【第10回】国内上場3つの「原油ETF」の違い ETF
ETF [ コラム ]
【第10回】
国内上場3つの「原油ETF」の違い
ファンドの値動きが原油価格に連動することを目指して運用されるETFを一般に、原油ETFと呼びます。2010年7月末現在、東京証券取引所にはNEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信(銘柄コード:1699)とETFS原油上場投資信託(銘柄コード:1690)の2本の原油ETFが、大阪証券取引所にはWTI原油価格連動型上場投信(銘柄コード:1671)が上場しています。3本のETFとも、ファンドの値動きが原油価格に連動するように設計・運用されていますが、ベンチマーク、形態や仕組みなどに違いが見られます。
NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信は、NOMURA原油ロングインデックスに連動する投資成果を目指すETFで、日本国内で組成され、2010年5月17日に東京証券取引所に上場しました。
同ファンドのベンチマークであるNOMURA原油インデックスは、世界の原油先物取引の中から、取引量が多く流動性が十分あるものを構成銘柄として採用し、原油価格の値動きに連動することを目的とするインデックスで、野村證券金融工学研究センターが算出しています。2010年7月末現在、構成銘柄はニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されているLight Sweet Crude Oil(WTI原油先物)です。
NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信は、このNOMURA原油インデックスへの連動を図るために原油先物取引を行ない、日本円換算した対象指数に連動する投資成果を目指します。先物取引は買い建て額が純資産総額と概ね同額になるように運用が行なわれます。また、余資については短期有価証券で運用され、これが分配の原資となります。ベンチマークは米ドルベースであり、日本円への換算は、原則として、対象指数の算出対象日の翌営業日の対顧客相場の仲値を用いて算出されています。
一方、ETFS原油上場投資信託は、DJ−UBSCI原油商品指数に連動する成果を目指すETFで、形態としては2005年にイギリス領ジャージーにおいてジャージー会社法に基づいて設立された外国投資法人が発行する外国投資証券です。同ETFは、2006年9月にロンドン証券取引所に上場され、その後、フランクフルト、ユーロネクスト・アムステルダム、ユーロネクストSA、イタリア証券取引所に上場され、2010年3月19日に東京証券取引所に上場しました。
ベンチマークのDJ−UBSCI原油商品指数(Dow Jones-UBS Crude Oil Subindex)は、ユービーエス・エイ・ジーとダウ・ジョーンズとの間での共同取り決めに従って、作成・公表されており、商品市場の中でも原油セクターの値動きを反映するように設計されています。
ETFS原油上場投資信託は、DJ−UBSCI原油指数への連動を図るために、商品契約カウンターパーティとスワップ契約を締結し、このカウンターパーティがベンチマークのリターンをファンドに対して保証するいわゆるシンセティック・レプリケーションを採用しています。また、カウンターパーティが担保証券管理機関に運用資産額の100%をカバーする担保を差し入れることで、カウンターパーティ・リスクを回避する手段が講じられています。担保は、運用資産額の100%をカバーするように日々調整が行なわれます。
WTI原油価格連動型上場投信は、基準価額がWTI原油先物直近限月清算値の円換算表示に連動することを目的としたETFで、国内で組成され、2009年8月3日に大阪証券取引所に上場しました。同ETFのベンチマークは、WTI原油先物直近限月清算値の円換算表示の価格ですから、2010年7月末現在においては、実質的にNOMURA原油ロングインデックスと同じということになります。
WTI原油価格連動型上場投信では、NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信と同様に、資金を証拠金として差し入れWTI原油先物を買い建て、残りの資金は米国の財務省短期債券への投資や現金で保有します。 また、商品先物取引のレバレッジをかけた総額が純資産残高と概ね一致するように運用されます。余資の運用からの利息収入がファンドの分配原資となります。
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