ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは「定期的に自分が決めた一定額の資産を投資に回す」積立投資での運用方法です。投資する金融商品に決まりはなく、株や投資信託など、自由に選ぶことができます。
積立投資であるため、ポイントは「『毎週』や『毎月』のように購入後における一定の期間を決めること」と「その期間で自分が投資に回す額を決めて、運用すること」です。
図表1はドルコスト平均法のイメージです。ドルコスト平均法は、「定期的・一定額購入」のルールに従う手法なので、株式・投資信託などそれぞれの金融商品の価格の変化で購入数(口数)が変わります。
例えば、「毎月1万円を投資に充てる」と考えたとしましょう。価格が低い時は1株当たりの値段(単価)が割安のため、多く購入できます。一方、価格が高い時はあまり多くの口数は買えません。このルールに従って、ドルコスト平均法を長期間運用していきます。
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ドルコスト平均法のメリットとデメリット
ドルコスト平均法にはメリットとデメリットがあります。
ドルコスト平均法のメリット
・投資初心者から始められる ・少額からでもできる |
まず、ドルコスト平均法はあらかじめ期間と購入額が決まっています。そのため、投資をする際に機械的に運用することができます。どんなに株の価格が割安でも、決まった額まで購入するので、細かい相場の動向や価格変化、売買タイミング等を考慮する必要はありません。その点で投資の知識や経験がない初心者におすすめの投資手法です。
また、ドルコスト平均法は、少額からでも始めることができます。投資と聞くと、ある程度の資金を調達してから始めるイメージがありますが、ドルコスト平均法はそうではありません。自分の家計の所得に応じて、自分で決めた金額から始めることができます。
また、取引頻度の多い短期投資とは異なり、ドルコスト平均法は積立投資の方法であるため、手数料も比較的に低く、手数料の安い証券会社を選べば投資コストを抑えることもできます。
このように、少額からでも積立投資ができ、資金の少ない投資初心者にもおすすめできるのがドルコスト平均法の魅力です。
ドルコスト平均法のデメリット
一方で、デメリットは以下の通りです。
・すぐに効果が表れない ・株式購入時の手数料が高くなる |
まず、ドルコスト平均法は長期積立で効果を発揮する資産運用の方法です。そのため、短期間だけドルコスト平均法で運用しても、効果は薄いです。「一定期間・一定額購入」を遵守して、何年も続けていくことで初めて一定の利回りが現れ、効果を発揮します。
そのため、短期的に多くの取引を実行し利益を得る短期投資には不向きでしょう。
また、一括で株式を買う場合に比べて、手数料が高くなることもあります。株式には、購入するたびに手数料が発生する商品があります。
例えば、手数料が発生する株式を一括購入する場合に比べて、ドルコスト平均法に従って定期的に定額購入するほうが株式を購入する回数が増えるため、手数料がかさばります。全ての金融商品に手数料がついているわけではありませんが、購入の際には注意が必要です。
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ドルコスト平均法の始め方
ここではドルコスト平均法の仕組みは理解できたが、「何から始めればいいか分からない!」という方に向けて具体的な実践方法をお伝えします。
何から始めればいい?
ドルコスト平均法の始め方はとてもシンプルで、以下の2つの手順の通りに進めます。
①期間と購入する金額を決める ②金融商品を選んで、①のルールに従って運用していく |
これがドルコスト平均法の実践の仕方です。まずは期間(毎週買うのか・毎月買うのか)と金額(どのくらい買うのか)を決めましょう。
大事なのは、決めた期間と金額にできる限り従うことです。この点を疎かにすると、長期的に積み立ててもドルコスト平均法のメリットを得られないので注意してください。
実際に投資する上でのリスクと注意点
以下で、実際にドルコスト平均法で運用する際のリスクや注意点について説明します。
すぐに効果が出るものではない
ドルコスト平均法は短期的に莫大なリターンが得られる方法ではありません。定期的にコツコツ投資していくことで、有効な資産形成をすることができます。ドルコスト平均法で運用する際には焦らず、気長に待つメンタルも重要になります。
相場に左右されないように
ドルコスト平均法で運用する際には、定期的な購入を続けるため自分が買った株式の動向をどうしても意識してしまうかもしれません。
株価が大幅に下がっていると、「このまま買い続けても大丈夫かな?」「もう買うのやめようかな」と思うかもしれません。確かに、損失を最小限にするために投資の辞め時を考える「出口戦略」というものがあるように、ドルコスト平均法で運用するなら「いつまで買い続けるか」という視点を持つことは大切です。
しかし、短期的な株価の上下ばかり気にしてはいけません。ドルコスト平均法は長い目で資産形成する方法です。期間や購入額をあらかじめ決めているので、それに従って運用するようにしましょう。
ドルコスト平均法のシミュレーションについて
ここまで、ドルコスト平均法の説明や実践方法について解説していきました。では、実際に具体例を見ながらドルコスト平均法の効果を見てみましょう。
ドルコスト平均法は本当に意味ある?
