長期・分散・積立を実践でき、資産形成に最適なつみたてNISA。200以上ある対象銘柄のなかから、最適な銘柄をピックアップするのは簡単ではありません。この記事では銘柄選びにおいて重要な比較ポイントを整理し、それを踏まえておすすめ銘柄をランキング化しました。口座選びや投資先選定の一助にしてみてください。
つみたてNISAの銘柄選びで重要な比較ポイント
つみたてNISAの銘柄選びで重視すべきなのは以下のポイントになります。
- 投資対象は何か
- インデックスかアクティブか
- 信託報酬の低さ
- 純資産額の大きさ
- 投資パフォーマンス
それぞれをどの程度重視すべきかは、後々説明する「自分に合った銘柄の選び方」によって変わってきます。 各ポイントについてしっかり確認しましょう。
投資対象
投資対象とは、そのファンドが何に投資しているかを指します。
まず投資商品で分けると、「株式」「債券」「不動産(REIT)」「投資信託」などがあります。 さらに投資先の地域によって、「国内」「米国」「先進国」「新興国」「全世界」などと分けることができます。 また「国内株式」「米国債券」など1つの資産に投資するものから、「バランス型」といって複数の資産へ投資するものもあります。 下に特徴を簡単にまとめてみました。
株式 |
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債券 |
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不動産(REAT) |
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バランス型 |
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日本 |
経済成長が落ち着いており、リターン・リスクともに比較的小さい |
米国 |
安定成長が続いているため、リターン・リスクともに日本より大きい |
先進国 |
経済・社会情勢ともに安定しており、リターンも比較的安定 |
新興国 |
高い経済成長率、不安定な社会情勢が特徴で、リターン・リスクともに大きい |
全世界 |
全世界への分散効果が期待される |
これらの中から「今後長期的に成長するであろう」銘柄を意識しつつ、自分のリスク許容度と相談しながら選ぶと良いでしょう。
なかでも、全世界株式がおすすめです。世界全体の経済は長期的に2-3%前後で成長するとされているので、全世界株式についても同様の期待ができ、さらに全世界へ分散投資することで各国固有のリスク(カントリーリスク:情勢不安など)を抑えることもできるでしょう。
株式の値動きが比較的大きいことを考えると、複数の資産(株式、債券など)へ分散させることも有効です。その意味では、バランス型の投資信託もおすすめできます。
インデックスかアクティブか
インデックス、アクティブとは、ファンドの種類のことを指します。 インデックスファンドか、アクティブファンドか、どちらにすべきかというのも重要なポイントの1つ問題です。 それぞれの特徴を確認してみましょう。
インデックスファンド |
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アクティブファンド |
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アクティブファンドは市場を上回るリターンが期待できる一方で、その成果はファンドマネジャーの手腕に左右される傾向があり、ファンドをどのように選ぶかが重要になってきます。また、ファンドマネジャーの投資先を選定するため、その調査や分析にコストがかかり、手数料も高くなります。
一方、インデックスファンドは市場並みの成果までしか期待できませんが、どの指数に投資するかを選びさえすればよく、アクティブファンドの選定よりは容易といえます。また、手数料は比較的安いのが特徴です。
ちなみに著名な投資家のウォーレン・バフェット氏は、一般の投資家に対してはインデックスファンドを薦めており、実際彼が08-17年に「S&P500のインデックスファンドはプロのヘッジファンドのパフォーマンスを上回る」という賭けを行ったところ、高手数料をとるプロのファンドがインデックスファンドに完敗するという結果に終わりました。
この結果からもわかる通り、ファンドマネージャーでも勝ち続ける事は非常に難しいです。アクティブファンドを選定する際は商品をよく確認すること、利益確定するタイミングを逃さないことが大切です。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託の管理・運用にかかる費用のことで、投資家たちが運用会社へ支払います(実際は信託財産から自動で差し引かれています)。
簡単に言い換えると運用会社への手数料のひとつで、始めはなるべく低いものを選ぶのが良いでしょう。その点では、信託報酬の安いインデックスファンドの方が、アクティブファンドより優れているともいえます。
つみたてNISAの対象銘柄の場合、
- 国内インデックス:0.5%以下
- 国内アクティブ:1.0%以下
- 海外インデックス:0.75%以下
