く取引された値段、安値とは期間中で最も安く取引された値段を指します。
高値と安値に関してはわかりやすいですが、始値と終値には注意が必要です。東京証券取引所の取引時間は、2022年1月現在、午前9時から午後3時までです。
しかし例えば、1日の株式の売買は、午前9時から午後3時までであっても売りたい人と買いたい人の株価が合わなければ売買は成立しません。
従って、日足の四本値の始値が午前9時の株価、終値が午後3時の株価になるとは限りません。また、前日の終値が当日の始値になるとも限りません。その日、最初の売買が成立した時間の株価が始値となります。同様に、その日最後の取引が行われた時間の株価が終値となります。
陰線と陽線
実際のチャートでは、「赤と青」「白と黒」のように2色のローソク足が表示されています。赤や白で表示されるローソク足は、陽線と呼ばれ、取引時間全体にかけて値上がりした(終値が始値より高い)ということを示しています。ローソク足の長方形の部分が長い陽線ほど「買い(株価の上昇を見越して株を買うこと)の勢いが強い」ことを表しています。
また、青や緑、黒で表示されるローソク足は、陰線と呼ばれ、1日全体にかけて値下がりした(終値が始値より安い)ということを示しています。ローソク足の長方形の部分が長い陰線ほど「売り(株価の下落が予想される保有している銘柄の株を売ること)の勢いが強い」ことを表しています。
なお、陽線および陰線の色は、証券会社などによって異なるため、注意しましょう。そのローソク足における終値が始値よりも高ければ陽線、終値が始値よりも低ければ陰線だと判断できます。
チャートにおいける陰線と陽線の違いを理解して売買トレンドを掴み、取引を行いましょう。
実体とヒゲ
ローソク足は、「実体」と「ヒゲ」で構成されています。実体とヒゲの本来の姿をしっかりと理解しておくことで、始値・終値・高値・安値をすっと読み取れるようになります。
実体とは、始値と終値で囲まれたローソク足の長方形の部分です。
また、ヒゲとは実体の上下に伸びている線の部分のことで、実体の上に伸びた線を「上ヒゲ」、下に伸びた線を「下ヒゲ」といいます。上ヒゲの先端は高値、下ヒゲの先端は安値を示します。ヒゲの長さは実体より長くなることもあれば、ヒゲがないこともあり、さまざまです。上ヒゲは「上影」、下ヒゲは「下影」と呼ぶこともあります。
実体とヒゲの線の長さを比べることで、指定した取引期間の始値から終値にかけての株価の変動具合を見ることができます。
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基本形のローソク足
株価の値動きを把握するためには、ローソク足のパターンを理解することが大切です。ローソク足の形により強気・弱気といった相場のサインや価格変動の転換点を見極め、投資を行うことができます。
しかし、ローソク足には、数多くのパターンが存在します。ここでは、これから株取引を始めてみようと思っているが、実際の取引や注文はまだしたことがないという方や、株取引を始めたばかりの初心者も知っておくべきローソク足の基本形を9種類ご紹介いたします。
<ローソク足の基本形> 1.大陽線:上昇一本 2.小陽線:やや上昇 3.上影陽線:一時的な値上がり 4.下影陽線:一時的な値下がり 5.大陰線:下落一本 6.小陰線:やや下落 7.上影陰線:一時的な値上がり 8.下影陰線:一時的な値下がり 9.十字線:始値と終値が同じ、売り買い拮抗 |
また、併せて覚えておきたい知識が、「強気」「弱気」「上値が重たい」「底堅い」といった証券用語です。
強気とは、相場が上がると予想することです。弱気とは、相場が下がると予想することをいいます。また、上値が重たいとは、一旦相場が上昇したあと、それ以上の水準になかなか値上がりしない状態をいいます。底堅いとは、相場が下がりそうで下がらない状態のことです。
証券用語には他にも様々な種類があり、しばしばニュースや新聞記事でも用いられるため、意味を理解しておくことで相場を理解しやすくなります。
それでは、ローソク足の基本形9種類について、詳しく見ていきましょう。
陽線:基本的に買い
陽線は、終値が始値より高い価格で終わった場合のローソク足の実体部分です。ローソク足の実体部分が長い場合、買いの勢いが強かったことを表しています。また、ローソク足の実体部分が短い場合、買いの勢いが弱かったことを表しています。陽線は、ごくごく簡単にいうと「基本的には買いのサイン」です。
大陽線
陽線のなかでも大陽線は、ローソク足の実体が他に比べて明らかに大半を占めている状態です。上昇トレンド(高値と安値ともに直近の株価を切り上げながら上昇していく状態)に切り替わる場面で現れます。売り方の勢いが弱まっており、強気で買いの勢いが続く状況だといえます。
小陽線
陽線のなかでも小陽線は、ローソク足の実体部分がやや短くなっている形です。上昇、下落どっちつかずの停滞状態を表しているともいわれます。しかし、連続すると大きく上昇し、大陽線につながる可能性もあり得ます。
上影陽線
大きな上ヒゲのある陽線を上影陽線といいます。終値よりも高値がかなり高く、上値の重たさが読み取れます。売り方に抵抗されたものの、最終的には買い方が勝利した状態といえるでしょう。上影陽線が上昇トレンドで現れると、「売りのサイン」です。
下影陽線
大きな下ヒゲのある陽線を下影陽線といいます。始値から大きく値を下落したものの回復し、最終的には上回った状態を示しています。底堅さが読み取れます。下影陽線が下落トレンド(高値と安値ともに直近の株価を切り下げながら下落していく状態)で現れると、上昇の兆しがあり、「買いのサイン」です。
