日経平均株価とTOPIXの違いは?各指数の特徴とチャートの見方について分かりやすく解説!
株価指数とは
まずは、株価指数とは何かについて確認しましょう。 株式指数とは、取引所全体あるいは特定の銘柄群に関する株価の動きを表す指標で、ある時点の株価を基準に増減で表されています。株価指数は各国で異なり、日本では日経平均株価(日経225)やTOPIX、米国ではダウ工業株30種平均やS&P500、ナスダック総合指数、英国ではFT100などが代表的です。現在では、話題のESGの観点から選出されるESG指数(DJSI World)などもあります。また、株価指数はパッシブ型の投資信託が運用目標とするインデックスにもなりますので、個別銘柄へ投資せず、つみたてNISAやiDeCoだけに関心のある方も知っておくべきものになります。ここからは、株価指数の概要についてさらに詳しくご紹介します。
全体の株価動向がわかる
株価指数は、複数の銘柄の株価を定められた計算式を用いて、総合的に数値化します。そのため、株価指数を見ることで銘柄群の株価の動向が把握できます。 また、株価指数を見れば、取引所などにおける株価全体の動きを長期的な目線で評価できます。
ちなみに、株価指数に連動するパフォーマンスを目指す投資信託である「インデックスファンド」へ投資することで、その指数の対象銘柄全体(すなわち市場全体)へ投資していることになります。通常、市場全体の銘柄を買うとなれば数億から数十億円規模の資金を準備しなければなりませんが、インデックスファンドへ投資することで指数全体へ少額で分散投資を行うことが可能になります。
詳しくは、インデックスファンドやETF(上場投資信託)の記事を参照してください。
個別銘柄にも影響を与える
投資家は、特に個別銘柄の株価変動にかかわるニュースなどがない場合は原則、日経225やS&P500などの様々な株価指数で相場を分析します。株価指数が下落傾向にあるとき多くの個別銘柄の株価が下がっているように、指数の変化で個別銘柄の株価変動に影響を与えている場合が多いです。
日本の株価指数
前述の通り、株価指数にはさまざまな種類があります。日本において代表的な株価指数は、日経平均株価(日経225)とTOPIX(東証株価指数)です。朝のニュースなどでよく聞く名称ではないでしょうか。 日本の株価指数は、日経平均株価とTOPIXだけではありません。
東京証券取引所第二部に(現スタンダード市場)上場している企業全体を対象とした「東証第二部株価指数」(現東証スタンダード市場指数)、東京証券取引所に上場しているREIT(不動産投資信託)の銘柄全体を対象とした「東証REIT指数」、TOPIXの算出対象を鉱業や建設業など33の業種別に分類した「東証株価指数33業種」などもあります。
このような株価指数はインデックス運用の目安となる指数として用いられており、そのような投資信託(ファンド)やETFは指数に連動した値動きをするよう運用されます。
チャートの見方
株価が高いか、安いかは株価チャートから判断できます。株価チャートとは、一定期間の株価の情報をグラフ化することで、株価の動きを可視化した図表です。
チャートを見る際は、まずはトレンドを理解しましょう。トレンドとは、相場の方向性を表すチャートの形状です。株価は、値上がりと値下がりを繰り返すため、チャートで見ると波のように山と谷を繰り返しています。この波が、上に向かっているか下に向かっているかを見れば、相場の方向性が分かります。なお、ある時点における波の山の頂点を高値、谷の底を安値と呼びます。
高値が一つ前の高値より高く、安値も一つ前の安値より高いようなトレンドを上昇トレンドと呼びます。日経平均株価の10年間のチャートを見てみると2011年あたりから2018年にかけて、上昇トレンドで推移しています。これはアベノミクス効果により相場が上向いたためとされています。 反対に、高値が一つ前の高値より低く、安値も一つ前の安値より低いようなトレンドを下降トレンドと呼びます。
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日経平均株価とは
日経平均株価やTOPIXは、「言葉は聞いたことがあるけどどういうものなのかわからない」という方も少なくありません。そこでまずは、日経平均株価とは何かについて解説します。
日経平均株価とは、東京証券取引所第一部上場銘柄のうちトヨタ自動車など主要とされる選ばれた225銘柄を対象とした株価指数です。 対象銘柄の数をとって「日経225」と呼ばれることもありますし、単に「日経平均」ともいいます。もともと日経平均株価は、アメリカのダウ・ジョーンズ社によって開発された指標でしたが、1985年5月に日本経済新聞社が権利を買い取り、現在は日本経済新聞社が出しています。なお、アメリカのダウ・ジョーンズ社が出していた頃は「日経ダウ」と呼ばれていました。 ニュースでもよく耳にする日経平均株価は、国内株式市場で最も注目度の高い株価指数であり、株式先物取引や株式オプション取引でも代表的な指数として利用されています。 ここからは、日経平均株価の構成銘柄・算出方法・特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。
日経平均の構成銘柄
東京証券取引所には4000を超える銘柄があります。そのため、日経平均株価が算出対象とする225銘柄というのはかなり少なく、全体の1割未満の銘柄の動きを表していることが分かります。
この225銘柄に選ばれている採用銘柄の上位は、株価も高額であり日経平均に占める割合がかなり高いため、変動への影響が大きい銘柄です。
