東京都の第2子の保育料無償化はいつから?対象や所得制限など解説
東京都では23年10月から第2子保育料の完全無償化が始まろうとしています。現在の制度では第2子の無償枠は半額まででしたので、東京都では第2子以降の保育料の負担が大幅に削減されます。
今回の東京都の第2子保育料の完全無償化は所得制限もなくわかりやすい制度ですが、現在の幼保(幼児教育・保育)無償化制度は条件が複雑です。新しい東京都の第2子完全無償化制度と、現在の国の幼保無償化制度についてまとめました。
東京都の第2子保育料の完全無償化とは?
東京都は2023年1月12日、第2子の保育料を年齢にかかわらず完全無償化する方針を発表しました。
2人目の子どもの保育料は現在、国が3~5歳は全額、0~2歳は1/2を助成して、残りを保護者である子育て世帯が負担しています。ただ、0~2歳については、年収約360万円以上の世帯の場合、第1子が小学生以上なら除外されるなどの要件があり、助成を受けていない世帯も多い状況にありました。
今回の子育て支援は、所得状況や子どもの年齢にかかわらず幼児教育・保育にかかる保護者負担をなくすことを目的としており、対象児童数は約5万人程度の見込みとなっています。この保育費無償化制度は2023年10月から適用予定です。
0~2歳の第2子の保育料が無償化へ
現在0~2歳の第2子の保育料は、第1子が就学している場合は「都」が、第1子が未就学の場合は「国」が助成をしていますが、無償枠は保育料の半額にとどまります。
もともと、0~2歳の第2子に対する国の助成を受けるには第1子が未就学で保育所に通っていることが条件になっていることもあり、補助申請の審査に漏れることも多くなっていました。そこで2019年から第1子が就学していても第2子の保育料を半額とする助成制度を都が独自に始めました。
今回の追加支援方針は第1子の就学状況にかかわらず残っていた残りの半分の保育料を都が助成することになります。新しい追加支援では所得制限がなく、子が対象の世帯は一律保育費無償化の対象になるのも特徴です。小池百合子都知事は「東京から少子化を止める。この決意のもと大胆な施策を実行していく」と述べており、少子化対策の一環として2023年10月からの適用を目指しています。
月5,000円給付も
第2子保育料無償化とともに、18歳以下の都民を対象にし月5,000円の現金給付をすることも発表されています。この「018サポート」と呼ばれる事業には1261億円の事業費が見込まれています。
こちらも「一生懸命働いて税金を納めている方々が給付対象にならないのは罰を受けているようだ」と小池都知事は所得に関わらない支援を行うことにこだわったため、所得制限は設けられていません。対象は約200万人となりそうです。
月に5,000円といわれていますが、実際には年間6万円が一括して支払われます。初回は2024年1月に2023年度分が支払われる見通しです。
これまでの「幼児教育・保育無償化」とは?
現在の幼保無償化は内閣府が発表している子ども・子育て支援新制度の1つで、2019年から開始されました。対象は主に3~5歳児クラスの子供と0~2歳児クラスで住民税の非課税世帯で、利用している施設の利用料が無料もしくは一部無償になります。
実際には通園のすべての料金が無料となるわけではなく、通園送迎費や食材料費などはこれまで通り保護者が負担します。また、利用している施設やその利用料、世帯収入や子供の人数などによって無償枠の上限等の条件が細かく分かれている点には注意が必要です。
保育料無償化の対象範囲と条件
保育料が無償となる対象をまとめるとこのようになります。
対象となる年齢・条件
無償化の対象となるのは、原則として3歳から5歳までの子供です。対象期間は満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間が無償化期間ですが、幼稚園の場合は満3歳以降で入園できるタイミングにあわせます。
幼稚園および保育園が無償になるタイミングは以下の通りです。
無償になるタイミング
- 幼稚園:満3歳となった誕生日から
- 保育園:3歳児クラス(3歳になった次の4月1日)から
そのため、幼稚園か保育園かどちらかを選ぶかによって利用料が無料になる時期が1年近く変わります。例えば、満3歳4月生まれだと保育園では翌年4月の入園からが無償の対象となります。一方、幼稚園では3歳の誕生日から無償となるので、保育園に比べて無償になる時期が早くなります。
利用施設にかかわらず無料もしくは無償枠が利用できますが、施設によって無償枠が異なります。また、認可外保育施設の場合にはお住いの市町村で「保育の必要性の認定」を受ける必要もあります。
住民税非課税世帯の場合、0歳から2歳までの子供も対象となります。こちらの場合も利用施設によって無償枠に違いがあります。