- 海外アクティブ:1.5%以下
と法令で定められています。
純資産総額
純資産総額とは、ファンドの大きさのことを指します。 わかりやすく言うとファンドの「時価総額」のようなもので、販売口数と基準価額によって変わるため、「どのくらい人気なのか」を見ることもできます。 それほど多いケースではありませんが、あまりに純資産総額が少ない銘柄の場合、「繰り上げ償還」といって事前に定められた運用期間の満了を前に、信託が終了してしまう(償還されてしまう)こともあります(信託期間が無期限の場合も、運用が終了してしまいます)。 他の条件や信託報酬が同じ場合は、純資産総額もみてみると良いでしょう。
投資パフォーマンス
ファンドの「成績表」ともいえる、投資パフォーマンスも考慮事項に入れると良いでしょう。 ファンドの目論見書で、過去の運用実績を確認できると思います。
以下が投資パフォーマンスを判断するための代表的な指標です。あくまで投資パフォーマンスとは過去の投資の実績がどうだったかを示すもので、組み入れ銘柄の分析や成長見込みを判断できるものではないことに注意してください。
騰落率 | ある期間内に、どのくらい基準価額が上昇したか(リターン指標) →大きいほどよい |
標準偏差 | 基準価額がどのくらい変動しているか(リスク指標) →小さいほどよい |
シャープ・レシオ | リスクに対するリターンの大きさ(投資効率の良さ) →大きいほどよい |
参考:レーティング | 評価機関がファンドに対して定量評価を行い、ランキング化して「星」をつけたもの 例) 星5は上位10%内、星4は上位32.5%内など モーニングスター社のレーティングが有名 |
投資パフォーマンスは、アクティブファンドを選ぶ際の参考にしてみると良いでしょう。
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つみたてNISAのおすすめ銘柄ランキング
以上までみてきたポイントを踏まえた、つみたてNISAのおすすめ銘柄ランキングが以下になります。
「米国株(S&P500など)」「全世界株式」「先進国株式」のインデックスファンドが上位となりました。
1位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドです。 米国を代表する500社で構成される「S&P500」を対象インデックスとしています。
米国市場へ安価に投資ができることから、S&P500はインデックス投資のなかでも特に人気を集め、各証券で上位にくることの多い指数です。なかでもeMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準」の信託報酬を謳っており、実際「0.0968%」の信託報酬は他社と比較してかなりの低水準で、非常に魅力的といえるでしょう。
純資産総額も2022年2月にインデックスファンドで初めて1兆円を突破するなど、最近の人気の勢いは凄まじく、現在は1兆7000億円とつみたてNISA銘柄のなかでも堂々のトップとなっています。
2位:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む23の先進国市場と26の新興国市場の株式を対象とする「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」への連動を目指す、eMAXIS Slimシリーズの商品です。
「オルカン」と呼ばれるこのファンドは高い人気を誇り、一般投資家向け投資信託ランキングで有名な「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2022」でも1位を獲得し、4年連続の首位達成となりました。
世界全体への地域分散・通貨分散の効果によりカントリーリスクや為替変動リスクを抑え、かつ経済成長の恩恵を受けることのできる商品として、投資信託初心者の方にも比較的馴染みやすいものといえるでしょう。
3位:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、SBIアセットマネジメントが、バンガード社の「バンガード・S&P500ETF」へ投資する形でS&P500への連動を目指す投資信託です。
S&P500を対象とするファンドとしてはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と並び、低コストが人気の商品です。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)とは運用方法が異なり、直接米国株式へ投資するのではなくETFへ投資する形のため、税込の実質コストで比較するとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)より信託報酬が安くなる、という違いがあります。
一方で、過去の投資パフォーマンスから見るとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の方がやや勝り、コストとリターンのどちらを重視するかで選ぶと良いでしょう。ただし、どちらもその差はごくわずかとなっています。
