前場、後場とは?寄付、引けって?株取引するタイミングについて解説

投稿日:2022/08/08 最終更新日:2023/03/10
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前場は株式市場の午前の取引、後場は午後の取引、寄付は各時間の最初の取引、引けは各時間の最後の取引を意味します。前場と後場のどちらも、寄付と引けの時間に取引が多くなるため、株価が大きく変動します。株式投資を短期的に運用する場合は、最も取引の数が多い午前の寄付での取引がす効率的です。

一方で、長期的に運用する目的であれば、1日の変動はあまり重要ではないため時間を気にせず取引しても問題ありません。初心者はまず時間にとらわれずに取引を何度か行い、株式投資に慣れることが重要です。

今回は、前場・後場、寄付・引けの詳細な紹介や株式取引におけるそれぞれの重要度、そして取引を行う時間帯のおすすめを紹介します。

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前場・後場と寄付・引けの違いとは?

前場・後場には株式市場の取り引きされる時間帯、寄付・引けには特定の取引や取引金額を指している点に違いがあります。 それぞれの内容は以下の通りです。 ・前場:午前の取引 ・後場:午後の取引 ・寄与:前場・後場における最初の取引 ・引け:前場・後場における最後の取引  

株の取引時間が分かれている「前場」と「後場」

前場は「ぜんば」と読み、午前の取引を意味し、後場は「ごば」と読み、午後の取引を意味します。日本国内の証券取引所における、前場と後場の具体的な取引時間は以下の通りです。

  取引の時間帯
前場 東京証券取引所)午前9:00~午前11:30
(名古屋証券取引所)午前9:00~午前11:30
(札幌証券取引所)午前9:00~午前11:30
(福岡証券取引所)午前9:00~午前11:30
後場 (東京証券取引所)午後12:30~午後3:00
(名古屋証券取引所)午後12:30~午後3:30
(札幌証券取引所)午後12:30~午後3:30
(福岡証券取引所)午後12:30~午後3:30
 
上記の表のうち、国内の証券取引において99.9%のシェアを誇る東京証券取引所(※1)の取引時間を参照されるケースが多く見られます。今後、東京証券取引所の後場の終了時間が、2024年後期を目途に30分延長される見込み(※2)であるため、他の証券取引所と並ぶ形となります。

前場と後場が2つに分かれている理由とは?

前場と後場が2つに分かれている理由は、昼休みが挟まれているためです。昼休みとは、証券取引所の職員が手作業で売買を取り次いでいたことを慣例として残しています。国内の主な取引所では、基本11:30~12:30に昼休みがあります。ただし、ニューヨーク証券取引所をはじめとして、海外では昼休みがない証券所もあります。

また、昼休みの間でも可能な取引として、バスケット取引(パッケージ取引とも呼ばれる)が存在します。バスケット取引とは、バスケットに入れるように複数の銘柄をまとめ、ひとつの商品として販売する形式です。主に15銘柄以上で1億円以上の大口な取引を示し、別途手数料が発生します。昼休みの間に約定されたバスケット取引が後場で執行されることがあり、その場合は後場の取引金額相場に大きく影響を与えます。

東京証券取引所において、昼休みの撤廃が検討されたこともありました。しかし、こうした株価の価格の変動が行われない時間帯はバスケット取引を行う需要が高いと判断され、撤廃は見送られ時間の短縮に止まりました(※)。ただし、昼休みがあることで休憩時間の間に企業の発表や政治に関する報道が行われ、後場の開始時に株価が変動する可能性があります。

寄付・引けとは?

寄付は「よりつき」と読み、その時間における最初の取引を意味します。また、引けはそのまま「ひけ」と読み、その時間における最後の取引を意味します。1日の株式取引は前場と後場に分かれているため、寄付と引けは1日にそれぞれ2回ずつあります。後場の最後に行われる取引を特に「大引け(おおびけ)」と呼び、大引けの際の取引額は「終値(おわりね)」と呼びます。

それに対して、前場においてその日最初の取引における取引額を「始値(はじめね)」と呼び、始値が決まる前場の開始前の時間帯を「寄付前」と呼びます。引けの価格は次の寄付価格に影響しますが、必ずしも同じ株価になるとは限りません。株価は、引けと寄付の間に発表された情勢によって変動するため、一致しないことがあります。

<株価に影響を与えやすい情報>
・株式会社の決算
・政治政策
・世界各地のニュースや動向

特に、終値が決定されたあとから翌日の始値が決まるまでの期間は長いため、株価が大きく変動するケースが多くみられます。

前場と後場についての特徴

前場は前日の相場や海外市場の相場が反映されやすく、取引が最も活発に行われる時間帯です。特に、大口の投資家が動きやすいため、価格の変動も頻繁に見られます。

一方、後場は前場よりも取引が少ない傾向にある時間帯です。後場の終わり際には取引が増え、最終的に株価の終値が決定されます。また、前場・後場にかかわらず、寄付・引け周辺は取引が多くなる傾向にあります。