また、障害児の発達支援施設(※4)を利用しているお子さんの場合、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間は利用料が無料となります(幼稚園、保育所、認定こども園等と併用する場合は、両方とも無料)。
※4.児童発達支援・医療型児童発達支援・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援・福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設
対象となる費用・対象外の費用
保育料無償の対象となるのは、原則として施設利用料のみです。通園送迎費、食材料費、行事費などは自己負担となります。
ただし、利用施設が幼稚園、保育所、認定こども園で、かつ子供が第3子以降もしくは年収360万円未満相当の世帯の場合は副食費用(おかず・おやつなど)も免除対象となります。
対象者 | 無料・無償対象となるもの | 無料・無償対象とならないもの | |
全ての子ども | - | 利用料 | 通園送迎費、食材料費、行事費など、利用料以外の費用 |
幼稚園、保育所、認定こども園利用者 | ・第3子以降のすべての子供 ・年収が360万円未満相当の世帯 |
利用料に加えて副食費用(おかず・おやつなど) | 同上(左記を除く) |
障害児の発達支援施設利用者 | - | 施設利用料 ※幼稚園、保育所、認定こども園等と併用する場合は両方無料 |
同上(左記を除く) |
対象となる施設・事業
対象となる施設は幼稚園(子育て支援制度の対象)、保育所、認定子ども園で、基本的に無料対象となりますが、子育て支援制度対象外の幼稚園や認可外保育施設についても一部の料金が無償の対象になります。
利用施設 | 無償枠 | |
幼稚園 | 子育て支援対象幼稚園 | 利用料無料 |
子育て支援対象外幼稚園 | 利用料が月額2.57万円まで無料 | |
保育所/認定こども園 (右記を含む) |
■地域型保育 ・小規模保育 ・家庭的保育 ・居宅訪問型保育 ・事業所内保育 ■企業主導型保育 |
利用料無料 |
認可外保育施設 (右記を含む) |
・一時預かり事業 ・病児保育事業 ・夜間保育事業 ・ファミリーサポートセンター |
保育の必要性の認定を受けている場合 【3~5歳児クラスの場合】 利用料が月額3.7万円まで無料 【0~2歳児クラスの場合】 利用料が月額4.2万円まで無料 |
※認可外保育施設とは一般的な認可外保育施設、地方自治外独自の認証保育施設、ベビーシッター、認可外の事象所内保育等を指します。
対象とならない事業・サービスに注意
幼児保育無償化の対象とならない施設もあるので注意してください。「もりのようちえん」や「英会話教室」、個人で子供を預かる場合のように、認可外保育の届け出がされていない施設が対象外の施設にあたります。また、インターナショナルスクールなど各種学校施設も対象とはなりません。保育施設を利用中の方・利用を検討している方は、該当施設がどのような扱いになるか確認しておきましょう。
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保育料無償化の気になるポイント
保育料無償化でよくある気になるポイントを簡単に説明します。
所得制限はある?
基本的に所得制限はありません。ただし、住民税非課税世帯では0~2歳児クラスの施設利用料の補助、世帯所得が360万円未満相当であれば副食の補助など追加の補助を受けることができます。また、第1子のカウント条件(税務上、どの子どもを第1子とみるか)も緩和されます。
0~2歳の子どもは?
通常は第2子が半額、第3子以降は無料です。住民税が非課税世帯の場合、保育園など幼児教育にかかる施設利用料が無料になります。今回東京都が助成対象としたのがこの第2子の部分です。これによって東京都では0~2歳の子どもは第2子以降の保育料が無料になりました。
第2子以降は?
3歳から5歳の場合は第1子と同様で無償化制度の対象です。0歳から2歳の子どもの場合、第2子が半額、第3子は無料となります。
2人目のこどもの数の計算は幼稚園(1号認定)と保育所・認定こども園(2号、3号認定)のどちらを利用しているかでカウント条件が異なります。また世帯年収によっても条件が変わるので詳しく知りたい方は以下の内閣府のサイトを確認してください。
第2子以降の条件
- 1号認定の場合:小4以上はカウントしない
- 2号、3号認定の場合:小1以上はカウントしない
- 年収360万円未満相当の世帯の場合:上記に該当しても小1以上もカウントする
参考:内閣府「よくわかる「子ども・子育て支援新制度」」
保育の必要性の認定とは?
