株にかかる税金は高い?株の税金について徹底解説

投稿日:2022/03/16 最終更新日:2023/03/10
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株にかかる税金についてどの程度ご存じでしょうか?税金というと「ややこしい」「難しい」イメージがあるかもしれません。株に税金がかかることは知っていてもどのように、いつ支払うのかは知らないという人も少なくないでしょう。そこで今回は株にかかる税金について税率や納付方法、節税のための対策などを詳しく解説いたします。
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株にかかる税金はいくらになるのか?

個人が株式投資を行った際に利益が生じた場合、その利益に対する税金を納付しなければなりません。株式投資で税金がかかった場合の利益は2つありまして、株を売ることで得られる「売却益」と、利益の一部として企業から株主に分配される「配当金」です。 下記で株にかかる税金を解説します。

株にかかる税率

株にかかる税額は分離課税方式で計算され、税金の合計は20.315%です。そのため、総合課税の対象となる給与所得や事業所得、不動産所得などとは分離して課税されます。これは外国株の銘柄を購入した場合でも同様です。原則、所得税は所得が多くなるにつれて税率が高くなる累進課税ですが、株投資は分離課税であるので、どれだけ多くの利益が生じても累進課税は適用されません。このように株式投資の課税は給料とは別に計算され、税率は住民税や所得税を中心に20.315%かかります。

分離課税の内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。復興特別所得税として、2037年までは所得税額の2.1%が加算されます。株式投資にかかる税金は原則1年間の合計を集計して確定し計算します。また、株が相続財産と見なされる場合には当然相続税がかかります。

それでは次に「売却益」と「配当金」にかかる税金について詳しくご紹介しましょう。

売却益にかかる税金の計算

売却益にかかる税金は20.315%です。売却益とは株を売却することで得た利益であり、譲渡益ともいいます。売却益は必ず分離課税で申告します。また、税金は株取引の譲渡所得に課税されます。したがって、税額を計算する前に譲渡所得を算出する必要があります。譲渡所得とは譲渡価額から、取得費や譲渡費用、借入金利子といった必要経費を差し引いた額です。つまり、以下の通りです。

譲渡価額-(取得費+譲渡費用+借入金利子)=譲渡所得

譲渡所得に税率20.315%をかけた額が所得税になります。

譲渡所得の金額×税率20.315%=所得税額

株取引の際利益が生じた場合、原則として確定申告が必要です。しかし、売却益が20万円以下でサラリーマンの場合と、証券口座が源泉徴収のある特定口座の場合、確定申告は必要ありません。

配当にかかる税金の計算

配当金にかかる税金も、売却益と同じ20.315%です。配当金が出たときに源泉徴収されます。そのため、確定申告を行う必要はありません。ただし、損益通算をする場合や配当控除を受ける場合、確定申告が必要です。損益通算をするならば分離課税、配当控除を受けるならば総合課税で確定申告します。

配当にかかる税金
配当にかかる税金

加えて、上場企業の3%以上の株を保有する「大口株主」については配当にかかる税が20.42%(所得税20%と復興特別所得税0.42%)となっています。大口株主は確定申告と総合課税の適用を求める特例が設けられています。

そして2022年の税法改正により、2023年10月からは大口株主の定義が見直されます。これまでよりも大口株主の定義が広範になり、配当にかかる総合課税の対象者が拡大する見通しです。

株にかかる税金はいつ引かれる?

株を買うときに税金はかかりません。株取引における税金は株を売って得られた利益にかかります。したがって、株を売却したときに利益が生じていれば、税金の納付を行う必要があります。確定申告による納税が原則必要です。しかし、証券会社の口座で源泉徴収ありを選ぶと証券会社が代わりに確定申告するため、確定申告は必要ありません。また、源泉徴収と確定申告で納付のタイミングは異なります。 ここでは、源泉徴収のある場合とない場合それぞれにおける納付のタイミングを解説いたします。

源泉徴収ありの場合

源泉徴収ありを選んでいる場合、株を売却益が生じていれば、税金分が自動で引かれます。株式投資にかかる税金は原則として1年間の合計を集計して確定します。そのため、引かれた税金分は証券会社にプールされている状態です。もしも同年で売却による損失が出た場合、税金は戻ってきます。

源泉徴収なしの場合

源泉徴収なしを選んでいる場合、源泉徴収ありを選んでいる場合のような資金の動きはありません。そのため、年間を通して利益が生じているときには、確定申告をして税金を納付します。

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株にかかる税金はいくらから?

確定申告をして納税する場合、株取引における税金のかかり方は所得を得ている方法によって異なります。そのため、どのくらいの利益が生じれば納税しなければならないのかを確認することが必要です。また、必要に応じて確定申告を行います。それでは、株以外の所得がある場合とない場合での違いを見ていきましょう。

株以外に所得がある場合

株取引において年間で20万円以上の利益が生じた場合、サラリーマンなど給与所得がある人の場合、確定申告が必要です。また、自営業者の場合は株取引における利益が年間で20万円以下であっても、確定申告を行わなければなりません。

株以外に所得がない場合

株での利益以外に所得がある人の確定申告する基準は株取引における利益が20万円を超えることと述べました。

しかし、専業主婦の人や無職の人など株での利益以外に収入がない人は例外です。株取引における利益が38万円以下であれば確定申告の必要はありません。38万円を超えて利益が生じた場合に、確定申告をします。 ただし、株取引における利益が38万円以下の場合でも、確定申告で還付を受けられるケースがあります。38万円とは基礎控除の額です。基礎控除とは所得税や住民税の計算をする前に、所得から一律で差し引かれる控除です。専業主婦といった株での利益以外に収入がない人の場合、譲渡所得から基礎控除である38万円を差し引くことができます。