また、日経平均株価の構成銘柄は年に1回見直されています。見直す際には、頻繁に取引が行われているかといった流動性と、業種のバランスが重視されます。2021年10月の定期入替では、それぞれ3銘柄が除外または採用されました。
日経平均株価の算出方法
日経平均株価はどのように算出されているのでしょうか。日経平均株価の算出方法を見ていきましょう。
日経平均株価は、225銘柄の株価の合計金額を除数で割って算出されています。「除数」とは、株式分割・併合や銘柄入れ替えなどを考慮して修正された数値で、銘柄の数(225銘柄)ではありません。
なぜ、単純に225銘柄の株価の合計金額を225で割らないのかというと、日経平均株価は年に1回の定期入替があるためです。この際、単に225で割ってしまうと連続性が保てず、正確な数値を算出できなくなります。そのため、除数を算出した上で、日経平均株価を算出しています。
日経平均株価の特徴
日経平均株価には、以下のような特徴があります。
・東京証券取引所第一部上場銘柄のうち225銘柄のみが対象 ・株価が高い銘柄に影響を受けやすい |
なぜ、日経平均株価は株価が高い銘柄に影響を受けやすいのでしょうか。それは、株価の単純平均をベースに算出しているためです。
前述の通り、日経平均株価の対象となる銘柄の多くは市場流動性の高い銘柄です。2020年に対象となっていた225銘柄のうち、市場の動きに影響を与える上位10銘柄が日経平均に占める割合は38%でした。特に、その中でも1位だったファーストリテイリングだけでも、全体の1割を占めていました。 このように、日経平均株価は株価が高い銘柄に影響を受けやすいという特徴があることがわかります。詳しく知りたい方は日経平均株価の構成比率を確認してみましょう。
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TOPIXとは
次にTOPIXとは何かについて確認しましょう。
TOPIXとは、「Tokyo Stock Price Index」の略称で、東京証券取引所が1969年7月1日から公表している株価インデックスです。日経平均株価とともに日本を代表する株価指数です。「TOPIX(トピックス)」という名称で知られていますが「東証株価指数」と呼ばれることもあります。
TOPIXは、昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として、毎日の時価総額を指数で表しています。 一般的には、日本経済の動向を示す指標として用いられていますが、ETFなどの金融商品のベンチマークとしても利用されています。 ここからは、そんなTOPIXの構成銘柄と算出方法、特徴を詳しく見ていきましょう。
TOPIXの構成銘柄
同じく株価指数の代表的存在である日経平均株価は、選ばれた225銘柄のみを対象にしていますが、TOPIXは東証一部に上場するほぼすべての銘柄を対象としています。
ほぼ全ての銘柄を対象としているため、日経平均株価よりも正確に日本株市場の動きを反映しているとされています。前述の通り、日経平均株価は流動性の高い銘柄の株価が反映されやすい指標ですが、TOPIXは一部の銘柄に影響を受けずに日本株市場全体の動きを反映できます。 そのため、日経平均株価よりもTOPIXの方が体感株価に近い指標が表されています。
TOPIX算出方法
ここからはTOPIXの算出方法を見ていきましょう。
TOPIXの算出方法は、加重平均の時価総額型です。具体的には、東証第一部の毎日の時価総額を、基準日の時価総額で割って算出します。「東証第一部の毎日の時価総額」とは全上場株をある日の終値で評価した数値の合計額です。「基準日」とは1968(昭和43)年1月4日の時価総額8兆6,020億5,695万1,154円です。基準日の時価総額は100として計算します。これらを踏まえた計算式は以下の通りです。
TOPIX=(算出時の指数用時価総額÷基準時価総額(8兆6,020億5,695万1,154円))×100
なお、算出時の指数用時価総額は以下の手順で算出されます。
①東証1部の指数用株式=東証1部の各銘柄の指数用上場株式×浮動株比率
②算出時の指数用時価総額=(東証1部の指数用株式×株価)を東証1部の全銘柄について計算して足し合わせた数値
①で出てくる「浮動株比率」とは、株式会社が発行した株式のうち、株式市場で日々取引されている株式の割合です。株式会社が発行している株式は全てが売買の対象になっているわけではありません。正式には市場で流通している「浮動株」と、売買の対象にならない「固定株」に分けられます。 TOPIXは市場の動きを表す指標であるため、固定株を含めてしまうと正式な指標ではなくなります。そこで、浮動株比率を乗じることで正確な数値を算出できます。
こちらの浮動比率は定期的な更新が行われています。詳しくは東京証券取引所のサイトの情報を確認してください。
TOPIXの特徴
TOPIXについて、ここまでご紹介したことを踏まえたTOPIXの特徴は以下の通りです。
・東証一部上場のほぼ全銘柄が対象 ・時価総額が高い銘柄の影響を受けやすい |
ほぼ全銘柄を対象としているにも関わらず、なぜ時価総額が高い銘柄の影響を受けやすいのでしょうか。その理由は、TOPIXは東証一部銘柄の時価総額によって算出されるためです。つまり、銀行株や証券株といった時価総額の大きい銘柄に影響を受けやすいというデメリットがあります。 このことから、TOPIXは外需株の動向を把握する場合には適していません。一方で、内需株の動きを把握するには最適な指標と言えるでしょう。
なお、「外需株」とは海外事業の収益が大きい事業の株式、「内需株」とは事業基盤が国内にある事業の株式です。ハイテク・自動車メーカーなどは外需株、不動産・建設・電鉄・電力などは内需株です。
日経平均株価とTOPIXの違いは?
