債券ETFとは?おすすめ銘柄やメリット・デメリットについても解説!

投稿日:2023/10/16 最終更新日:2024/08/29
ETF
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債券ETFは、上場された投資信託の中で債券を中心に投資する銘柄群です。株との分散投資や、リスクを抑えた投資を行ううえで適した商品です。投資コストを抑えて、少額から投資できるのも魅力といえます。日本の債券に投資するものや、米国などの先進国もしくは中国などの新興国などに投資するものなど、銘柄によって投資する債券が異なるので、自分の投資スタンスにあったETFを購入しましょう。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

債券ETFとは?

債券ETFとは、投資先の大部分が債券のETFです。なおETFとは「上場投資信託」のことで、日本の場合は東京証券取引所に上場されている投資信託を意味します。ETFは、取引所が開いている時間帯であれば、株のようにリアルタイムで売買したり、値動きの情報を得て相場を追跡することが可能です。

債券は機関投資家向けの商品も多く、個人投資家が個別銘柄を購入する機会は限られています。債券ETFなら個人投資家でも多数の銘柄に分散投資ができる、定期的に分配金を得られるなどの特徴があります。

少額の資金から投資可能

債券ETFなら、少額の資金から投資できるのが大きな特徴です。ETFは1口単位で購入可能なため、数万円もあれば多くの銘柄に投資できます。一方、債券は一部の個人投資家向けの銘柄を除いて、最低投資金額が1億円など高額な銘柄が多く、個人投資家が直接投資しようとしても銘柄の選択肢が限られてしまいます。

ETFを活用すれば、少額での債券投資がしやすくなります。初心者が少額から投資にチャレンジするうえで適した資産といえるでしょう。

複数の債券への分散投資ができる

多くの債券ETFは、特定の市場指数への連動を目指して多数の銘柄へ分散投資を行っています。債券の市場指数は、多いもので千以上の銘柄が組み入れられているため、一つの銘柄を購入するだけでリスク分散が期待できるのが特徴です。

個別銘柄の債券を購入すると、その銘柄の金利変動により大きく損益が動く可能性があります。分散投資をすれば、一部の銘柄で損失が出ても、他の銘柄の値動きと相殺してくれるため、大きな損失を受けるリスクを減らせるのです。まとまった資金が必要な個別銘柄の債券を購入するより、債券ETFの方が手軽に投資先を分散できるため、資産形成のリスクヘッジとして人気が高まっています。

定期的に分配金を受け取れる

債券ETFでは分配金という形で、債券と同様に定期的に現金収入を受け取ることができます。債券投資のメリットの一つに、定期的にクーポンと呼ばれる金利収入が得られる点があります。債券ETFについても、投資収益に応じて分配金を受け取ることが可能です。ETFの分配金は、基本的に配当や利息収入を原資として出す決まりがあります。

債券ETFであれば、投資先である債券の多くがクーポン収入(=利息収入)を出すため、分配金が受取れるチャンスは充分にあるでしょう。投資しながら定期的に現金収入が欲しいと考えている方にも、債券ETFは適した投資先です。

債券ETFのメリット

債券ETFは、債券と異なり市場を通じて柔軟に売買できるのが特徴です。債券に投資するため、株などと比較して価格が安定しているのもメリットといえます。また、解約手数料が安いなど、投資するうえでの手数料が低いのも魅力です。コストやリスクを抑えた投資をしたい方に、おすすめの投資先といえます。

市場を通していつでも手軽に購入できる

日本国内のETFの場合は、東京証券取引所に上場していて、東証が開いている時間帯ならリアルタイムで売買できます。一方、海外ETFなら、上場している国の証券取引所が開いている時間に売買可能です。個別の債券のほとんどは非上場なので、証券会社により購入できる個別銘柄は限られていて、かつ在庫状況により買える銘柄は日々変わります。

債券投資を行う投資信託なら発注自体は柔軟にできる銘柄が多いですが、約定は後日になり、価格は基本的に1日に1回変わるだけです。リアルタイムにその時の価格で取引できる債券ETFの方が、個別銘柄や非上場の投資信託よりも売買しやすいといえます。

そのため、必要に応じてすぐに換金することができ、資金の流れが早いというメリットがあります。

安定した値動きが期待できる

債券ETFは、株式などと比べて値動きが安定しているのが特徴です。そもそも債券は株式よりも低リスクで、かつ景気後退など株価が下落しがちな局面で耐久力を持つ傾向にあります。典型的な景気後退局面では金利が下がりやすく、債券価格は上昇しやすいからです。また、クーポン収入が定期的に得られることも、収益の安定化につながります。