つまり、課税の対象となる利益が0円になるため、確定申告をすることで自動で引かれていた税金が戻ってきます。

証券口座の種類によって税金の支払い方法が異なる

株式投資をはじめるとき、証券会社に証券口座を開設します。証券口座は特定口座と一般口座の2種類があります。特定口座には2種類あります。源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)と簡易申告口座(源泉徴収なし)源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)です。どちらも確定申告は必要ありません。 しかし、簡易申告口座(源泉徴収なし)と一般口座には、確定申告が必要です。ここでは、口座別の支払い方法について詳しく見ていきましょう。

 

  正式名称 売却益の計算 税金の計算 確定申告
特定口座
(源泉あり)
源泉徴収選択口座 証券会社等で計算してくれる 証券会社等で計算してくれる 不要
(ただし申告したほうが得することも)
特定口座
(源泉なし)
簡易申請口座 証券会社等で計算してくれる 証券会社等で計算してくれる 必要
(損失が出た場合には申告不要だが申告したほうが得することも)
特定口座以外 一般口座 自分で計算する 自分で計算する 必要
(損失が出た場合には申告不要だが申告したほうが得することも)

特定口座で税金を支払う方法

売却益や税金の計算は証券会社といった口座を取り扱う会社が代行します。 そのため、自分で損益や税金の計算をする必要がありません。 また、源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)の場合、株の売却時に利益があれば税金分が口座から自動で引かれます。そのため、確定申告は不要です。 しかし、簡易申告口座(源泉徴収なし)の場合、年間を通して利益があれば確定申告と納税が必要です。

源泉徴収ありの特定口座

売却損益や税金の計算は証券会社が代行します。また、売却代金から税金を自動的に差し引きます。そのため、確定申告を行う必要はありません。

源泉徴収なしの特定口座

売却損益や税金の計算は、源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)と同様に証券会社が代行します。しかし、納税は自分で行わなくてはなりません。そのため、年間のトータルで利益が生じていれば原則確定申告が必要です。

一般口座で税金を支払う方法

売却損益や税金の計算は自分で行わなければなりません。また、株の売却により年間のトータルで利益が出ている場合、確定申告が必要です。

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株の税金対策をするには?

下記3つの方法があります。 ・NISA(少額投資非課税制度)の利用 ・損益通算の利用 ・繰り越し控除の利用

確定申告をした方が得な場合

年間のトータルで損益がマイナスがあてはまります。それは、源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)、簡易申告口座(源泉徴収なし)、一般口座の全てに共通していえることです。

損失が出たときにできる対策

ここでは、株取引において、年間のトータルで損失が出た場合にできる2つの対策をご紹介します。ひとつは損益通算を利用する方法、もうひとつは繰越控除を利用する方法です。この損益通算と繰越控除を利用する場合、確定申告を行う必要があります。

損益通算を利用する

株取引において、ある口座内で損失が出ても、別の口座や投資信託の売買などによる利益が生じている場合があります。その場合、売却益や配当金と損失を相殺することで、納付する税金を抑えることができます。利益から損失を差し引くことで、所得税の課税対象となる利益を減らせるためです。これを損益通算といいます。なお、損益通算の利用には、確定申告が必要です。

繰越控除を利用する

全ての口座で損益通算を行っても、まだ損失が出てしまうというケースもあるでしょう。 そのようなときには繰越控除という、翌年以降3年間にわたってその損失を売却益や配当金と損益通算することが認められています。繰越控除では、繰り越した損失を翌年以降の利益から控除できます。課税の対象となる利益を減らせることは、納付する税金を低く抑えることにつながります。本来、株取引において損失が出たとき、確定申告は不要です。 しかし、繰越控除を利用するならば確定申告が必要です。節税対策に役立つため、多少面倒であっても確定申告を行い繰越控除を利用することをおすすめいたします。

繰越控の利用

NISA口座を使った対策

NISAを使えば、株式投資で得られる売却益や配当金が非課税になります。証券会社に開設したNISA口座を使って取引を行います。開設手数料や維持費などがNISA口座では一切かかりません。ただし、NISA口座は1人1口座と決まっています。また、複数の証券会社では開設できません。そのため、どの証券会社で口座を開設するのかを慎重に判断することが大切です。NISAには一般NISAとつみたてNISAがあります。一般NISAでは1年間に120万円を上限として投資を行うことができます。国内株式や海外株式、投資信託、ETF、REITが対象の運用商品です。また、売却益や配当金などを最長5年間非課税にできることが特徴です。つみたてNISAでは、1年間に40万円を上限として一部の投資信託に積立投資を行えます。また、売却益や配当金などを最長20年間非課税にできます。また、一般NISAは株式取引で利用できますが、つみたてNISAでは利用できません。加えて、一般NISAとつみたてNISAの併用はできません。NISAは非課税であるため、確定申告が必要ありません。しかし、株での利益以外に収入がない人の場合、利益が38万円以下であれば確定申告を行うことで税金が戻ってくることがあります。また、特定口座や一般口座で保有する株取引との損益通算や繰越控除の適用ができません。

【この記事もおすすめ】
初心者が投資を始めやすい資産運用「つみたてNISA」とは?

まとめ

ここまで、株取引にかかる税金や税金の支払い方法、株式投資における節税方法などをご紹介しました。株取引において損失が出た場合の対策として損益通算や繰越控除の利用があります。損益通算や繰越控除を利用することで、課税の対象となる利益を減らし、納付する税金を抑えられます。そして、株式投資における税金対策のひとつとしてNISAといった株にかかる税金を優遇する制度の活用がありました。正しく理解したうえで、株式投資による資産運用を行いましょう。

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