前日、海外市場の相場が反映される前場

前場は、前日の大引け後に起こった社会情勢・海外市場の相場が反映され、価格が大きく変動する時間帯です。 前場では以下のような取引内容が多く発生します。

活発な時間帯 概要
前場の開始30分~1時間(寄付) 寄付前の注文が確定され、値動きが活発になる
日本時間午前10時半 中国の証券市場が開始される時間帯のため、中国市場の値動きを受けて大口投資家の取引が起こる
前場の終わり際(引け) 後場で売却するために前場で株式が購入され、取引が増加する

その日の結果が最後に現れる後場

前場と比較すると、後場は相場の変動が比較的少ない時間帯です。後場では以下のような取引内容が見られます。

証券取引を専業としていないほとんどの会社員は、日中は上記の時間帯でしか取引を行うことが多いです。そのため、後場の最初は取引が多く発生します。ただし、後場で最も取引数が多くなる時間帯は大引けの直前で、より一層値動きが激しくなります。これは、翌日に持ち越すと株価が下がる見込みのある銘柄を手放したい人が売却するためです。

また、株の売買によって終値を操作したい人たちによる駆け引きも行われます。前場で始まったその日の傾向が後場によって収束し、最後に終値となって結果が現れる時間だといえるでしょう。

活発な時間帯 概要
14:30~15:30(大引け) 大引けまでに株式を手放したい人による取引
 

後場の寄付は後場の中では活発に株価は動きますが1日を通して活発な値動きがあるわけではありません。昼休み中に大きなニュースが流れた場合は活発に動く場合もあります。後場で最も取引数が多くなる時間帯は大引けの直前で、より一層値動きが激しくなります。これは、翌日に持ち越すと株価が下がる見込みのある銘柄を手放したい人が売却するためです。また、株の売買によって終値を操作したい人たちによる駆け引きも行われます。前場で始まったその日の傾向が後場によって収束し、最後に終値となって結果が現れる時間だといえるでしょう。

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寄り引けについての特徴

前述の通り、寄付と引けは最も取引が活発に行われるタイミングです。そのため、価格変動に大きく関与し、株式投資における重要な要素となります。機関投資家をはじめとする大口の投資家が取引する傾向にあることも、相場が大きく動く原因のひとつです。また、取引時間内において寄付と引け以外の時間をザラ場と呼びます。ザラ場は寄付・引けとは取引形式が異なります。  

寄り引けって重要視する必要があるの?

寄付と引けの株価は、当日・翌日の株価変動に関わる重要な要素であり、証券取引をする上では欠かせない判断材料です。寄付はその時間帯における最初の取引であり、その後の価格変動の流れを決定します。

特に、前場の寄付は1日の流れを作り上げる効果があります。引けでは、前場であれば後場にあたる寄付の相場を、後場であれば翌日の始値を考えて取引を行いましょう。

たとえば、大引けが安価に終わったものの、翌日の始値が高くなると予想される場合、「終値の価格で株価を購入して翌日の始値で売る」ことができ、成功すれば利益を得られます。 寄付と引けで売買をする予定はないとしても、両者は証券取引をする際の大きな指標です。そのため、この2つの株価はチェックしておくとよいでしょう。  

どんな取引が多い?

寄付の直後と引け直前は、前場と後場ともに価格の変動が激しくなりやすい時間帯です。寄付では、前述したバスケット取引をはじめとして前場や後場の時間外に取引した決済がまとめて行われます。

一方、引けでは株価を上昇させたい人と上昇させたくない人で駆け引きが行われます。また、寄付と引けはどちらも機関投資家などが株を売買する傾向にある点も、株価の変動が大きくなる原因です。

機関投資家とは、顧客から預かった資金を運用する法人投資家を示します。機関投資家の取引では、大きなお金の動きが行われる分、他の投資家も追随することが多く、株価に大きく影響します。

ザラ場とは?

ザラ場とは、寄付と引け以外の時間帯を指します。「ザラにある場」つまり「普通の場」という意味からつけられたと言われています。寄付・引けとは売買取引の方法が異なり、オークション形式が用いられます。

ザラ場は寄付・引けと比較すると取引はそれほど活発に行われず、値動きも少ない傾向にあります。そのため、売買の条件がかみ合ったものから順番に処理されていきます。かみ合った条件が同じであれば、時間の早いものから売買が成立されます。この形式はザラ場方式とも呼ばれます。

寄付と引けで用いられる形式は板寄せ方式です。

板寄せ方式とは、注文が出された時間にかかわらず、価格が高い順に処理される方式です。寄付では前回の引け後から寄付までの間に行われた取引を、引けでは引けの直前に出された取引がまとめられて売買処理されます。

実際に前場、後場いつ取引したらいいのか?