ドルコスト平均法はなぜ効果があるのか?それは価格変動のリスクを抑えられるからです。
「定期的・一定額購入」を遵守して、長期間購入し続けていると価格を標準化することができます。価格を標準化することで、変動リスクを少なくすることができます。
例えば、一括で株式を購入してしまうと、その後価格が下落した場合価格変動のリスクをまともに受けてしまいます。一方、ドルコスト平均法では、時間を長く見積もることでそのようなリスクに強い資産運用をすることができます。
実際のシミュレーションで効果を実感
ここでは、具体的なドルコスト平均法のシミュレーションをしたいと思います。
分かりやすい例として、「りんごを毎月1,000円で買えるだけ買う」場合を考えます。りんごの平均価格を100円とした場合に、4ヶ月の間でりんごの価格が図表2のように変動したとします。
まず、1ヶ月目はりんごが平均価格の100円なので10個買えます。次に、2ヶ月目は150円に値上がりしたので買える数は6.6個に減少しました。3ヶ月目と4ヶ月目は80円、50円と割安だったため12.5個、20個と多く買えました。
結果、4ヶ月間で49.1個買うことができ、りんごの平均取得価格は4,000÷49.1=81.74円になります。
このように、ドルコスト平均法では購入する期間を分散させることで、価格変動のリスクを抑え、もとの平均価格よりも割安で買える傾向にあります。今回のりんごの例では、4ヶ月間しか期間を設定していませんが、これを何年も続けることでより多くドルコスト平均法の恩恵を受けられます。
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投資信託におけるドルコスト平均法
ここでは、ドルコスト平均法を活用して購入することの多い「投資信託」という金融商品について解説します。
ドルコスト平均法を使った投資信託での運用方法
ドルコスト平均法の実践方法については理解できたと思いますが、投資初心者の方だと「どこの株式を選べばいいか分からない」「自分で資産運用する時間がない」という人もいるかもしれません。そのような方におすすめなのが「投資信託」という金融商品です。
投資信託とは、プロの証券会社や投資家にお金(手数料)を払って、個人の代わりに資産運用してもらう方法です。投資信託であれば、自分でどの株式を選べばいいか時間をかけることなく、商品を買うだけで代わりに運用してもらえます。
しかし、投資信託は株などの金融商品と異なり、プロに運営してもらう代わりに手数料が高くなる傾向があります。ドルコスト平均法を用いて投資信託に投資したい方は手数料などの情報も確認する必要があります。
投資信託でドルコスト平均法を採用すると、長期投資・分散投資・積立投資という資産運用の三原則を達成することができ、少額でもうまくお金を運用することができます。またその場合は、非課税制度のNISAやつみたてNISAを利用すると良いでしょう。
どんな運用方法でも「定期的・一定額購入」を忘れずに
ただし「投資信託」も株式購入と同じく1つの金融商品です。どんな運用方法であれ、ドルコスト平均法の「定期的・一定額購入」の原則は変わりません。
まとめ
今回は、積立投資の運用手法の1つであるドルコスト平均法について解説しました。
ドルコスト平均法は専門的な知識や大きな初期費用も必要ないため、初めての方からでも少額で行うことができます。ドルコスト平均法の「価格変動のコストが抑えられる」のメリットを享受できるよう、「定期的・一定額購入」の原則を忘れないようにしましょう。
また、ドルコスト平均法は長期間運用することで真価を発揮します。そのため、ドルコスト平均法の効果は時間が経つほど大きくなっていきます。焦らず、落ち着いた気持ちで取り組んでいきましょう。
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