ここまで、日本の代表的な株価指数である日経平均株価とTOPIXについて、それぞれ詳しくご紹介しました。 では、日経平均株価とTOPIXにはどのような違いがあるのでしょうか。
日経平均株価とTOPIXの主な違いは、算出方法・算出先・単位・対象となる銘柄数・影響を受けやすい銘柄などです。 例えば、算出方法について、日経平均株価は「株価平均型」であるのに対し、TOPIXは「時価総額加重型」です。また、算出先について、日経平均株価は「日本経済新聞社」、TOPIXは「東京証券取引所」という違いがある他、単位については日経平均株価は「円や銭」、TOPIXは「ポイント」という違いもあります。 このように、日経平均株価とTOPIXにはさまざまな違いがあります。 ここからは、「対象となる銘柄数」と「影響を受けやすい銘柄」の違いについて詳しく見ていきましょう。
銘柄数の違い
日経平均株価とTOPIXには、対象となる銘柄数にも違いがあります。 日経平均株価の対象となる銘柄数は225銘柄ですが、TOPIXは東証一部上場のほぼ全ての銘柄が対象です。具体的には、日経平均株価は225銘柄、TOPIXは4,000銘柄以上です。 また、日経平均株価の対象となる225銘柄は、1年に1度の定期入れ替えがあり、1年ごとに変わります。一方でTOPIXは定期入れ替えはなく、上場した企業が随時追加され、上場をやめた企業は随時除外されます。 このように、対象となる銘柄数に大きな違いがあります。
2022年度も日経平均は、構成銘柄の見直しからマルハニチロなど4社が除外され、日本電産など4社が追加される変更がありました。
特性の違い
日経平均株価とTOPIXは、対象となる銘柄や算出方法の違いから、値動きの特性にも大きな違いがあります。 日経平均株価は株価が高い銘柄の影響を受けやすいのに対し、TOPIXは時価総額が高い銘柄の影響を受けやすいです。
日経平均株価の対象となる225銘柄の選出基準は、業種間のバランスもありますが、バランスよりも重視される点は市場流動性の高さです。つまり、株価が高い銘柄が対象となることが多く、株価が高い銘柄の影響を受けやすいという特性があります。
一方で、TOPIXは東証一部銘柄の時価総額によって算出されます。そのため、時価総額が高い銘柄の影響を受けやすいという特性があります。 このように、特性にも大きな違いがあるため、2つの株価指標を、何を知りたいかという目的に合わせて見分けることが大切です。
両指数間の相対的な強さを見るための指標として「NT倍率」というものがあります。NT倍率とは日経225をTOPIXで割った数のことで、日経225の上昇率の方がTOPIXの上昇率より高いときにNT倍率も大きくなります。これまで説明したように、日経225は株価の高い銘柄(値がさ株)の変動に影響を受けやすいため、半導体を中心としたハイテク関連銘柄などの値がさ株が上昇すると、NT倍率も高くなるといわれています。反対にTOPIXには銀行株など時価総額上位の銘柄の値動きに左右されやすいという特性もあるので、NT倍率で大まかなセクターごとに市場からの注目度の違いを確認することができます。
ちなみに現在の日本の株式市場は、海外投資家の影響で日経平均先物に連動するとされており、そのため相場の上昇局面ではTOPIXより日経225が早く上がりやすい(日経225のパフォーマンスの方がよい)といわれています。つまり、NT倍率が高くなると市場全体が上昇トレンドにあると判断することもできるというわけです。ただし、そのときの景気の状況にもよるので、あくまでひとつの指標としてみるのが良いでしょう。
まとめ
株式投資において重要な指標となる株価指数。株価指数は、複数の銘柄を総合的に数値化しているため、株価指数を見れば銘柄群や各企業の株価の動向が把握できます。また、取引所などにおける株価全体の動きを長期的な目線で評価することができます。
実際、株価指数を追うインデックス型の投資信託がidecoやつみたてNISA等で扱われています。日本の指数では日経平均株価とTOPIXが代表的です。 日経平均株価とTOPIXは、対象となる銘柄数や算出方法、特性などさまざまな違いがあります。そのため、影響を受けやすい銘柄が異なります。それぞれの特徴やポイントを正しく把握して、必要な指標を見極められるようになりましょう。
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