投資家の投資スタイルや生活習慣によって、おすすめする投資時間は異なります。 長期投資を考えている人は時間帯にこだわる必要はありませんが、短期投資を目的にしている人は前場の寄付がおすすめです。ただし、初心者の方はひとまず時間帯を考えずに、株式投資に慣れていくことを考えましょう。

自身の投資志向によって投資すべき時間が異なる

前提として、投資する人の投資志向によって投資するべき時間帯は異なります。そのため、取引の時間帯を決める前に自分の投資志向を具体的に設定しましょう。

ライフスタイルによって、短い時間で取引を完了させる人もいれば、チャートを常時眺めて取引する人もいます。たとえば、サラリーマンで働いている人が、普段昼休みしか時間が取れない生活を送っている一方で、専業で取引をしている人は好きなタイミングで売買が可能です。人によって証券取引に割ける時間量や時間帯が異なるため、無理のない範囲で時間を捻出しましょう。

証券取引の経験が浅く、株式投資をまだ深く理解していない初心者の方は、現段階であまり時間帯を気にする必要はありません。少しずつ株式取引に慣れていくことが重要です。経験や知識が身に付いてから、具体的な指標を設定し、最適な時間帯がいつであるかを考えましょう。

長期投資はあまり気にしなくていい

長期投資を考えている場合、株式を買う時間帯を気にする必要はありません。長期投資においては、1日に大きな利益を上げることではなく、長いスパンで利益を得ることを目指します。そのため、1日における短期の相場変動ではなく、長期的に株価の上昇が見込まれるかどうかに焦点をあてます。

たとえば、その日の寄付で株価が上昇しても、長期的な運用であればすぐに売る必要はありません。 長い目で見ると成長が見込まれる銘柄を購入していた場合、売らずに株を保持したままでいれば大きく株価が上昇し、利益をさらに上げられる可能性があります。

ただし、必ずしも利益を上げられるわけではなく、想定していたよりも株価が上昇しない場合や、想定外の事態が発生して株価が買値より落ちてしまう場合があります。このような場合においては、損切を視野に入れることも重要です。

株価の上昇や下落を推し量るためには、情報収集が欠かせません。そのため、長期投資では、取引する時間帯よりも、証券会社の決算発表・ニュース・需要・政治的公表・世界の情勢などの把握を徹底しましょう。

また、株式を長期保有する可能性が高いため、銘柄選びが何よりも重要です。情報収集を怠らず、購入する銘柄を適切に選択して利益を上げましょう。

短期投資(デイトレード)は寄付に取引されることが多い

短期投資(デイトレード)を目的としている場合、寄付で取引するケースが多く見られます。短期投資の目的は短いスパンで売買を頻繁に行い、その差額で利益を上げることです。そのため、1日における価格変動が大きく起きる寄付で利益を上げやすいと考えられています。

特に、前場の寄付では最も多く取引が行われる傾向にあるため、短期投資では1日の開始すぐの取引に尽力しましょう。ただし、初心者の方に短期投資を目的とした投資は難しく、あまりおすすめしません。なぜなら、寄付では利益を生み出しやすい一方で損失も生み出しやすく、売り際の見極めが難しいためです。たとえば、投資初心者の取引では、買値よりも値上がりした際に「もっと上がるのではないか」と期待して売り時を逃し、売ろうと思った時には買値よりも下がっている可能性があります。

また、投資に失敗すると、追加で投資額をつぎ込んで損した分を取り戻そうとする恐れがあります。その際に無理なく運用できる範囲内の金額から逸脱しかねません。そのため、損益が出やすい短期投資はリスクも高くなります。

利益を上げるには論理的な根拠を元に投資を進めていく必要があります。1日における株価はさまざまな要因によって変動します。もしも短期投資に興味があるなら、株価チャートの観察から始めることをおすすめします。チャートの見方を学び、株価の変動パターンや傾向がつかめてきたら、短期投資に手を出してみるとよいでしょう。

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株の取引時間が延長される!

前述しましたが、東京証券取引所において、2024年の後半を目途に後場の取引時間が30分延長される見込みです。2022年8月時点での取引時間は前場が午前9時から午前11時半、後場が午前12時半から午後3時ですが、時間の改変後は、後場が午前12時半から午後3時半になります。

取引時間の延長理由として「世界各地の市場と比較しても立会時間が短いため、市場機能と競争力を高めていく上で検討した」と述べられています。たとえば、ニューヨーク証券取引所の取引時間は午前9時半から午後4時で昼休憩はなしの6時間半(※1)、香港証券取引所の取引時間は午前9時半から午後4時で昼休憩は1時間の5時間半(※2)です。

一方で、日本の取引時間は現在合計5時間しかないため、他国の基準と比較しても比較的取引時間が短いという現状です。変更後に30分延長されれば、香港取引所の5時間半に並ぶことになります。 取引時間が変更されることで、証券取引にも大きな影響が出ると見込まれます。

※1 参考:NYSE『Holidays and Trading Hours
※2 参考:香港交易所『Securities Market

まとめ

証券取引で使用される用語は、以下のことを意味します。

  • 前場:午前の取引
  • 後場:午後の取引
  • 寄付:各期間で最初の取引
  • 引け:各期間で最後の取引

前場は相場の変動が大きい時間帯で、特に寄付には機関投資家をはじめとした数多くの投資家が取引を行う傾向があります。

一方で後場は、変動の少ない時間帯ですが、大引けの価格操作を狙う特定の層が取引を行います。 長期的な運用であれば時間を気にせずに、短期的な投資であれば前場の寄付を狙いましょう。

初心者の方は時間を気にせず、株式投資に慣れていくことをおすすめします。 

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