債券ETFは、債券に分散投資する商品なので、個別債券と同様に株と比べて低リスクな傾向があります。世界の債券マーケットにまたがるグローバルな選択肢としても注目されています。リスクを抑えたい方のはじめての投資先として有効な選択肢といえるでしょう。また、株とは値動きの特徴が異なるため、株との分散投資をする対象としてもおすすめです。

なお、上記の債券の特徴はあくまで一般的なもので、銘柄によってはハイリスクな商品もあります。安全性や株とのリスク分散を重視する場合は、それぞれのETFの投資先や投資テーマにも着目して銘柄選びを行ってください。

解約手数料がかからない

債券ETFは解約手数料がかからない他、インデックス運用の銘柄が多いため、経費率などの投資コストが安いのが魅力の一つです。個別債券の売買は、取引所を介さない「相対取引」という形式になるため、手数料が高くつきがちで証券会社が提示した価格で売却する形となります。

市場の流動性が低い分、証券会社のスタンス自体では割安な価格での売却を迫られる恐れもあるのです。また、国内外投資信託の場合は売買手数料のほか保有期間中に信託報酬などの手数料がかかります。

債券ETFを含むETFは、基本的に解約手数料がかからない商品です。保有期間中の信託報酬を含む「経費率」も投資信託と比較して低く抑えられた銘柄が少なくありません。

債券ETFのデメリット

債券ETFは、証券会社により売買手数料が発生する場合があります。また、信託報酬を含む経費率については、通常は完全にゼロにはなりません。また、リスクが低い分、株と比べてリターン水準が低くなる可能性が高い点にも注意が必要です。

売買手数料や信託報酬などの費用が発生する

債券ETFを売買する際には、売買手数料や信託報酬が発生します。まず、売買手数料は購入・売却時に発生するもので、購入時には手数料分が追加で徴収され、売却時には売却代金から差し引かれる仕組みです。ETFの売買手数料は銘柄や証券会社により水準が異なり、ネット証券を中心に低水準もしくは無料の場合もあります。

運用期間中には運用会社の収益源である信託報酬や、ファンド運営に必要な経費がかかります。信託報酬がないと運用会社のビジネスとして成り立たないため、基本的にはゼロにはなりません。このような経済的な側面を理解しておくことが、資産管理においては不可欠です。

信託報酬や諸経費はファンドの純資産から間接的に徴収されます。直接投資家が金銭を支払う必要はない一方で、日々ファンド資産から差し引かれているため、実質的なパフォーマンスの低下要因となります。

信託報酬や諸経費などの情報はファンドの利回りに直接関係するのでしっかりと理解しておくようにしましょう。

なお、通常の投資信託でも、信託報酬はほとんどの商品で発生し、さらに銘柄によっては購入手数料や売却時の信託財産留保額が発生します。したがって、手数料がかかる点は債券ETFだけに当てはまるデメリットではなく、一般的な投資信託にも共通する要素です。

リターンが株式に比べると低い可能性がある

債券は、リスクが低い反面リターンも低い傾向にあります。個別銘柄や特定の局面で例外は発生するものの、基本的にリスクとリターンは連動する傾向にあるため、ハイリスクな株式の方がハイリターンが見込めるのです。

債券は、株と比較すると価格変動が小さい資産であるため、キャピタルゲインが期待しにくいという特徴があります。積極的に資産を増やしていきたい方にとっては、債券ETFのリターンが物足りなく感じる可能性もあります。

利回り重視で損失リスクを受け入れてハイリターンな株に投資するか、安全重視で債券の方が適しているかは、投資家のリスク許容度によります。もちろん、株・債券にバランスよく投資するのも一案です。自分の資産状況やリスクに対する考え方を整理して、盤石なポートフォリオを形成するのにより適した投資先を選んでください。

為替リスクを伴う

特に外国の債権ETFに投資する際は、元々期待されるリターンが緩やかであるにもかかわらず、大きな為替リスクを伴います。例えば、米国債ETFのような価格変動の少ない投資先を選んでも、為替の変動によって円ベースでのリターンが大きく変わることがあり、これは予期せぬ損失を招くリスクとなります。

更に、リーマンショック以降の低金利の傾向、特に米国の10年債の利回りの低下などを考慮すると、高い為替リスクを取ることで得られるリターンが限定されているため、十分なリスクリワードの評価が求められます。投資期間における為替の動きを予測したうえで、資産に加えるべきか検討しましょう。

債券ETFのおすすめ銘柄

ここからは、債券ETFのおすすめ銘柄を5銘柄紹介します。債券ETFといっても、投資先は日本であったり、海外であったりとさまざまです。また、国が発行する国債に投資するもののほか、企業が発行する社債に投資する銘柄もあります。それぞれの特性やリスクをふまえて、自分にあった銘柄を選んでください。