4位:楽天・全米株式インデックスファンド
楽天・全米株式インデックスファンド(愛称:楽天VTI)は、米国で投資可能なほぼ全ての約4,000銘柄を対象とする「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」へ連動するインデックスファンドです。楽天投信投資顧問が「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」へ投資する形で運用します。
S&P500指数が米国の主要500社を対象とするのに対して、楽天VTIは主要大型銘柄だけでなく、小型株まで網羅した指数へ投資するため、文字通り全米へ投資することが可能です。S&P500を対象とするインデックスファンドと比べると投資対象が多いため運用コストは高いですが、より分散効果を期待できるでしょう。
5位:eMAXIS Slim先進国株式インデックス
eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、日本を除く先進22ヶ国・地域で構成される「MSCIコクサイ・インデックス」への連動を目指すファンドです。
先進国株式への投資は、リスクの高い新興国を避け、かつ安定した投資環境で分散運用できる点が魅力といえるでしょう。ただし、MSCIコクサイ・インデックス構成銘柄のうち7割超を米国が占めるため、先進国といえど米国の影響が大きい点には注意が必要です。
低コストで先進国株式へ分散投資したい方には、eMAXIS Slim先進国株式インデックスがおすすめです。
6位:eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、特定の1つの指数ではなく、8種類の資産へ分散投資を行うeMAXIS Slimシリーズのファンドです。対象となる8種類の資産は以下の通りです。
- 国内株式:TOPIX
- 先進国株式:MSCIコクサイ・インデックス
- 新興国株式:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
- 国内債券:NOMURA-BPI総合
- 先進国債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本)
- 新興国債券:JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド
- 国内不動産(REIT):東証REIT指数
- 先進国不動産(REIT):S&P先進国REITインデックス(除く日本)
大きく分けると、「株式」「債券」「不動産(REIT)」の3資産へ、それぞれ「国内」「先進国」「新興国」で、それぞれ1/8ずつ分散投資しています。これまで見てきた「全世界株式」や「先進国株式」など、地域の分散だけでなく、資産クラスでの分散もできるため、よりリスク分散を効果的に行えるというわけです。実際、年間リターンでみても毎年極端に上位・下位にくるわけではなく、中間で安定的に推移しているのを確認できます。 ちなみに、つみたてNISA対象銘柄のうち、債券へ投資できるのは資産複合型の投資信託のみとなっています。
資産複合型の投資信託はやはり投資対象が増える分信託報酬も高くなりがちですが、eMAXIS Slimシリーズのこの商品であればコストも比較的低く抑えることが可能です。
7位:ひふみプラス
ひふみプラスは、日系運用会社のレオス・キャピタルワークスが主に国内株式で運用する、アクティブファンドです。今回の記事では唯一のアクティブファンドとなりました。
「日本を根っこから元気にする」というコンセプトのもと、主に国内成長企業を発掘、投資するアクティブファンドで、直近の成績はやや低調ですが、長期的には好成績を残しています。信託報酬も上限1.0780%と、アクティブファンドのなかでは低く抑えられているといえるでしょう。
ちなみに、レオスが運用するつみたてNISA対象のアクティブファンドには、銀行や証券会社で販売する「ひふみプラス」とレオスが直接販売する「ひふみ投信」がありますが、マザーファンドという運用方式のためどちらも投資方針や組み入れ銘柄には差異がありません。「ひふみ投信」については「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2022」で7位に入賞し、アクティブファンドで最上位となりました。
8位:eMAXIS Slim国内株式(日経平均)
eMAXIS Slim国内株式(日経平均)は、日経平均株価(日経225)への連動を目指して運用する、eMAXIS Slimシリーズのインデックスファンドです。
国内株式は変動幅を小さく抑えられ、かつ情報収集も比較的容易な点が魅力です。その分銘柄も多く、比較ポイントはやはりコストになります。コストを抑えられるといえば、ここまで紹介した通りeMAXIS Slimシリーズが代表的でしょう。
国内株式で運用したい方には、取り扱い証券会社も多く、コストも低いeMAXIS Slim国内株式(日経平均)がおすすめです。
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自分にあった銘柄の選び方とは?
