【第12回】J‐REITの魅力「利回りの高さ」と「分配金」の上手な活用 - Jリート abc - 投資信託
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【第12回】
J‐REITの魅力「利回りの高さ」と「分配金」の上手な活用
最終回となる「J‐REIT abc」では、J‐REIT投資が注目を浴びる理由「利回りの高さ」と「分配金」(インカムゲイン)の活用に注目します。今まで学んできたこととあわせて、投資に役立てましょう。
1.J‐REITの魅力は利回りの高さ
J‐REIT投資の大きな魅力は、利回りの高さです。QUICKが算出している全上場REIT 加重平均の予想分配利回り(Q-REIT加重平均予想利回り ※1)は現在約6%弱(2010年3月4日現在5.88%)で推移していますが、これは1%台前半にある10年国債の利回りに対して、十分に魅力的な水準といえるでしょう(2010年3月)。グラフは、Q-REIT加重平均予想利回りと10年国債のものと比較したものです。これを見ても、明らかにJ‐REITの利回りの高さに分があることがわかります。
しかし、安定的な10年国債の利回りに比べ、J−REITの利回りは、2007年夏から急騰し、その後下落。利回りの上昇は、投資対象として魅力的に映りますが、少し動きが激しいことが気になります。利回りはどのような要因で動くのかを確認しておきましょう。
2.利回りは分配金と価格で決まる
利回りは、投資したお金に対して、いくらのリターンが得られたかを表します。100万円投資をしたのに対して、分配金が10万円であれば、利回りは10%です(10万円÷100万円×100=10%)。
【 利回り(年)=1口当たり分配金(年)÷投資口価格 】
利回りが上昇する要因は2つです。ひとつは、REITの収益力が上がって分配金が増えるケース。先の例で、分配金が20万円に増えれば、利回りは20%に上昇します(20万円÷100万円×100=20%)。これは、投資家にとっても喜ばしいことでしょう。
一方、投資口価格の下落も利回り上昇の要因です。分配金が10万円のまま、投資口価格が50万円に下がれば、利回りは20%へ上昇します(10万円÷50万円×100)。この場合、投資家は手放しで喜べません。特に注意したいのは、投資口価格の下落が、個別銘柄の事情による場合。市場全体が下落したことによって投資口価格も下がったのであれば、「今後の回復を見込んで投資する」こと選択肢になりますが、個別銘柄に悪いニュースが出たのなら、投資を見送るのが基本。選別が必要です。
3.J-REIT投資の極意 決算期による分配金支払い月の組み合わせ
第10回で学んだように、J-REITは、キャピタルゲインよりも安定的なインカムゲインを重視する分配型の商品です。最終的に残った利益の90%以上が決算毎に投資家へ分配金される仕組みになっていることから、比較的利回りが高くなっています。ただしJ-REITの分配金は固定利付債券の利息と異なり、将来にわたってその額が約束されているものではありません。過信は禁物です。
J-REIT投資の極意として、各銘柄の決算月がバラバラで偏りがないことに注目し、決算月の異なる銘柄を上手に組み合わせ、必要な月に分配金を受け取る仕組みをつくることができます。各銘柄の決算期については、各社または不動産証券化協会のホームページで確認することができます。
分配金を上手に組み合わせれば、定期的に使いたい資金を準備する手段として活用することもできます。毎月分配型の投資信託を購入している人は、比較して見るのも良いでしょう。
利回りの高さは、投資へのインセンティブになります。今まで11回にわたって学んできたことを生かし、J‐REIT投資を検討してみてはいかがでしょう。その際は、他の金融商品と上手に組み合わることを忘れずに。より磐石なポートフォリオを築くことが可能となります。