陰線:基本的に売り
陰線は、終値が始値より安い価格で終わった場合のローソク足の実体部です。ローソク足の実体部分が長い場合、売りの勢いが強かったことを表しています。また、ローソク足の実体部分が短い場合、売りの勢いが弱かったことを表しています。陰線は、ごくごく簡単にいうと基本的には「売りのサイン」です。
大陰線
陰線のなかでも大陰線は、ローソク足の実体が他に比べて明らかに大半を占めている状態です。大陰線は大陽線の逆で、下落トレンドに切り替わる場面で現れます。買い方の勢いが弱まっており、売りの勢いが強い状況が続くといえます。
小ローソク足
陰線のなかでも小陰線は、ローソク足の実体部分がやや短くなっている形です。小陰線は、小陽線と反対の形をしています。売りと買いが拮抗しており、相場の迷いを表しているともいわれます。売りがやや強い状態で、今後もトレンドが継続する場合に現れます。
上影陰線
大きい上ヒゲがある陰線を上影陰線といいます。始値よりも高値がかなり高いことが分かります。売り方の抵抗が強く、最終的に激しく落ち込むため、売りの勢いが激しい状態といえます。上影陰線が上昇トレンドで現れると、下落転換になりやすく、「売りのサイン」です。
下影陰線
大きな下ヒゲのある陰線を下影陰線といいます。始値から大きく下落し、その後上昇したものの、始値までは回復しない状態を示しています。下影陽線よりは買いの勢いは弱いといえます。下影陰線が下落トレンドで現れると、回復の兆しがあり、「買いのサイン」です。上昇トレンドで現れると、上値の重たさ、警戒感があります。
相場転換のサイン
今後、上昇もしくは下落のどちらに相場が動き始めるサインなのかも、ローソク足を見ることで分かります。ここでは、相場転換のサインになる十字線についてご紹介いたします。
十字線
始値と終値がほぼ同じ価格になっており、ローソク足の実体部分が存在しない形が十字線です。高値に上ヒゲの線、安値に下ヒゲの線が伸びているような形になっていることから十字線と呼ばれています。
売りと買いが拮抗しており、相場の迷いが生まれている状態です。寄引同時線とも呼ばれ、相場の転換期を示すサインといわれるローソク足の形状です。
上昇トレンドで十字線が現れた場合、売り方がこれまでの買い方の勢いを止めたことを示しており、下落への転換の暗示になります。また、下落トレンドで十字線が現れた場合では、買い方がこれまでの売り方の勢いを止めたことを示しており、上昇への転換を暗示しています。
ローソク足の組み合わせで出現するパターン
ローソク足は単体でも分析できますが、複数のローソク足を組み合わせることで、単体で分析する場合とは違った見方ができ、より分析の精度が上がります。前後の関係性を見ることで、その時点のローソク足がどのような相場を示しているかが、より正確に読み取れるからです。
また、長い視点でローソク足が形成するパターンに注視することで、精度の高い分析ができ、売り買いのタイミングを計れる場合もあります。ローソク足のパターンの出現を見逃さないようにしましょう。
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はらみ線:天井や底が分かる
はらみ線とは、2本並んだローソク足のうち、1本目のローソク足が長く、1本目が短いほうの2本目を包むような形になっているパターンをいいます。相場の天井や底を形づくるときによく現れます。トレンドが転換するサインです。
上昇トレンドにおいて、大陽線の次に小陽線や小陰線がはらまれた場合には、天井(今後下落すること)を暗示します。また、下落トレンドにおいて大陰線の次に小陽線や小陰線がはらまれた場合には、底(今後上昇すること)を暗示します。
いずれの場合も、はらまれたローソク足が寄引同時線であれば、天井もしくは底となる可能性がかなり高いといえます。
売買のタイミングは総合的に判断しよう
ローソク足を用いることで、株取引やFXにおける売買のタイミングをある程度判断できるかもしれません。
しかし、予想の精度を高めるためには、一定期間内に取引された終値の平均値をつなぎ合わせた「移動平均線」との関係など、他の指標いわゆるテクニカル指標を使用することが必要です。「下影陽線・下影陰線だから買いだ!」などと、短絡的に判断してしまうのは大変危険です。
また、企業の財務状況や各国経済の動向、その他事件などチャート以外の情報にもアンテナを張り、総合的に売買価格の取引タイミングを判断するべきだといえます。このように、しっかりと情報を集めて判断するようにしましょう。
まとめ
ここまで、ローソク足の基本から、ローソク足の見方、基本形、出現パターン、売買のタイミングについてそれぞれご紹介いたしました。自分の資産に見合った投資の中で、ローソク足を活用しましょう。ローソク足は株式だけでなくFXの値動きを表す際にも用いられます。
相場展開の予想や相場の強弱を見るために活用できるローソク足は、取引において最も重要な要素の一つと言っても過言ではありません。正しく理解することで、「始値」「終値」「高値」「安値」といった株価の値動きを一目で把握でき、相場の流れも読み取ることができます。テクニカル分析を行う投資家は方針を決めた上でチャートを分析し取引しています。
今回ご紹介したのは、最も基本的な部分です。ローソク足は、株投資やFXなどの取引をするうえでの基礎といえますので、しっかりと理解し、利用できるようにしておきましょう。
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