自分にあった銘柄を選ぶには、どのような考え方をすれば良いのでしょうか?
- ライフスタイルに合わせる
- リスク許容度に合わせる
- 目的・目標に合わせる
選び方のひとつとして、上の3つのポイントから考えると良いでしょう。
ライフスタイルに合わせる
まずは自分がどういったライフスタイルなのか確認しましょう。
例えば仕事が忙しいとしたら、アクティブファンドを細かく選定したりするのは難しいので、インデックスファンドを選ぶということもあり得ます。また、もしESGなど特定のテーマに関心があるのなら、テーマ投資を行うファンドを選ぶのも良いでしょう。
他にも、余剰資金を旅行やレジャーなど余暇のために多く使い、投資へ回せる額は少なくなるという方は、少ない額でリスクをとりにいき、大きなリターンをあげているアクティブファンドへ投資するという考え方もあるでしょう。少額投資であれば評価損が出たとしても、損失の実額も小さくなります。
積立投資は長く継続できることが大切ですから、各個人のライフスタイルに合わせ、無理のない投資を行えるようなファンドを選ぶようにしましょう。
リスク許容度に合わせる
リスク許容度とは、収益がマイナスになった際、各個人がどの程度までマイナス幅を受け入れられるか、ということを指します。基本的には、ライフスタイルと合わせて考えることになります。
年齢で考えても、70代で年金生活の方、50・60代で定年間近の方、子どもができ働き盛りの30・40代の方、社会人になったばかりの20代の方では、それぞれリスク許容度は大きく異なります。若ければ若いほど、運用期間を長く取れる分リスクをとりにいけますが、年金で生活していたり退職間近の方はリスクより安定性を重視した方が良いでしょう。
また、ご家族がいらっしゃる方もリスクを取りづらくなるため、より安定した商品の方が好まれます。
インターネットで調べると気軽に受けられるリスク許容度診断があったり、証券会社によってはアンケートなどからリスク許容度を求め、商品を提案してくれるものもあります。こういったツールも使いながら、最適な銘柄を探すと良いでしょう。ただし、最後はあくまで自己判断になることに注意が必要です。
目的・目標に合わせる
資産運用を行う際には、目的(何のための運用か)・目標(目的のためにはいくら必要か)をある程度決めておくことをおすすめします。
例えば、数十年後にマイホームが欲しいということであれば、ある程度の目標金額(マイホーム購入にいくらが必要か)を決め、現在保有している余剰資金から資産運用へ拠出できる額と相談しながら、マイホーム購入のためにどのくらいのリターンが必要なのかを求めます。それに合わせて、ライフスタイルやリスク許容度を加味して、最適な商品を選ぶというわけです。
目的や目標があれば、資産運用も楽しくなり、かつ継続しやすくなるでしょう。から、まずは目的・目標をきちんと定め、それに合わせた商品を選ぶというのを心がけると良いでしょう。
まとめ
つみたてNISAを長く継続するためには、200以上の銘柄のなかから自分に合ったものを正しく選ぶことが重要です。資産運用の目的・目標、リスク許容度が決まっているならば、まずはそこからインデックスかアクティブの選定(どちらも組み込むという選択肢もあり得ます)、投資対象や信託報酬などをみながら、最適な銘柄を選びます。
おすすめ銘柄ランキングを参考に、自分に合った銘柄を選んだり、取り扱いのある証券口座選びに役立ててください。
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