【関連記事】米国債券ETFランキングTOP10!おすすめ銘柄についても解説

iシェアーズ・コア 日本国債 ETF

iシェアーズ・コア 日本国債 ETFは、グローバルでみて大手の運用会社であるブラックロックが運営する債券ETFです。銘柄名の通り日本国債に投資する銘柄で、日本の国債市場の値動きを示すFTSE日本国債インデックスという市場指数に連動することを目指して運用されています。

日本を含む多くの先進国では、個別企業が発行する社債よりも国債の方がリスクが低い傾向にあります。為替リスクもないため、日本の投資家にとってはとりわけ低リスクで安定した価格推移が期待できる銘柄です。

また、信託報酬が0.06%(税抜)と、低コストな銘柄が多いETFのなかでも、特に低水準となっています。分配金は1月、4月、7月、10月の年4回出しています。

バンガードトータル債券市場ETF(BND)

バンガードトータル債券市場ETF(BND)は、米国で上場している海外ETFの一つです。日本の証券会社で売買する場合は外国株口座の開設などが必要な場合があるので注意しましょう。米国の国債や投資適格社債など、投資適格銘柄全般を含む「バークレイズ・キャピタル米国総合浮動調整インデックス」に連動することを目指して投資される銘柄です。

投資適格債券とは、主要な格付け会社からBBB-格以上の格付けが付与された銘柄で、債券の元利金返済が滞る「デフォルト」のリスクが少ない銘柄群といえます。そのため、相対的にリスクを抑えた投資が可能です。

ただし、米ドル建てで投資するファンドであるため、日本の投資家が売買する場合には米ドル円の為替リスクの影響を受ける点に注意しましょう。経費率が0.03%と低水準なのも魅力の一つです。なお、こちらのファンドは基本的に毎月分配金が支払われます。

上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型

上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型は、日本を除く世界各国の国債に分散投資するETFです。銘柄名にあるFTSE WGBI(FTSE世界国債インデックス)の除く日本、為替ヘッジ無しベースに連動することを目指して運用されます。

世界中に分散投資するとありますが、2023年9月末時点では全体の約80%が米国とユーロ圏で占められているので、実質的には欧米圏の国債に多く投資するファンドです。なお、為替ヘッジがかかっていないため、各国通貨と対円での為替変動の影響を受ける点には注意しましょう。

毎月決算型であるため、分配金を毎月受け取れる可能性があります。2023年9月末時点では、少なくとも過去10年ほどは毎月分配金が出ています。

iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG)

iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG)は米国に上場する海外ETFです。米ドル建てのため、日本の投資家が投資する場合には米ドル円の為替リスクが発生する点には注意しましょう。Bloomberg US Aggregate Bond Index(ブルームバーグ米国投資適格債券指数)に連動することを目指して運用される債券ETFです。

同インデックスは数千銘柄以上の膨大な銘柄が組み入れられているので、1銘柄購入するだけでリスク分散効果が期待できます。また、構成銘柄は米国債もしくは投資適格級の債券なので、デフォルトリスクが抑制されているのも特徴です。経費率が0.03%とETFのなかでもとりわけ低水準となっています。なお、分配金は毎月出す方針です。

iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF(TLT)

iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF(TLT)も、米国に上場する海外ETFの一つです。20年超の米国債のみが組み入れられているIDC US Treasury 20+ Year Indexというインデックスに連動することを目指して運用されています。ETFも基本的に残存年限の長い米国債で構成されているため、投資銘柄の格付けが高く、デフォルトリスクはきわめて低いといえます。

ただし、クーポンの利率が変わらない固定利付債の場合、債券の価格は一般に残存年限が長いほど変化が大きくなる傾向にあります。そのため、当ファンドは日々の価格変動が他の債券ETFより大きくなる可能性もあります。また、米ドル建てなので米ドル円の為替リスクを受ける点にも留意が必要です。基本的に分配金を毎月出す方針のファンドとなっています。

まとめ

債券ETFは、個人投資家では個別銘柄への投資機会が限られる債券において、手軽に分散投資ができるのが特徴です。ETF(上場投資信託)であるため、証券取引所が開いていればリアルタイムでで注文でき、少額から投資できるのも魅力といえます。

債券は株と比べるとリスクが低い一方で、期待されるリターンも相対的に低い資産です。そのため、安定志向の方や、すでに株を保有していてリスク分散したい方などにおすすめの投資先といえます。

一口に債券ETFといっても、国内ETFや海外ETFそれぞれさまざまな銘柄があります。それぞれのリスク要因や期待されるリターンなどを正しく把握したうえで、自分の投資スタンスに合った銘柄を選んでください。

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