認可外保育園など、幼児教育にかかわって認可外施設等を利用する際に補助を受けるためには、「保育の必要性の認定」を各市町村で受ける必要があります。保育の必要性の認定というのは、各市町村が必要に応じて保育サービスを提供するために、「事由」「区分」「優先利用」の3点から保育サービスの必要量を測る仕組みです。
「事由」「区分」「優先利用」
- 事由:保護者の労働又は疾病といった理由
- 区分:長時間または短時間の必要保育量を測る
- 優先利用:ひとり親や虐待の恐れのあるケースなど
子どもの年齢 | 保育を必要とする自由に該当 | 認定区分 | 利用できる施設 |
3~5歳 | する | 2号認定(保育認定) | 保育所・認定こども園 |
しない | 1号認定(教育標準時間認定) | 幼稚園・認定こども園 | |
0~2歳 | する | 3号認定(保育認定) | 保育所・認定こども園・地域型保育 |
しない | 設定の必要なし | 必要に応じて一時預かり支援などの利用は可能 |
保育料無償化の手続きは必要?
支援新制度の対象となっている保育園や幼稚園、認可保育所、認定こども園、地域型保育を利用する場合は、自動的に無償の対象になるので手続きは不要です。企業主導型保育事業を利用する場合、必要書類を施設に提出します。
認可外保育園などの認可外施設を利用する場合は、無償化される費用を請求する必要があります。無償分の利用費を立て替えておいて、後で請求するイメージです。受取方法は施設によって異なるので、お住いの市町村でご確認ください。
保育料を下げるには?
保育料を下げるには保護者の所得として計算される金額を少なくすることが有効です。なぜ所得を少なくすると保育料が下がるかというと、保育料が住民税を基準にして決まるからです。
保育料の決まり方と安くする方法
そもそも保育料は全ての子どもで一律同じ金額ではありません。簡単に言えば住民税が高いほど保育料が高い、つまり所得が多い人ほど子どもの保育料が高くなります。
住民税は以下の流れで計算します。
住民税の計算方法
- 各所得(給与所得や配当所得、退職所得など)をそれぞれ計算してから合算する
- 上で合算した課税標準から所得控除を引いて課税所得金額を計算する
- 課税所得金額に税率をかけて計算する
※厳密には住民税は地方自治体が税額を計算して納税者に通知する賦課課税方式です
そのため、所得を下げることが保育料を下げることにつながります。所得を下げるには「所得控除」をうまく利用しましょう。「所得控除」とは所得を計算するときに特定の金額を差し引くことができる仕組みです(上の2.部分)。
会社員の方でも利用できる所得控除はこのようなものがあります。
利用できる所得控除
- 生命保険料控除:生命保険料を支払った場合に利用できる控除
- 医療費控除:ご自身や家族などの医療費を支払った場合に利用できる控除
- 小規模企業共済等掛金控除:確定拠出年金(iDeCo)の拠出金をだした時に利用できる控除
- 寄付金控除:ふるさと納税で利用できる控除
※これらの控除は全額控除できるわけではありません(iDeCoの拠出金を除く)
自営業や個人事業主の方であれば確定申告に慣れていると思いますが、所得控除だけでなく必要経費を計上できれば所得を下げることができます。会社員の方よりも比較的簡単に所得を下げることができるので検討してみて下さい。
ライフプランや保険について相談してみよう
子どもを保育園に入園させるなど幼児教育・保育施設の利用をはじめたり、幼保無償化が始まるタイミングも含めお金が関わるライフイベントはたくさんあります。子どもの教育費や学資など子育て・教育に関わる保険、親(保護者)の保険なども含めて、今後のライフプランが心配なときはFPに相談してみましょう。
まとめ
東京都では新たに第2子の保育料の無償化が始まりました。現在は第2子だと半額が助成されていますが、東京都では第2子以降も全額が助成され無料となります(第3子以降は現行制度でも無料)。
この記事でも簡単に説明しましたが、国の幼保無償化などの制度は条件がかなり複雑になっています。子育てのようにお金がかかることには、せっかく準備されている制度がうまく利用できないのはもったいないです。ライフイベントの節目ではFPにお金の相談をしてみるなど、前もって様々な制度・サービスについて検討しておくことをおすすめします。
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よくある質問
Q | 東京都の保育料完全無償化はいつからですか? |
A | 23年10月から開始予定です。 |
Q | 認可保育と認可外保育の違いは? |
A | 児童福祉法で定められた基準をすべて満たす保育施設は「認可保育園」と呼ばれます。一方で基準を満たさない保育施設や何らかの事情で認定されていない保育施設は「認可外保育園」となります。 |
Q | 保育料無償化で、実際に払う保育料はいくらですか? |
A | 住んでいる自治体によって異なりますが、利用料以外の金額(給食費や送迎費等)は引き続き自己負担となるので1万円前後は支払うことになります。 |